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ヤオビクニの『先生』
『先生』とダイキチさんについては、『蓮池の』をひろってみてください。。。
五
思った通り、ゴザにはあのお屋敷で初めてあった女の『せんせい』がいた。
ダイキチが趣味とする百物語につかえそうな不思議なはなしや古い知恵をたくさん知っている女で、その『正体』は、人魚の肉を食って寿命がのびた《ヤオビクニ》だという。
正体はなんでも、先生はヒコイチにとって、人のいいダイキチといっしょに暮らす、ひとのいい女だ。
「あらまあ、ご縁ですこと」
セイベイたちをみて、『せんせい』はわらい、重ねて敷いてあったゴザをひろげた。
人足の男は、これまたおそれいったように、女に頭をさげた。




