表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/58

第5話:嘘と約束





「健康診断かぁ……てんちょも年だね」

「うるせぇやい」


 晴間ヒナには高血圧で引っかかったと、ありそうな嘘を吐いた。

 事実を言えば彼女は心配するだろう。 協力してくれるだろう。 しかしダンジョン攻略なんて手伝わせて、彼女が怪我でもしたらと思うと絶対に言いたくなかった。


「じゃあ、これは没収だね!」

「俺のつまみ……」

「私が買って来たつまみね?」

「差し入れられたんだから、もう俺のだ! 今日だけ、今日だけだから!」

「……仕方ないな~」


 それから俺たちはしばらく話して解散する。


「俺はちょっと仕事してから帰るわ」

「ほどほどにしなよ? もう若くないんだから!」


 もしもギルドに抹殺されたら、


 もしもダンジョンに単身挑むことになったら、


 こんなじゃれ合いも最後かと思うと名残惜しくなる。


「……今日は会えて良かった」

「なにそれ? 月一くらいで合ってるじゃん」

「はは、確かに」


 ヒナは不思議そうに首を傾げる。 そして何か思いついたのか楽し気な笑みを浮かべて言った。


「そんなに嬉しいなら、今度……いや! 来週遊びに行こうよ」


 バイト時代からヒナは俺をよく誘ってくれていた。 しかしあの時は遊ぶ元気なんかなくて、いつも断っていたことを思い出す。


「来週かぁ」

「ほら、みんなも会いたがってたし。 ねね、たまにはいいでしょ?」

「そうだな、たまにはいいかもな」


 俺がそう言うと、彼女は一瞬言われたことが理解できなかったらしく固まった。


「まじで!!!!!!?」

「そんなに驚くか?」

「驚くでしょ! え、あ、やった! 絶対だよ! でも無理はしなくていいから!」

「分かった、分かった」


 飛び跳ねてはしゃぐ奴なんて俺は子供かヒナくらいしか知らない。


「絶対ね!」


 彼女はそう念を押して、帰って行った。


「まるで台風みたいだったな……」


 俺はタバコをふかしながら、ぼんやりと物思いに耽った。

 意味のない考え、過去の出来事が走馬灯のようにめぐる。


「行きてえなぁ」


 一人呟いた言葉は煙とともに空気に溶けた。


 諦めちゃない。 だけどちょっとだけ泣いた。






読んでいただきありがとうございます!


面白い、つまらないどちらでも構いませんので、小説ページ下部の☆ポイントを付けてくださると大変嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ