前へ目次 次へ 7/70 ここで ようやく 「いや、役人のところには行ったのよ」 人足(にんそく)の男はこまったように頭をかたむけた。 「 ―― だがな、刀をふりまわされるだけで、はなしにならねえんだ」 やはり、寝ているところ、枕元に出たのがよくなかったか、と、どこか、おもしろがるような声でいう。 「 ・・・っ、」 ここで、ようやくヒコイチの首の後ろに寒気がはしった。 「 ああ、おまえさん・・・」 人ではないのか、とセイベイがめずらしく目をまるくして、むかいの男をみつめなおした。