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個別指導塾⑤
(やばい、寝坊した…)
ハンバーガーショップの早番の後、仮眠をとるつもりが、全力で寝てしまった…。
授業開始が18時。起きたのが17時55分。自宅から塾までは、自転車で20分くらいかかる。
急いで塾長に電話し、生徒に教材を進めているよう指示して欲しいと伝える。
(マジでごめん、高畑さん)
俺は全力で自転車をこぎ、15分程度で塾に着いた。
俺は塾長が個別指導の教室内で代わりに授業をしてくれていたり、高畑さんとお話してくれたりしているものだと、勝手に想像していた。
ところが、
塾長は塾の入り口付近にある自分のデスクに座っていた。
特に何もしないまま…。
(え、何で?)
「すみません。ご迷惑おかけしました。」
遅刻の件を詫びながら、個別指導の教室に向かう。
「ごめん、高畑さん」
「あ、先生。何して良いか分からなくて、お絵かきしてたよ。どう上手でしょ?」
(え、指示は? え、俺電話したよね? 夢だったのかな?)
高畑さんに何度も謝罪し、授業を始めた。
(何で、塾長は何もしてくれなかったんだ?)
この頃から、給料の振り込みが遅れ始めた…




