Windows11の怪 ~ウィルスバスターを添えて
2023年に入って早々にパソコンを買い替えました。
随分と旧くなってしまっていて、処理が遅く、機能スペックを確認すると、「Windows11への移行は無理」なんて感じのメッセージが表示されるので、もう限界だと思ったからです。
実を言うと、去年に買い替えるつもりでいたのですが、やりませんでした。理由は簡単です。面倒くさかったのです。
「やらなくちゃな~、でも面倒だなぁ」
で、時間が過ぎていまして、気づいたらいつの間にか年を越していました(笑っとけ)。
ただし、買い替えなかったのにはもう一つ理由があることはあります。買い替えるとなると、当然、OSはWindows11になります。しかし、どんなソフトや製品でもそうですが、新しくなったばかりの頃ってトラブルが多く発生するのが普通です。だから、オピニオンリーダーな方々にそういったトラブルを解決してもらってから、僕自身は楽な道を歩いて行こうって魂胆でいたんです。
が、その思惑は見事に外れました。まだ手を出すのが早すぎたのか、いつまで経っても同じだったのかは分かりませんが、早速、DVDドライブが正常に機能しなくなってしまったのです。
まさか、そんな機能がおかしくなるとは思っていなかったので、初めはハードの問題かと思い、あと少しでメーカーに苦情のメールを送り付けるところでしたが、ネットで調べてみると(便利な時代になりましたねぇ)Windows11のアップデートのタイミングでレジストリにゴミファイルが作成され、その所為でドライバが機能しなくなる事があると分かり、早々に解決しました。
「Studio One」って、音楽ソフトをインストールした後のタイミングで、しかも勝手にかなり大量のファイルをダウンロードしたので、それも少し疑いましたが、Windows11のアップデートでトラブル発生の事例があるのなら多分違うでしょう。
ただし、「Studio One」は、それとは別のトラブルを引き起こしてしまいました。“勝手に大量のファイルをダウンロード”と記述しましたが、それがOneDriveのドキュメント直下なんです。OneDriveにはファイルサイズの使用制限があるのですが、「Studio One」だけでほとんど占めてしまったのです。
その所為で「OneDriveが、ほとんどいっぱいです」と警告が出てくるように。
しばらくは気にしないで使っていたのですが、処理速度が遅くなったような気がしたので、結局は移しました。
さて。
それからしばらくは問題なく、さくさくとパソコンは使えていました。前のパソコンよりも処理が随分と速くなり、「買い替えて良かったなぁ」なんて僕は思っていたのです。
が、ある日、唐突に処理速度が尋常じゃないほどに遅くなってしまったのですよ。何が起こっているのか観る為に、タスクマネージャーを立ち上げたのですが、それすら遅い。
「え~? 買ったばかりなのに、勘弁してよ~」
なんて思って重そうな処理をタスクマネージャーで見てみると、なんとウィルスバスターがほとんどのメモリを占有しているじゃありませんか(ディスクも高い)。「は?」と僕の頭にクエスチョンマークが浮かびました。
「Windowsに元々入っているので、ウィルス対策ソフトを入れるのは無意味」と主張をしている人もいますが、僕の父親はウィルスバスターをいつの間にかに勝手にアンインストールしていて、その所為で変なマルウェアに感染してしまいました。ウィルスバスターを入れ直したら、症状がなくなった(ただし、削除まではしてくれなかった)ので、無意味ではなさそうです。
だから、以前のパソコンでも僕はウィルスバスターを入れていたのですが、その頃はこんなにメモリを食った事なんてありませんでした。
調べてみると、似たような症状に苦しんでいる人が他にもいるらしく、「ウィルスバスターをアンインストールして最新化すれば直る場合もある」みたいなQ&Aがヒットしました。買ったばかりなので、当然、ウィルスバスターは最新です。これは違うと僕は判断しました。
そして、それに関連してなのか何なのか、CPU使用率もかなり高くなりはじめ、見てみるとSystemがトップです。
「なにこれ? どういうこと?」
パソコンを再起動すると、動作はある程度は改善したのですが、タスクマネージャーで確認してみるとウィルスバスターのメモリ占有率は高いままです。CPU使用率は低かったのですが、数時間パソコンを使っていると高くなっていきます。やはり、Systemがトップです。処理速度が遅くなる主要因はどうもそのSystemのようで、SystemのCPU使用率が高くなるまでは、多少気になる程度でしかありません。
とにかく、このままでは原因が分かりません。ネットで調べてみると(本当に便利な時代になりましたねぇ)、Systemを更に詳しく調べられる「Process Explorer」というソフトがあると分かったので、早速ダウンロードして使ってみると、なんか「Memory Compression」なるものがかなり激しく稼働している模様。
なんじゃこりゃ?
と、思って調べてみると、どうもメモリを圧縮するプログラムみたいです。これが稼働すると、パフォーマンスが低下することもあるのだそうな。しかも、無効化できるらしいです。
「よっしゃ! これで解決!」
と、僕は喜んだのですが、そこで一呼吸置きました。
そもそも、ウィルスバスターのメモリ使用率が高過ぎるのがおかしいのです。だから、Memory Compressionはメモリを節約しようと、激しく稼働しているのでしょう。
なら、解決すべきなのは、ウィルスバスターの方なのでは?
そう考えた僕は、ふと気になってウィルスバスターが保護しているフォルダを調べてみたのです。すると、なんとその中にOneDriveのドキュメントフォルダがあるじゃありませんか。
それで僕はひらめきました。
“もしかしたら!”
僕はそれからウィルスバスターを一度アンインストールして入れ直しました。僕の考えが正しければ、これでこのトラブルは解決するはずなのです。
すると案の定、ウィルスバスターのメモリ使用率は一気に下がりました。
――何故、解決したのか?
僕の仮説はこうです。
Studio Oneが、ウィルスバスターが保護しているOneDriveのドキュメントフォルダに大量のファイルをダウンロードしてしまいましたが、それによって、ウィルスバスターは割り当てメモリを大幅に増やしてしまったのではないでしょうか?
それからフォルダを移動しましたが、一度割り当てたメモリは変わらないという仕様は実はそれほど珍しくもありません。ですから、ファイルサイズが小さくなってからも、同じメモリをウィルスバスターは使い続けてしまった。
それに僕はしばらく気が付かなかったわけですが、Memory Compressionが激しく稼働するまでは、処理速度はそこまで落ちません。ちょっと遅いくらいで、以前のパソコンに比べれば速くなっていますしね。そして、ウィルスバスターをインストールし直せば、恐らくはメモリ割り当てはリセットされるはずでしょう。それで問題は解決したのではないでしょうか?
もちろん、飽くまで仮説ですがね。
それからも一度だけ、メモリ使用率が増えた事があったのですが、ブラウザのウィルスバスターのアドオンを外してみたら(前のパソコンの時は入れてなかったのです)、それ以降は今のところは発生していません。
もし、似たような現象に悩んでいる方がいたら、ブラウザのウィルスバスターのアドオンを外し(ブラウザを起動させていなくても、メモリ使用量は増えましたが、複合要因という可能性もあります)、ウィルスバスターの保護しているフォルダのファイルサイズを減らしてから、インストールし直してみると良いかもしれません。