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ご都合主義担当。

 


「ふーん?おばけちゃんの火の玉と近い感じで、色々造り出せるってわけね?」


 私がこんもりと山のように出された物たちを見て納得したように呟くと、おばけくんは凄い勢いで頷いている。あの刑がそれだけ効いたらしい。


 おばけくんが造り出せるものは、ハンカチサイズの布切れ、ぬいぐるみがやっと作れるくらいの綿、大量の糸くず、小さな木片や金属片や道端に落ちていそうな石ころなど、実にしょうもないものばかりだ。しかし、一度造り出したものは、半永久的に使えるため、実用性はめちゃくちゃある。そしておまけに、いつでもどこでも目当ての物を出せて、作ったものでもそれ以外でも何でも収納可能。完全にアイテムボックス。便利じゃないわけがなかった。


 ・・・まあ、その代償として性格が生意気になったのだろう。


「ちなみに他にデメリットはあるの?一日に作れる量に限界があるとか?」


 そう聞くと、こくっと頷いた。ふむふむ、限界あり、か。


「一日に作れる量はこれが限界?」


 今度は首を横に振った。なるほど、別にこれが限界というわけではないのか。


「これ作るのにとんでもない代償が必要だったりする?」


 またまた首を振る。生命力とかそういうのが取られるんだったら流石に申し訳ないけど、どうやら問題はないらしい。


 それにしても、はいいいえ式は片方がしゃべれなくても意思疎通できるから便利である。


「じゃあ、今出てる物って貰ってもいい?」

「けっ!」


 高速で頷くおばけくんを確認すると、私は迷わず布と綿を取った。うん、これくらいあれば十分足りる。糸は同じくおばけくんに出してもらった糸くずがあるし、ハサミも丁度あっちにある。後は針だけなのだが、それも解決したも同然だ。


 私の意識が外れたのを見計らって逃げようとしていた奴に目を向け、笑顔で告げる。


「あと君、裁縫針貸して?」

「げっ!」


 バレてないとでも思ったのか、おばけくんはとっさに固まっている。残念だったな、逃がさないよ。


 そもそもあのボール、絶対手縫いだし。材料を出せても加工は自力でやらないとみたいだったので、まず間違いなく、コイツが持っている。


「まあ、ただで貸してくれとは言わないわ。ついでに面白いものでも作ってあげる」

「け?」


 面白いものという言葉に反応し、首を傾げるおばけくん。


「まあ、貸してくれたらだけどね?」


 さあどうする?とばかりにドヤッていると、おばけくんは諦めたかのように何かを空中から取り出した。つぎはぎだらけの小さなポーチである。


 ・・・ホント、便利だね、それ。


 念のため中を確認してみる。


「わーお、完全に裁縫セットじゃん・・・」


 中にはハサミ、針、まち針、数色の糸など、どこからどう見ても裁縫セットだった。どうやって用意したの、これ。しかも結構使い込まれてる。この子、絶対趣味裁縫でしょ。


 さて、目当ての物も手に入ったことだし、ここで一つ、私の特技を話そう。


 ぶっちゃけると私は前世、心躍る運命的な恋を期待していた。ヒーローに愛され、数々の試練を愛の力で乗り越えていく、みたいな。


 まあ、その前に死んでしまったわけだけど。


 そんなヒロインに憧れた私はまず、愛されるヒロインになるためにひたすら女子力を磨いた。礼儀作法から料理、裁縫、掃除、音楽、美術、色々なものに手を出したのだ。・・・正直言うと三日持たなかった物が多かったけど。人には向き不向きがあるのだから仕方ない。


 まあ、そんな中で最も性に合っていたのが裁縫だった。マスコットだとか、可愛い布鞄だとか、周りから凄いと言われていたくらいの実力もあったし。


 まあ、可愛いフリルとかぬいぐるみとかが好きで夢中になっていたっていうのが真実なのだけど。ほら、異世界溺愛ものといったら綺麗なドレスでしょ?


 まあ、つまり、裁縫スキルにおいては自信があるのだ。


「けえ?」

「きゅきゅー!」


 段々形になっていくそれは、おばけちゃんたちの興味をそそるには十分らしい。私が今作っているのは、居眠りさんなおばけのための肩掛け布団である。小さな布を縫い合わせているから、どうやっても形は歪になってしまうけど、全体としては出来上がってきた。


「後はもこもこの綿を入れて、ここを縫えば・・・っできた!」


 てってれー、もこもこ掛布団!


 自分でもなかなかに良く出来た気がする。なんていうか、パッチワーク?みたいな感じで可愛い。切れ端を使って結べるようにしたから、コートとかに近いかも。実にあったかそう。むしろ私が使いたい。まあ、サイズ的に無理なのだけど。


 とりあえず未だにふよふよ寝ている子のところに行く。あ、何故か上の方に移動してる。割と不規則な動きなんだね。


「はい、これは君の分」


 作った布団を掛け、切れ端を蝶々結びにする。・・・うん、これはもこもこナイトキャップとかあったら似合いそう。いつか絶対作ろう。


「ケッ!ケッ!」

「いでっ」


 そしておばけくんは私のすねを蹴ってくる。流石に分かりやすいので苦笑いする。


「はいはい、作ってあげるから待ってね?」


 まったく、こういうところは可愛いんだから。実はおばけちゃんもチラチラ見てくるので欲しがっているのが丸分かりだ。


 とりあえずサムズアップして見せると、嬉しそうに飛び跳ねてた。伝わるんだね、これ。




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