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第50話:ダンジョン無双/待ち伏せ





 冒険者から謝礼という名の取り立てによって、生活の心配が軽減された俺は次から次へとダンジョンを攻略していく。


『おめでとうございます』

『ダンジョンクリアです』


「次!」


『おめでとうございまず』

『ダンジョンクリアです』


「次だ!」


『おめでとうございます』

『ダンジョンクリアです』


 スキルの拡張は毎回行われるものではなく、何度目かのクリアで俺のスキルはようやく拡張された。


 その拡張はこのスキル練習モードの持ち主であれば、誰もが切望するであろう効果であった。 ただしそれは諸刃の剣だ。


「経験値が溜まるトレーニングルームって感じか」


 今までは脳内でシミュレーションしているだけだった。 しかしスキルの拡張によって、モンスターを倒せば本来得るはずだった経験値や体の成長が行われるというものだ。


 俺がダンジョンに行かなくても、最悪家に引きこもってても強くなれる。

 

ただしその代わりに練習中の怪我や肉体的疲労も現実に反映されてしまう。


「もっと強くならないと」


 休んでいる暇はない。


 ダンジョンを攻略して、練習して、攻略して、練習して、攻略して、練習して、練習して、攻略して、練習して、攻略して、練習して、練習して、攻略して、練習して、攻略して、練習して、練習して、攻略して、練習して、攻略して、練習して、練習して、攻略して、練習して、攻略して、練習して、練習して、攻略して、練習して、攻略して、練習して、練習して、攻略して、練習して、攻略して、練習して、練習して、攻略して、練習して、攻略して、練習して、練習して、攻略して、練習して、攻略して、練習して、練習して、攻略して、練習して、攻略して、練習して、練習して、攻略して、練習して、攻略して、練習して、練習して、攻略して、練習して、攻略して、練習して、練習して、攻略して、練習して、攻略して、練習して、練習して、攻略して、練習して、攻略して、練習して、攻略して、練習してーーーー




ーーーー気づけば3ヶ月が過ぎていた。



***



「お嬢、なんでキュウ助を連れ戻さないん?」


 とある家のリビング、頻繁に入り浸っているナナは少女に尋ねた。


「連れ戻したいですけどね。 契約しましたし」


 彼女はため息を吐いて、グラスを傾けた。


「分からないんです。 彼の気持ちを考えると、戻ってくるまで待ってあげたくもある」

「……戻ってこないかもしれんで?」

「ふふ、その心配はありませんよ。 彼の動向は把握していますから」


 お嬢さまの妖しい微笑みにナナは「怖いわぁ」と呟いて、わざとらしく体を震わせてみせた。


「ほんなら一回、差し入れでも持って行ったるかな?」

「それも良いかもしれませんね」






 次の日、お嬢様から聖の居場所を聞いたナナはホテルのエントランスにいた。


 そしてチェックアウトを済ませたであろう男と、目を合わせて愉しげな笑みを浮かべる。


「……なんでここにいるんだよ」

「やあ、久しぶりやね? 逃げ出した悪い子を連れ戻しに――


――と、いうのは冗談や。 ちょっと心配で顔を見に来ただけや」


 表情を硬くした聖は、安堵したように息を吐いた。


「ちょっと付き合ってくれへん? お姉さんがごちそうしたるから」

「……分かったよ」


 不義理なことをしている自覚はあったのだろう、聖は素直に誘いに乗った。


 ナナは彼のことを特別心配しているわけではない。

 脱獄した時点で仲間という枠からは外れ、今の感覚としては元同級生といった感じだろうか。


「(ただどっかで野垂れ死なれても寝覚めが悪いからなぁ)」


 ナナはそう呟いて、野良犬みたいな目をした聖を連れてホテルを出るのだった。



***




 読んでいただきありがとうございます!


 面白い、つまらないどちらでも構いませんので、小説ページ下部の☆より評価ポイントを付けてくださると大変嬉しいです。


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[良い点] 権力者「はわわ…」
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