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梅を見てお堀を浚(さら)ったはなし  作者: ぽすしち
  二

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沼を埋め

 ときおり、沼に釣りにくる者が、きまぐれにお参りをするぐらいで、もう、社をなおす者もいない。




「 ―― そんなふうになってから、あの沼を埋めはじめた」




「あたしのおやじがこどものころだ」


 セイベイがうなずいた。


 

「 さすがに朽ちてても、鳥居があってほこらがありゃあわかるから、調べに来た者も『おいなりさん』なら、こりゃ移すしかねえってはなしだったんだがな、 ―― 」



 祠の中の厨子ずしをあけても、炭焼きがつかう薪に顔をつけたようなものしか、はいっていない。


 まさかそれが地蔵様だとも思わないし、このあたりにむかし住んでいた者たちにやしろのことをきいても、くわしいことを知っている者もいない。




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