53/68
大手進学塾⑧
入社してから2か月が経ち、事務作業にも授業にも慣れてきた。
(やっぱ、生徒と関わるのは楽しいなぁ。マジで天職かも……。休みもしっかり取れるし。)
当初、日月が休みの予定だったが、校舎の都合で日木が休みになっていた。
「どうしよう、困ったなぁ……」
寺内さんが、ボソッと呟いた。
「どうしたんですか?」
俺が尋ねると、
ハッとした表情をした後に寺内さんが答えた。
「アルバイトの先生が体調不良になってしまい、2、3日来れなさそうなの。本社に代講を依頼しているんだけど、中々見つからなくて。」
「明日の水曜日は合同でやれば何とかなりそうなんだけど、木曜日と金曜日をどうしようかと思って……」
「俺、出ましょうか?」
寺内さんは驚いた表情を見せた。
「でも、休みがなくなっちゃうじゃない?」
「大丈夫です。『すべては生徒一人一人の幸せのため』ですから。」
俺が答えた。
正直、ブラック企業に慣れてしまっていた俺は、週休2日を持て余していた。いや寧ろ物足りなさを感じていたのかも知れない。
苦労している、困難な状況にいる自分を美化していた。
「わかった。ありがとう、本当に助かるよ」
寺内さんが言った。
こうして、俺の連勤生活が始まった。




