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梅を見てお堀を浚(さら)ったはなし  作者: ぽすしち
  二

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いつのまにやら


「 ああ、もとは、沼地の村の庄屋が、不作だった年にな、ちかくの坊さんをよんでつくったちいせえほこらが、あとになって、《おいなりさんのおやしろ》になった」



「なにもいれずに?」



「 坊さんは、不作の年にどうにかとれた米や、鎌なんかをならべて香を焚いて、経をあげた。 不作はこれで終わるようにってことだな。 ―― で、経がきいたのか、次の年からは豊作で、祠をまもるようおおきいおやしろもつくった。 それから毎年、社で坊さんが経をあげてたんだが、・・・その寺がなくなって、村人だけで豊作を願うようになったら、いつのまにか、『おいなりさん』ってことになってた」




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