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職探し①
地元に戻って来た俺は、実家に住みながら職探しをした。
大学に進学したのは学校の先生を目指したためだった。しかし、教育学部ではなかったため、教職課程の履修が必要だった。大学1年で通常の単位取得がギリギリだった俺は、早々と教師になるという夢を諦めた。
それでも、就職するなら教育業界にしたいと思い、「子どもと接するお仕事」、「お子さんの成長を支援するお仕事」などの謳い文句に誘われ、1つの企業に応募した。
採用試験の当日、約束の時間の10分前に到着した。受付の方に挨拶すると、丁寧な対応で応接室に通された。
約束の時間に営業所のマネージャーが来て、面接が始まった。緊張の中、志望動機を伝える。
「なるほどね」
暫くの沈黙の後…
「君、良い顔つきしているね。性格の良さが滲み出てるよ」
(え、やっぱりそうかなぁ。分かる人には分かっちゃうんだなぁ)
「いつから来れる?」
(流石、俺!! 面接、即採用かよwww)
「いつからでも来れます。」
とんでもない勘違いをしながら、無事1社目のブラック企業に入社。
採用試験は面接だけだった。