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香り静かに
「 『ご神木』ってくらいで、動かせねえくらい重いんだ。 枝だってひとかかえもある。 それが、堀の中につかってるんだから、切り落としたらそのまま枝は、堀の中へおちるだろ?」
まあそうだな、とヒコイチがうなずくと、人足の男はさっきまでの勢いがうせた声で、よくねえことが重なった、とどこか遠くをみた。
梅の花のかおりがみちるだけの静かな間ができる。
隠居たちも先生も、ひどくさびしげな顔で男をみていた。
「 ―― 祠が、地蔵さんをいれたまま、うっちゃられただろ?」
ふいに顔を見られ、ヒコイチはあわてておもいだす。




