55 転生者のための世界
『あなたの娘たちの教育は進んでいますか?』
「だ、ダイアナ様、ごきげんよう…」
オレは慌ててカーテシーをした。片足を交差させ、少しかがみながら、スカートを全力でめくり上げた。
ここはムコサール領の領主屋敷であり、第二王妃がアポもなく出没するようなところではないと思っていたのだけど…。
あれ…、この部屋はなんだ?ダイアナはこの扉から出てきたぞ。あとで調べてみよう…。
『はしたないです。あなたはもう私と同じ背なのですから、それほどスカートをたくし上げる必要はありません。ギリギリが肝心なのです』
「申し訳ありません…」
ひい…。そうだった…。小さい頃は目上の人は長身だったから、パンツがよく見えるようにほぼ一八〇度真上にめくり上げるのが癖になってしまっている…。大人になったら、全部は見せないで、半分くらい見せて、残りはまたの機会に、みたいなのが礼儀らしい。カーテシーは奥が深い…。
しかも、オレは十五センチの自立しないハイヒールを履いて転ばないように必死に立っているというのに、ダイアナは普通の五センチのヒールだった…。なんだ、女神の娘の嗜みじゃないじゃんか…。オレのほうが背が高く見えるじゃないか。
『まあそれはいいとして、会議室に入りますよ』
「はい…」
オレは近くの会議室をスマホアプリの会議室予約システムで予約してから、ダイアナと会議室に入った。自分の屋敷だけど、会議室などは貴族の公共スペースみたいなものであり、アプリで予約するのが習わしだ。
『早く転生者を実用化させなさい』
「えっ…」
『あなたの元には、有用な知識を持った転生者が三十二人もいるのです。それを生かすすべを考えなさい』
「はっ、はい…」
えっと、いろいろ言いたいことはあるのだけど、まず今回オレが産んだ転生者は二十八人だったはずだけど…。
『ひとまず、プロセーラとコルトラに何かをやらせなさい。フラーラの料理教室と、ティノイカの美術の授業以来、新しいカリキュラムがないのです』
「はい…」
えっと…、話が結びつかない…。転生者の話をしていたはずなのに、なんでプロセーラ?フラーラの料理教室?
『まだ気が付いていなかったのですか?今挙げた四人は転生者ですよ』
「えっ…」
フラーラとティノイカとプロセーラとコルトラは、最初セット販売で登場したけど、転生者だったのか…。
たしかにフラーラは面倒見が良くて料理教室を開いていたりする。
ティノイカはお店でリボンやドレスのデザインをやっていたり、美術の教師をしていたりする。
プロセーラは…なんだっけ…。タチの悪いいたずらっ子?
コルトラは年相応…とはいいがたいけど、普通のおとなしい子供だったような…。
「すみません、フラーラは調理師とか保育士だったですか?ティノイカはデザイナーとか美術教師だったのですか?」
『フラーラは専業主婦。ティノイカは美大の教授ですよ』
「なるほど…。でも専業主婦にしては専門的な授業でした…」
『だから前世の知識や経験にこの世界の魔法を組み合わせると、思わぬ方向に行くのです』
「それなら…、プロセーラは?」
『IT企業のOL』
「うーん…」
プログラムとかエージェント・アンネリーゼでもできるんだよな。プロセーラっていらない子?
「コルトラは?」
『四歳児』
「はぁ?」
うーんダメだこりゃ…。いやいや、
「前世で子供のうちに亡くなってしまった者に期待するのは酷ではありませんか?」
『私はあなたに期待していますよ?あなただって活かせる知識はあるでしょう』
「たしかに…」
『小学生だってやれることはあるでしょう』
「分かりました。役割を考えてみます」
『エージェントがもう少し詳しいデータを集めています。あなた閲覧権限を与えます』
「ありがとうございます」
『ちなみに、フラーラたち銀髪三姉妹はあなたが転生者であることに気がついていましたよ』
「えっ…」
『だから、あなたも転生者であることを前提に、気軽に相談するとよいです』
「でも…」
『三姉妹はあなたを最初にバラしたとき、余った部品を見ています』
「ちょっ…」
オレは、その「余った部品」…つまり、すでになき最後の砦を守るように、内股になって手で覆い隠してしまった…。机の下だから誰にも見られていなそうだけど…。
『むふふ』
「えっ…」
机の下から幼い声が聞こえた…。思わず机の下を覗いたが、誰もいなかった…。
まあいいや…。誰も見ていなかったとしても、エージェント・アンネリーゼの不思議カメラで、なぜかいつもベストアングルでベストタイミングなお宝写真とか盗撮されているんだ。
「あの…、なぜ転生者を使った開発を私に任せるのですか?」
『あなたには目標があるのでしょう』
「私の目標…」
オレの目標…。フラベーナちゃんの隣に立つのに相応しくなる。侯爵になるために功績を挙げる。
『今のうちかもしれませんよ。社長や市長をあなたの下で働かせて、あなたの功績にできるのは』
「なるほど…」
ダイアナは、オレが早く侯爵になってフラベーナちゃんと結婚できるように、チャンスをくれているというのか…。
たしかにオレの知識でできる改革はそろそろ限界だったんだ。
『もう一つアドバイスしましょう。来月頭くらいまでに、デルスピーナの代の子たちに胎ませなさい』
「はっ?」
『手駒を増やせます』
「手駒というと…、転生者ですか?」
『なぜか九歳と四ヶ月くらいの母親が妊むと、転生者が生まれるのです』
「つまり私は九歳と四ヶ月だったから転生者を産んだと」
『そうです。正確には、受精して胎児になってから十年と二ヶ月のようですが』
「私はそのような目的のために女性を陥れるようなマネはできません」
『ふふっ。いいですよ。無理にとは言いません』
助かった…。フラベーナちゃんたちだって転生者が欲しくてオレに妊ませたワケじゃないはずだ。
ダイアナはパワハラ上司なので、こういう無茶を言いつけるんだ…。
『私が胎ませますから』
「ちょっと!」
オレは本気で怒り、立ち上がって机を叩いてしまった。
『冗談ですよ』
「そ、それならいいです…」
このファンタジー世界ではどこまでが冗談なのか分からない。二十九人の子供を産むなんて冗談のようなマネをさせられたばかりなのだから…。
『あ、そうそう。インテリジェントデバイスと魔道腹巻きを返してもらいます。悪露を全部排出できて、体調も戻ったようだし、何より、ふらふらしていないと庇護欲をそそらないので、もう助けてあげたくなくなってしまうかもしれません』
「あっ、はい」
この腕輪とかを付けていると、オレの身体能力が十倍くらいに上がって、最強になれたみたいで良かったのだけど…。
せっかく不安定なハイヒールでも安定して歩けていたのに、えっと、ふらふらしていないと庇護欲をそそらない?それって、何もないところで転んじゃうようなドジキャラ属性をオレに求めているってこと?ドジでできない子じゃないと助けてくれないってこと?
フラベーナちゃんたちもそうなのかな…。
あと、腹巻きもおなかの分の重さが軽減されるみたいなんだよな。まあ、中に赤ちゃんでも入っていなければ、この細いウェストが占める体重なんてたいしたことないけど。ああ、軽減するなら、胸の大きさと重さを軽減するものが欲しいな…。
というわけで、転生者である娘たちの役割を、執務室にこもって考えることになった。
そうそう、オレ専用の執務室を作ったんだよ。オレの屋敷なんだから、オレの好きにできる仕事部屋がないのはおかしいと思っていたんだよ。みんなを部下として使っているからといって、上司はすべてのことを部下に話す必要はないよな。
みんなのプロフィール写真と履歴書を見ながら考える。
赤ちゃんだから声や見た目がが可愛いのは当たり前なんだけど、今回生まれた多くの赤ちゃんの前世は大人なので、正直中の人まで可愛いと思える子はあまりいない…。前世の年齢まではリストに載っていないけど、社長とか教授って六、七十歳だろ?
アンネリーゼは各領地のご夫人を永遠の十七歳に改造して愛でたり、可愛い女の子になった元男のオレに恋したりできるようだけど、オレはいくら可愛いからって中身がおばあさんとか男である娘を可愛がれるか自身ないぞ。まあ、今回男はいないらしいが。
ちなみに、娘たちは全員、おなかの中でひととおりの教育を受けてきたらしい。魔道腹巻きにはインテリジェントデバイスと同じく、魔力の立体映像プロジェクタが付いていて、おなかの赤ちゃんに映像や音声で教育できるらしい…。
まず、優先的に覚えさせられることが、魔力と精霊の鍛え方。魔力は胎児のときにいかに上げるかが鍵になる。魔力の成長量は、卵子が受精した瞬間に転生者の意識が芽生えてからの時間に反比例する。それって、時間がゼロなら無限の魔力が得られるのか?ファンタジー世界だからそういうバグ技みたいのもありそうだよな…。そうはならないにしても、一秒なら一日の八万倍の魔力になるのか?
オレは転生者であるにもかかわらず、おなかの中にいる間に魔力を成長させる方法を知らなかった。一歳になってから頑張って挽回しようとしているけど、胎児の一日目から鍛えているこの子たちとは七〇〇倍以上の開きがあるのだ。
主に転生者が胎児の頃から魔力を鍛えることを「胎児の魂百まで」というらしい。
生まれてから魔力を鍛えることを「乳児の魂百まで」というらしいけど、普通の乳児は言うことを聞かないので、実質ちゃんと鍛えられるようになるのは二、三歳からだ。とくに偶然一歳の早い時期から魔力を鍛えるようになった子のことを「優秀な子」といったりして、よくヒーラーガールになっているらしい。
それを考えると、一歳から魔力を鍛え始めたオレは「乳児の魂百まで」の中でも比較的有利なのだけど、胎児の魂百までの子たちとの差は歴然である。
オレはそこらのヒーラーガールよりはすべての魔力が高いようだけど、今回転生してきた子たちに比べると劣等感は否めない。この子たちが台頭してきたら、オレの出番はなくなってしまう。
じゃあ、転生者でもないフラベーナちゃんたちはなぜすごいのか?
まず、フラベーナちゃんはちょっと特別で、胎児のときに強力な薄緑の精霊を付けられたらしい。これにより、急速に脳が発達したおかげで、おなかの中で早い頃から魔力トレーニングや勉強をしてきたというわけだ。
だけど、脳が発達して物心つくまでは大変危険らしい。胎児が身体強化でおなかを突き破ってしまう可能性があるらしい。だから、胎児に薄緑の精霊を付けられるのは基本的に元から分別のある転生者だけなのだ。
だけど、なぜ薄緑の精霊を転生者ではないフラベーナちゃんに付けたかというと、親がとても頑丈でおなかを突き破られる心配のない女神アンネリーゼだったからだ。
これが、アンネリーゼから生まれたフラベーナちゃんとマイア王から生まれたグリシーラちゃんの差なのである。
一方でグリシーラちゃんとかデルスピーナちゃんは、生まれてから薄緑の精霊を付けられて急速に脳が発達したので、一歳ごろに物心がつき、魔力トレーニングや勉強を始めたらしい。乳児の魂百まで級の優秀者だ。だから、デルスピーナちゃんたち本人の魔力はオレの魔力に近い。
だけど、薄緑の精霊というのはチート性能を持っているので、光魔法と土魔法についてはデルスピーナちゃんたちは最強なのだ。
オレにも薄緑の精霊を付けてくれればよかったのにと思うけど、薄緑の精霊を授けてもらえるのは、基本的に女神であるアンネリーゼの子孫だけだ。それに、精霊は主人が死ぬまで離れることができないので、オレは今付いている精霊を大事に育てるしかないのである。
話が逸れたが、今回生まれた転生者にはみんな薄緑の精霊が付いていて、それ以外のいくつかの精霊も胎児の間に急速成長させており、チート転生者ばっかりで萎える。
オレは今のうちにこの子たちを使ってのし上がり、フラベーナちゃんの伴侶にふさわしい地位を手に入れなきゃいけないのだ。そして、幸いにもダイアナやアンネリーゼは、チート転性者になれなかったオレに挽回のチャンスをくれている。でも急がないとオレはいらない子なってしまうのだ。
「エージェント、娘たちの前世をもう少し詳しく教えてほしい」
『はい。これをどうぞ』
エージェントがスマホに映したのは、オレが顔を赤くして、内股になって最後の砦があったところを手で覆っている写真。
はぁ…。これってさっきダイアナと会議しているときの…。たしかに、これは萌えるポーズだと思う。自分自身じゃなければ。
そもそも、机の下から撮影したら下半身しか写らないし、机の上から撮影したら上半身しか写らないと思うのだけど、この写真は全身写っている。
「無駄に高度なコラを作ってないで、早く教えてくれ!」
『はいはい』
もう、エージェントはオレの味方なのか、オレを陥れようとしているのか、ときどき分からなくなる。
『ではまず、アンフローネから……』
エージェントは話しながら、執務室のディスプレイに顔写真付きプロフィールを表示した。生まれたばかりの赤ちゃんの履歴書…。
アンフローネは、フラベーナちゃんの娘だ。フラベーナちゃんと同じ黄金の髪。出会ったばかりのころのフラベーナちゃんを思い出す…。
アンフローネは中の人の性格もとても可愛いと思ったら、前世は声優だった。
前世でも声優というのは何歳になっても永遠の幼女とか十七歳でいられる職業であり、声を聞けばアニメキャラを思い浮かべられるので、実際の年齢は気にならない。
市長とか教授とかおばさんが多い中で、元十七歳のアンフローネは当たりだ!
いや、みんなオレの娘なのかもしれないけど、やっぱりフラベーナちゃんとの子は特別だろ?それが当たりってのは嬉しい。
アンフローネは見た目は当然赤ちゃんで、声も可愛くて、性格も快活な女の子って感じで、第一印象はバッチリだ。中の人の素性を知った今でも好感は変わらない。
アンフローネはオレの男言葉を聞いて「オレっ娘設定」と言った。声優だからそういう発想が出るのか。そう思わせておいたほうがいいな。オレが男だったなんて知らないほうが互いに幸せだ。
そういえばオレは逆に、ゾーラがオレと言ったり、リザベルがボクと言っているのを、自分と同じ元男の転生者とか勘ぐったことがあるけど、あれは親から受け継いだネイティブのオレっ娘とボクっ娘らしい。
ここはファンタジー世界なので、ネイティブのオレっ娘とかボクっ娘がいるようだ。
ちなみに、オレ、ボク、私、わたくし、あたしっていうのは前世の母国語と同じ意味のようだ。
声優をやってもらうなら、アニメを作らないとだな。それとも、実写ドラマの演技もいけるだろうか。
エージェントによると、アンフローネは歌も歌えるらしい。イベントで舞台に立ったこともあるらしく、そういう訓練も受けているそうだ。
これは実写や歌手もいけるぞ。
『次はテクスメーナです。テクスメーナは……』
テクスメーナはアンネリーゼの娘だ。アンネリーゼの娘であるフラベーナちゃんの娘であるアンフローネと、アンネリーゼの娘であるテクスメーナが姉妹だなんて、また家系図がカオスになるのはさておき。
この子はちょっとあざとい感じはあったけど、可愛いと思う。ほらやっぱり前世はアイドル歌手だ。
前世では、地域を表すアルファベット三文字と四十いくつかの人数の名前のアイドルグループに所属していたらしい。
この世界の転生者は、固有名詞を覚えていないので、それ以上の表現はできない。
この世界でもヒーラーガールズが各領地に支部を作ってアイドル活動してるけど、いまいち盛り上がっていない。ヒーラーガールズというのはその名の通り癒すことがメインの活動なので、治療院が忙しすぎてアイドル活動をろくにできていないのが原因だ。
可愛い女の子の歌と踊りを見て心を癒してもらうという意味も込められているのだけど、治療院とアイドルを分けないとダメだな。
あと、優秀な子じゃないとアイドル養成科に入れないというのも足枷になっているのだけど、成績ポイントで可愛さを買うシステムを導入してから、名実ともに「優秀イコール可愛い」になったので、みんな優秀になってアイドルなってもらうしかない。
テクスメーナが前世で何歳か知らないけど、せっかく可愛い女神の娘に生まれ変わったんだから、アイドル人生を謳歌してくれればいい。
アンフローネとユニットを組むのも良いな。腹違いではない異母姉妹にして叔母姪関係のアイドルユニット。カオス。
ちなみにドラマ経験はないらしい。
『次のクラリチーナは…』
クラリス・ヒストリア第一王女の娘。クラリスは作法や言葉遣いに厳しいのに、クラリチーナはそれについて行けそうになかった。可哀想に。
クラリチーナの前世はシンガーソングライターだ。
エージェントやつ、似通った系統順で紹介してくれているのか。それとも、アニメ文化や芸能界を普及させたいのか。
クラリチーナは作詞作曲して歌えるんだな。
ロイドステラの国家といえば「振り向いて」だ。そして、ヒストリアの国家は「私の心を奪ったあなた」らしい。どちらも女の子の恋物語の歌だけど、それが国家ってどうなんだ。
んで、クラリチーナには、新曲を作ってもらって、アンフローネとテクスメーナと三人で歌ってもらえばいいだろうか。
でも、クラリチーナってクラリスの娘だし、親権ってどうなるのかな。クラリスがヒストリア王になったらクラリチーナは第一王女だから、王位継承者としてヒストリアに帰らなきゃいけないのでは。
『ここでマレルミナ紹介します』
オレが考え込んでいたら、エージェント・アンネリーゼがいきなり次の紹介を始めた。
マレルミナはフェニラ・ヒストリア第二王女の娘。前世は市長か。なるほど。
「マレルミナがヒストリア王位を継げばいいと言いたいんだな?」
『はい』
総理大臣も目指していた野心家。これほど王にふさわしい子はいないな。
よし、じゃあ、ヒストリアの政治のことはマレルミナに任せるとして、まずは、
『次は芸能関係の職業の者を列挙します』
オレの心を読んだかのようにエージェントは話しはじめ、ディスプレイに顔写真付きリストを表示した。
バファリナ。ファルナ・エッテンザム公爵令嬢の娘。音大生。
ディレーナ。レジーナ・フェナージ侯爵令嬢娘。ドラマ監督。
リジーナ。グリシーラちゃんの娘。記者兼カメラマン。
クロベーナ。フルプレドーナの娘。化粧品店店員。フルプレドーナってジフラーナの子孫か…。
あとは、少し芸能から離れるけど、
スノウ。プラチナの娘。アニメ専門学校生。
ダイプローラ。プロセーラの娘。漫画家。
コルティナ。コルトラの娘。ゲーム会社社員。
なるほど。三次元で攻めるなら前半のスタッフで、二次元で攻めるなら後半のスタッフか。
というか、出演者がアンフローネとテクスメーナとクラリチーナだけってムリがあるよね。スタッフも少なすぎるよね。
というか転生者だけで全部完結させる必要はないよね。転生者にやってもらうべきなのは技術指導だ。
そんなこんなで、さんざん考えたのに、転生者にはまず学校の教師になってもらうことにした。まずは王都の学校だけだけど、オンライン授業で地方からも参加できる。
転生者は胎児の間にそれなりに勉強してきているとはいえ、まだまだこの世界のことや魔法知識が足りない。
学校の教師をしながら授業を受けてもらうことにした。
そもそも、転生者の中には小学生とか中学生もいるのだ。彼らには一般教養の勉強も必要だ。オレだって高校二年までしかやってなったから高校三年の授業を受けたし、この世界の言語や地理も学んだもんな。
そういえば元四歳児のコルトラはどうなのだろう。四歳っていうと保育園か幼稚園だろうけど、前世のひらがなくらいは知っているだろうか。まあ、この世界では前世の文字は役に立たない。この世界に転生して七年の間に前世のことを忘れていることだろう。
まあ、転生者の授業を受けた者たちが事業を興すまでに時間がかかる。
だから、転生者のうち希望者には自分の前世の仕事を始めてよいことにした。学校の授業の実習にするのもいい。
そういうわけで立ち上げた事業は芸能関係やアニメ関係がメインだ。
音楽事業の参加者は、声優のアンフローネ、カメラマンのリジーナ、シンガーソングライターのクラリチーナ、音大生のバファリナ、アイドル歌手のテクスメーナ、化粧品店店員のクロベーナ。
音楽はドラマとアニメに比べて比較的早く立ち上がりそうだ。もちろん、音楽はドラマとアニメ向けに使うことも考えている。
そもそも、音楽単体で売ることはあまり考えておらず、ミュージックビデオとして売り出そうとしているから、ドラマ関係とアニメ関係のスタッフにもお世話になる。
ドラマ・映画製作事業の参加者は、声優のアンフローネ、カメラマンのリジーナ、シンガーソングライターのクラリチーナ、音大生のバファリナ、ドラマ監督のディレーナ、アイドル歌手のテクスメーナ、化粧品店店員のクロベーナ、文系大学生のスマトリーナ。
この世界にも化粧品はあるけど、アンネリーゼとかは素で美しすぎるので、化粧するとこの世の者とも思えないほど、直視するのもはばかられるほど美しくなってしまうので、ほんとうにナチュラルメイク程度しか使っていないらしい。フラベーナちゃんだって大人なのに化粧しているところを見たことない。クロベーナは化粧品を使いこなせるだろうか。
スマトリーナは台本を書きたいらしい。前世で小説を書いていたとか。
バファリナはクラリチーナと一緒に音楽を担当してくれるだろうか。
アニメ・ゲーム事業の参加者は、声優のアンフローネ、アニメ専門学校生のスノウ、ゲーム会社社員のコルティナ、漫画家のタイプローラ、シンガーソングライターのクラリチーナ、音大生のバファリナ、アイドル歌手のテクスメーナ。
美大教授のティノイカも、ここに加わるらしい。アニメを作ってみたいらしい。
ゲーム事業には、元中学生のルードミアと元小学生のジフルプレドーナもプレイヤーとしての経験を生かして参加している。
せっかく前世の子供がここに集まっているので、コルトラもここに入れておいた。前世が四歳で今六歳のコルトラがどういう精神年齢なのか分からないけど、ルードミアとジフルプレドーナと仲良くしてほしいな。
どこの事業にもアンフローネがいて期待膨らむな。何しろフラベーナちゃんの娘だもんな。
音楽やドラマ、アニメのキャストにはヒーラーガールズが適任だ。だけど、ヒーラーガールズは治療院で忙しい。ただ、数年前から教育改革を進めてきて、ヒーラーガールズ予備軍も増えてきたので、予備軍をヒーラーガールズへ早期投入する。これにより、治療院とアイドル活動を両立できるようにするのだ。
ほんとうはアイドルとヒーラーを切り離したいのだけど、「優秀イコール可愛い」なのでそこはしかたがない。
それから、元IT企業社長のクロミカは、芸能関係やアニメ関係で作られたコンテンツと運送業を絡めたサービスを計画しているらしい。
IT企業OLのプロセーラを、一応ここにエントリーさせておいた。役に立つのか様子見…。
ドラマやアニメなどのコンテンツが充実してきたら、気になるのは表示端末だ。この執務室や会議室には大きなディスプレイがあるが、王都にはディスプレイ、というかテレビは普及していない。なぜならコンテンツがないからだ。王都民が持っている表示端末はスマホとタブレットだけだ。
コンテンツは一応あるにはあるのだが、アンネリーゼたちのミュージックビデオが数個あるだけなのだ。それだけのためにテレビを買う人なんて…いたらしい…。メタゾールの領民だ。
メタゾールはアンネリーゼが二歳のころから開発しており、メタゾール領民は他の領地の領民と比べものにならないほど裕福だ。そして、アンネリーゼたちがアイドル活動を始めた地でもあるため、領民のほとんどがテレビを持っている。だけど、コンテンツがろくに増えずに埃を被っているらしい。
そこで、元家電店店員のリートリアと工業系大学生のユーメトーナが主体となって、テレビの販売戦略を計画している。IT社長のクロミカのサービスとも関係が深い。
あとは、あまり連携できそうな職業がない。
小学校教師のフロラゾーナは、幼児や小児の基本教育の教師をすることになった。基本的にはスマホで全部できるのだが、体験型の授業をすることで、子供に興味を持ってもらえるような内容を考えている。
化学系大学教授のモンテルナは、魔法と化学の融合を研究するらしい。
環境省大臣のゾルミーナは、モンテルナと一緒に、二酸化炭素や有害物質を出さないように魔法や魔道具の開発を進めるそうだ。
ちなみに、すでに普及しているスマホは二酸化炭素排出量や温暖化ゼロらしい。っていうか、スマホは誰が作ったんだ?
喫茶店店主のロラメーナは、フラーラと一緒にレストランのフランチャイズを計画しているとか。
バレーボール選手のエルトリアは、バレーボールだけでなく球技やスポーツ全般を普及させたいようだ。学校の授業に取り入れる。
学校の運動系の授業といったら、ランニングとか柔軟体操、筋トレのような基本的なものと、武器の扱いや戦闘訓練くらいしかなかった。娯楽としてのスポーツ文化が初めて取り入れられることになる。
刑事のホワイティアと、前世非公開のエルドラと、消防士のトリアナラと、記者兼カメラマンのリジーナは、国内犯罪の取り締まりや安全について取り組むらしい。
エルドラの非公開ってなんだろう…。刑事と組むくらいだから、秘密組織のスパイとか…。
リジーナはカメラマンとして芸能関係にもエントリーしているが、ドラマの撮影にスキルが活かせるか微妙らしい。だから、情報収集スキルを生かすために、こっちにもエントリーすることにした。
学校では兵役の一環として、武器の扱いや魔法による戦闘訓練を行っている。いざとなったら国民皆兵なのだ。
でもそういう戦力とは別に、事件の捜査とか、そもそも事件が起こらないようにするための保安体勢とかに力を入れるのがこのチームだ。
市長のマレルミナは本気でヒストリアの王を目指すらしい。
また、自動車会社の社長秘書だったデルトピーカは、組織トップの補佐をしてきただけあって、王の補佐をしたいらしい。
この二人は、まずマイア王とセレスタミナ王に国の現状を教えてもらう。それからマレルミナが国の運営方法を教え、デルトピーカが組織運営を教えるらしい。
これで全員割り振ったかな…。しまった!キャバ嬢のネリゾナを割り振っていない…。
新生児に色気を求めてもしょうがない。そもそも、この世界にキャバクラのような店はあるのだろうか。それに、前世のキャバクラはこの世界のキャバクラより優れていて、前世の知識を活かせるのだろうか。
キャバ嬢というは自分を可愛く見せることに長けているのだろうか。オレも前世でそういうお店に入った記憶はないからわからない。もしそうなら、芸能関係に入れておくか…。
少なくとも新生児はキャバクラに勤めてはいけないと思う…。
仕事を終えて、みんなで夕食をいただき、みんなでお風呂に入ったあと寝ようかと思ったら、デルスピーナちゃんに部屋の外に連れ出された。
そして、壁ドンされた。壁に手形が付くほどのドンをされた…。オレは自分の右側の壁のへこみを見てゴクリと喉を鳴らした。
「システィナ…、こ、今度は私によこしなさい」
「えっ…」
デルスピーナちゃんは頬を赤らめながらも、王女の威厳でオレに言いつけた。なんかツンデレっぽい…。
でも何をよこせっていうんだ。
「私もいただくわよ」
「えっと…、何を…」
今度はパリナだ。パリナはオレの左側に壁ドンした。オレは左側の壁のへこみを見て、またもやゴクリと喉を鳴らした。
「私も欲しい」
プレナと、
「わたくしにも必要です」
ペルセラと、
「私ももらっておくわ」
「オレにも…くれ…」
「要求する」
「ボクもー!」
「むふふ」
イスマイラと、ゾーラと、エレナと、リザベルと、ナーラと、
「せんえつながら…」
「すごーいのちょーだ~い」
プラチナとアルゾナが…、
みんな次々に、ちょっと頬を赤らめて、オレの周りの壁をへこませて、オレに何を要求しているのだ…。
「いいから来なさい」
「はい…」
デルスピーナちゃんが壁ドンから解放してくれたけど、オレの手を掴んで別の部屋に連れていった。
デルスピーナちゃんは九歳だけど身長一六〇センチある立派な大人の女性だ。それに対してオレは華奢なロリ巨乳美少女なので一四〇センチしかない。まあ、身長が逆転する前から、みんなの力にはまったくかなわないが。
ん、九歳?ここにいるの十一人はみんな九歳だ。九歳といえば…、ダイアナが言っていた九歳と四ヶ月…。まさか…、ダイアナがたきつけたのか…。
「さあ…、私にちょうだい…」
デルスピーナちゃんはベッドに寝そべり、オレを待っている…。
「じれったいわ!もう、かってにいただくわよ!」
「うわぁ」
デルスピーナちゃんは俺の手を掴み、
「いたっ…」
腕に何かチクッとした…。
「私もかってにもらうわね」
「わたしもー」
「わたくしもそうさせていただきます」
「いたた…」
引っ張りだこになって、もみくちゃにされ、そのあといつもどおり意識を失った。
気が付くと、いつもの大部屋のベッドの真ん中で仰向けだった。閉まっているカーテンからは朝日が漏れている。
「あ、起きた。ねえ、昨日みんなでどこいっていたの?」
「えっ…」
みんなに引っ張られて…、ああ…かってにオレの皮膚に魔法をかけて、何やら持っていかれたんだ…。
オレは自分の意思と無関係に二十九人の子に胎まされただけど、胎ませる方も自分の意思とは無関係か…。女神の娘たちは身勝手だな…。
自分で身ごもったんだから、あとで責任取ってとか言わないでくれると助かる…。王女に胎ませたとか死刑もんだろう…。
「ねえ、顔が青いよ」
「だ、大丈夫」
今回はオレが胎まされたんじゃないよね?それなら、ちょっと腕が痛かっただけで、体調に変化はないはず…。
また、去年と同じ呪いのような状態にならないことを祈ろう…。
オレが自分の意思でそれをあげる相手は、もちろん目の前にいるフラベーナちゃんだ。フラベーナちゃんはまだ八歳だけど、やはり転生者が欲しいのだろうか…。アンフローネみたいに可愛い中の人が転生してきてくれればいいけど、外れだったら怖いので転生者の生まれる来年にはあげたくないんだけどなぁ…。
生まれてくる子に外れだなんて酷い言いようと思うだろ。でもプロセーラみたいな娘はいらない…。
その日の夜…。
「システィナ、酷い!私にいちばんにちょうだいよ!」
「お、オレがほんとうにあげたいのはフラベーナちゃんだけだよ!」
「だって、お姉様たちのおなかに新たな薄緑の精霊が…」
「あれはみんながかってに奪っていったんだ」
「そう…。じゃあ、システィナの手で私にちょうだい…」
「わかった…」
八歳で妊娠とか、オレやみんなよりも一年早いけど、フラベーナちゃんはデルスピーナちゃんたちより強いし大人だし、オレみたいに二十九人宿すわけじゃないから、大丈夫だよね…。
オレたちは客室を予約した…。予約システムに部屋の使用者の名前が出るからバレバレなんだけど…。だけど、登録した人じゃないと魔紋認証で入れないようにできるから、誰にも邪魔されないようにするには役に立つ。
あれ、でも、デルスピーナちゃんたちは壁ドンで壁を壊すのはたやすいだろうし、その気になれば薄緑の精霊で建物が一瞬で土に還るんじゃないか?
昨日デルスピーナの名前で部屋を予約した履歴が残っている…。予約システムと無関係な部屋を作った方がいいかな…。
「一緒に入ろっ」
「うん」
客室にはそれぞれお風呂が付いている。
お風呂には毎日一緒に入っているけど、成長して大人になったフラベーナちゃんと二人きりって初めてだ…。オレより小さなフラベーナちゃんとムコサールの屋敷で二人暮らししていたときとは大違いだ。
「脱がしてあげる」
「うん…」
フラベーナちゃんはいつものように土魔法でオレのドレスを分解して生地に戻した。
そして、いつものようにオレの後ろに回りブラジャーのホックをゆっくり外して、ゆっくりとパンツを脱がしてくれた。
「今度はオレがフラベーナちゃんを脱がすね」
「ありがと…」
フラベーナちゃんは目をそらして頬を赤らめた。フラベーナちゃんの横顔…、とても美しい…。
フラベーナちゃんは今でもかなり可愛いけど、どちらかというと美しいといえるようになってきた。フラベーナちゃんはもう身長が一六五センチあるし、来年にはアンネリーゼと並びそうだ。長身美人なのだ。
それに対して、オレは永遠の少女なので、ちょっと童顔で可愛いままだ。女神たちが好きでこの姿にしたんだ。これがこの世界のベストなのだろう。
永遠の少女に限らず、この世界の永遠の十七歳といっている種族は前世の十七歳くらいの成長度合いに相当し、この世界においては十五歳くらいに見えるのだ。たしかに、完全に大人になってしまうより、ちょっと幼さ残る今くらいのほうが可愛くも見えるし綺麗にも見えるから、これはこれでベストな状態に見える。
オレはフラベーナちゃんのドレスを土魔法で分解して生地に戻していく。フラベーナちゃんと違って一瞬というわけにはいかないが、生地に戻すだけなら数秒でできる。
フラベーナちゃんの大人びた身体の素肌があらわになる。オレはフラベーナちゃんにブラジャーのホックを外すために後ろに回ろうとしたのに、フラベーナちゃんはオレの位置に向きを合わせてしまう。
「私を見て…」
「うん…」
一年前はオレとフラベーナちゃんの胸は同じ大きさだったけど、オレは妊娠したからなのか、胸がかなり大きくなっている。二人の大きな胸を合わせるとかなりの長さになるので、華奢なオレの腕ではフラベーナちゃんの背中に手を回すことができない。
オレがなかなか手を後ろに回せないでいると、フラベーナちゃんはオレに近づいていて、胸を押しつけてきた。二人の胸がむにゅむにゅと形を変えて、おかしな気分になってくる…。
フラベーナちゃんも同じ気分なのか、頬を赤らめている。
なんとかフラベーナちゃんの背中に手を回し、ブラのホックを手探りしていると、
「はああん…」
ちょっと背中に触れただけで、フラベーナちゃんには気持ち良かったようだ。
オレはいつのまにこれほどのカイロプラクティック魔法を身につけたのだろう?
フラベーナちゃんのブラのホックをはずすと、フラベーナちゃんの胸がぷるるんと解放されて、その振動がオレの胸に伝わって、またおかしな気持ちになってくる…。
まだお風呂にも入っていないのに早すぎる…。
それから、フラベーナちゃんのパンツに指をかけて下に降ろす。
「はぅ…」
その際に指がフラベーナちゃんの肌に触れてしまい、フラベーナちゃんは色っぽい声を上げた。
「もっとぉ!」
「フラベーナちゃん…、まだお風呂にも入っていないよ…」
「ううう…、我慢する…」
フラベーナちゃんと二人で浴室に入った。
「背中を流してあげるね」
「うん…」
オレは小さな椅子に腰掛けた。
「はあああああん…」
フラベーナちゃんの指がオレの背中に触れると、毎日のお風呂とは何か違う特別な感触があった…。
オレはそのままフラベーナちゃんに背中を流してもらい、気持ち良すぎて意識が飛びそうになるのを必死にこらえた。
「はぁ…はぁ…。今度はオレがフラベーナちゃんの背中を流すね」
「うん…」
オレが立ち上がり、フラベーナちゃんが腰掛ける。
オレはフラベーナちゃんの背中に、軽く触れると…、
「ああああああああああああああああああん…」
フラベーナちゃんのあられもない声がお風呂場に響く。
「もっとぉ!」
「うん…」
「ああああああああああああん…」
「もっとぉ!」
「フラベーナちゃん…、これ以上やると、お風呂から上がったあと…」
「いいからもっとっ!」
「はひっ」
「ああああああああん…」
一年前は一撃だったけど、今回はけっこうもったな…。フラベーナちゃんは撃沈してしまった…。
オレはフラベーナちゃんをお姫様だっこしたまま湯船に浸かった。相変わらずお姫様だっこで互いの胸がむにゅむにゅ干渉するのはおかしな気持ちになってくる…。
そして、フラベーナちゃんをお姫様だっこしたまま湯船から出て、水魔法で体表の水を集めて排水口に流し、脱衣所でさっき戻した生地から、スケスケで面積の小さいネグリジェとパンツをフラベーナちゃんに一分かけてまとわせた。
自分にも同じネグリジェをパンツをまとわせた。この薄さと面積なら合わせて二分でできる。
もともとドレスだった生地は一割も減っていない。
ベッドにフラベーナちゃんを運んだ。フラベーナちゃんの寝顔を見ていると、フラベーナちゃんが欲しくてしょうがなくなってしまう。待てる自信がない。ちょっと反対側を向いていよう…。
「ん、ん~…」
「フラベーナちゃん、もう我慢できない」
フラベーナちゃんは目を覚まし身体を起こした。
オレより大きな身体のフラベーナちゃんの肩を掴んで押し倒し、ふたたび横たわらせた。
フラベーナちゃんの力ならオレに押し倒されるはずない。だからこれはオレを受け入れているということだ。
「はあああああああん…」
フラベーナちゃんは、オレが肩に触れた瞬間から声を上げていた。どこに触れても気持ち良いらしい。これが女の子どうしで結ばれる魔法…。
「システィナ好きぃ!」
「ああああん…」
フラベーナちゃんはオレの肩を掴み、自分に引き寄せた。オレもフラベーナちゃんに触れられた途端、とても気持ちが良くなった。
オレはそのまま重力に任せて互いの胸を押しつぶして、フラベーナちゃんの唇に自分の唇を少し重ねた。
すると、フラベーナちゃんからどんどん吸い付いてきて、すごいディープキスをもらった…。
ああ…、ムコサール屋敷にみんなが押し寄せて来てから四年も我慢していたんだ…。
オレは前世で知っていたやり方とは違うけど、フラベーナちゃんと一つになった。
閉まっているカーテンから朝日が漏れている。
オレはフラベーナちゃんと横向きに抱き合っている。
風呂を出たときにフラベーナちゃんにはかせたパンツが床に落ちている。ああ、昨日フラベーナちゃんに…。
オレたち夫婦なんだ…。
「ん、ん~…。あ…、おはよ…」
「おはよう…」
フラベーナちゃんは目を覚まし、身体を起こした。オレを見るなり頬を赤らめた。
オレも顔が火照ったのを感じる。
「あれれ、明るすぎてムリか」
フラベーナちゃんはネグリジェのスカートの裏に影収納の扉を開…こうとしたけど、ネグリジェは透過率が高すぎて影とは見なされず、扉を開けなかった。
しかたがないので、今度はパンツの厚い部分に影収納の扉を開こうとして、ネグリジェのスカートをめくり上げてみたけど、パンツをはいていないことに気が付き、顔がボッと真っ赤になった。
オレもその姿を見て、また顔が火照ったのを感じた。
そして、今度はネグリジェの胸の厚くなっている部分に影収納の扉を開いて手を入れて、薄緑の精霊を取り出して、自分の下腹部に固定した。フラベーナちゃんの胸は胸いっぱいで夢いっぱいだ。
「それって…」
「ダイアナお姉様が、いつもらってもいいように持っておけって」
「へー…」
フラベーナちゃんは今年九歳ではないので転生者を産めないから、デルスピーナちゃんたちと違ってダイアナにたきつけられたりしなかったかもしれないけど、ダイアナはこうなることは予想していて、あらかじめ薄緑の精霊を準備していたということか…。
それから、周囲に漂う火と水と風と電気と闇の精霊もそれぞれ連れてきて、下腹部に固定した。
「それって胎児の魂百までっやつ?」
「うん。私はこうしてもらうことで、おなかの中で勉強できるようになったんだって」
「なるほどね」
フラベーナちゃんは頑丈なので、胎児がおなかの中で身体強化で暴れてもおなかを突き破られたりしないってことか。
転生者でもないのに生まれたときから言葉を話す赤ちゃんか…。フラベーナちゃんみたいな子が生まれるならそれも悪くないな。
ああ、今度はフラベーナちゃんがオレの子を産んでくれるんだ!
オレはすでに二十九人の子を産んで、その中にはフラベーナちゃんの子であるアンフローネもいるのだけど、今初めてフラベーナちゃんと結ばれた気がする…。
フラベーナちゃんも、去年はみんなと一緒だったし、いつもみたいにオレの取り合いみたいな感じでオレを胎ませてしまったんじゃないだろうか。
昨日オレから奪っていったデルスピーナちゃんたちは、オレと結ばれるというより、オレの子が欲しいという感じだった。
他の子に胎まされたのは…、まあ今思えば、受胎告知みたいなイベントだし、女神の世界に足を踏み入れたのだからあり得ない話ではない。二十九人はさすがにビビったし、ほんとうにつらかったが…。
でもオレにとってフラベーナちゃんは特別なんだ。他の女神にどんな扱いを受けても、フラベーナちゃんと結ばれさえすればそれでいい。
「蹴った!」
「ええ…」
まだ一ヶ月なんだけどそんなものなのか…。
「元気な子だよ!触ってみてっ」
「うん」
フラベーナちゃんはドレスを指で破いておへそを見せてくれた…。ワイルドだなぁ…。服の上からじゃ分からないものなのだろうか。
フラベーナちゃんのおなかに触れると、フラベーナちゃんはほんのり気持ちよさそうだ。まだ膨らんでいなくて、とても細いのに柔らかい…。
「いたっ…」
おなかの内側からすごい衝撃が伝わってきた…。こんなすごい衝撃なら、服を破かなくてもわかるだろう。もしかして、オレに直接触れてもらいたかった?
「ほら、蹴ったでしょ?」
「うん…」
普通は転生者の胎児でもないかぎり、薄緑の精霊を付けられないわけだ。オレの腹じゃ突き破られていることだろう。フラベーナちゃんははこの程度では痛くないのか?
「見て見て」
「うん」
フラベーナちゃんは破れたドレスを土魔法で直して、スマホをオレに見せた。
文字の読み、書き、足し算、引き算…。幼稚園児と小学生のカリキュラム?
「文字を覚え始めたんだって。私でも始めたの二ヶ月なのにねー」
「へー…」
こうやって天才胎児は育つんだね…。
ちなみに、デルスピーナちゃんたちの子は転生者なので、前世によってまったく違うカリキュラムらしい。
フラベーナちゃんはほんのちょっと食欲が落ちたくらいで、体調にはまったく問題なさそうだ。オレみたいに二十九人育てるわけじゃないし、フラベーナちゃんは頑丈だからな。
三ヶ月経つと、
「最近は蹴らなくなっちゃった」
「そうなんだ」
「ちょっと寂しいねー」
「まあそうだね…」
三ヶ月で蹴ったり暴れたりするのをやめるほど分別が付くんだ…。
殺人キックだと思うと、寂しいとかいってられない。
六ヶ月経つと、おなかも膨らんできたのがわかる。だけど、フラベーナちゃんの胸よりはどうやっても膨らまないだろう。
オレは魔道腹巻きを使っていたから全然分からなかった…。赤ちゃんだからといって二十九人分おなかが膨らんでいたらと思うとぞっとする。最終的には三キロの赤ちゃんが二十九人で八十七キロ?身体強化でずっと持ち歩くのもムリだよ。
「ねえねえ、スマホでお話できるんだよ」
「えっ…」
「本人の声じゃないけどね」
「へー…」
「アラミスタ、起きてますか?」
『なんでしょう、フラベーナお母様』
アラミスタって名前?もう決まっているんだ…。
フラベーナちゃんがスマホに話しかけると、スマホからアンフローネの声がした。
「アンフローネ?」
「似てるけどね、これは生まれたときの声を予想して合成しているだけなんだって」
「へー…」
「私のときはない機能だったよ。魔力を送って文字を入力するとスマホが鳴らしてくれるんだ」
「なるほど…」
スマホにはアンフローネのような顔が映っているけどこれもCGのようだ。
「こちらはあなたのもう一人の母であるカルボシスティナです」
と言って、フラベーナちゃんはオレにスマホ画面を向けた。
「ご、ごきげんよう。カルボシスティナです」
『初めまして、ごきげんよう、カルボシスティナお母様』
出会ったばかりのころのフラベーナちゃんは王族モードの言葉遣いだけだった。マイア王と話しているときも王族モードのようなので、最初は礼儀をきっちり教えなければならないということだろうか…。
「お勉強ははかどっていますか?」
『今日は数学は因数分解、世界史はゾルピデム帝国史を学んでいます』
「私のときは世界史はヒストリア王国史しかなかったので、しっかり覚えてくださいね」
『はい』
へー…。六ヶ月で中三レベルか…。
「転生者、二十すぎれば、ただの人」みたいな詩を聞いたことがあるけど、フラベーナちゃんもアラミスタもずっと神童なんだろうな。神童っていうか女神の子だしそのまんまだな。
まあ、オレはこの世界に生まれたときはゴミみたいなもんだったし、そのあともちょっとだけ有利なだけで神童だったことは一度もないけどな。
■カルボシスティナ・ムコサール伯爵(十歳)
■フラベーナ(八歳)
妊娠した。
■デルスピーナの代(九歳)
転生者を妊娠した。
■アンフローネ(ゼロ歳)
システィナの産んだフラベーナの娘。前世は声優の転生者。
■デルトピーカ(ゼロ歳)
デルスピーナとシスティナの娘。前世は自動車会社の秘書の転生者。
■リジーナ(ゼロ歳)
グリシーラとシスティナの娘。前世は記者兼カメラマンの転生者。
■ユーメトーナ(ゼロ歳)
パリナとシスティナの娘。前世は工業系大学生の転生者。
■モンテルナ(ゼロ歳)
プレナとシスティナの娘。前世は化学系大学教授の転生者。
■ロラメーナ(ゼロ歳)
ペルセラとシスティナの娘。前世は喫茶店店主の転生者。
■スマトリーナ(ゼロ歳)
イスマイラとシスティナの娘。前世は文系大学生の転生者。
■ゾルミーナ(ゼロ歳)
ゾーラとシスティナの娘。前世は環境省大臣の転生者。
■エルトリア(ゼロ歳)
エレナとシスティナの娘。前世はバレーボール選手の転生者。
■リートリア(ゼロ歳)
リザベルとシスティナの娘。前世は家電店店員の転生者。
■トリアナラ(ゼロ歳)
ナーラとシスティナの娘。前世は消防士の転生者。
■ネリゾナ(ゼロ歳)
アルゾナとシスティナの娘。前世は非公開の転生者。
■スノウ(ゼロ歳)
プラチナとシスティナの娘。前世はアニメ専門学校生の転生者。
■エルドラ(ゼロ歳)
エウレカとシスティナの娘。前世は非公開の転生者。
■ホワイティア(ゼロ歳)
アリスとシスティナの娘。前世は刑事の転生者。
■コルティナ(ゼロ歳)
コルトラとシスティナの娘。前世はゲーム会社社員の転生者。
■フロラゾーナ(ゼロ歳)
フラーラとシスティナの娘。前世は小学校教師の転生者。
■ルードミア(ゼロ歳)
ティノイカとシスティナの娘。前世は中学生の転生者。
■ダイプローラ(ゼロ歳)
プロセーラとシスティナの娘。前世は漫画家の転生者。
■クラリチーナ(ゼロ歳)
クラリスとシスティナの娘。前世はシンガーソングライターの転生者。
■マレルミナ(ゼロ歳)
フェニラとシスティナの娘。前世は市長の転生者。
■バファリナ(ゼロ歳)
ファルナとシスティナの娘。前世は音大生の転生者。
■ディレーナ(ゼロ歳)
レジーナとシスティナの娘。前世はドラマ監督の転生者。
■テクスメーナ(ゼロ歳)
アンネリーゼとシスティナの娘。前世はアイドル歌手の転生者。
■ジフルプレドーナ(ゼロ歳)
ジフロラーナとシスティナの娘。前世は小学生低学年の転生者。
■クロベーナ(ゼロ歳)
フルプレドーナとシスティナの娘。前世は化粧品店店員の転生者。
■クロミカ(ゼロ歳)
ティノミーナとシスティナの娘。前世はIT企業社長の転生者。
■ソルベーガ(ゼロ歳)
リグコベーナとシスティナの娘。前世は歯科医の転生者。




