第10話:ステータス
水晶に手をかざすと、目の前にホログラムが現れる。
「これは……」
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レベル:35
体力:B/筋力:C/攻撃:B/防御:C/魔法:C/知力:A/運:D
スキル:練習モード(2)
称号:夢幻の攻略者
アイテムボックス(小):おにぎり、ポカリスエット、鑑定眼鏡、懐中電灯、簡易テント、魔石×300、…………オール・レゲイエの耳飾り
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まるでゲームのような文字の羅列は胡散臭い。 しかしアイテムボックスの中身が正しく表示されているので信じることが出来た。
「それがステータスです。 称号に攻略者の文字があれば、あなたがダンジョンを攻略した証明となります。 そしてこちらは協力者を参考に作成した、ステータスの目安表です」
田中に渡された資料にはモンスターを倒したことのない一般人や一般的な冒険者のステータスが記載されていた。
一般人の場合はレベルが一で、体力などの項目はほとんどGだ。
一方、冒険者は下は十級から上は一級までそれぞれ記載されていたが、そもそも俺は冒険者のことにあまり詳しくないので、想像がつかなかった。
とりあえず俺は中間くらいの数値らしい。
「Sなら人外、Aなら達人、Bならプロ級、そんなイメージで大体あってますから」
田中の言葉通りであれば、俺はダンジョンを攻略したにも関わらず、あまり強くないということが証明されてしまうんだが。
レベルは相当上がっているので、ダンジョンを攻略したのは確かなんだろう。 怒涛の展開続きで、あまり気にならなかったが頭はやたら冴えてる気がするし、体も軽い。
しかし冒険者たちが長い月日をかけてGから上げていくと考えれば、一日の成果としてはかなりものなのではないだろうか。
「ところでアイテムボックスの中に入れた覚えのない物が入ってるのと、スキルの横に表示されている(2)ってなんなんでしょう?」
「ああ、それは――」
田中曰く、アイテムボックスを持ってモンスターを倒すと自動的にドロップアイテムが収納される仕組みになっているらしい。
そしてスキルの数字については、ダンジョンを攻略したものはスキルの能力が拡張されることがあり、元は(1)と表示されるようだ。
「一度の攻略でそれだけの成長が確認できるのなら、夢幻のダンジョンのモンスターが特別弱かったということはありえないでしょう」
ステータスの内容を伝えると、田中は悩むことなく即答した。
おそらくたくさんのステータスを見たことがあるであろう彼が言うのなら、正しいのだろう。
「いや、じゃあ可笑しいじゃないですか? 俺みたいな一般人がダンジョンなんて攻略できるわけがないのに……」
「勘違いなのでは? あなたは自身が思っている以上に強かった、それだけの話です」
薄々は分かっている、しかし過去の記憶が『勘違いしてはならない』と俺を強く否定する。
「さて本題に入りましょう」
田中は口角だけ上がった不気味な笑みを浮かべるのだった。
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