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梅を見てお堀を浚(さら)ったはなし  作者: ぽすしち
  二

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沼地


「 低い沼地を埋め立てた場所なんで、がゆるくてかなり土を盛ったっていうはなしだ。 沼にながれていた細い川のむきをかえるのと、湧き出てる水を大きな川におい出すのに、升目に堀をはしらせたらしいが、いまじゃ西から東にかけての堀もつながらなくなってるからねえ。 それで、お堀さらいの時期も、それぞれでちがう」



「 そうなんだよ。それもよくねえんだが、まあいい。 あのな、 ―― 西方のお堀近くに住んでいて、いちばんはなしがとおりそうなのが、ご隠居さんなんだが、そっちのお供の人もはなしがはやそうだ」


 顔をみられたヒコイチは、いやあ、と返事だかなんだかわからない声をかえすしかなかったが、縁台に湯呑をおいた年寄は、まあそうさ、とうなずいた。

 



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