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第34話:資格停止と罪人





「いやいやいや、そんなこと出来るわけないじゃないですか! その悪ふざけは笑えませんよ……」

「まあ表には出ないけどね。 珍しい話ではないんですよ。 二年前からは特に」


 田中は冗談を言っている雰囲気ではなかった。


 信じられなかった。 いくら現実がファンタジーだからって人同士で殺し殺されるなんて想像もしていなかった――いやまだ半信半疑だ。


「……理由はなんですか。 彼女は殺されるような悪人には思えない」


 仮に本当だとしてもギルドという組織が暗殺を企む理由が知りたかった。

 それが正当だからと言って依頼を受ける理由にはならないが、もしも殺しをするのなら自分を納得させる理由が必要だろう。


「黒いサンタクロースの正体が一星夜子である疑いがあります」


 俺はあの不気味なシスターと、優しい夜子を思い浮かべて鼻で笑った。


「いやいやどう考えても別人でしょう」


 確かに背格好は似ていたが、声は同じではなかったように思う。


 ただ黒いサンタクロースの話をしたときに違和感を感じたことは確かだが。


「疑いと申しましたが、それなりに根拠のある事なのです」

「その根拠は――」

「ギルドとしても極秘資料になりますので、お見せすることはできません。 そうしますか? この場で決めていただきたい」


 判断材料はないが、俺の答えは初めから決まっているので構わなかった。


「お断りします」

「良いのですか?」

「はい」


 元から人殺しの依頼を受けるという選択肢はなかった。

 それは夜子が相手だからは関係なく、どんな極悪人でも断っていただろう。


「それは残念です」


 田中はため息を吐いて、手を差し出した。


「聖剣、あなたの冒険者としての資格をはく奪し、ギルドを追放します。 そして三日以内に警察署へ出頭が確認できない場合、強制的に連行します」


 俺は今を以って冒険者ギルドの、田中の加護が消える。


 不可抗力とはいえ未公開のダンジョンを攻略した罪と、それを隠匿した罪を償わなければならなくなった。


 しかし人を殺すくらいなら、罪を償った方がはるかにマシだ。 冒険者ギルドの都合のよさに理不尽は感じるが、組織と全面対決するほど恨んでもいない。


「短い間ですがお世話になりました」

「ええ、もう会うことはないでしょうが聖さんの新たな人生の成功を祈っております」


 俺はギルドを出た後、ヒナにしばらく訓練ができないことを伝えたその足で警察署へ出頭した。


「どうされましたか?」

「自首します。 私は未公開のダンジョンを許可なく攻略しました」

「……そうか、詳しく聞かせてくれ」


 息を呑んだ警官に促され、俺は健康診断を行ったあの日のことを話した。


「そうか、それはギルドや警察にまずは話を通すべきだったな」

「はい。 今思えば気が動転していたのだと思います」

「まあ冷静じゃいられないよな。 そんな訳の分からないこと……災難だったな、色々と」


 警官は想像に反して同情的だった。


 しかしだからといっておとがめなしとなるはずもなく、俺は手錠をかけられ、パトカーに乗せられて拘置所へと入れられるのであった。


「冒険者仕様ってやつか。 はは、まるで猛獣扱いだな」


 牢屋は鉄格子のされた簡素な部屋かと思っていたが、俺はまるでミイラのように鎖ではりつけにされた。


(これからどうなるのかな……)


 どんな罰が下るのか。

 もし実刑なんてことになったら、ヒナの訓練が止まって申し訳ない。

 夜子と黒いサンタクロースは本当に同一人物なのか。


 不安と疑問が思考を埋め尽くしたせいで、やることもないのに俺はその日、眠ることさえ出来なかった。







 読んでいただきありがとうございます!


 誤字報告、評価感謝です!

 本当にありがとうございます!


 面白い、つまらないどちらでも構いませんので、小説ページ下部の☆ポイントを付けてくださると参考になります。


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