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大手進学塾④
しばらくすると、また電話がかかってきた。
今度は躊躇せず、受話器をとる。
「お電話ありがとうございます。○○校舎の黒井です。」
「あ、黒井さん。いらっしゃったんですか?」
(ん、誰だ……? 高峰さんの声とは違う)
「総務の井上です。今、そちらの校舎の保護者様からクレームをいただいたんです! 何度、電話しても、繋がらないって!」
井上さんは、落ちついた声で話そうとしているが、言葉の端々に怒りを感じた。
「何で出なかったんですか!?」
「いや、具合が悪……」
「とりあえず、その保護者様に謝罪の電話を入れてください! 電話番号は……」
井上さんは、俺に弁解の余地を与えず、捲し立てた。
「10分以内に電話してくださいね!いいですか!?」
ガチャ、ツ―、ツ-、ツ-
井上さんは、伝えることだけ伝え、すぐに電話を切ってしまった……。
(えぇ~、どうしよう……)
(仕方がない、まあ初めてのことだし、失敗するのは、当たり前。この失敗が必ず次に繋がるだろうし……)
俺はポジティブに捉えた。また、無駄に責任感も強かったため、すぐに電話をかけることにした。




