また 春がくる
ここで終わりです。 かなり小分けであげてみました。
先生がヒコイチの横にきて、障子をあけた。
ひゅう、とつめたい冬の風がふきこむ。
「ヒコイチさん、 ―― まだ、『みやげ話』が増えそうでございますねえ」
庭の池をながめ、先生がうれしそうにうなずいた。
池にはまだ、蓮の葉もなにもない。
「 ―― あのじいさんたち、きっと、冥途ってところで、『百物語会』でもやるつもりなんじゃねえですかね」
「あら、それでは話しをそろえるまで、『冥途』はまだ、遠そうでございますねえ」
ころころと先生がわらい、黒猫がくしゃみをして『さむいじゃねえか』とよってきて、先生の膝にのろうとしたのを、ヒコイチがすくいあげてあぐらの中におく。
「 ―― まあ、しかたねえから、おれも桃見につきあうか」
『 しかたねえなあ、ヒコもさそってやるさ 』
風がすこしあたたかくなってきたころに、黒猫をいれたかごをかつぎ、ヒコイチたちは桃の花をみに旅にゆく。
季節はまた、春になろうとしている。
おつきあいくださったかた、目をとめてくださったかた、ありがとうございました!




