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第20話:奪われたスキルと決意






 翌日、俺は面接に来た少女に既視感を覚えて混乱した。


「よろしくお願いします!」

「えっと……」


 目の前の少女はどう見ても、冒険者晴間ヒナだ。 冒険者としてバチバチに稼いでいる彼女が、副業にバイトーーありえない。


「晴間ヒナ! 元冒険者なので力仕事は任せて下さい!」


 双子か、ドッペルゲンガーか、そんな浅はかな想像は彼女によって否定された。


「ヒナここで何してるの?」

「面接だよ、てんちょ」

「いや、分かってるんだけど……なんで? というか元冒険者?」


 冒険者としてそれなりに上手くやっていると、ヒナからは聞いていた。 だから余計に理由が俺には分からなかった。


「あーはは、まあ色々ありまして! 黒いサンタクロースって知ってる?」

「ああ、まあ一応?」

「なんで疑問系なのよっ。 まあ知ってるなら分かるでしょ? スキル取られちゃった、ははっ」


 ヒナは明るく振る舞ってみせるが、どことなく空元気な感じだ。


 黒いサンタクロースについては昨日の依頼が終わってから、少しだけ自分でも調べた。


 しかし田中から渡された資料以上の情報はなかった。


「そっか。 まあまた一緒に働けて嬉しいよ」

「うん! ありがと……一から頑張りますのでよろしくお願いします!」





「じゃあヒナ厨房入って」

「いきなり?! 鬼すぎでしょ!!」


 不満げだったもののヒナは二年のブランクを感じさせない働きを見せた。


 本来、新人はホール業務――提供などの接客――を覚えてから、厨房を教わるのが通常の流れだ。 しかしヒナは現在、スキルがない。 冗談みたいな名称とはいえスキル持ちの俺でさえ理不尽な目に合うのだから、ヒナは言わずもがな、もっと酷いだろう。


「お前はもうずっと厨房な」

「なんで?! 私、接客好きなのに!」

「厨房に入れる奴少ないんだよ」


 ここは従業員の入れ替わりが激しいので、俺の言葉に嘘はない。 理由はなんでも良かった。 ヒナが嫌な目に合わなければ多少強引でも構わない。


「ふーん。 ま、いいけど」


 ヒナは首を傾げつつ仕方なさそうに息を吐いた。







 仕事終わり、俺は急いで調布ギルドへ向かった。


「お待たせしました」

「え?! どうして店員さんが?」


 今日も裏の依頼で俺は田中に呼び出されていた。


 そしてオーレ・ルゲイエの耳飾りの効果でいつもと同じように夜子が驚く。


「ああ、実は私兼業で冒険者をしていまして」


 そして都合の良いことに今回は一星夜子と二人きりの依頼であった。


「そうなんですね。 驚きました……今日は少し楽しみになってきました」


 一星はこないだの話を聞く限り、黒いサンタクロースと何か関わりがあるはずだ。


 黒いサンタクロースについて情報が欲しい。

 奪われたスキルを取り戻す方法を知りたい。



 そのためなら俺はーー



「お手柔らかにお願いします」


 いつも付けている耳飾りを外す。 これで俺は今日から夜子の記憶から消えなくなった。



ーー正体を明かしても構わない。








 

読んでいただきありがとうございます!


面白い、つまらないどちらでも構いませんので、小説ページ下部の☆ポイントを付けてくださると大変嬉しいです!


なお批判・批評は大歓迎です!

お待ちしております(ニッコリ

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