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梅を見てお堀を浚(さら)ったはなし  作者: ぽすしち
 九

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59/70

幽霊


 ああ、とヒコイチのくちからあきらめたような息がもれる。


「・・・ってエことは・・・」




 まあ、あのかたは、幽霊ってやつですな、とダイキチは食べ終えた『梅の花』のことをはなすようにうなずいて、お茶にてをのばす。




「ゆ、 うれい? でも、―― 」

 昼日中でもしっかりみえて、なんども膝をたたくほど、足もしっかりついていた。




「まあ、みえていたのは、わたくしどもだけかもしれませんなあ」


「そうだね。甘酒もこなかったしねえ」


 年寄りたちはそろって湯呑を両の手でつつむようにした。



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