屋敷の主は趣味が悪い?
「うーん、どんな感じにしよっかなー」
私は一人考えふけっていた。ぶっちゃけ、構想を練るにしても、紙とかに考えをまとめたい欲がある。ぶっつけ本番より、あらかじめどんなのを作るか決めてからの方が楽だし。
色々と考えた末、私はとうとう決めた。
「よし、デザインからしっかり練る!ちょっとあの盗賊たちの鞄から書けるもの漁ってくるね」
「きゅー!」
「け!」
二人そろってビシッと手をあげている。本当にそっくりでかわいい。おばけくんも、あの生意気さえなければ普通に可愛いんだよね。
とりあえず天井に浮かび上がり、例の鏡に触れてみると、意外とすんなり出れた。見慣れたはずのエントランスが、もはや懐かしい。そして私の足元には例の鏡があった。
やはりというか、直前まで見ていたあの鏡から繋がっているらしい。
それにしても家具が綺麗になってる。私が壊してしまった花瓶も新しいものに変わってるし。おばけちゃんが片付けたのかな?こんなに綺麗に元に戻せるものなんだね。
さて、そんな綺麗になったエントランス内で、唯一何も変わっていないのが盗賊たちである。ひっくり返した鞄もそのままで、中身が大量に飛び散っている。誰だよ、片付けてない奴。・・・私だけど。
その散らばった物たちから使えそうなものを探していく。
あ、羽根ペン発見・・・と見せかけてコレ触れない奴だ。なんてめんどくさい。多分盗賊の普段使いペンなんだろう。ボロすぎる。ということでこれは置いといて次。
「あ、これは使えそう・・・!」
触れることができるし、間違いなく屋敷のペン!しかし、黄金のペンだった。もう凄まじいまでのキンキラキン。あれかな?この屋敷の住人はとんでもない派手好きだったのかな??でもまあ、いつぞやのハサミよりは使い心地が良さそうだ。
「でもこういうペンってインクもいるんだよねー」
じーっとペンを観察してみたけど、やっぱりインクがセットってわけでもない。よく見るとペンの形をとったロゴマークみたいなのが彫ってあるけど、シリーズがあるならインクもあっていい気がする。ファンタジー漫画でよくある、インク壺みたいなやつ。
しかし、見渡してみてもそれっぽいものなんてない。
くっ、せっかくのペンが使えないとは・・・!
一応、触れる物だけ別にしてみた。とはいっても触れる物は宝飾品や妙な骨董品くらいで、ほとんど値段重視のものばかりだ。流石に実用性のある物は無かった。
というか、元の持ち主の品性を疑う。何故ならほぼ全てが金ぴかだったから。
そしてその中でも、一際目に付くものが一つ。
「うわ、趣味悪すぎ・・・」
ソレはこの場にあるモノの中で、破格の異端さだった。
恐る恐る手に持つと、さらに異様さが目立つ。
・・・っていうかナニコレ。金の像?まあ小さめだけど。サイズ的に見ればトロフィーに近そう。でもだからと言って優勝景品としてこれを渡されても嬉しくない。
何といおうとコレ、人の生首が彫られた金の像だ。それもすっごい笑顔の。
・・・ちょっと、いやかなり気持ち悪い。ホラーよりも気持ち悪さが勝つ部類である。ていうかサイズも丁度いいせいで気持ち悪さに拍車がかかってる。本当に気持ち悪い。
あまりの気持ち悪さに像の向きを変えた。
顔さえ目視しなければ平気だろうと思ったけど、無駄に凝っているせいで後ろから見ても頭にしか見えなかった。っていうか、これじゃあ私も金ぴか生首持った変な人認定されるじゃん。
そして後ろ向きにした途端目に入ったけれど、これ、首の後ろにボタンがある。・・・もういったい何なんだよ、コレ。
まあ仕方ないので、ボタンを押してみる。すると今度は、像の額から上がパカッと開いた。
・・・本当に何なんだよ、コレ。
頭がパッカーンって、かなりイカれてる。というか、持ち主もおかしいけど、これを作った人も気になってきた。いったいどんな心境でこれを作ったんだろう。
せっかくなので中身も確認することにした。もうどんな変なものが入ってても驚かない。そう考えながら覗き込む。
・・・と。
「・・・へ?」
中には、真っ赤な液体が入っていた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
一瞬思考が停止したが、見覚えのあるロゴマークが目に入り、脳内がピコン、と音を立てた。
「あ、インク!」
このマークはさっきのペンと同じマークだ。とっさに金のペンを取り、赤い液体に付けてみる。試しにペンを手になぞってみると、綺麗な発色の赤いインクだった。
「・・・いや何で赤にした!!?」
思わず心から突っ込む。
てっきり見たらヤバい、生き血とか脳汁とかだと思ったっつーの!!マジで一瞬ヒヤッとしたからね!?趣味悪すぎんでしょっ!!
色々腑に落ちないことは多いが、使えることは分かったので蓋を閉じた。
まあ、ペンとインクが確保できたことだし、一度戻ろう。紙は無かったけど、あっちに余ってる布で代用できるだろうし。
荷物を抱えてあの空間に戻ろうとした、その時。
「う、うああああああ!」
「へあっ!?」
突然の声に驚いて金の像を落としかける。ギリギリ持ち直したけど。ひとまず後ろを振り返ると、一番弱そうな盗賊が起き上がっていた。




