60/70
走りまわる
ダイキチがゆっくりと、障子にさすひかりにかたるよう、はなしだした。
「 ・・・預けたお寺さんに、お地蔵さまが夜、走りまわるから、とよばれましてな」
――――
ダイキチの『百物語会』にも顔をだすという住職は、深くきかずとも、ご神木と地蔵様をいっしょにひきとってくれたのだが、ご神木を炊き上げてから、地蔵様がお堂の中、夜になると七歳ほどの男のこどもになって、はしりまわるのでどうしたものかとよばれた。
とりあえずダイキチがようすをみようとお堂に泊まってみると、こどものすすりなきで目が覚めた。




