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第1話:理不尽な世界





――ダンジョンとはRPGなどに登場する冒険の舞台であり、様々な神秘や宝が埋もれれている危険な領域。 その形は洞窟であったり、人工的な建築物であったり、時には森であったりさまざまだ。



――そこにはモンスターと呼ばれる獰猛な生物が徘徊している。



――モンスターと戦い宝を手に入れることを生業とする者たちを冒険者と呼ぶ。






 世の中は、二年前に出現したダンジョンによって大冒険者時代となっている。


「君さ、売り上げ下がってるけど? どうするの?」


 しかし俺――ひじりけん――は時代の波に取り残された結果、上司から理不尽な叱責を受けていた。


 俺が働くのは某有名チェーン喫茶店だ。

 基本的にメニューや内装を変えることは許されないので、どうしようもないというのが上司への答えになる。


 しかし上司もそんなことは理解している。 これは単なる八つ当たりだ。


「だんまりか……君みたいに大したスキルもない、学も、金も、コネも、才能もないゴミは本当に使えない。 トイレ掃除でもして、少しでも店に貢献しろよ」

「……はい、申し訳ございません」


 上司は嫌らしい笑みを浮かべながら、俺の腹を小突いた。


 上司の言い方は酷いが、全て事実である。 だから俺は言い返すこともできなかった。

 俺には何もないから、こんな職場でもしがみつかなければ生きていけないのだ。


「くっそ」


 俺に強力なスキルがあればと、思わずにはいられない。


 ダンジョンが出現したと同時に、人々はスキルという超能力に目覚めた。

 一人一つ与えられたスキルの内容に法則性はないと言われている。


 今や冒険者は強力なスキルを有していれば、億万長者にもなれる夢の職業としてもてはやされている。


 そして以前は金や容姿が人を図るステータスだった。 そこにスキルが加わる。


 強さは魅力の一つだ。 故に金も、容姿も、スキルもない俺みたいな人間はほとんど差別といって相違ない扱いを受ける羽目になっていた。


「はあ、もっとストレスなく、自由に、のんびり過ごしたい。 そんでバカにしてきた奴を見返したい」


 俺は欲望まみれだ。

 だがどれも叶わないことも心のどこかで理解している。


 俺の人生は引き延ばされた絶望の中にある。


 苛立ちをぶつけるように、ブラシで強く便器をこすった。


「っお前まで馬鹿にすんのかよ……」


 はねた汚水が顔に付着して、俺は思わず舌打ちした。


「あの~店長?」


 声に振り返ると、そこには引きつった表情をしたバイトの少女が立っていた。


「……聞いた?」

「えーと、いえ。 でもお疲れ様です」


 何もない俺に唯一残された、店長の威厳という誇りすら崩れ去ってしまった。






 読んでいただきありがとうございます!


 面白い、つまらないどちらでも構いませんので、小説ページ下部の☆ポイントを付けてくださると参考になります。


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