14/70
時は経ち
「 あんたのはなしぶりだと、ちょっとのあいまにそうなったみたいだが、ほんとうはかなりの年月がたってのはなしだろう?」
としよりがいうのに、まあそうさな、と、すこし遠くをみた。
「 ・・・その社も三度ほど手を入れられて、その社の近くにあった楠が、あるときからいきなり、『ご神木』ってことになったくらいには、 ―― 経ってるな」
だから、そのお社がたてられたいきさつを知っている者も、もういない。
「ほんとうになにも入ってねえのかい?」
ヒコイチは、いま飲み切った甘酒のうつわをふってみせる。




