伝わらず
申し訳ございません。一度区切り場所まちがえてあげました。。。
ヒコイチもそう思うが、この山にくると、すこし落ち着かなくなる。
寺の記録によると、山の梅林が先にあって、あとから寺がつくられたらしいが、村の者たちも、むかしからあった、というだけで、その梅についてくわしく知る者はいない。
「 さっきのお稲荷さんみたいなもんさ。 だれか知ってるものがあとに伝えていかないと、ちがうもんになったり、どうでもいいもんになったりするんだよ」
梅の香りをたのしみながら歩き回る年寄の言葉に、人足の男が立ち止まる。
「 やっぱり、みこんだとおり、ご隠居さん、はなしがはええ。 そこなんだよ、かんじんなのは。 その祠もほら、いっときは《神様》みたいにおがまれたのに、泥に放り込まれたのは、だれもつたえるもんがいなくなったからだ」
まったくひでえ、と男が腹を立てたようにまた歩き出すのに、ヒコイチはさっきのつづきはどうなった?ときいた。
「大嵐がきたんだろう?」
「おお、そうだった」
「そんな大嵐あったかねえ?」
三人がじゅんぐりに言ったとき、セイベイさん、と声がかかった。




