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だから
毎度設定ゆるふわ。雰囲気だけ時代小説です。 ヒコイチがお友達の西堀の隠居と梅見にゆくと、人ではない男に頼まれごとを。。。。ほっこりではないはなし。嫌な表現、ごちゅういを。
一
だからそれじゃあこまるんだよ、と、男は片足にのせたもう片方のあしをたたいてみせた。
「こまるといわれてもねえ」
むかいに座っている年寄は、あごをかきながらその男をながめている。
その年寄りは、ヒコイチの知っている隠居で、西堀にある反物をあつかう店の大旦那だった。
ふだんその年寄りは、こんな茶屋の店先に座ることもない。だいいち、こんなに人の多い場所にでてくることじたいが珍しい。
それがなぜ、こんなところにいるのかといえば、ヒコイチがよびだしたからだ。
いや、よびだしたというよりは、誘ったことになっている。
ヒコイチは誘ったつもりはなかったが、むこうはそう思っているらしいので、そういうことにしてある。