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第55話:サンタクロースはヤってくる♪




「これ壊されると計画が狂うんだ」

「お前はなんでここに」

「だからさ」


 俺の疑問に答えはなかった。


「何を」


 黒いサンタクロースはふわりと飛び上がり、ドラゴンの背中に手を当てた。


「死んで?」


――パン


 渇いた破裂音とともに、ドラゴンの体が傾いた。


 そして、


「え?」


 じわりと熱を感じて、俺は自身の体を見た。


 腹部からゆっくりと赤色が広がっていく。


「いやああああああ」


 どこからか悲鳴が聞こえた。


 『死』の一文字が脳裏に過る。


  俺に医学的知識はないが、感覚で分かる――これはまずいヤツだ、と。


「……ねえよ」

「ん?」

「知らねえんだよ……お前がここにいる理由も……計画もどうだっていい」


 俺はまさに虫の息となりながら、しかし視線は真っすぐ黒サンタから逸らさなかった。


「はいはい、カッコ良さげだけど……そんな瀕死で言われてもね、ぷぷ」

「はは、その通りかもな」


(だから命を引き換えにしてでも目的だけは)


「その意気だけは買うけどさ……気持ちだけで勝てるほど現実は甘くないよ、おじさん?」

「うるせえ、化け物」


――っ


 踏み出したのは同時だった。


 彼女の回し蹴りを剣で受けると――ガキン、と鉄を弾いたような甲高い音が鳴った。


「くっそ、剣はダメか?」

「はは、意外といい動きするじゃない?」


 黒サンタはまだまだ余裕に見えた。 以前、隠し見たスキル群を思い出すに、事実そうなのだろう。


 彼女は化け物だ。

 しかし人間であり、生き物であり、スキルという理を同じくする以上、無敵と言うことは絶対にないはずである。 故に弱点を見つけるまで、諦めず繰り返すという泥臭い方法でしか俺には勝ち目が見えてこない。


(だけど俺は一人じゃない)


 スキルが一つしかなくても、こっちには仲間がいるのだ。


 俺が引き付けている間に、阿吽の呼吸で夜子が隙を――


「ごめんさなさい」


――突いてくれると思っていた。


 しかし彼女は俯いて、小さく呟くだけでその場から微動だにしない。


「なんで」

「ごめんなさい私は……」

「あははっははははひゃあひゃははっは裏切られてやんのー!!!」


 別に心の底から信頼してたわけじゃない。

 けれどここ一番でそっぽを向かれるのはなかなかにこたえた。


「はい隙あり! どーん!」

「ごはっ」


 黒サンタの蹴りをもろに喰らって、俺は膝を付いた。


「はいはいはい、まだまだ!」


 しかし相手は攻撃の手を緩めてはくれなかった。 顔面を体を蹴りに蹴られて、視界が回る。 もう今自分がどんな態勢で、相手がどこにいて、上が下がどっちなのか何も分からず、されるがまま――最後は吹き飛ばされて背中に強い衝撃を受けた。


 もう意識がボヤけてしまっている。


 また遠くで悲鳴が聞こえた。


 俺は負けたことだけは理解できた。 もう立ち上がる気力がない。 立ち向かいたいのに、嫌というほど体に力の差を刻み付けられた。


(ごめんヒナーー


ーー俺、会いに行けそうにないや


ーーごめん&%.。。%)


「たった一つも守れないのかよ」


 悔しくて、情けなくて、悲しくて涙が溢れた。


 目蓋を閉じればヒナが見えた気がして、自身の執着に思わず笑ってしまった。

 しかし単に幻覚だったのだろう。

 今度は忘れかけた懐かしい少女の姿にも見えてきた。


 目を開くと、誰かがーーあの少女が悲しそうに俺を見ていた。 彼女の涙を止めようとしたけれど、急に苦しくなって俺は胸を強く抑えた。


 終わりが近い。

 頭が混乱している。

 彼女に何か言わなければならない気がしたーーーーああ、そうだ。


「また、嘘ついてごめんなぁ」


 その言葉を最後に俺の意識は途切れてしまった。



――――――


――――


――



 目が覚めると俺は真っ白な空間にいた。


 見覚えのある景色、そうここはスキル練習モードの疑似空間だ。


「ナナに感謝しないとな」


 意識が飛ぶ直前、胸を掴んだ時に咄嗟にナナからもらったペンダントのことを思い出して――俺はそれを砕いたのだ。


 あれにはナナがテイムしたダンジョンコアがはめ込まれていた。


 スキルが拡張されるかは完全に博打であったが、運命の女神は珍しく俺にほほ笑んだ。


「効果は……はは、無茶苦茶だ」


 拡張されたスキルの効果は『知りたい』と強く念じることで理解できる。

 今回の拡張は――疑似空間内における時間の停止――つまりスキルを解除するか、俺がここで致命傷を受けるまでは練習し続けることが可能となった。


「やってやるよ、一月でも、一年でも、百年でもな」


 腹の傷は持ち越しているので、未だに傷は塞がっていない。

 だから初めの練習相手は、


「練習、レッドウィスプ」


 日本で言えば鬼火に近い炎系のモンスターだ。 ただしその場に揺れているだけで意思はほとんどないため戦闘力は高くなく、練習相手にはならない。


 しかしだからこそ初めに相応しい。 本格的に練習する前にこの傷を塞がなければならないのだ。


――じゅ


 肉が焼ける音と臭いに俺は吐き気を催しながら、ウィスプを自分の腹に当てるという拷問を繰り返すのだった。








 読んでいただきありがとうございます!


 面白い、つまらないどちらでも構いませんので、小説ページ下部の☆より評価ポイントを付けてくださると大変嬉しいです。


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 22話の黒いサンタクロースのスキルを変更しました↓

強奪、火魔法、水魔法、闇魔法、剣術、精霊剣術………………体術、自己回復、影縫い、念話、変装、スキル譲渡、召喚術、空中移動、解体、調合、細工、デザイン、裁縫、魔眼…………………共感、予知、祈り、○分身


○部分が変更点となります。

よろしくお願いします!

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