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個別指導塾③
塾のアルバイトを始めてから、1か月が経った。
中学2年生の数学も高校1年生の英語もある程度知識が身に付き、質問にも答えられるようになってきた。
池田さんも徐々に色々な話をしてくれるようになったが、教材が中々進まない。
「そう言えば、池田さんは他の曜日も塾に来ているの?」
俺は他の先生のことも気になっていたので、何気なく尋ねてみた。
「来ているよ。金曜日に。」
「そうなんだぁ。誰に教わってるの?」
「宮本先生。あ、でも教わっているって言うか、将棋をやってる」
(ん、どういうこと…? ここの塾では、将棋を教えているのかな?)
「教科は数学なんだけど… 理系に強くなるには、将棋で強くなることが大切らしいよ。」
(そうなん? え、そうなん? いやいやいや、宮本。やってんなぁ、お前やってんなぁ。 )
「へぇ~、それは知らなかった。ところで、塾長はそれを知ってるの?」
「知らないと思う。塾長は教室内の様子を見に来ないから。 黒井先生、塾長に言わないでよ。もう少しで、宮本先生に勝てそうなんだから。」
「う~ん、分かったよ」
2週間後、池田さんは親に塾を辞めさせられた…




