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47 開拓大作戦

 ダイアナは幼女と乳児二十一人とヒーラーガールズを引き連れてフルニトラ侯爵領を訪れた。

 約束の時間にハンターギルドの裏に魔道馬車を付けて降りた。


 私は永遠の九歳なので身長が一四〇センチだ。土魔法で土台を作って上がり、集まっているハンターに挨拶をする。


『皆様、お集まりいただき感謝します。私が依頼人のダイアナ・メタゾール公爵です』


 もう一方の馬車でやってきたジフラーナCのスカートの裏に影収納の扉を少し開けて外の者の心を広く浅くうかがっているジフラーナA。

 フルニトラのハンターはガラが悪い者がそれなりにいる。私の姿を見て侮る者、もてあそんでやろうなど思っている者などがいる。


 あっ、私に強い嫌悪をいだく者いる!「あいつ嫌い…。帰る…」って心の声じゃなくて、普通に聴覚で聞こえてきた声だった…。メリリーナおばさんじゃん…。

 いや、いるのは知っていたけどさ。



 ダイアナは依頼人としてハンターに説明をしているので、メリリーナのことにかまけているわけにはいかない。ジフラーナAはとりあえず、ひととおり周りの心を読みあさっているので、やはりメリリーナのことばかり考えているわけにはいかない。そこで、ジフラーナBがメリリーナについて考える担当になった。

 こういうとき分散型サーバーは便利である。


 メリリーナ付きのメイドのスピラも近くにいる。

 メリリーナが王都を発って二年だろうか。メリリーナはママにライバル心をいだいているようだ。嫁をたくさん侍らせているママがうらやましい。私も嫁をたくさんもらって、子供をたくさん作るんだと。


 根底には生物の基本的性質があるように思える。メリリーナは最強生物であるという自負がある。そして、子孫を残そうとする本能が働いているようだ。

 そのためには、最強生物であるママが障害となる。だからママを倒したいそうだ。


 私、ダイアナはチート能力を持ってこの世界に生を受けたが、エッテンザムという種族は生命力が高いとはいえず、自分が最強生物という認識はない。でも、子孫を残そうとする本能は人一倍強い。

 エッテンザムは、美しくて可愛い者、イコール強い者に子種を植え付けるか、子種をもらうことで種族を繁栄させようとする種族である。だから、私は最強生物であるママと共存の道を選んでいる。


 でも、メリリーナは自らを最強生物だと思っているので、ママと対立することになってしまっているようだ。

 どうやらフルニトラで四人の嫁を見つけて、よろしくやっているようだ。



 まあ、種の繁栄対決は置いておいて、メリリーナの立場は微妙だった。メリリーナはママが爵位を継いだあとにリンダばぁばから生まれた娘であるため、貴族の扱いではない。もし貴族であるならば、十歳でデビューを果たしているはずだった。いや、デビュタントパーティは男を射止めるためのパーティなので、メリリーナに嫁は見つからないだろう。

 メリリーナが貴族でないのならば、普通の平民として結婚相手を探すべきだ。でも、メリリーナはずっとメタゾールで育ってきた箱入り娘だった。

 もしくはリンダばぁばがお見合い話を持ってくるべきだったのではないか。だが、リンダばぁばは己が性欲に支配された生き物であり、メリリーナのもらい手がなければ自分が娶ればよいなどと考えている。


 ママはメリリーナの姉なので、メリリーナの嫁を探す義務はないし、ママだってメリリーナを嫁にしたいと考えている。だから、メリリーナの嫁を探したりはしない。


 嫁探しだけではない。貴族の娘の就職先は、より高位の貴族や王宮勤めのメイドが多い。本来ならリンダばぁばが就職先を探してやるべきだろう。順序は違えど、公爵家の侍女という肩書きを持って就職できないこともなかったはずだ。しかし、メリリーナはメイドという柄ではない。


 記憶を読めるようになって初めて知った。メリリーナが生物種として台頭しようとしていたなんて。

 まあ、ママの子孫とエッテンザムがメリリーナの子孫に駆逐されることはないだろうし、好きに子孫を残すといいだろう。スピラともデキているっぽいし、四人の嫁も手に入れたっぽいし。



 まあ、メリリーナのことは私の知ったことではない。

 それよりも、今回は開拓だ。東方の森開拓と同時に、西方にはママを派遣して開拓させている。これで十字に線路と道路を引けば、全国改革がやりやすくなるけど、やっぱり対角も開拓して米印状に進めないとダメかな。めんどいな。






 転性者システィナは二十人の幼女と乳児を連れて、魔物のはびこる森へと歩いている。

 ダイアナは別の仕事があるとかで、参加していない。


「ホント、楽しみだね、システィナ」

「う、うん…」


 フラベーナちゃんはほんとうに楽しそうだ…。


「グリシーラ、私に付いていなさい」

「はい!おねえしゃま!」


 デルスピーナちゃんはグリシーラを守ってあげるようだ。でも、グリシーラちゃんはオレより強いんだけど…。


「今日は初めての実践ね!」

「はりきっていこー!」

「がんばりますわ」


 パリナとプレナとペルセラも気合いじゅうぶんのようだ。


「腕が鳴るわ!」

「オレの強さを見せてやる!」

「楽勝」

「ボクもがんばるよ!」

「うふふっ!」


 イスマイラとゾーラとエレナとリザベルナーラも戦う気満々だ。


「がんばります!」

「いくわよぉ!」


 プラチナとアルゾナまで…。


「こわいよぅ…」

「はぁ…。私も危ないことは嫌だよ…」


 コルトラはわりと普通の小さな女の子っぽい反応だ。いや、一歳児としてはしっかりしすぎだが。

 フラーラはこのメンバーの中では、実はかなりまともな感覚の持ち主じゃなかろうか。


「あたし、超楽しみなんだけどぉ!」

「魔物ってどんな造形なのかしら」


 プロセーラはいちばん危ない子だ。

 ティノイカも案外おかしい子かもしれない。


「だるい」

「そんなこと言わないでがんばろうよ」


 エウレカはやる気なさそうだ。アリスはすなおに気合いを入れている。


「…」


 ジフラーナはだんまりだ。


 ドレスを着た小さな子が二十一人じゃ、魔物退治っていう絵づらじゃないだろう。

 ピクニックにしても幼い女の子だけで、最年長が四歳のオレってのもおかしいだろう。

 護衛もなんも付いていない。王女や高位貴族ご一行にしてはありえない。

 しかも手ぶらだ。まあ、武器は影収納に入っている。みんな少なくとも三リットルくらいの影収納を維持できるらしい。オレとフラベーナちゃんは五リットルくらいだ。


「みなさん、待ってください。私たちは二十一人で一つのパーティとされているけど、複数の魔物が現れた場合に備えて、チーム分けをしたいと思います」


 オレはこのパーティを率いる者として、戦術を考えてきたんだ。

 オレはリーダーだからなんとなくお貴族様モードでしゃべっちゃったけど、みんなの前でフラベーナちゃんと平民モードでしゃべっているし、今さらすぎるよな…。


「「「「「じゃあ、私(オレ、ボク、あたし)はシスティナと一緒のチームにする(わ、ぜ、よ)!」」」」」


「えっ…」


 一人称と語尾はいくつかパターンがあったけど、みんなオレと一緒のチームって言ったよな…。またオレの取り合いは勘弁してほしい…。


「伯爵令嬢の命令が聞けないの?」


 パリナはヒルダ・プレドール伯爵の娘なのだけど、ご令嬢に権限などないのだ。


「第一王女の命令よ!」


 デルスピーナちゃん…。


「みなさんは王女や貴族令嬢ではありますが、実際に爵位を持つのは男爵とはいえ私だけです。それに私はダイアナ様よりこの隊の指揮を任されております。私の指示に従ってください」


「わかりました…」

「わかったわよ…」


 デルスピーナちゃんとパリナはすなおに従ってくれるようだ。よかった。

 オレを分割してでも同じチームとか言い出さないでくれて、ほんとうによかった。


 だいたい、オレのどこが良いんだ?みんなは女神の娘か孫で、オレはどこぞの馬の骨だろう。


「そういうわけなので、四チームに分けます」


 チーム分けをあらかじめ考えてきてある。いつも剣術や魔術の授業でみんなの実力を把握しているから、およそ戦力が均等になるようにしたかったのだけど、連携慣れもあるので、連携した上での戦力を考えた。


 チームAは、フラベーナ、フラベーナ、グリシーラ、プラチナ、アルゾナ、システィナ。

 チームBは、パリナ、プレナ、ペルセラ、エウレカ、アリス。

 チームCは、イスマイラ、ゾーラ、エレナ、リザベル、ナーラ。

 チームDは、フラーラ、ティノイカ、プロセーラ、ジフラーナ、コルトラ。


 チームを分けたからといって別行動するわけじゃない。一頭の魔物を倒すのにまとまって行動する単位を決めただけだ。

 基本的には各チームで最初の子がリーダーだ。



「システィナと一緒で嬉しい!」

「う、うん」


 みんなからすればオレは戦力外なので、司令塔としてチームに所属せずにいたい。だけど、オレがフラベーナちゃんと離れると、フラベーナちゃんの目線ビームが飛んでくる未来しか見えないので、形だけでもフラベーナちゃんのチームに所属することにしたのだ。


「よろしくね、システィナ」

「よろしくおねがいします」


 デルスピーナちゃんとグリシーラちゃんも王族だからといって横柄な態度にはならず、オレを指揮官として立ててくれるようだ。


「よろしくおねがいします」


 馬耳、馬尻尾のプラチナ。脚がめちゃくちゃ速いのは、馬だからだろうか。

 王侯貴族よりも礼儀正しい子。最初の頃はオレ争奪戦に参加していなかったけど、ここ最近は参加している。だけど、比較的優しくしてくれる…。


「うふふっ、よろしくね~」


 アルゾナはオレに水着をくれた子だ…。オレ争奪戦では、オレに痛いことをしないけど、なぜか器用に服だけ破いてくる…。なぜ四歳児に色気を求めるのだ…。


 だいたい、オレはただでさえ弱いというのに、足場の悪い森の中をすごく不安定なハイヒールで歩かなきゃいけなくて、おどおどとしながら歩いている。

 とくに堅い岩場だと滑って、


「きゃっ…」


 ふう…、危なく転ぶところだった…。しかもとっさに出た言葉が「うわっ」とかじゃなくて「きゃっ」だ。アイドル養成科で習った仕草と言動を完全にものにしてしまっている…。


「「「「「かわいい…」」」」」」「はぁはぁ…」


 体勢を整えて周りを見回すとみんながオレを見ている。まるで小さい子がよちよち歩けるようになったのを見守る顔をしている子や、顔を赤らめてうっとりとしてる子がいる。鼻息の荒い子もいる…。

 おかしい…。よちよち歩きの年齢の子はいるのに、誰一人よちよちしていない。最年長のオレの足下がいちばんおぼつかない…。それを、オレより小さな子に見守られている…。


 女の子というのは、こうやって歩きにくい靴を履かなきゃならないとか、髪の毛が邪魔になるので手で押さえていなければならないとか、トイレで脱いだり拭いたりしなきゃならないとか、生活の不憫を乗り越えていかなければならないんだ…。ほんとうに世界中の女性には頭が下がる。



「南西から三頭来ます」


 スマホに表示されるミニマップを見ながら進んでいると、赤い点が南西に三つ出た。


 ダイアナが「ゲームで培った戦術」と言っていたのを思い出して、ゲームのミニマップとか敵の位置表示機能とかないかなぁと、エージェント・アンネリーゼに相談したら、その機能を作ってくれてしまった。

 アプリのプログラムだけじゃなくて、センサーとか必要だと思うのだけど、ちゃんと動作するようだ。


 これができるのなら、二年前フラベーナちゃんと廊下でぶつかる前に警告くらい出せたんじゃないかとエージェントを問い詰めたら、「だって廊下の角で女の子とぶつかるなんて素敵じゃないですか。それともフラベーナとぶつかりたくなかったですか?」と言われた。

 たしかに、あのときフラベーナちゃんとぶつかったおかげで、今こうして仲良くできているのかもしれない。むしろ、エージェントは知っててわざとオレとフラベーナちゃんをぶつけたのだろう。エージェントに感謝だ。


「うん、来るね。三メートルくらいのやつ」


 スマホで見てやっと情報を得られるオレに対して、フラベーナちゃんは何も見ずに三メートルとか言っている…。そりゃ、女神の子と、チート能力なしの転性者じゃスペックに差があるのは分かっているけど、やっぱりちょっと悲しい。


「チームB・C・Dは戦闘に備えてください。Aは辺りを警戒」


「「「「「了解!」」」」」


「私たちは待機なのね」

「うん」


 まず、オレは司令官なので、最後まで状況把握に努めておきたい。かりにチームAが戦闘になっても、どうせオレは役に立たないし、状況把握を優先する。

 知覚能力とか判断速度もまったく歯が立たないけど、ゲームで培った戦術くらいは負けないでいたい。



 草むらから三メートルのダチョウのような鳥が三羽走ってきた。飛んできたわけではないが、まだ飛べないと決まったわけではないだろう。


 チームB・C・Dが戦闘に入った。


 まず、チームBは、パリナ、プレナ、ペルセラ、エウレカ、アリス。


 何か味方側から飛んでいったように見えた。速すぎて俺の目には追えなかった。

 突然ダチョウの左脚が膝の辺りから上と下に分かれてずれた。


 さらに、味方側から何か飛んでいった。今度は目で追えた。エウレカだ。

 味方の陣営を見たら、アリスもいない。さっき飛んでいったのはアリスってことか。

 エウレカはいつの間にか剣を出しており、ダチョウの左脚を斬った。

 そうそう、今日はいつもの竹じゃない竹刀ではなくて、真剣なのだ。


「ぐえええぇ…」


 両足を斬られたことでダチョウが崩れ落ちる。


「ちょっとずるいわよ!えいっ!」

「私も!」

「わたくしも!」


 パリナとプレナとペルセラは、頭上に無数の氷の柱を出して、ダチョウに向けて放った。

 ダチョウはいくつもの風穴を開け、絶命した。


 チームBのリーダーはパリナということにしてあるけど、仕切りたがり屋なだけであまりリーダーに向いているとは思えない。とはいえ、パリナとプレナとペルセラは、いつも一緒に魔法や剣の練習をしていて、息がとても合っているのだ。


 一方でエウレカとアリスも、いつも殴り合っていて息ぴったりなのだ。

 ちなみに、エウレカはドラゴンの翼と尻尾を持っているけど、それ以上に強いアリスが何者なのか分からない。


「ふんっ、たいしたことないわね!」


 パリナの言うとおりだ。女神の娘にかかれば、倒せない魔物などいないだろう。



 一方で、チームCはすでに戦いに入っている。

 チームCは、イスマイラ、ゾーラ、エレナ、リザベル、ナーラ。


「…」「えいっ!」「えいっ!」


 エレナとリザベルとナーラは、ダチョウが近づいてくる前に氷の矢を放っていた。矢はダチョウを貫かなかったが、ダチョウは体制を崩した。


「とうっ!」「おりゃ!」


 続いて、イスマイラとゾーラが影収納から剣を出し、体勢を崩したダチョウの首を二人で両サイドから切り落とした。


 チームCの子たちの親は元ハンターらしい。親からハンターの連係プレーを仕込まれているようだ。とくにリーダーであるイスマイラの指示は的確であることが分かっている。



 一方で、チームDも戦い始めている。


 チームDは、フラーラ、ティノイカ、プロセーラ、ジフラーナ、コルトラ。


「あはっ!」


 プロセーラが一瞬高笑いすると、ダチョウが地面に落ちた。いや、影収納だ。地面の木陰に扉を作って、影収納に落としたんだ。

 ダチョウの身体が半分ほど沈んだところで……、プロセーラは影収納の扉を閉じた。残されたのは上半分のダチョウ…。


「ちょっとアンタ…。もうちょっとマシなやり方ないのかい…」

「影収納の中でプレスってのもあるよ!」

「そういうのは料理だけにしておくれ」


 プロセーラ…、マジ怖い…。いつもオレを滅多打ちにしてくる…。保健室で目覚める前に聞いた最後の声がプロセーラだったことが何度あったことやら。

 フラーラもドン引きの様子だ。


 このチームはまったく連携が取れそうにない。

 プロセーラは暴走気味だし、ティノイカは何を考えているのか分からない。

 ジフラーナは学校には来ないので実力が分からないけど、付いている精霊に大きさからすると実はいちばんのチートキャラな気がする。

 コルトラはオレより強いのだけど、怖がりであまり戦闘向きではない。

 フラーラはいちばんまともだと思う。よく、コルトラの面倒を見ているし、プロセーラの暴走を止めようとしている。このチームのリーダーはフラーラしかいない。

 でもやっぱりまとまる様子がない。



「ねえ、システィナ!このダチョウ、食べられるんじゃない?」


 と言って、プロセーラは先ほど影収納に閉じ込めたダチョウの下半分を、オレに近くの木陰に扉を開いて見せてくれた。

 うう…。スプラッタだ…。この子はどういう神経をしているのだ…。


「そ、それなら、チームCの首を落としただけのやつを保存しておこうか…」

「なんだよー」

「あっ、えっと…、プロセーラはこのサイズの魔物が何頭くらい入る?」

「さあ、一〇〇〇くらい?」

「マジか…」


 プロセーラには大きな闇の精霊が付いている。その容量も納得できないこともないけど…。


「じゃあ、今度は生け捕りにしてはどうかな。プロセーラにしかできないんだ」

「分かった!あたし、今度から生け捕りにして影収納にぶっこんどくね」

「うん…」


 スプラッタにならない方向へうまく誘導できただろうか。



「私たち、出番なかったねー」

「フラベーナちゃん、王族は将来指揮する立場になるんだから、これでいいんだよ」

「そうなんだけどねー」


 フラベーナちゃんは不満なご様子。




 その後、オレたちは二頭か三頭ずつの魔物を順調に倒していった。


「つまらないわ。そろそろ私たちにもやらせてよ」

「北側に四頭の反応ありだよ…」


 デルスピーナちゃんが不満を漏らしたところ、期待通りに四頭の魔物が現れた。


「羽ばたく音がする」


 またもやフラベーナちゃんの超感覚で、敵のタイプの情報を得た。


「ダチョウと違って飛ぶ鳥でしょうか…」


 しかし、空から現れたのは、まず三頭の巨大なコウモリのような…。

 頭から足までは二メートル。翼の端から端までは三メートルだ。手が翼になっているコウモリのような生き物だが、頭は鳥のようだ。ワイバーンというやつだろうか。


 まずはチームBが当たる。

 チームBにはドラゴンの翼を持ったエウレカがいるのだ。エウレカは翼を羽ばたかせ、舞い上がった。

 と思ったら、すでにアリスが上空にいた。アリスにもドラゴンの翼がある…。薄い金色っぽい翼だ。アリスもドラゴン娘だったんだ…。

 アリスがワイバーンを蹴飛ばして落下させた。落下していくワイバーンは上昇中のエウレカを巻き込んだ。


「こらー!」



 一方、チームCはワイバーンの周りに全員で風魔法を起こし、ワイバーンを落下させた。そして、イスマイラとゾーラの剣でワイバーンの翼を切り落とし、さらに、エレナとリザベルとナーラの剣で首を落とした。


 その間に、チームDでは、プロセーラが地面から土を伸ばして屋根を作り、屋根の裏側に影収納の扉を開けて、扉の開いた屋根を移動させることで、ワイバーンを生け捕りにした。



 そして、もう一頭やってきたのは…、ワイバーンではなく…、紫のドラゴン…。

 突風が巻き起こった。ドラゴンの放った魔法だろうか。

 オレはすぐにめまいがして、頭が痛くなってきた。




「……ティナっ!」

「ん、ん~…」


 目覚めてフラベーナちゃんの泣き顔を見るのは何度目だろうか。でもここは保健室ではない。森の中だ。


「システィナ!よかった…。あいつ…、毒ガスを…」

「そんなヤバいのが…、ああ、ドラゴンか…」


 紫のドラゴンが放った魔法か…。


『あれは空気中の酸素を奪う魔法だった。みんなも授業で酸素を集める魔法を習っていると思うけど、酸素の供給元を指定すると同じことが起こるので、場所をわきまえること』


 ジフラーナが解説してくれた。授業に出ないけど、スマホで座学はやっているんだな。

 酸素不足か…。まあ、気絶したのか死んだのかはどうでもいいや…。オレにとってはあまり違いがない…。


「みんな気分が悪くなったんだよ。危ないところだったよ」

「そっか…。でも、みんなが無事でよかったよ…」


 オレ以外のみんなは気分が悪くなるだけで済んだんだ…。


「システィナのことはみんなで守るよ」

「あ、ありがとう…」


 オレはホントに弱いな…。みんなに助けられてばっかだ…。ちょっとへこむ…。


「何回死んじゃっても、すぐに生き返すからね!」

「う、うん、ありがとう…」


 やっぱり今回も死んじゃったんだ…。しかも、死んじゃったって、今まで濁していたのに、はっきり言われちゃったよ…。オレ、何回も死んでるんだね…。フラベーナちゃんたちといる限り残機は無限かな…。



「ところで、ジフラーナは何か探しているの?」


 ジフラーナは紫のドラゴンの死体をバキバキと剥いで漁っているので尋ねてみた。


『卵』

「えっ…」

『これであと緑と黒がそろえばコンプできる』

「へー…」


 ああ、エウレカはシルバードラゴンで、アリスは薄い金っぽいドラゴンの翼を持っていたな。アリスは出し入れできるみたいだけど。

 きっといろんな色のドラゴンがいるのだろう。ドラゴンと女神が交配して生まれたのが、ドラゴン娘のエウレカとアリスってことかな。そりゃまあ、コンプリートしたくもなるわな。


 とはいえ、それはゼロ歳児のジフラーナがやることなのだろうか。






 いっぽうその頃メリリーナは、メイドのスピラと、ボムスクァッドの四人と、さらに十五人のハンターたちとともに、魔物の森を進んでいた。


「はぁ。なんでお荷物をこんなに連れていかなきゃなんないんだ」

「お嬢様、そういうことを口に出してはいけません」


 この依頼の条件は、基本的に一体の魔物に一パーティ四人以上で当たれとのことだ。だから、うちらの他に五人パーティが三組一緒に行動している。


「おい、ねーちゃん。なめた口聞いてくれるな。お返しにその綺麗なあんよをなめてやろうか」

「お前、知らないのか?」

「あ?」

「そのねーちゃんはランクAだ。やめとけ」

「はぁっ?武器も持たずにランクAとは、ほんとうになめてやがる」

「今回の依頼、仲間割れは御法度だ。オレらが弱いのはたしかだが、ねーちゃんも挑発してくれるな」


 ガラの悪い男Aは見たことがない。つい最近ここに来た者だろうか。

 なだめているほうの男Fは、前からよく見かけていた者だ。


「お嬢様がすみません。あとで言って聞かせます」

「やっぱダイアナの依頼なんて受けるんじゃなかった」


 これなら、依頼を受けないで単独で来ればよかった。


「なあ、あっちの嬢ちゃんは、お前らの仲間じゃないのか?服装が似ているが」

「あの子は依頼主から派遣されたヒーラーです」


 男Fがヒーラーガールを指さして、うちらの仲間かと聞いたのに対して、スピラが応えた。


「私はヒーラーのメドロラです。皆さんが傷ついたときの回復魔法や、手に負えない魔物を倒すお手伝いのために呼ばれています。ですが、今みたいないざこざを監視して報告する義務もあります。あまり口げんかがすぎるとペナルティがあります。手を出したら報酬がなくなる上に違約金をいただきますよ」


「そのときは嬢ちゃんを黙らせるまでさ」

「おい、マジでやめておけ。ランクAのねーちゃんと似た服装なんだから、きっと強いんだろうよ」


 男Aと男Fがまた言い争いを始めた。マジで足手まといでしかない。


 ちょうど、遠くから魔物が何かを飛ばしてくるのが見えた。うるさいやつを黙らせてくれるかもしれないので、傍観してみる。

 スピラも気が付いているようだが、私と同じくフォローに回るつもりがないようだ。


 ヒュンっ…。ガツっ。

 飛んできたものが、うまい具合に男Aの目に当たりそうだったのに、ヒーラーガールがそれをかかと落としでたたき落とした。残念。


「うわっ」


「魔物がいますよ。しっかりしてください」


「伏せろ!」


 飛んできたのは長さ二十センチ、直径十センチのしなった円錐…、爪のようなものだ。


 魔物の数は四だ。魔物はどんどん爪を飛ばしてくる。


 ヒュンっ、ヒュヒュヒュヒュンっ、ヒュンっ。


 私とスピラは余裕でよけられる。

 コニールとオメルティは飛んでくる爪に気が付いて伏せた。

 ミカルディアとカルスロッテは飛んでくる爪に気が付いていない。私は自分に近いカルスロッテに飛んでくる爪を素手で掴んだ。ミカルディアのほうはスピラが手でたたき落とした。


「わぁ…」

「ちょっと、何?」


「二人はこの木に隠れて」


 私はカルスロッテとミカルディアの手を引いて、木の裏に隠れさせた。


 コニールとオメルティは光の魔力が強いので、感覚が鋭い。カルスロッテは光の魔力がそれなりにあるが、どんくさいのでよけたりはできない。ミカルディアは私と出会った二十八歳まで魔力を扱ったことがなかったため、もはや魔力の成長があまり見込めない。


 ヒュンっ、ガツっ。ヒュンっ、ヒュヒュヒュヒュ…。


「ぐわぁ」「ぎゃあ…」「目がぁ…」「ちっ」「いてぇ…」


「何やっているんですか!伏せてください」


 多くの爪が同時に飛んできたため、ヒーラーガールが一つだけ足でたたき落としても、残りの多くが棒立ちしていたハンターたちに五人に当たった。さっきヒーラーガールに防いでいたにもかかわらず、伏せなかった男Aとそのパーティメンバーの男BからEの五人だ。

 当たったのは目や顔ばかり。頭が良いし、技術もある魔物だな。


 男Fとそのパーティメンバーの男GからJの五人は低く伏せているため、当たらなかったようだ。

 もうひとつのパーティの男KからOも伏せていて、当たらなかったようだ。こいつらもフルニトラハンターギルドでよく見かけるやつだな。


 よし、ひとまず、いちばんうるさいやつはこれでおとなしくなるだろう。



「スピラ、行くよ」

「はい、お嬢様」


 ヒュンっ、ヒュヒュヒュヒュンっ…。


 私とスピラは。飛んでくる爪をかいくぐり、魔物に向かっていく。

 ようやく魔物に辿り着いたと思ったら、魔物はすごい速さで地面に潜り込んでしまった。


「くそっ、面倒!」


 私は魔物が潜り込んだ辺りの地面一帯を、水魔法で凍らせた。


「お嬢様…、寒いです…」

「うん。寒い。おしっこ漏れそう」

「いましたらつららになりますよ…」


 私の水の魔力に対して、火の魔力は一パーセントもないので、凍らせたものを戻すのは難しいのだ。


「お二人とも…、これは…」

「お嬢様が凍らせてしまったんですが、討伐扱いになりますか?」

「スマホで魔力の消滅を確認していますから、大丈夫ですよ。四頭ですね」

「そんな機能あるんですか」

「試験中の機能です。うまくいけばそのうち一般開放されます」

「それは楽になりますね」

「はい」


 ヒーラーガールが駆けつけて、スピラと世間話を始めた。


「では、爪に当たった者たちを治療してきます」

「はい」


 やっぱり治療魔法をかけちゃうよね。せっかく黙ってくれると思ったのに。


「目がぁ…」

「はい、今治療しますので、待ってくださいね」

「おお…。ありがてえ…」

「目の傷を治せるなんて聖女か?」


 身体の傷は癒えたが、心の傷は癒えなかったというやつだろうか。その後、男AからEの五人の態度は明らかに変わったからよしとしよう。




 そろそろ野営の時間になろうかという頃に、


「何あのガキんちょ…」

「あれは…」


 一歳から七歳くらいの子供が二十人くらい、しっかりとした足取りで魔物の森を歩いている。その中に…

 

「銀髪が…いち、にい、さん…五匹…」

「お嬢様…」

「ダイアナに似ている…。あんなにいっぱい。くそっ!」


 私はミカルディアたちのほうを振り返り、ギロリと睨んでしまった…。


「えっ…どうしたのかしら…?」

「メリリーナお嬢様…怖いよ…」

「どうしたのぉ?」

「泣きそうじゃない…」


「ごめん…なんでもない…」


「お嬢様、みなさん、野営の準備をしましょう」


「うん…」

「「「「はい…」」」」


「そちらの皆さんも、今日はもういいですね?」

「おう」「ああ」「うむ」


 スピラが他のパーティに同意を得た。


 ズモモモモ…。

 私とスピラでいつもの砦を作った。


「「「うわっ」」」「マジか」「家が!」


「あの、十五人部屋でよければ、お作りしましょうか?ただし、そちらに土魔法で扉を閉められる方がいなければ、見張りは必要になります。魔力が残り少ないので、そんなに広くできませんし、天井も高くできません。でも、そう簡単には壊れませんから、そのまま寝るよりはマシだと思います」


 おせっかいのスピラが、他のパーティの分の砦を作ってやるという。


「ああ、頼む…」「ありがとう…」「よろしく頼む」


 スピラはけっこう離れたところにもう一つ簡素な砦を建てた。



 お風呂にて…、


「「「「「ああああああああああん…」」」」」

「今日のメリリーナお嬢様は激しいわ…」

「すごいよ…」

「もっとぉ!」

「これがメリリーナお嬢様の本気なのね」

「お、お嬢様…はぁ、はぁ…」


 ついつい力が入ってしまった…。



 脱衣所にて…、


「なんかいつもよりさらに薄くないかしら…」

「もう着ていないのと同じような…」

「素敵ぃ…」

「今日はスピラさんも本気ってこと?」


 スピラの用意する下着の生地が、いつもより薄かった。スピラなりの気遣い?


「す、すみません。もう一つ砦を建てたせいで、土の魔力がギリギリで…、うまく制御できませんでした…。大事なところはちゃんと隠れていますので、今日はこれでご勘弁を…」


 どうせなら大事なところを薄くしてくれれば良いのにと思ったけど、今それをやっちゃうのはマズいってことか…。


 夕食を取って、そしてベッドへ…。


「「「「「あああああああああん…」」」」」


「お、お嬢様、それ以上は…、いけません!」

「あっ…」


 私の指に…。これはいつしか自然に身についていた魔法…。これが何をするものなのか分かってる。これは私の願いを叶える魔法。だけど、今それをやってしまうと、みんなとの旅が終わってしまう…。


 翌日、男どもが赤い顔をしていた。砦をちょっと離したくらいじゃ、音は遮れないか。まあ、気にしない。


 こうして、毎日の魔物退治と夜の営みをこなしつつ、一週間の遠征は終わったのだった。

 こんなんだったら、依頼を受けないで来ればよかった…。スピラはお金が入ってほくほくだったみたいだけど。






 一方、その頃、


「暗くなってきたし、野営の準備をしましょう」

「「「「「はーい」」」」」


 転性者システィナは、二十人の幼女と乳児を引き連れて、森の魔物退治を進めていた。そして、日も暮れてきたので、野営の準備に入ることにしたのである。


『魔道テントを設置した』


 ジフラーナがテントを設置していた。

 魔道テントは、外から見ると一辺が一メートルの正四面体の形をした小さいテントだが、中には魔道馬車と同じような部屋が広がっている。

 全員が入り終えると、テントは視覚的、聴覚的、嗅覚的に消えることができる。


 まあ、いくらおてんばな女の子たちだからって、本物のテントで野宿なんてできないよな。


 間取りは2DK、バス、トイレ付き。あれ…、寝室は二つ。一方の部屋にはでっかいベッドが一つだけ?もう一方の部屋にはベッドが四つ。


「うふっ、システィナと寝るの、初めて!」


 フラベーナちゃんは大きなベッドの部屋を見て、そんなことを言う。


「えっ、そんな、オレはこっちの四人部屋で寝るよ」

「ダメよ」

「そんな、王女様と同じベッドだなんて…」

「私と寝るの…、イヤ?」


 フラベーナちゃんは上目遣いでおねだりモードだ。これはアイドル養成科で習う仕草だと分かっているのだけど、フラベーナちゃんはそれが板に付いており、自然に出てくる。もちろん、オレはこれをやられると抗うことができない。


「そんなことはないよ。オレはフラベーナちゃんと寝たいよ」

「うふふっ。よかった!」


 フラベーナちゃんと寝たいだなんて…。オレはなんてことを言っているのだ。


「私たち、いつも一緒なのに、肝心なシスティナだけ一緒に寝ていないから寂しかったのよね」

「ホントだよー」


 あ、パリナとプレナも一緒に寝るのか。あれ…。


「それを言ったら、ジフラーナたちと寝るのも初めてよね」

『うん』


 デルスピーナちゃんは、ジフラーナとは別の部屋なのか…。

 っていうか、デルスピーナちゃんとかパリナはみんな、フラベーナちゃんと一緒に寝ているのか!

 ジフラーナは…、銀髪娘は銀髪娘で寝ているのかな。境界線がよく分からない…。アンネリーゼの娘とダイアナの娘が別なのか?

 とはいえ、今日はその境界線がないのか…。


 いや、そんなことはどうでもよくて、今日はオレがそこに加わるってことなのか?


「じゃあまずお風呂に入りましょ」

「えっ…」


 一緒に寝るだけじゃなくて、一緒にお風呂に入る?オレが?フラベーナちゃんと?


「さあ、こっちよ」

「は、はい」


 オレはフラベーナちゃんに引っ張られて脱衣所へ。フラベーナちゃんの力は強いので、振りほどくことはできない。もちろん、振りほどく意思などない。いやいや、オレが王女様とお風呂なんて入っていいのか?


「さあ、脱いで」

「はい」


 脱いでって言っておきながら、フラベーナちゃんがオレのドレスをすごい勢いでひんむいている。破れそう。破れた…。すぐ直せるからいいけど…。どうせ頻繁に継ぎ足しているし…。

 でも、フラベーナちゃんに贈られたものを破かれるのはちょっと寂しい。


「いつ見ても素敵…」

「えっ?」


 フラベーナちゃんはオレのドレスをひんむいたあとに出てきたものに見とれている。フラベーナちゃんの目線はオレの胸に釘付けだ。

 あっ…、ブラジャー姿を見せたのは初めてだ…。というか、こんなに胸が大きくなってから裸になったのも初めてだ…。

 あれ?「いつ見ても」?いつもオレの裸を見ているってことなのか?

 あー…。保健室で目覚めるときは、何が起こったのか考えるのを放棄しているけど、最初にオレがバラバラにされたときも、オレは裸をさらしたっぽいし、そのあとも裸にされていないわけないか…。


 オレってもう、隠すところなんて何もないんじゃないだろうか…。


「また大きくなったね…」

「そ、そうかな…」


 フラベーナちゃんは、果実の生長日記を付けているような気分で、オレに成った二つの果実の成長を喜んでいるのではなかろうか。


 十五着のドレスをローテーションで着ていて毎回生地を継ぎ足しているから、たしかに大きくなっているのだろう…。もう継ぎ足しなんて毎日やっていることだから、それが何を意味するのか忘れていた。

 オレの胸はもう、少なくとも胴の幅よりも大きくて、そろそろ肩幅に届きそうだ。オレの身体は小さいから絶対的にはたいした大きさではないけど、身体に対する相対的な大きさを考えると、これはもう巨乳といっていいのではないだろうか…。オレって、アンネリーゼの大好きなロリ巨乳幼女なのでは…。


 四歳児はこんなに大きな胸を携えていていいのだろうか。いや、身長もかなり伸びているし、もう四歳児には見えないだろう。それでも、六歳か七歳くらいの身長だとすると、やっぱりこの胸は大きすぎるのではないだろうか…。


 まあでもこの世界の人間は早熟だし、これくらいの成長もアリなのかな…。アリってことにしよう…。


「脱がすね…」

「うん…」


 フラベーナちゃんがオレの背中のホックを外すと、ブラが緩んでカップの空間が広がり、オレの胸がプルルンと解放される。

 フラベーナちゃんはドレスのときと違って、ブラの肩紐を腕から優しく抜いて、脱がしてくれた…。

 可愛い王女様にオレがブラを脱がしてもらっているって、とても恥ずかしいんだけど…。


「ホント…、いつ見ても綺麗…」

「…」


 やっぱりいつも見てるんだ…。


 修学旅行とかで男どうしで風呂に入ったことはあったと思う。でも、男どうしで胸なんて気にしたことがない。いや…、男が気にするのは…。


 女の子は一緒に風呂に入るときに、こうやって胸を気にしたりするものなのだろうか…。胸を見せるのがこんなにも恥ずかしいなんて…。

 それとも、オレは男だったから胸を見せるのが恥ずかしいのだろうか…。


「こっちも脱がすね」

「うん…」


 フラベーナちゃんはオレのパンツを下ろし始めた。



 突然、後ろからガバッと…、胸を捕まれて揉まれた…。


「きゃっ…。ああん…」


 オレの喉から、自分で聞いたこともない声が発せられた…。


「ちょっお姉様!」

「いいじゃない、いつも最初にやっているんだから!」


 えええ…。オレっていつも胸を揉まれているの?オレはいつも何をされているんだ…。

 後ろを振り向いたらデルスピーナちゃんがいた。オレの胸を揉んでいるのはデルスピーナちゃんだ。そして、デルスピーナちゃんはもう全部脱ぎ終わっている。


 もしかしてと思ったけど、デルスピーナちゃんの胸は膨らんでいなかった。まあ、オレも胸が膨らみ始めたのは四歳になってからだったし。

 だけど、デルスピーナちゃんの柔らかい肌がオレの背中に触れて、なんだかとても気持ちいい…。女の子って身体全体が柔らかくて、触れあっているだけで気持ちいい…。


「今度は私よ」

「いいからもう入りましょ」

「むー」


 パリナは胸をオレの揉む役を変われと言ったのだろうか。オレはいつも交代で胸を揉まれているのだろうか…。

 でもデルスピーナちゃんに阻まれて、パリナはふくれっ面をしていた。

 オレはバックを取られて胸をわしづかみにされたまま浴室に入ることになった。



「フラベーナも早く脱いだら?」

「分かってますっ!」


 デルスピーナちゃんに浴室に連れていかれつつも、オレはフラベーナちゃんが脱ぐと聞かされて、フラベーナちゃんのほうを向かずにはいられなかった。


 フラベーナちゃんの脱ぎ方、豪快…。土魔法を使って一瞬でドレスを繊維の塊に戻してしまった…。あれ、みんなもしかしてこんな感じ?

 フラベーナちゃんの裸…。いやいや、オレは二歳児の裸を見て何を考えているんだ…。でも、ちょっとくらいいいじゃんか。好きな子が裸になったのを見るくらい。


 しかし、フラベーナちゃんはデルスピーナちゃんより発育が良いんじゃなかろうか。身長や体つきとか、すでにデルスピーナちゃんを超えているような。

 やはり、いくら女神であるアンネリーゼの血を引いてるからといっても、人間であるマイア王の腹から生まれたデルスピーナちゃんよりも、女神であるアンネリーゼの腹から生まれたフラベーナちゃんのほうが、女神成分が多いのだろう。

 ちなみに、胸はやっぱり膨らんでいない。


「システィナ…」

「あっ、ごめん」


 オレはフラベーナちゃんの姿をかなりじっくり見ていたのではなかろうか。いくら好きな人だからって、オレたちはまだ恋人とか夫婦ではないんだし、こんなにマジマジと見ていたら…、


「もっと見て…」

「えっ、うん…」


 フラベーナちゃんは受け入れてくれた…。女の子に見てほしいって言われたら、見るしかないだろう…。


「もう!二人の世界に浸っていないで早くしなさいよ!今日はみんなでシスティナの背中を流すって約束でしょ?」

「あ…、ごめんなさい」


 フラベーナちゃんと二人で顔を赤らめながら、互いの身体を見つめ合う時間はすぐに終わってしまった…。



 で、オレはデルスピーナちゃんに後ろから胸をわしづかみにされたまま浴室に入って、


「ここに座って」

「はい」


 オレは風呂用の小さな椅子に腰掛けた。

 えっと、背中を流してもらうんだっけ…。


「ああああああああああああん…」


 オレはあられもない声を上げてしまった…。

 今のは何?気持ちよすぎて頭が真っ白になりそう…。


「お姉様、次は私がやりたいです」

「いいわよ、グリシーラ」


「ああああああん…」


 またもやオレは声を上げずにはいられなかった。

 グリシーラちゃんは何をやった?デルスピーナちゃんもグリシーラちゃんもオレの背中を流してくれたんじゃないのか?まったくお湯を掛けたとかではなさそうなんだが…。


「ちょっとお姉様、グリシーラ!私のシスティナよ!」


「あああああああああああああああああん…」


 今度はフラベーナちゃんの声が聞こえたかと思うと、意識が飛びそうになるほどの、今までで最高の快感が襲ってきた。


「可愛いいいっ!」


「じゃあ次は私ね」

「あああああん…」

「次は私がやるー」

「あああああん…」


 パリナとプレナかな…。もうだんだん頭がおかしくなってきて…。




「あああああああああああああああん…。ちょっと…、ジフラーナ、すごいわっ」

「ジフラーナ、次、お願い。あああああああああああああああん…」


 フラベーナちゃんのあられもない声で目覚めると、お風呂に設置されたベッドの上だった。なんでお風呂にベッドがあるんだ…。

 そして、デルスピーナちゃんがジフラーナに何か催促して、デルスピーナちゃんのあえぎ声が響いた。


「はぁ…、はぁ…。次はパリナよ。ジフラーナはすごいわよ。アンネお母様と同じくらい」

「ホント?お願い、ジフラーナ。あああああああああああああん…」


 デルスピーナちゃんからパリナに交替すると、今度はパリナの声だ。

 ベッドに寝そべったままみんなが何をやっているのか見ると、ジフラーナがみんなの背中を触っているようだ。背中を触ることが背中を流すということなのだろうか?


 たくさんの裸の女の子たちが、浴室の床に転がってしまっている…。


『システィナ、こっちにおいで』

「えっ」


「システィナ、ジフラーナに背中を流してもらったほうがいいよ」

「わ、わかった…」


 フラベーナちゃんに言われて、オレはまた小さな椅子に腰を掛けた。


「あああああああああああああああああああん…」



 気がつくと、またベッドの上だ。


「システィナ、気がついたね。湯船に入ってきて」

「えっ…、うん…」


 なんだか意識がはっきりしない。フラベーナちゃんに誘われるがまま、オレはベッドから起き上がり、湯船に入った。

 どうやら、みんな湯船にいるようだ。ぶっちゃけ二十人もいたら、一人くらい欠けていても分からない。


「はぁ…」

「気持ちいいよね!」

「うん…」


「あふんっ…」

「ダメよ、それは私のなのよ!」

「独り占めしないでよ」


 いつの間にかまた後ろにデルスピーナちゃんがいて、手を前に回してオレの胸を揉んでいた。オレはそれが気持ちよくて、変な声を出してしまった。

 それに対して、フラベーナちゃんがぷんぷんと怒っている姿が可愛い。


 次々とオレの後ろの女の子が交替して、オレの胸を後ろから揉んでいく。中には他の子が後ろから揉んでいる間に前から揉んでいく子もいる。すると、いちど後ろから揉んだ子も「ずるい、私も」というふうに、前から揉み始める。

 そのうちに、胸以外のお尻や太ももとか、二の腕とか頬とか、いろんなところにエスカレートしていく。

 オレはいつもこんな風にもみくちゃにされているのだろうか。もう、とても気分が良いし、いつもどんな風にされていてもいいや。




「そろそろ上がりましょ」

「うん…」


 まだ意識がもうろうとしている。

 風呂から上がって脱衣所に出ると、


「はい、着せてあげるね」

「ありがと」


 フラベーナちゃんに着せられた。無意識のままに脚と袖を通した。


「可愛い!」

「うん?」


 フラベーナちゃんが可愛いと言っているけど、誰のことだろう。可愛いと言っているフラベーナちゃんの仕草が可愛いよ。


 脱衣所から出ると、出発時にいたメイド四人がいつの間にかいて、食事を用意してくれていた。

 それよりも、みんな寝間着だ。ネグリジェというやつか。ちょっと下着チックな雰囲気の、ゆるいワンピースで、スカートはやっぱり股下ゼロセンチだ。


 夕食をキャッキャうふふしながらいただいた。頭がふわふわしていて、会話の内容までは覚えていない。


 っていうか、みんな寝間着でご飯を食べるのか。オレだって一人の時はそういう日もあるけどさ。


「さあ行きましょ」

「うん」


 フラベーナちゃんがオレの右腕を両手で抱いて引っ張っていく。

 移動した先は寝室のベッドだ。子供二十人くらい寝られる正方形に近い大きなベッドだ。

 すでに他の十九人の子がベッドの上で適当にすごしてる。


「システィナはここね」

「うん」


 言われるがまま、ベッドの真ん中に移動した。


「さあ寝ましょ」


 フラベーナちゃんがオレの右腕を抱えたまま、俺と一緒に横になった。


「うふっ」


 左側から声がして、ふと振り向くとデルスピーナちゃんがオレの左腕を両手で抱いていた。


「お姉様、明日は私に隣を譲ってください…」


 グリシーラちゃんが、オレの頭の上側に座ってしょんぼりしている。おもむろにオレの頭を持ち上げて自分の太ももに乗せて膝枕をした。


 グリシーラちゃんとフラベーナちゃんは誕生日が数日しか離れていないらしいが、フラベーナちゃんは発育が良く、デルスピーナちゃんを追い越しつつある。どちらかというと、グリシーラちゃんだけが、双子のデルスピーナちゃんとフラベーナちゃんの妹って感じがするし、三人の中では比較的おしとやかなお姫様って感じがして、とても可愛らしい。


「えー、デルスピーナお姉様に言って」

「フラベーナは毎日隣なんてずるいわ」

「システィナは私のなのよ!」


「じゃあ、私は下でいいよ」


 プレナがオレの足側に寝転んで、そのままもぞもぞと上に上がってきた。オレの足と足の間を頭で割って強引に入ってきて、そのままさらに上に上がってきて…


「はぁん…」


 太ももにプレナの髪が触れたとき、オレは気持ち良くて声を漏らしてしまった…。


「ちょっと!何それ!ずるい!」


 フラベーナちゃんがぷんぷんして怒ってる姿は可愛い。


「じゃあ、私は裏」


 どこからともなくティノイカがオレの背中の裏にもぞもぞと潜り込んできた。四歳のオレが一歳のティノイカを潰してしまってもいいのだろうか…。みんな頑丈だから大丈夫か…。


「あふっ…」


 ティノイカがオレの背中に触れると、オレはまたもや気持ち良くなって声を漏らした…。


「それなら、私が前をもらうね!」


 突然上から銀色の何かが振ってきた。オレが最後に聞くのは、いつもプロセーラの声だ。




「うう~ん」

「おはよっ」


 目覚めるとフラベーナちゃんの笑顔だ。


「おはよ…う?ってうわっ」

「うわっ、てそんなに驚くことないでしょ」

「だって…」


 ここは二十人くらい子供が寝られそうなベッドの部屋だ。フラベーナちゃんとオレしかいない。オレはフラベーナちゃんと寝たのかな…。

 フラベーナちゃんはネグリジェを着ている。とても可愛い。ちょっと下着っぽい雰囲気で、ゆったりとしたワンピースだ。スカートの丈は、もちろん股下ゼロセンチだ。


「昨日は楽しかったね!」

「えっ、うん…」


 えっと…。昨日は脱衣所でフラベーナちゃんの服を脱いだ姿が目に焼き付いているところまでは覚えている…。そのあとどうしたんだっけ…。


「さっ、みんなもう着替えているよ」

「わかった。着替える。って、あっ…」


 オレは何を着ているんだ…。ネグリジェじゃないか…。しかも胸は大きくはだけていてこぼれそうだし、スケスケで透過率七〇パーセントといったところか…。これはランジェリーというやつではなかろうか…。

 かろうじて大事なところだけは厚くて見えないようになっているけど、身体のラインが丸見えだ…。


 どうやら裸は何度か見られてしまっているみたいだけど、これは裸より恥ずかしい…。完全に見えてしまっているより、あともう少しで見えちゃうとか、一部がはみ出してしまっているってのがいちばん恥ずかしい…。


「はい、システィナのブラとドレス、持ってきたよ」

「ありがとう…」


 オレがあたふたしている間に、フラベーナちゃんはドレスを着替えていた。そんなに長い間あたふたしていたかな…。あ、昨日フラベーナちゃんは自分のドレスを魔法で生地の塊に戻していたから、着るのも魔法で一瞬だったのか。オレの魔力ではそこまでできないんだよな…。

 そのスケスケのネグリジェを脱いで、まず、ブラジャーを付けていると…


「それってそういうふうに付けるんだね」

「うん…」


 ブラを前後逆に止めて回しているところをフラベーナちゃんにまじまじと見られるなんて、恥ずかしすぎる…。


 それから、フラベーナちゃんのくれたドレスに袖を通した。おかしい…。このドレスはこんなんだったかな…。胸元は首まで長さがあったような…。でも今は、胸の大事なところの少し上までしか長さがない…。そういえは、昨日脱がされるときに破かれたような…。破かれたからこんなふうになってしまったのだろうか…。縁は綺麗に揃えてあるけど…。

 それに、ブラのカップだってもうちょっと上までカバーしていたはずなのに、今はドレスと同じで、大事なところの少し上までしかカバーしていない…。


「着替えたなら行こうよ。ご飯の時間なくなっちゃうよ」

「えっ、うん…」


 オレは服の変化について悩む暇もなく、フラベーナちゃんはオレの腕を両手で抱いて、強引に寝室から連れ出した。

 なんだかパンツも通気性がいい…。いつもと違う気がする…。だけど、ここでフラベーナちゃんに連れていかれながら自分のスカートをめくってパンツを確認したら、ちょっとおかしい人だと思われてしまいそうだ…。

 それに、胸の上側が開いているせいで、ブラのフィット感が弱くなっていて、ちょっと歩いただけで胸が揺れてしまう。激しく動くと、上からこぼれ落ちてしまいそうだ…。


 朝食を終えて狩りに出る前にトイレに入った。そして、用を足すためにパンツを下ろす前に、自分のスカートをめくって中を覗いた。

 大事なところだけは隠れているが、それ以外は紐だ。紐を横で蝶結びしてある。この紐を引っ張ると簡単に脱げてしまいそうだ。後ろはお尻が上からも下からもはみ出ている。


 オレは昨日のお風呂に入ってからの記憶がない。これは誰の仕業だろう…。水着をくれたアルゾナだろうか…。だとしても、フラベーナちゃんはよしとしたのだろうか…。朝はオレのこの姿を見て、フラベーナちゃんは驚いたりしていなかったから、フラベーナちゃんの承認済みなんだろうな…。


 ガシャンっ。


「システィナ、まだぁ?」

「ちょゎっ、フラベーナちゃん!」


 トイレには鍵をかけていたはずだけど、神のお力で封印は破られた。


「システィナ、あ、それね、可愛いでしょ。私が作ったんだよ。システィナにぴったり」

「あ、これはその…」


 突っ立って自分のスカートをめくってパンツを眺めているところを見られてしまった…。

 っていうか、えっ、アルゾナの好みじゃなくて、フラベーナちゃんの好みで作ったんだ…。


「ブラとドレスも、今のシスティナに合うように仕立て直したんだよ。だっていつまでも同じドレス着ているんだもん。システィナはもう大人のドレス着ていいんだよ」

「そ、そっか…」


 オレ…、まだ四歳なんだけど大人なんだ…。まあファンタジー世界だからこれくらいで驚かないけど…。


 そして、オレは用を足すのを忘れて出発してしまった。

 おしっこに行きたいのだけど、オレは「お花摘み」というのをどうやっていいか分からず、我慢して魔物退治に取りかかることになった…。


 その日はなぜか敵が多くて、チームAにも出番が回ってきた。数で攻めてくるタイプで一メートルくらいの猿のような魔物だ。

 フラベーナちゃんもデルスピーナちゃんも手が空いておらず、オレが対峙することとなった。


 オレはスカートの裏に手を入れて、影収納から右手で剣を出して振り上げた。学校のときと違って真剣だ。

 すると、胸がぽよんと弾んで、ブラからこぼれ落ち…そうになった…。しまった…。忘れていた…。

 慌てて左手で胸を押さえた。慌てたためか、そのとき変なところに力が入ってしまい、おしっこが漏れそうになってしまった…。ハイヒールで足下が不安定で歩くたびにおしっこが漏れそうになるのを助長している。でも、身体強化で漏れそうになるおしっこを何とかせき止めた。


 でも、これ以上動くとまた漏れそうになってしまう。オレは内股でもじもじ歩きながら、猿の魔物に向かっていく。周りで「キャーっ!システィナ、可愛い!」とかいう黄色い声が聞こえるが、気にしている場合ではない。

 今度こそ左手で胸を押さえながら、右手で剣を振り上げて、猿の魔物に振り下ろした。オレはなんとか魔物を仕留めた。

 でも、そのときに右腕に身体強化を集中してしまったのが徒になった…。膀胱への身体強化がおろそかになり、オレはついにおしっこを漏らしてしまった…。

 一生の不覚…。魔法を覚えてからお漏らしなんてしたことなかったのに…。


 オレはへたり込んで女の子座りしていると、涙がこみ上げてきた…。


「システィナ、どうしたの?」

「……」


 フラベーナちゃんがいちばんにかけつけて、塞ぎ込んでいるオレに声をかけてくれた。

 でも、なんて返したらいいのか分からない。


「何これ…、水…。おしっこ?」

「…」


 うう…。オレはみんなの足手まといのお漏らしくんだ…。

 そういえばフラベーナちゃんは二歳なんだから、お漏らしなんてしないよな。ゼロ歳のときからしていない気がするけど。

 お漏らしどころかトイレに行っているところも見たことがない。そりゃ、美人なんだからトイレに行くわけないか。


「システィナ、おむつしてないの?」

「…」


 前世でオレのおむつがいつ取れたのか知らないけど、少なくともこの世界に生を受けてから一年以上スラムで全裸だったし、アンネリーゼに拾われてからもお漏らしなんてしないから、おむつなんてしたことない。


「そういえばいつもしてなかったか」

「…」


 オレがいつもおむつをしていないことをどうして知っているんだろう…。


「でもお漏らししちゃったんだよね」

「……」


 はぁ…。大好きな女の子にお漏らしがバレちゃったなんて…。もうお嫁に行けない…。


「じゃあ、私の貸してあげるね」

「……?」


 フラベーナちゃんは、自分のスカートに前から手を入れて、何やらもぞもぞやっている…。影収納かな?


「はい」

「えっ…」


 フラベーナちゃんは、スカートの中から小さな布のようなものをオレに差し出した。これがおむつ?


「もう、付けてあげる」

「えっ、あふん…」


 フラベーナちゃんは、女の子座りをしていたオレのパンツに布を挟んだ…。なんだか暖かい…。


「まだ一回しかしてないから安心してね」

「えっ」


 一回何をしたって?


「私がしたくなったらそのときは返してね」

「えっ」


 ちょっと待って。一回したのはおしっこで、フラベーナちゃんがおしっこをしたくなったときに返せって?

 さっきスカートに手を入れていたのって、影収納じゃなくて…。

 フラベーナちゃん今まで使っていたおむつ…。なんだかフラベーナちゃんが支えてくれている気がして心強い。


「さっ、次いきましょ」

「うん…」


 いつのまにか涙は止まっていた。

 そして、おしっこで濡れていた脚も乾いている。パンツもすごく薄いのが幸いして、すでに乾いている。

 オレはフラベーナちゃんと二人ならどこまで歩いて行ける気がする。

 その後、オレは安心しておしっこをおむつに漏らした。おしっこは、パンツも肌も濡らすことはなかった。おむつすげー…。



 しばらく魔物と戦ったあと、


「システィナ、返して!」

「ひゃっ…」


 スカートの中のぬくもりを失う喪失感。

 フラベーナちゃんが目にも止まらぬ早業でオレのスカートに手を入れて、おむつを奪っていった。オレがそれに気がついて、内股になってスカートを抑えたときには、フラベーナちゃんはすでに自分のスカートに手を入れてもぞもぞやっていた。


「ふー…。はい」

「はぅ…」


 スカートの中に訪れるぬくもりと安心感。

 フラベーナちゃんはふたたび目にも止まらぬ速さで自分のスカートの前から手を入れておむつを取り出し、それをオレのパンツに挟んだ。もちろん、オレが気がついて再び内股になってスカートを抑えたときには、すべてが終わっていた。

 フラベーナちゃんがおむつにおしっこを追加してオレに返してくれたのか…。相変わらず湿ったりはしていないけど暖かい…。フラベーナちゃんのぬくもり…。



 お昼の時間になると、ジフラーナが魔道テントを設置してくれた。


「システィナはおむつを持っていないんだよね?」

「えっ、うん」

「じゃあ、今しているのはあげる。あとテントに予備があるから、いくつか影収納に入れておきなよ」

「あ、ありがと…。あの…、みんなおむつしてるの?」

「うん」

「そうなんだ…」


 どうりでみんなトイレに行くところを見ないわけだ。みんな美人だからトイレに行けないんだな。その代わりのおむつってわけだ。

 いやいやそうじゃなくて、フラベーナちゃんはまだ二歳だし、他にもゼロ歳の子だっているんだから、おむつをしていても不思議じゃないよな…。

 四歳でおむつっていったらちょっと恥ずかしいけど、いないわけじゃないよな…。



 昼食を取って、魔物狩りを再開して、そして、また夜…。


「さあ、お風呂だよ」

「うん」


 フラベーナちゃん手を引かれて脱衣所に行くと、フラベーナちゃんはオレのドレスを脱がし始めたけど途中で面倒になってビリビリと破いていた。


「素敵…」


 ブラからこぼれ落ちそうなオレの胸を見てそう言った。

 フラベーナちゃんは、オレのブラの上から指を入れて、少しめくった。すると、オレの胸はブラからぷるんと飛び出した。


「はう…」

「ああん、もう一回!」

「あああん…」


 フラベーナちゃんは、オレの胸をふたたびブラに収めて、またぷるんと発射して遊んでいる。


「早くしなさいよ!」


 後ろからデルスピーナちゃんの声がした。ブラのホックが外されて、オレの胸がぶるるんとこぼれ落ちた。


「手伝いますわ」

「あわゎ…」


 今度はペルセラがオレのパンツを脱がしている…。蝶結びの紐を引っ張るだけだから、脚を通すまでもなく脱がされてしまった。

 そして、挟んでいたおむつがぽろんっと落ちてしまった。ああ、フラベーナちゃんのぬくもりが…。


「もう…、私が脱がしたいのに…」


 フラベーナちゃんはぷんぷんと怒りながら、自分のドレスを土魔法で生地に戻していた。



 今日もデルスピーナちゃんに後ろから胸をわしづかみにされながら浴室に連れていかれた。さっき失ったフラベーナちゃんのぬくもりを横目に。


 浴室に入ると、


「あああああああん…」


 デルスピーナちゃんに背中を触れられた。とても気持ちが良かった…。


「ちょっと、まだ座ってもないのに!」

「ああああああああああああああん…」


 フラベーナちゃんが背中に割って入ってきて、オレの背中に触れた。デルスピーナちゃんよりも気持ちいい…。


「私もやるわ」「オレも!」「調査する」「ボクも!」「ああん、システィナ可愛いわ!」

「あああああん…。あああああん…。あああああん…。あああああん…。あああああん…」


 オレ椅子に腰掛けることもできず、床にへたり込んで女の子座りになってしまった。

 イスマイラとゾーラとエレナとリザベルとナーラがオレの背中に触れると、それがまた気持ちよかった…。


「私もやるわよぉ~」「僭越ながら」

「あああああん…。あああああん…」


 今度はアルゾナとプラチナだ…。


 はぁ…はぁ…。みんな基本的に背中に触っているだけなのに、なんでこんなに気持ちいいんだ…。

 ああ…、思い出した…。これは学校の授業で習った、カイロプラクティックの魔法だ…。背骨の関節の筋肉をほぐすと、内臓の血行が良くなって、全身が気持ちよくなるというやつだ。


 ああ…、昨日も同じことをやってもらった気がする…。あまりの気持ちよさに、記憶が飛んでしまっていた…。



 そして、暖かいお風呂につかるのもまた気持ちいい…。

 でも…、


「また大きくなったわ」

「お姉様、それは私のだと何度言ったら」

「私も触りたいです…」


 デルスピーナちゃんはなぜオレのバックを取って、オレの胸をわしづかみにするのだろう…。

 それに対抗してフラベーナちゃんが前から胸を揉んでくる…。

 そして、グリシーラちゃんが物欲しそうに指をくわえて、隣で見ている。

 他の子もみんな目を光らせてオレの周りを囲んでいる。


 しかし、これはこれでカイロプラクティックとはまた違った気持ちよさがあって、抗う気にはなれないのである…。



 お風呂から上がると…。


「今日も着せてあげるね」

「自分で着られるよぅ…」


 フラベーナちゃんに渡されたのは、今朝脱いだスケスケのネグリジェとパンツだ。

 渡されたネグリジェを前に持って、着るのを躊躇していると…


「ほら、着せてあげるってば」

「はう」


 ネグリジェを取り上げられて、上から被された。

 そして、またエグいパンツをはかされた…。脚を通すまでもなく布を股に通されて、横の紐を結ばれた。ゴム紐なのだけど、ちょっと緩くてずり落ちそう…。もうちょっときつく縛ってほしい…。


 みんな普通のネグリジェなのに、なんで俺だけ…。いや、まあ三歳児がスケスケのネグリジェ着てもね…。いやいや、オレだって四歳児なのに。

 でも最近、オレは身長がかなり伸びてきたし、胸も体型も大人っぽくなってきているから、みんなはオレにこういうのを着てほしいのかな…。



 そして、夕食を取って、


「さあ、寝よっ!」

「うん」


 フラベーナちゃんに手を引かれて、ベッドの中央へ。なんでオレが中央なんだ…。昨日もこうだったのだろうか…。


「フラベーナ、今日はあなたはこっちよ」

「いやよ、そんな離れたところ!」


 デルスピーナちゃんとフラベーナちゃんの熾烈な戦い。


「これは今日の配置図よ。マイアお母様たちが使っているアプリをインストールしたわ」


 デルスピーナちゃんはスマホを出して、みんなに見せている。

 配置図?マイア王のアプリ?何それ?


「いやよ、こんなところ。システィナは私のなのよ!」

「いつもいつもそんなこと言って、自分だけずるいわ」


 フラベーナちゃんから私のもの宣言いただきました。あれ、これって相思相愛なんじゃないの?

 って、いつも言っているの?昨日もオレの意識がない間に言っていたのかな。あとは、オレが取り合いされて意識がなくなったときとかにも言っているのかな。


 どうしよう。オレはフラベーナちゃんが好きで、フラベーナちゃんもオレのことを…、いやいや、好きとは言っていない…。自分のものって…。

 それに、他の子もなんでオレを取り合いするんだ…。オレのために争わないで…。いつも思う…。


「私がシスティナの前なの!」

「わっ。ん~…」


 フラベーナちゃんがオレにガバッと覆い被さってきた。そして、顔をオレの胸にうずめている…。ああ…。もっとやってほしい…。


「私はここよぉ」

「あふん…」


 アルゾナがオレの脚と脚の間に頭を突っ込んできた…。アルゾナの髪の毛が太ももに触れると少しくすぐったい…。

 でもそれだと、上に乗っているフラベーナちゃんに蹴られそうじゃない?


「今日は私が裏をいただきます…」


 オレの背中にもぞもぞと入り込んできたのはプラチナ。いやいや、潰れちゃうよ…。オレ、みんなよりけっこうおっきいよ。


「今日は左が空いてます!」


 オレの左腕を胸に抱いているのはグリシーラちゃん。


「じゃあオレが右をもらった!」


 オレの右腕を掴んだのはオレっ子のゾーラ。


「私、上にする…」


 オレの頭の上で座って、オレの頭を持ち上げて自分の太ももに乗せたのはコルトラ。


「もう!全然アプリどおりじゃないわ!」


 デルスピーナちゃんは、スマホをぶん投げた。それは壁に突き刺さった。マジこええ…。

 そして、


「フラベーナ、どきなさい!」

「いやよ!」


 デルスピーナちゃんはフラベーナちゃんをオレから引き剥がそうとしている。




「おはよっ、システィナ」

「おはよう、フラベーナちゃん」


 昨日の記憶はけっこうはっきりしている。お風呂はとても気持ちよかった…。

 ベッドではオレの横のポジションの奪い合いだった…。いやいや、横はすんなり決まって、前後とか上下とかマニアックなポジションの取り合いをしていたな…。

 とくに前って特等席なのでは…。いやいや、オレの前のポジションが特等席だなんて、オレはうぬぼれすぎだ…。

 まあ、前にくっついて離れなかったのはフラベーナちゃんだ。むしろフラベーナちゃんの前が特等席だ。フラベーナちゃんがオレに特等席を用意してくれたんだ。


 あれ、でもそのあとどうなったのかよく覚えていない。まあ、こういうときは思い出さないに限る。

 とはいえ、これでは寝る前に魔力を枯渇させて寝なかったのではなかろうか。いつもは就寝六時間後に起きてまた魔力を枯渇させるというやり方で、二倍魔力のトレーニングをしているというのに、サボりはよくない。


 こうして、あれよあれよのうちに一週間の魔物退治が終わった。




 オレたちの仕事はむしろこれからだ。

 まず、魔物のいなくなった森の木々を抜く。それから家を建てる。それから、魔物の放牧地を作る。田畑を耕す。ほとんど土魔法の仕事だ。


 さて、木を抜くところから始めよう。

 木は別の地域に植え替えたりするので、伐採してはならない。抜いた木は、ジフラーナの持ってきた魔道倉庫に入れる。


 魔道倉庫とは、中に何も家具のない影収納、つまり影収納そのものである。たんに、誰でも開けられるようになっているだけだ。

 ただ、とんでもない容積だ。大きな闇の精霊を持っているのは、ジフラーナとプロセーラだ。二人の魔力でまかなっているのだろうか。



 続いて、家を建てる。まずは支配者の屋敷だ。

 ここは第四メタゾールになるらしい。でもそれは名前だけで、第二メタゾールと同じで王国の直轄地となるので、王族にふさわしい屋敷を建てなければならない。

 設計図はもらっている。家具や家電、というか生活用魔道具は、魔道倉庫に用意してある。


 ずもももも…。

 屋敷はフラベーナちゃんたちの土魔法で、一瞬にして建った。

 フラベーナちゃんたちはみんな薄緑のチート精霊を持っているので、この程度は一人でもなんとかできてしまいそうだ。

 だけど、このあとがちょっとやっかいだ。建物を光沢のある質感に仕上げるために焼き上げなければならない。

 でも、火魔法のチートキャラ…いた…。フラーラだ。大きな火の精霊が付いている。オレもみんなも手伝ったけど、屋敷の表面の九割をフラーラの火魔法で焼き上げてもらった。

 火・水・風については、オレもみんなもそれほど変わりないのだ。

 


 それから、家具を運び入れる。

 フラベーナちゃんたちは数十キロのタンスなどを、その小さな手で軽々と持ち運んでいる。ゼロ歳のエウレカとアリスもだ。ここでも薄緑のチート精霊で差を付けられている。

 オレだって身体強化を鍛えてるから、数十キロくらい持てないこともないけど、何分も持ち続けていると光の魔力が尽きてしまう。


 メイドさん四人も家具の配置を手伝ってくれている。メイドさんたちは、オレの仲間のようだ。休み休み作業している。身体強化ばかりに頼らないで、自分の筋力も使っているため体力を消耗するようだ。

 一方でオレは、永遠の幼女であり男の()なので、筋肉があまり付かなくなってしまった。おもに身体強化だけで力仕事をしなければならない。もはや最初の設定を無視してどんどん身長は伸びているのに、そういう設定だけは引き継いでいるようである。


 自分たちの家ができたら、魔道炉の設置。とりあえず、屋敷にだけ魔力が供給されればよい。


 初日はこれで終わりだ。基本的に、魔道テントに必要な設備はそろっていたので、屋敷だからといって狩りのときより劇的に快適になったりはしない。

 もちろん、屋敷でもみんなとお風呂やベッドでキャッキャうふふして過ごした。



 次は電波塔の設置。高さ五〇〇メートルの塔だ。いつもフラベーナちゃんにやってもらっているやつだ。


 それから、魔力線を通すための地下通路の掘削。

 それから、住民用の家の建築。

 それから、抜いた木の一部を植えて、魔物を放牧する森の整備。全体を檻で覆う。

 それから、田畑の整備。


 すべてが土木作業であり、フラベーナちゃんたちの土魔法と身体強化頼みだ。小さな女の子、しかも王侯貴族をこんなに顎で使っていいのかとも思うけど、貴族というのは強力な魔法を使うことも貢献として認められるので、これも貴族の仕事の内なのだろう。


 あとは、森で生け捕りにした魔物の整理だ。早くしないと飢え死にしてしまう。

 まずはダチョウだ。鶏肉として食べられるのか、卵は食べられるのか。とりあえず、飼ってみることにした。

 ワイバーン、これは皮を剥げば役に立ちそうだ。

 でっかいモグラ。なんか、生かしておくと爪を無尽蔵に発射してくるらしい?いろいろ使えるかも。

 こんなところだろうか。魔物の森に放牧した。


 こうして、すべての土木作業が終わった。あとは、後日スタッフが機器の設置や魔力線の配線をしたり、農産物の種をまいたり、畜産用の魔物を連れてきたりすれば終わりだ。

 そうすれば、新しい農村、第四メタゾールの完成だ。農村とはいえ、たった数日でできてしまった。さすがフラベーナちゃんたちだ…。オレはほとんど指示しているだけだった…。

■ダイアナ(十一歳)

 永遠の九歳。


■カルボシスティナ(四歳)

 七歳相当の身長と十六歳相当の胸や体型。


■フラベーナ(二歳)

 五歳相当の身長と八歳相当の体型。


■グリシーラ(二歳)

 三歳相当の身長と体型。


■デルスピーナ、パリナ、プレナ、ペルセラ(三歳)

■イスマイラ、ゾーラ、エレナ、リザベル、ナーラ(三歳)

■プラチナ、アルゾナ(三歳)

 五歳相当の身長と八歳相当の体型。


■フラーラ、ティノイカ、プロセーラ、コルトラ(一歳)

 二歳くらいの身長と体型。


■エウレカ、アリス、ジフラーナA・B・C(ゼロ歳)

 一歳くらいの身長と体型。


■メリリーナ(十五歳)、スピラ(十九歳)

■ミカルディア(二十九歳)、コニール(十八歳)、オメルティ(十九歳)、カルスロッテ(十九歳)


◆パープルドラゴンの卵

 ゲットした。

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