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梅を見てお堀を浚(さら)ったはなし  作者: ぽすしち
 九

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58/70

地蔵様を彫った


 そとのひかりが、障子紙をとおり火鉢をてらす。



 その、静かなひかりのことを話すように、あのひとはご神木の化身じゃなくて、とダイキチが障子のほうをむく。


「 ―― あの、お寺にひきとられたお地蔵さまの、父親ですよ」




「は? 《地蔵さん》の父親が、《ご神木》?」





『 だからよ、《ご神木》じゃねえ、ってダイキチさんが言ってるだろ 』


 猫のだみ声がはさまる。


『 あの、人足にんそくの男は、 ―― 死んだこども のことをおもって、地蔵さんを彫った男だ 』




「地蔵さんを彫った男?」





『  村で、こどもをなくした男が彫った、小さな地蔵さまが、祠にはいってるんだ  』






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