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梅を見てお堀を浚(さら)ったはなし  作者: ぽすしち
 三

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山のような墓


 だが、ここは坂といっても、なだらかでゆるい、ひろい坂の土地なのだ。


 なので、あちこちの梅の下に、ゴザをしいた人たちが、弁当をひろげている。




「ぜんぶ、だれかが、植えたのだろう?」

 

 セイベイは感心したように、むこうまで続く梅林をみわたす。



 ゴザで梅見をするひとたちをよけながらでも、じゅうぶんほかの木をみながら歩くことができる広さのそこは、山というには低くて小さい。

 山と山とのあいだというわけでもない。


 年寄りたちの間には、この『山』が、大昔このあたりを支配していた一族の、大きな『墓』だとかいうはなしもあったが、そのとしよりもふくめ、このあたりの人たちは、その話を信じていない。



 だってよお、こんな山ほどもあるような墓をつくるかね?



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