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31 地方開拓

「シルバー、ヒト型のときはどれくらい速く走れるんですか?」

「慣れていないので、一〇〇キロくらいです」

「競争してみましょう!」

「はい!」


 馬娘、ならぬ、ペガサス娘のシルバー。馬耳…、馬尻尾…、白鳥っぽい翼…。もふもふで可愛い…。

 耳と尻尾は本人の意思ではしまえないとして、翼は自由に出し入れできるのだけど、メタゾールにいる間は翼をデフォで出すようにしてもらった。だって、天使みたいなんだもん…。

 ちなみに、翼を出せるように、背中の大きく開いたトップスを作るようにした。服を作るのは本人だ。本人が馬からヒト型になるときに、自分の土魔法で縫い上げるのだ。


 ところで、ケンタウロスにはなれないらしい。あれは、馬の首の代わりに人間の胴が付いているのであって、部分的な変身とはいえない。胴が二つあるのはおかしい。

 と思ったら、シルバーの頭の上に付いている馬の耳とは別に、横の髪をかき分けたら人間の耳も付いていた…。耳が増えてる…。どっちでも聞こえるらしい。


 女のケンタウロスって私は知らないな…。とにかくあまりキモい変身はしないでほしい。角も可愛くないから、ヒト型のときは不要。

 耳が余分にあるのは…。たしかに人間の耳がなかったらキモいし、それが正解かも…。

 シルバーは私の好みそうな姿に進化してくれたんだ。なんで私の好みが分かるんだ。私、また光魔法で変な電波を垂れ流しているのかな。

 ドリーのときみたいに、うっかり…私の趣味がダダ漏れになっていたりしないかな…。



「よーい、どん!」


 私の方がわずかに速い。ちなみに、シルバーは走るときも翼を出しっぱなし。普通なら空気抵抗にしかならないけど、追い風の魔法をかけるので、むしろ追い風を受けやすくて有利。脚で踏ん張りやすいように、追い風も少し上から吹き付けてダウンフォースを発生させるのがコツらしい。


「負けました、ご主人様…」

「慣れたら私より速くなるのですかね」

「毎日一緒に練習しましょうよ!」

「そうしましょう!」


 私、馬娘より速いのか…。


「あと、ヒト型のときも私を抱えて飛べるのですか?」

「たぶんできます」


 私はシルバーの前に抱えられて、シルバーと空を飛んだ。馬娘のまねはできても、ペガサス娘のまねはできない。


「空を飛ぶのは気持ちが良いですね」

「はい!私も初めて飛べるようになったんですけどね!」


 着陸すると、アリシアが待っていた。なんだかふくれっ面だ…。


「あ、アリシア!アリシアにも私を抱えて飛んでもらおうかな!」

「うん!」


 普段は翼をしまっているアリシアが翼を出した。すると、簡素なワンピースが破けてしまった。


「あ…、うううぅ…。ごめんなさい」

「いいんですよ。シルバーみたいに、背中の開いたワンピースを作れるようになるといいですね」

「うん…。うわあああん」

「えっ?どうしたの…」

「私、シルバーお姉ちゃんみたいにできないよう…、うわーん…」

「ゆ、ゆっくりやっていけば大丈夫ですよ…」

「うわーん」

「あれ…、あれ…」


 私って、まともな子供を育てるのは初めてなんじゃない?「まともに育てる」ではなくて、「まともな子供」を育てるってことね。

 ダイアナは転生者だからまともな子供とは言えないし、リーフは精霊だし。

 いや、アリシアもドラゴンだから、まともな子供とはいいがたいけど…。アリシアってドラゴンで肉体的にもすでにすごく大きいし、もっと精神的にも成長が速いのかと思っていた。でも、実際の年齢どおりの五歳の女の子だったなんて…。


 それに、「シルバーみたいに」ってのはマズかった…。

 シルバーは何歳だか知らないけど、たぶん私と同じくらい。シルバーも馬なんだから、精神年齢はもっと上でもいいと思うけど…。

 仮に見た目どおりの大人だとすると、アリシアに大人のシルバーと同じようにっていうのは酷だよなぁ…。


「さ、さあ、服はあとで直してあげるから、私を抱えて飛んでみて」

「う、うん…」


 まあ、アリシアに抱えて飛んでもらうのなら、ドラゴン形態のときでも試せたはずなのだけど…。


「あれ、あれ…、ああああわわわ」


 アリシアに抱えて飛んでもらっていたら、アリシアはバランスを崩して落下してしまった。


「うわああああん」


 今までドラゴンだから我慢していたのかな…。こんなに泣き虫だったなんて…。それが、ヒト型になって溢れてきてしまったのか…。


 いっぽうで、ワイヤはケロッとしている。ワイヤの母親はダイアナなので、私はおばあちゃんだからね…。


 アリシアもせっかく可愛い女の子になったのだから、もっと可愛がってあげないとだな…。



 そういえば、進化っていうと、生存競争に勝ち残るために環境に適応するってことだと思うけど、例えば、魔物の森の魔物は、人間に対抗するために人間の頭脳や戦闘能力を手に入れたってことなのだろう。

 一方で、シルバーやアリシアが対象としてる生存競争というのは…、他のお嫁さんとの生存競争?他のお嫁さんに勝つための能力…姿形を手に入れたってことなのかな…。


 種として強い固体というのは、異性に魅力的に見えるようになるものだ。立派な角や綺麗な羽などを持ち、そして、異性はそれを本能的に魅力に感じるようにできている。

 シルバーやアリシアは、私が魅力に感じるように進化した…。それはつまり、私との子供を残したいということなのか…。私は異性ではないのだけど…。




 シルバーとアリシアの修羅場もさることながら、最近メイドも殺気立っている…。

 シルバーは最も優秀な使用人という位置づけだったのだ。実際に、今でも私のことをご主人様と呼んでいる。

 つまり、私のことをご主人様と呼ぶ子が、私の嫁に昇格してしまったのだ。


 このことは使用人たちに可能性を与えてしまった。優秀な使用人は私の嫁に昇格できるという可能性を。

 コーリル、リメザ、ポロン、スピラ、そしてヒーラーガールズまで、勉学や戦闘訓練、魔法の修行に余念がない。他のメイドも気合いが入っている。

 ヒーラーガールズは使用人ではないのだけど…。ヒストリア王国や遠征に連れて行っていたときは、臨時雇いの助っ人だ。賃金はちゃんと出しているよ。


 つまり、初代の乳児の魂百まで計画の子の中で、とくに優秀な子たちが、こぞってがんばっているのだ。


「やったぁ!アンネリーゼ様の着せ替えができるようになった!」

「え、先を越された…」


 ちょっと、何の話?

 屋敷の端から端まではかなりの距離があるけど、コーリルとメリザの会話が聞こえた。


「ほらほらぁ」

「可愛い…」

『あんまり他の人に見せないでください…』

「あ、ごめんなさい…」


 ああ…、タブレットの私か…。なるほど…、お触り機能の次は、着せ替え機能だったのか。てっきり、脱ぐのかと思っていた。脱ぐのは早すぎるか。

 私って可愛いと思われているのか…。いや、服が可愛いのかな…。何を着せられているんだろう…。


 メイドたちはタブレットの私で遊ぶに飽き足らず、本物の私の嫁になろうとしている…。いつかそのがんばりに報いねば…。




『シルバー、羽根ちょーだい』

「えっ…、痛い!」


 ダイアナがシルバーの羽根をむしっている!


「ちょっダイアナ!私のシルバーに何するの!」


『あと、角もちょーだい』


 こんどはぐいぐい角を引っ張っている。


「こらっ!」

『離せー、羽毛布団ー!』


 私はダイアナを羽交い締めにした。


「あの…、痛くしないのなら、取っていただいて構いません…」

「えっ…、あなたがそんなことする必要はないんですよ」

「でも…、アリシアはいつもこうしているんですよね…」


 えっ、自分の身体から素材を提供できるアリシアのことがうらやましいのか…。


「お母さん!私のも剥いで!」

「えっ…」


「私の羽根も角も、役に立つならどうぞ使ってください…」

『ほーらね。えいっ』

「痛いです…。痛くしないのならって言ったじゃないですか…」

『ママ、早く麻痺させる!』


「えっ…、ほんとうにいいのですね、シルバー」

「はい…」


 シルバーは私に背中を向けた。


「お母さん!私もぉ!」

「はい…」


 アリシアは、腕だけをドラゴン形態に変化させて、差し出してきた。


 何これ…、ドラゴン形態のアリシアのうろこを剥ぐのも心が痛むというのに、ヒト型の子の翼やうろこをむしったりするなんて、爪を剥ぐに等しい拷問…。


『もたもたしない』

「早く…、優しく…お願いします…」

「お母さん!」


 私は心を痛めながら、二人の皮膚を麻痺させ、羽根やうろこをむしっていった。

 角って、バキってやっちゃっていいのかな…。これも治療魔法で治るよね?


「ねえ、角って何になるの?」

『ママは平気で折ってるけど、これめちゃくちゃ堅い。何に使うかはこれから考える』

「あっそ…」


 それにしても、こんなことまでシルバーとアリシアは張り合ってくるなんて…。私に振り向いてほしくて、身を粉にしちゃって…。物理的に…。修羅場は続く…。




「ねえねえアンネ!卵は?」

「ああ、地下にありますよ…」

「見てくる!」


 クレアはレッドドラゴンの雌が生まれると決めつけている。無精卵かもしれないし、雄かもしれないというのに…。

 でも私は知っている…。卵には小さな意思が芽生えつつあることを。少なくとも有精卵だったのだ!


 ゴールドドラゴンの親は野蛮だった。でも、ワイヤはおとなしいし、言葉も理解できていた。今では変身して言葉をしゃべるようになった。ダイアナみたいに若干片言だけど。

 それはおそらく、私がマッサージして、脳への血流を増加させたことによって、脳が発達したからだ。シルバーだって他の馬だって、マッサージで脳が発達して、人語を理解するようになっている。


「アンネ、ベニシアをなでてくれているんだね!ありがとう!」


 卵をマッサージすることはできないのだけど、私には魔力がある。魔力を込めれば、物理的な障害を無視して、中身にマッサージできる!

 というわけで、レッドドラゴンの…、ベニシア?を魔力でマッサージだ。雄だったらどうするんだよ。

 知的で温厚に育つといいな。



 ベニシアが生まれたらすぐ進化の泉に連れていけばいいのかな。物心ついて、人間の姿になることこそが生存競争に生き残るすべだと認識しないとダメか。


 ベニシア以外だと、知能を鍛えた魔物…動物って、シルバーの弟子の馬くらいしかいないな。みんな人間になりたいか今度ヒアリングするか。




 ロザリーの紹介でやってきたラメルテオン領付近のお嬢様、クローナ・ランドセン伯爵令嬢、メレーナ・メキサム伯爵令嬢、ソラーナ・アンブラム侯爵令嬢、エリス・フルジアン侯爵令嬢の四人組を一時的に各領地に返して、各領地の改革を始めるときがやって来た。

 その際に、ラメルテオンの近くに取得した新しい魔物の森を開拓してしまおうと思うのだけど、


「アンネリーゼ様!私たちにも森の開拓を手伝わせてください!」

「その森から時折外に出てくる魔物の被害で、わたくしたちの領も被害を受けていたのですわ」

「修行の成果、見せたいです」

「今度こそ~私たちも~お役に立ちたいんですぅ~~」


 四人は自分の領地のために頑張りたいんだね。


「アンネ、いいのではないでしょうか。自分の地を自分で守りたいのです」

「そうですね。この前の開拓で分かりましたが、厳重に守りを固めれば危ないこともないでしょう」


「さらに提案なのですけど、現地付近のハンターを雇ってはどうでしょう。

 ラメルテオンも含めた五領から常駐しているハンターを半分ずつ駆り出せば、一五〇人くらいになります。

 二パーティをくっつけて十人で敵一体に当たるようにすれば、大きな怪我も負わずに済むのではありませんかね」


「そうですねえ。現地の皆さんの結束を高めるのにもいいかもしれませんね」


 ラメルテオンと同じように、他の四領も国境付近なので、魔物の被害が多い。国境だけでも大変なのに、国の内側にも魔物の素があるから、両方から襲撃を受けて板挟みになったりもする。

 ここで、この五領が力を合わせて魔物の森の魔物を駆逐したとなれば、領どうしの友好関係が結べるかもしれない。


 

「というわけなので、今回はお嬢様隊とマイア隊を不参加としたいのですが…」


「お嬢様隊はナシだっていうのに、ロザリーはそっちの子たちとパーティを組むんでしょ?」

「私たちも入れてよ…。足手まといにはならないから…」


「私やヒーラーガールズのフォローできる人数にも限度があります。今回は地元民の彼女らに譲ってあげてくださいよ」


「しかたがないわね…」

「分かったよ。みんな、がんばってきてね」


「「「「「はい!」」」」」


 ヒルダとクレアには参加しないことで納得してもらった。


「はぁ…、アンネお姉様はちょっと目を離すと、すぐに嫁を連れてくるというのに、それを何日も見過ごせというのですね」

「いえ、そういうわけでは…」

「この前もあの数十分だけで三人ですよ!何日も放っておいたら、あっという間に百人も二百人も増やすでしょう!」

「そんなやたらには増やしたりはしませんよ…」

「ほらやっぱり一人か二人は連れてくる気なのでしょう!」

「あっ…、それは素敵な出会いがあればそういうこともあるということで…」

「もう知りません!何人増やしてもかまいませんが、アンネお姉様には私の正室になっていただきますからね!」

「はい…」


 マイア姫の了承を得た。みんなを私の側室にしてもらえるのならマイア姫の正室もやぶさかではない。

 冒険すると嫁を拾ってしまうのはしかたがないことだ。

 いやいや、前回は元からいた子が嫁に昇格したのであって…。嫁っていうか、アリシアは娘でワイヤは孫だけど…。





 ラメルテオン領のハンターギルドにて。受付嬢が手をぷるぷるさせながら掲示板に一枚の依頼要項を貼り付けた。

 それをハンターたちが覗きに来た。


「おい…、この依頼…」

「アンネリーゼ・メタゾール侯爵様って…」

「このスマホの聖女様だろ!」


『はい、今回は私からの依頼です』


 ラメルテオンの領民とハンターには、格安でスマホが配られていた。タブレットも選べるが、持ち運ぶには大きいためスマホを選択した。


『『『『『詳しく説明しますね』』』』』


 ハンターギルドにいるハンター全員のスマホが、同期して話し始めた。


『『『『『…以上です。依頼を受けていただける方は、このボタンをタッ…』』』』』


「もちろんやるぜ!」

「私も!」

「俺たちは受ける」

「おれもれも」


『『『『『お気持ちは大変嬉しいのですが、ラメルテオンのハンター全員から応募いただいてしまいました…』』』』』


 仕事に行っているハンターのスマホにも、依頼の案内は来ていた。


『『『『『誠に勝手ながら、抽選で選ばせていただきます。パーティを分離したりはしません。それでは、依頼を受けていただくのは…』』』』』


『あなたです』

『あなたのパーティです』

『すみません、今回は抽選に漏れてしまいました…。またの機会にお願いします…』


 今まですべてのスマホでそろっていた声が、別々のことを言い始めた。


「「やった!」」

「くそー」


『『依頼のオンライン受け付けは完了しました。十日後にラメルテオン領のハンターギルドの前に集合してください』』


「分かったぜ、アンネリーゼ様!」

『よろしくお願いします』


 抽選に当たった者のスマホから、受付完了の旨が伝えられた。


 一方で、受付嬢のタブレットには、オンライン受付された者たちのリストが表示された。

 ハンターギルドの業務は、オンライン化されていた!オンライン依頼受付システムだ!


 討伐の証拠となる部位の持ち帰りの代わりに、写真を撮ることもできる。もちろん、ズルできないように、同じ個体はカウントされない。


 残念ながら、他の四領への依頼は、従来通りマニュアルだ。といっても、ラメルテオンギルドにオンラインで依頼して、他の四領に依頼を出しに行ってもらい、当日の二日前に応募状況を確認しにいってもらうということをやった。


 ちなみに、ラメルテオンギルドのオンライン化に伴って、メタゾールでもオンライン化を導入した。いまだにアンネリーゼの常時依頼しかないが。





 というわけで、五領のハンターギルドに依頼を出した。現在は各領に六十人のハンターが常駐しているようなので、募集人数は各領三十人から三十五人。

 もともとハンターパーティの人数はバラバラだし、ソロプレイヤーもいたりするけど、最終的には十五人程度のパーティ十個にまとめた。


 ヒーラーガールズを各ハンターパーティのサポートに一人ずつ付けたいのだけど、ヒーラーガールズメタゾール支部は五人しかいない。

 そこで、十歳から十三歳までのヒーラーガールズ候補生を十人集めて、二人ペアで各ハンターパーティのサポートに付けることにした。

 ヒーラーガールズの次世代のほとんどは、ヒストリアに派遣されているので、候補生たちの能力不足は否めない。だから二人組で活動させる。


 ロザリー、クローナ、メレーナ、ソラーナ、エリスとそのメイド五人のお嬢様隊には、アリシアとドリーに付いてもらう。


 それから聖女の守り手の五人にはシルバーにサポートに入ってもらう。

 ちなみに、シルバーはメタゾールではいつも翼を出しているけど、ここでは目立つのでしまってもらった。でも耳と尻尾はしまえない。尻尾はわざわざスカートの上から出しているけど…、これはそういうスカートなんだよ。耳は…、まあそういう髪型なんだよ。って馬の耳じゃ無理があるから、そういうリボンなんだよ…。


 その他、遊撃隊として、

 リーナとスピラ。

 ダイアナとコーリルとリメザとポロンとワイヤ。

 私。


 衣装、じゃなかった鎧はミニスカアーマーだ。インナーアーマーは抜きなのだけど、ラメルテオンはちょっと寒い…。何しろ、メタゾールよりも三五〇〇キロ北なのだ。まあ、そのわりには温度差が小さいのだけど。



 シルバーは、進化の泉で馬娘になっただけではなかった。ちゃんと力や魔力も上がっていたらしい。おかげで、時速六〇〇キロで走れるようになっており、ラメルテオンまで六時間で着いた。でも、シルバーの乗っていない馬車は寂しい。



「なあシルバー、今回は乗せてくれないのか?」

「あのとき魔物を倒したのは、ほとんど私だったんですよ!それを自分の手柄みたいに言って酷いです!」

「えっ…そうだっけか…」


 三年前のラメルテオンの森のスタンピードでゾーミアはシルバーにまたがり騎兵モードとなった。しかし、ゾーミアはうまく敵を攻撃できず、大半はシルバーの功績だったのだ。

 大丈夫。私は知っているよ。

 シルバーは喋れるようになって、言うようになったなぁ。


「来たわよ!」


 イミグラが敵に気が付いた。イミグラの声で、みんな顔が戦闘モードになった。

 現れたのは…、炎を纏ったトカゲ。翼はない。サラマンダー?


「僕に任せて!」


 マクサが突っ込んでいく。そして蹴り!


「あちちちち!」

「ちょっと何やっているのよ!」


 マクサはリーナのマネをしたかったらしい。サラマンダーの炎が少し弱まったが、凍ったりはせず、マクサが火傷しただけだった。


 トカゲは口から火の玉を放ってきた。


「冷却!」


 アマージは分子振動を遅くすることによる冷却の魔法を使った。これも、メタゾールで学んだ者しか知らない魔法だ。

 火の玉は空中で消え去った。


 こんどはレルーパが前に出た。ショートソードで…、サラマンダーの首を半分切断し、サラマンダーを絶命させた。ショートソードでは深く入らなかったが、それでもするっと入った剣は、サラマンダーを絶命させるにはじゅうぶんだった。


「じっとしてくださいね」

「ありがとう…、シルバー。優しいね…」


 シルバーはマクサの火傷に治療魔法をかけた。やばい、シルバーがマジで天使。今は羽根がないけど。

 子孫を残すために異性に魅力的に見えるように進化するにしても、見事に私のツボを押さえたものだ…。だから私は異性じゃないってば…。


 シルバーはマクサにも天使に見えているのでは?まあ、独り占めしたいけど、私の嫁がみんなの嫁になってくれるなら嬉しいよ。

 聖女の守り手のみんなは、私だけでなく、わりとみんなとにゃんにゃんしたいタイプの子たちなので、天使のようなシルバーにすぐ惚れちゃうんじゃない?



 一方、お嬢様隊。


「来るよ!」


 アリシアの感覚は鋭い。お嬢様隊はちょっと戦闘訓練しただけの普通の女の子ばかりなので、敵の接近に早く気がついたりすることはない。

 それにちょっと前衛が足りないかも…。一応ドリーは土壁とかで守ってくれると思うけど。


 現れたのは…、でかい…。四メートルのゴリラ…。


「「「「「きゃあー…」」」」」

「「「「「ひいぃ…」」」」」


 お嬢様五人とメイド五人は、ゴリラのあまりの大きさに、腰を抜かしてしまった。


 お嬢様の集団を足で踏み潰そうとして、足を上げるゴリラ。一人戦意を保っているアリシア。

 どーん。すごい音がしたが、ゴリラの足はお嬢様たちに到達することはなかった。アリシアが片手でその足を支えている。しかし、アリシアの足もとは少しめり込んでいる。


 一応、アリシアが抜かれたときのために備えて、ドリーが土壁を準備していた。でも、使わずに済んだようだ。

 ちなみに、お嬢様隊でドリーが見える子はいない。


「お姉ちゃんたち、やる?」


 アリシアがケロッとした顔で問う。


「ご、ごごご、ごめんなさい、無理です…」


 ロザリーだけが返事をした。他の子やメイドは声も出ない。


「じゃあ、えいっ!」


 アリシアの手からゴリラにバチッと電撃が走った。

 するとゴリラは気を失い、ずどーんと音を立てて倒れた。心臓は動いている。

 脳死だ。私がいつもやっていることだ。意識を司る神経を焼き切ったから、二度と目覚めない。


「お母さん!私、できたよ!」

「よくできたね!アリシア!」


 アリシアは私が流血沙汰を嫌っているのを知っていて、私と同じ方法で敵を無力化してくれた。

 腕の一部をドラゴン形態に変化させて、爪で攻撃したりもできるのに。

 私のことが大好きなアリシア。私のためを思ってやってくれる。私の嫌がることをしない。

 それなのに、私ったらシルバーのことばかり可愛がっている気がする…。だって、ケモ耳とか尻尾とか反則だよ…。

 いやいや、私には二十人以上のお嫁さんがいるのだ。序列を付けたりしないって決めているんだ。

 でも、アリシアのことは、ちょっと可愛がってあげよう。だって、私の初めてのまともな子供だったんだから。


「ありがとう、アリシア!」


 私はアリシアの元に行って、アリシアを抱きしめてあげた。アリシアは頬を赤らめた。


「私、もっとがんばるね!」

「気をつけてくださいね!」


 お嫁さんやアリシアのことは心配だけど、ここばかりに構っているわけにはいかない。

 今回はハンターが一五〇人もいて、広く分布しているため、音や心を一カ所で読んで全体の状況を把握するということはできない。


 と思ったら、各合同パーティに割り当てたヒーラーガールが持っているスマホが、周囲の者の健康状態を監視していて、危ないときは私のスマホの地図アプリに場所を通知してくれるらしい…。

 おっと、このパーティ、早くもアラートが上がってる。あ、こっちも?リーナかダイアナに行かせよう。私はこっちだ!





「なあ、嬢ちゃん、聖女様の関係者か?」

「はい。皆さんをサポートします」


 合同パーティAのハンターの一人は、アンネリーゼと同じ衣装をまとったヒーラーガールAに問うた。後ろから女の子が付いてきていたから疑問に思っていたのだ。

 実は、募集要項にちゃんと、サポートの治療魔術師を付けますと書いてあったのだが、多くのハンターはそんなものを読まずに依頼を受けていた。


「分かった。俺たちができる限り守るぞ!」

「あ、はい。あ、来ますよ!四体です」


 ヒーラーガールズは、とくに治療魔法や身体強化に優れた者たちであり、視覚や聴覚も鋭いのだ。

 いち早く魔物の接近に気がついた。


 現れたのは三メートルの巨人。少し赤みがかった肌をしている、筋肉質なヒト型の魔物で、頭部に二本の角がある。また、大きな爪を持っている。これは、この森固有の魔物ではない。オーガと呼ばれる、わりと国中で見られる種類だ。オーガのランクはBとされている。

 ランクBの魔物は、ランクBのハンターが万全の状態で戦って、九割の確率で勝てるという位置づけなのだ。だが無傷で勝てる可能性などほとんどない。だから、一対一などは避けるべきだ。


 この合同パーティAはラメルテオンギルドで活動する二つのパーティを合わせたものだ。一つ目のパーティはランクBが三人でランクCが四人であり、二つ目のパーティはランクCが八人だ。全員男だ。


 アンネリーゼは、各ギルドから、どのパーティがどのパーティと合同で依頼を受けたなどという記録を入手しており、ある程度連携のしやすいように配慮した合同パーティ編成を組んでいる。この程度の情報は、依頼主が入手できる範疇だ。もちろん、どの程度連携できるかなど知るよしもない。

 ラメルテオンはしばしばスタンピードに襲われるため、ハンター同士で助け合うことも多い。この二つのパーティは比較的連携の取れる組合せであった。


「オーガ四体か…。少し厳しいが、ランクBハンター一人を含む三人で一体に当たれ!あとは残りの五人で一体に当たれ!」

「おい、残りは六人だぞ」

「そ、そうだ、それでいい」


 この世界の算数の学力では、ハンターが十五人を四人に割り振る計算をできる確率は三割程度だ。

 同じランクでも差はあるが、ランクBのハンターの能力は、ランクCのハンターの四人か五人分と考えられている。つまり、ランクBのハンター一人とランクCのハンター二人の組合せは、ランクCのハンター六人分だ。残りのランクC六人の組合せと良いバランスだ。

 もちろん、計算でそうしたわけではなく、過去にそうしたらうまく行ったという経験があったからそうしただけだ。




 一組目は、ランクCの六人組。剣士Aと剣士B、槍使いCと弓使いD、攻撃魔法使いEと治療魔法使いF。


「「ファイヤボール!」」


 攻撃魔法使いEと治療魔法使いFが、火の玉を放った。青い火の玉だ。ラメルテオンに設立された学校で、早くも戦闘に役立つ知識を仕入れている。

 治療魔法使いといえども、多少は攻撃魔法を使えるものだ。


 火の玉はオーガAの胸の皮膚を一瞬で焦がしたが、肉や臓器に影響を与えるほどの威力はなかった。術者の魔力不足だ。


 続いて、弓使いDが矢を放った。矢はオーガAの焦げた胸板に刺さったが、オーガはひるまない。


 オーガは巨大なので、手のリーチが長い。オーガが右手の爪で襲いかかってきた。それを剣士Bが剣で受け流そうとしたが、うまく流せずに力負けして、剣士Bは飛ばされた。


 そこにすかさず、槍使いCがオーガAの背中を刺した。オーガの分厚い筋肉は、あと何回刺せば貫通するのだろうか。

 同時に剣士Aがオーガを切りつけた。オーガAは左手の爪でそれを受け流した。


 劣勢だ。攻撃があまり通らない。倒せる可能性はあるが、その前に六人のうち大半が重傷を負う。やはり、ランクBのハンターがいないのは厳しい。一組目の六人はそのように考えていた。


 オーガAの右手が振りかざされた。受けられそうなのは剣士Aと槍使いC。剣士Bはまだ体勢を立て直せていない。

 剣士Aは先ほど剣士Bが飛ばされたのを見ていて、怖じ気づいていた。


 槍使いCがオーガAの右手攻撃を受け流そうとしたところで…、オーガAの右手の行く先が変わった。ヒーラーガールAがオーガAの右腕に蹴りを入れたのだ。

 ヒーラーガールAは続けて、オーガAの腹に蹴りを入れてオーガAを吹っ飛ばした。


 立ち上がったオーガAはヒーラーガールAに右手を振りかざした。

 ヒーラーガールAはオーガAの右腕に左手を当て攻撃を受け流し、右手でオーガAの焼けただれた胸にパンチの連撃を入れている。


 そして、後ろで呆けている槍使いに言った。


「コイツは私が引き受けますから、皆さんは他の組の加勢に行ってください」

「えっ…」


 槍使いCは言葉に詰まった。


「早く!」

「あ、ああ」


 剣や槍でろくにダメージを与えられない巨躯を、蹴りで軽々と吹っ飛ばすほどの女の子…。募集要項には治療魔術師をサポートに付けるって書いてあったはず…。


 一組目の六人は、残りの三組の元に散っていった。


 去りながら見たヒーラーガールAの戦い。ぴょんぴょんと宙に舞うその姿は華麗だ。これは、アイドル養成コースでのレッスンのたまものだ。ヒーラーガールズは戦闘においても、可愛く美しく見せるのに長けている。


「ファイヤボール!」


 どーん!

 ヒーラーガールAはオーガAの腹に手をあて、ゼロ距離でファイヤボール。オーガは腹を大きくえぐられ、動きを鈍らせたが、まだまだ戦えるようだ。

 でもあれなら大丈夫そうだ…。武器も持たずに素手でオーガに挑む格闘魔法少女…。華奢な女の子があんなに力があって、しかも魔法を使えるなんて…。

 あれが聖女様ご一行。同じ服を着た女の子は何人もいた。これだけ強い子がいれば、大丈夫!魔物に悩まされているこの地域を平和にできる!


 散っていった一組目のメンバー六人は、去り際にそのように考え、士気を向上させた。




 一方その頃、二組目。

 二組目は、ランクBの剣士G、ランクCの弓使いH、ランクCの攻撃魔法使いI。


 まず、弓使いHがオーガBに矢を放った。矢はオーガBの胸に当たったが、オーガBの分厚い筋肉には、この程度の攻撃は通らない。


「ファイヤボール!」


 そして、攻撃魔法使いIがオーガBに火の玉を放った。

 青い火の玉は、オーガBの胸に当たり、オーガBの皮膚を焦がしたが、オーガBの勢いは止まらない。


 オーガBは爪で襲いかかってきた。剣士Gは爪攻撃を受け流し、剣で反撃。オーガBの胸を斜めに切りつけたが傷は浅い。

 剣士Gは考えた。攻撃はなかなか通らないが、壁役の自分がミスしなければ、少しずつダメージを与えて、自分たちは無傷で敵を倒せる。


 しばらく同じような攻防を繰り返していたら、オーガBの背後から、槍の攻撃と、矢の攻撃だ。


「おい、おまえら!」


 別の組みに割り当てた、槍使いCと弓使いDだ。こんなところで何やってるんだ。


「あの子なら大丈夫だ」

「あの子?」


 何を言っているのかよく分からないが、今はオーガBの攻撃を受けて反撃するので精一杯だ。

 だが、攻撃手が増えたので、すぐに片付きそうだ。

 壁役のミスは、全員の命取りとなり得る。防御は神経をすり減らす作業だ。それが短い時間で済みそうだと、剣士Gは安堵した。




 一方その頃、三組目。

 三組目は、ランクBの攻撃魔法使いJと、ランクCの剣士KとランクCの剣士L。


 オーガCの右手攻撃。剣士Kと剣士Lの二人の剣で受け流した。最初から一人では受けきれないと判断したからだ。

 この組の攻撃の要は、攻撃魔法使いJの強力なファイヤボールだ。


「ファイヤぁぁぁ!」


 攻撃魔法使いJは杖を高く掲げ、杖の上の火の玉を大きくしている。青い火の玉だ。ラメルテオンハンターの間では、青い炎は常識となっている。


 その間に、オーガCの左手の攻撃。これも剣士Kと剣士Lの剣で捌いた。


「ボーーール!」


 攻撃魔法使いJは巨大な火の玉を放った。

 剣士Kと剣士Lはすぐさま退散。

 火の玉はオーガCに当たり、オーガCは炎に包まれた。


「燃えろー!酸素収集!」


 攻撃魔法使いJはオーガCが燃えるイメージを続ける。

 さらに、周囲から酸素を集めることで、炎は勢いを増した。

 二つの属性の魔法を同時に使うのは高等テクニックだ。しかも、空気中の酸素という概念を学んでおり、元から高い魔力を誇っていた攻撃魔法使いJのファイヤボールの威力は、ラメルテオンで有名になっている。


 オーガCはもがき苦しみ、やがて燃え尽きた。



「すげー、さすがだな」

「俺たちが来るまでもなかったかぁ」


 オーガAとの戦いをヒーラーガールAに任せてきた、剣士Aと治療魔法使いFだ。


「何だお前ら、もう終わったのか?」

「あれを見てくれ」

「んあ?」


 剣士Aの指さす方向を見た攻撃魔法使いJは、口をあんぐり開けた。

 ヒーラーガールAは高く飛び上がり、オーガAの頭に蹴りを入れた。それとともにオーガAの頭に炎が上がり、頭が爆ぜた。


「なんだありゃ…」

「きっと聖女様の護衛なんだろう…」




「お前たちも終わったのか」


 オーガDを相手にしていた四組目の三人も終わったようで、集まってきた。剣士Bと攻撃魔法使いEが加勢した途端に、あっという間に終わったようだ。


「スマンが、こいつの怪我を治してくれないか」

「っつ…」


 オーガDの攻撃を受けきれずに腹に傷を負った剣士M。


「深いな…。これはマズい…」


 治療魔法使いFは、ラメルテオンの学校で人体の構造を学んだ。しかし、この傷は内臓にまで届いており、このままでは感染症で命を落とすだろう。それなのに、治療魔法使いFの魔法ではここまでの傷を治せない。


「見せてください!」

「っつうぅ…」


 オーガAを倒したヒーラーガールAが駆けつけた。


「大丈夫ですよ」


 ヒーラーガールAは剣士Mの傷を負った腹に手を当てると、みるみるうちに傷が塞がっていった。


「攻撃を受けた場所はどこですか」

「こっちだ」


 オーガDを相手にしていた別の剣士Mに連れられて、ヒーラーガールはオーガDとの戦闘現場に行った。


「血液収集」


 剣士Mの流した血だけを集めて、手の上に丸い血の塊を生成した。

 剣士Mの流した血という指示のしかたは、水の精霊のある程度育った者にしかできない。

 その血の塊を、剣士Mの傷口から体内に吸収させた。そして、傷口を綺麗に閉じておしまい。


「すげえ…、ありがとう!」

「どういたしまして!私はこのために来たんです。傷を負ったら私を呼んでくださいね!」


 ニコッと微笑んだこの子…可愛い…。白くて短いスカートの衣装を着た天使…。


 メタゾールの子供は、アンネリーゼに光の精霊を付けられたり、アンネリーゼの施術を受けたりしており、みんな血行が良く、お肌が綺麗で発育が良い。

 そして、ヒーラーガールズは、アイドル教育を受けており、一つ一つの仕草が皆に可愛いと思ってもらえるように訓練されていた。ハンターの男どもを手玉に取ることなどたやすいことだった。


 このようにして、十の合同パーティはそれぞれ、ヒーラーガールズによって攻略されていった。

 ではなくて、十の合同パーティはそれぞれ、魔物の森を攻略していった。





 だが、そううまく行っていないところもあったようだ。


「すみません、私たちではここまでしか治せませんでした…」

「これだけ治してもらえればじゅうぶんだ。行ってくる!」


 十の合同パーティうち、五パーティには初代ヒーラーガールズが割り当てられていたが、残りの五パーティにはヒーラーガールズ候補生が二人ずつ割り振られていた。深い傷を治すには少し魔力不足だし、戦闘能力としても少し足りなかった。


 さらに、このパーティはランドセン領で活動しているパーティだ。ラメルテオンのハンターのように、学校で高度な魔法や戦術を学んでいないことも、戦力不足の原因であった。


 また、オンラインで功績を管理しているラメルテオンほどハンターの戦力の情報が正確でなく、ハンターの戦力の割り当てにも問題があった。


「ぐああっ」


 今治したばかりの者が魔物の手にかかってやられた。ここは魔物が多すぎる。残った者は自分たちだけだ。

 迫り来るたくさんの魔物を見て、ヒーラーガール候補生AとBは互いに抱き合い、死を覚悟し、目を瞑った。


 バタン。バタバタバタン。魔物の倒れる音?


「ごめんなさい、遅くなりました」


 目を開けるとそこには、我が敬愛する…、


「「アンネリーゼ様!」」

「怖い思いをさせましたね。私の戦力配分ミスです…」

「私たちがふがいないばかりに…」

「大丈夫です。次の機会に頑張ればいいのです。そして、次の機会は必ず訪れます」

「「はい!」」


 いつのまにか魔物のすべてが地面に伏していた。


 アンネリーゼは倒れたハンターたちに近寄り、次々にハンターの息を吹き返していった。中には死んでいた者もいたはずだが、死んだばかりの者は脳さえ残っていればアンネリーゼには関係ない。


「ん、オレは心臓を貫かれたはず…」

「足がある…」

「目が見える…」

「戦う前より力が湧き上がるぞ!」

「昔失った指が生えた!」


「みなさん、ごめんなさい。私の戦力配分ミスです。これからこの合同パーティJは、合同パーティIに合流していただきます」

「アンネリーゼ侯爵様…」

「これがラメルテオンで噂されていた聖女様の力…」

「わ、わわわ、私は聖女なんかではありません!あなたたち!合同チームIの場所はスマホに出ていますから、あなたたちが先導してください!」


「「はい!」」


 アンネリーゼはぷんすかしながら行ってしまった。





 本当のところ、お嬢様隊もハンターも連れてこないで、時間がかかってもいいから、精鋭だけで進めていきたかったんだけどなぁ。案の定、死者が出てしまった。

 今回はスタンピードの対応のような緊急依頼ではない。命をかけるような案件ではないのだ。なのに、私の依頼だからってみんな飛びついちゃって…。

 一合同パーティを二十五人とか三十人にすべきだったかなぁ。三十人とか、ちょっとまとめきれないよねえ。合同チームJとIを合体させちゃったけど大丈夫かな。

 今のところアラートが上がってないから大丈夫なんだろう。



 私はすべての合同パーティを巡回して回った。ダイアナ隊とリーナ隊がそれぞれ魔物を倒して進んでいったと思われる、死体の道があった…。


 人手が多かったこともあり、今回は一日で制圧できた。残念ながら、進化の泉のようなおもしろ施設は見つからなかった。…のだけど…、


『はい、お土産』

「えっ…」


 ダイアナが自分の影に開いた影収納の中に見えたのは…、青い…


「何の魔物?」

『ヒルダへのお土産』

「青いドラゴン?」

『そう』

「けっこういるものだねえ…」

『ママは行く先々で事件を起こす主人公だからね』

「私、関係ないじゃん…」



「今回は怖い魔物ばっかりであまり活躍できなかったわ…。ヒルダとクレアのたくましさが身に染みました」


 ロザリーは前回のお嬢様隊ではいちばん戦闘経験が浅かったけど、今回のお嬢様隊ではいちばんの経験者だった。それなのに、他のお嬢様四人と同じようにしか立ち回れなかったことにふがいなさを感じているようだ。


「次の機会に備えて、もっと精進しますね!」


 クローナも腰が抜けていたけど、気持ちだけは前向きだなぁ。


「怖かったですわ…。ハンターのありがたさが分かりましたわ…」


 メレーナはほんとうに怖かったようだ。


「たいしたことできませんでした」


 ソラーナは無表情で何を考えているのか分からない。


「楽しかったです~。またやりたいですね~~」


 エリスは、何があったか覚えていないのだろうか。


 うむー、もっと初心者向けの狩り場で慣れるべきだったか。こんな強い魔物ばかりのところじゃ、良い体験にならなかったんじゃないかな。


 ハンターにとってもちょっと厳しかったと思う。一体につき金貨十枚もらえても、死んだら何もならない。死傷者は出したくなかったなぁ。

 いくら死んでも脳さえ無事なら治せるからいいけど、心の傷までは治せないよ。でも、なんかみんな士気があがったんだよな。

 傷は治せても装備は壊れただろうから、報酬で良いやつ買い直してね。


 合同パーティに、別の領のパーティを混ぜたりはしなかったんだけど、他の領と合併で、長年悩みの種だった魔物の巣を駆逐したというのは、領どうしの仲間意識を高めたようだ。

 このあとランドセン領、メキサム領、アンブラム領、フルジアン領は、同時に改革を始めるし、通信が開通すれば互いに融通もしあえるだろう。




「というわけで、クローナ、しばらくお別れですね」

「いえいえ、改革の立ち会いが不要になってきたら、またメタゾールにお邪魔させてください!」

「はい!」


 ランドセン伯爵領の設備を整えた。学校、発電所、魔力線などの設備だ。

 さらに学校の教師も用意した。領民に格安で提供するスマホとタブレットも用意した。

 これで領民は学校で学び、また毎日お風呂に入って清潔になり、またスマホやタブレットで日々の仕事が効率化される。


 今回、スマホとタブレットに新機能が導入された。エージェントキャラを、クローナと私のどちらかから選ぶことができるのだ!

 私はランドセン領では知られていないから、私なんかより領主の娘の方がいいよね!



「メレーナ、領での作業が終わったら、また会いましょう!」

「はい。わたくしもちゃっちゃと終わらせて、アンネリーゼ様のもとにもどりますわ」


 メキサム伯爵領でもやることは同じだ。もちろん、エージェントキャラの候補はメレーナだ。



「ソラーナも頑張ってくださいね!」

「はい。頑張ります」


 アンブラム侯爵領のエージェントキャラの候補は、もちろんソラーナだ。でも、無表情で何を考えているのかわかりにくい。AIなんだからそんなところまで再現しなくていいのに。



「エリス、頑張ってくださいね」

「はい~。がんばります~~」


 エリスはのんびりとした口調なので、この子がフルジアン侯爵領のエージェントキャラになると、なかなか話が終わらなそうだ…。



 ちなみに、新しいエージェントキャラは、すでにスマホとタブレットを持っている人でもいつでも変更できるようになった。つまり、自分の住む領のご令嬢、ヒルダやロザリー、マイア姫を選べるのだ!他の領のお嬢様を選ぶことはできず、候補は私と自領のお嬢様だけだ。

 一度目の変更なら何も問題ないが、二度目以降は女をころころ換えていると見なされて、態度がそっけなくなるらしい…。だから、なんの機能なのやら…。

 だいたい、平民の分際でお嬢様をとっかえひっかえするとはなんと不敬な。なんていわないよ。むしろ、いままで私だけだったのがおかしいでしょう。


 でもメタゾール領民は私しか選べないらしい。お母様とかリーナ、っていうかダイアナが自分でやればいいのに。中身はダイアナだろうに。

 ダイアナが私の顔を被って、領民にあることないこと言いふらしてるようでならない。




 各領地の改革が終わり、それぞれの地を訪れるたびにお嫁さんが減っていった。でも寂しくない。ビデオチャットで毎日お話できるし、一年すれば帰ってくるんだ。


 四人お嫁さんたちの領地を改革したあとは、先日開拓した魔物の森を町として整備した。第二メタゾール侯爵領と同じだ。ここは第三メタゾール侯爵領となる。


「さて、メタゾールに帰りましょうか」


 シルバーを馬車に入れてあげられないのがツラい。

 代わりにアリシアやロザリー、メイドさんに八つ当たり、じゃなかった、いつもよりたっぷり可愛がってあげよう。



 その後、メタゾール領から第三メタゾール領に使用人や領民、放牧する魔物を連れていった。これで第三メタゾール領も稼働し始めた!

 シルクやスライムを、ラメルテオン、ランドセン、メキサム、アンブラム、フルジアンに卸して、各領でパンツと魔道ナプキンを作ってもらうんだ。やっと国の北側で、平民が毎日魔道ナプキンを使える価格にできる。女性の社会進出の第一歩だ!



 屋敷の廊下を歩いていたら、マイア姫にばったり会った。


「アンネお姉様、今回は何人増やしたのですか?」

「えっ、人聞きの悪い。一人も連れてきていませんよ」

「では、地下室に青い卵が増えているのは何ですか」

「そ、それは…」


 ダイアナの倒したブルードラゴンから摘出した卵だ。まだヒルダにも知らせていないのに、なんでマイア姫が嗅ぎつけるんだ。

 そもそも、マイア姫は卵のことを嫁だと言っているのかな?アリシアのように私にべったりになることを懸念しているのか…。

 でもまあ、ワイヤみたいにドライな子に育つ可能性もあるし…。レッドドラゴンはクレアの子で、ブルードラゴンはヒルダの子ってことにするから、私にべったりにはならないと思うんだけどな…。


「聞いていますか、アンネお姉様。アンネお姉様は、娘だろうと母親だろうと、馬だろうとドラゴンだろうと、なんでも嫁にしてしまうんだから、どうせこの卵の中身も進化の泉に連れて行って人間にして、いずれ私と一緒にベッドで寝ることになるのでしょう」

「あ、はい…、そうかもしれません…」

「はぁ…」


 マイア姫には全部お見通しだ。私にべったりにはならないにしても、ワイヤみたいにお風呂やベッドを共にする可能性は高い…。

 最近、マイア姫にかなりあきれられている気がするけど、それでも私のことを見離さないでいてくれるのかな…。


「……まだね、動いたり音が鳴ったりはしないんだー」

「いいわねー、私も早くドラゴン欲しいわ」


 クレアとヒルダがやってきた。


「あ、アンネ。ヒルダと一緒にベニシアに会いに行くところだったんだ。せっかくだから一緒にいこっ」

「はい」


「マイア様もどうかしら」

「私は今見てきたばかりなので、けっこうです!それではごきげんよう!」


「アンネ、なんでマイア様はお冠なのかしら?」

「えっと…、それは地下に行けば分かります…」


「あ、青い卵!これはブルードラゴンね!」

「ダイアナが見つけたんです」

「あの子も憎めないわね!」


 まあ、あの森の魔物は全部駆逐したので、ダイアナじゃなくても誰かしらが見つけたとは思うけど。


「わあ!良かったね!ヒルダ!」

「えぇ!早く生まれておいで!シンシア!」


 もう名前決まっているんだ…。それに女の子っぽい名前…。

 っていうか、なんで「○○シア」にしなきゃいけないんだ。ワイヤが可哀想だろう。




 続いて、王都付近の領地から来たアレスタ・コーチゾン伯爵令嬢、グリメサ・デキサテール伯爵令嬢、タルメア・アルクロゾン侯爵令嬢、ロコイア・ヒドルチゾン侯爵令嬢も、自身の領地に戻り改革を始める時が来た。


 アレスタ、グリメサ、タルメアは問題なくことが進んだ。


 問題は、ロコイアだ。ロコイアは、メタゾールの秘密を盗んでくるように親に言われていたのだ。盗むもなにも、教えてやるっていうのに、人の言うことをよく聞いていないなぁ。

 ロコイアからは悪意が漏れ出ていたので、すぐに私が気が付いた。それなのに、メタゾール生活しているうちに、いつのまにか悪意がなくなって、メタゾールでぐーたら生きていければ幸せみたいになっていたから、ちょっと喝を入れてやった。

 そうしたら、心を入れ替えて勉強に励むようになった。これでロコイア自体に問題はあまりなくなったのだけど…、


「ロコイア、あなたは、メタゾールの秘密を盗んでくるようにヒドルチゾン侯爵に言われていたのですよね?」

「あ、はい…。その通りです…」

「私は、あなたが改心したことを認め、あなたを信じています。それは以前話しましたね」

「はい!私、心を入れ替えました!」

「ですが、ヒドルチゾン侯爵のことを信じられるとは考えていません」

「そうですね…。私が言うのもなんですが、お父様はダメな人です…。ここで勉強していてそれが分かりました…」

「ヒドルチゾン侯爵にメタゾールと同じ設備を与えたらどうなると思いますか?」

「えっと…、私のように堕落するだけでしょう…」

「あなたには弟がいますね。弟も同じような人間ですね?でも、ヒドルチゾン侯爵はあなたの弟に爵位を継がせようと考えていますね」

「はい…、その通りです…」

「あなたは親に逆らえますか?改心させられますか?弟より自分が後継者にふさわしいと示すことができますか?」

「えっ…」

「できませんよね」

「はい…」


「それでは、ヒドルチゾン侯爵領の改革を保留にします。あなたもここでもう少し勉強してください」

「えっ…」

「あなたは自信を持って、自分が後継者にふさわしいと言えるように頑張ってください」

「は、はい…」

「近いうちに、女性当主の時代が来ます。そのときにあなたが当主になれるようにしておいてください」

「えっ…、はい…」

「さもないと…」

「さもないと?」

「ヒドルチゾン侯爵家は潰れると思ってください」

「そ、そんなぁ…」

「そんなぁではありません!ヒドルチゾン侯爵は圧政を敷いて私腹を肥やすような人間です。

 貴族とは国のために、ひいては民のために貢献した者に与えられる称号です。民を虐げて私腹を肥やすとは何事ですか!」

「ひいぃ、ごめんなさいぃ」

「だから、あなたがそれをただしてください。それできないならヒドルチゾン侯爵家はマイア様が王になったあかつきに潰します」

「はい…」

「あなた次第ですよ!」

「はい!」


「私が調べたところでは、メタゾールに来ていただいた子の家以外は、すべて同じような家ばかりです。マイア様の政策では、そのような家は存続できないようになります。本来ならあなたの家もその一つだったのです。

 そうだ!ロコイアは、ヒドルチゾン付近のそのような家のご令嬢に伝手がありますね?」


「アンネリーゼ様は何でもお見通しなのですね…。その通りです。それがどうしました?」

「あなたと一緒に、ここで勉強するのですよ」

「なるほど!」

「それでは、手紙を書いてください。内容は、私が考えてあとでメールします」


 メールというのはスマホとタブレットで出せる電子メールのことだ。一方で、手紙というのは紙に書くものだ。ただし、この世界ではあり得ない品質の紙にロコイアの筆跡で書いてもらう。まあ筆跡鑑定なんて誰もしないだろうけど。

 さらに、それを第二メタゾール領にファックスして、そこからは普通の手紙として届けてもらう。そうすれば、この世界標準の連絡手段のように見せかけておいて、数時間で手紙を届けられるのだ。

 変身先も第二メタゾール領にしておけばすぐに届く。その際は、使用人がファックスではなくスキャナで取り込んで、私宛の電子メールにしてくれる。



「そういえば、アンネリーゼ様はせっかく王都付近に領地をお持ちになったというのに、なぜこの辺境に留まっておいでなのですか?国の中央に住んでいれば、ラメルテオン側にも行きやすくなるでしょうに」

「私にとってはここが活動の中心なのですよ」

「はぁ」


 私は二週に一度ヒストリア王国に行っている。セレスたちに会い、そしてヒストリア王国民をマッサージしている。もう、セレスたちと一緒に住める日は来ないのかな。

 だから私の生まれ育ったメタゾールがいつまでも中心なのだ。


 王都付近に領地を持つのはステータスだなんて風潮がある。自分が政界に影響力を持っているつもりになっているみたいだけどね。

 たしかに、陸の孤島だった十四年前のメタゾールなら、政界とはまったく無縁だったろう。でも、今はシルバーに乗って、私はどこへでも行けるのだ。

■シルバー(十六歳)

 アンネリーゼが二歳の頃に王都に赴くときに馬車を引いてから十四年の付き合いがある馬。

 馬車を引く速度が時速一〇〇キロを超えたり、単騎で時速五〇〇キロで走れるようになったりと、ロイドステラ王国中を駆け回るのに欠かせない、重要な馬。最も優秀な使用人であった。

 馬であったのに、魔物を進化させる泉でユニコーンの角とペガサスの羽根を持つ白いアリコーンに進化した。

 さらに、髪の白い成人女性に変身できるようになった。スレンダーでお胸がけっこうある。

 ただし、ヒト型のときでも、馬の耳と尻尾を隠すことができない。

 一方で、ペガサスの羽根やユニコーンの角などは、ヒト型のときに自由に出し入れできる。羽根は天使のようだということで、ヒト型のときでもデフォで出しっぱなしということにした。


■アリシア(五歳)

 全長二メートルのホワイトドラゴン。トカゲのようなフォルムに、コウモリのような羽根を持つ。基本は二足歩行。

 魔物を進化させる泉で、五歳の女の子に変身できるようになった。

 ヒト型のときでも爪や尻尾、羽根などを、自由に出し入れできる。


■ワイヤ(五歳)

 全長二メートルのゴールドドラゴン。トカゲのようなフォルムに、コウモリのような羽根を持つ。基本は二足歩行。

 魔物を進化させる泉で、五歳の女の子に変身できるようになった。

 ただし、ヒト型のときでもドラゴンの羽根と尻尾が出っぱなし。

 アリシアのように、羽根と尻尾も含めて、様々な部位を自由に出し入れすることはできない。


■ヒーラーガールズ、初代ヒーラーガールズ(十四歳)

 アンネリーゼが当主になった年に生まれた。

 五人はメタゾールで活動し、五人はヒストリア王都で活動している。

 アンネリーゼに光の精霊を付けられ、アンネリーゼの施術を受けているため、血行が良く、お肌が綺麗で発育が良い。

 アイドル教育を受けており、一つ一つの仕草が皆に可愛いと思ってもらえるように訓練されている。


■ヒーラーガールズの後継者(十一歳、十二歳、十三歳)

 初代ヒーラーガールズがヒストリア王国の不妊治療で忙しすぎるために、ヒストリア王国に三十人が派遣された。初代より一つ下の代と二つ下の代と三つ下の代。合わせて三十人。


■ヒーラーガールズの候補生(十一歳、十二歳、十三歳)

 ヒーラーガールズの後継者の、さらに予備軍。戦闘能力も治療魔法もまだまだ未熟。全部で十人。

 ヒストリア王国に初代や後継者を派遣しすぎて足りないために、魔物討伐に参加するはめに。


■コーリル(十四歳)、リメザ(十四歳)

 アンネリーゼとダイアナの専属レディースメイド。交代勤務。地方開拓に参戦。


■ポロン(十四歳)

 ハウスメイドとして働いている。地方開拓に参戦。


■クローナ・ランドセン伯爵令嬢(十六歳)

 ロザリーに紹介されて嫁になったご令嬢。熱狂的ファンなキャラ。


■メレーナ・メキサム伯爵令嬢(十六歳)

 ロザリーに紹介されて嫁になったご令嬢。わたくしさん。


■ソラーナ・アンプラム侯爵令嬢(十六歳)

 ロザリーに紹介されて嫁になったご令嬢。むっつりデレ。


■エリス・フルジアン侯爵令嬢(十六歳)

 ロザリーに紹介されて嫁になったご令嬢。

 間延びした口調。なかなかのお胸をお持ち。ロザリーのより大きい。


■アレスタ・コーチゾン伯爵令嬢(十四歳)

 マイアに紹介されて嫁になったご令嬢。元気な子。


■グリメサ・デキサテール伯爵令嬢(十四歳)

 マイアに紹介されて嫁になったご令嬢。緊張しがち。


■タルメア・アルクロゾン侯爵令嬢(十四歳)

 マイアに紹介されて嫁になったご令嬢。おしとやか。


■ロコイア・ヒドルチゾン侯爵令嬢(十四歳)

 マイアに紹介されて嫁になったご令嬢。

 アンネリーゼに悪意を持って近づいたが、改心して真面目に取り組むようになった。


■教師アプリのCGエージェントキャラ

 アンネリーゼ以外に、自分の住む領のご令嬢を選べるようになった。


◆第二メタゾール侯爵領

 アンネリーゼが、王都やマイア姫の領地の近くに取得した魔物の森を開拓して作った領地。

 農産物や魔物素材をマイア姫の領地に卸し、マイア姫の領地の産業を活発化するための領地。


◆第三メタゾール侯爵領

 アンネリーゼが、ラメルテオン領の近くに取得した魔物の森を開拓して作った領地。

 農産物や魔物素材を周辺の嫁の領地に卸し、それらの領地の産業を活発化するための領地。


◆メタゾール領、メタゾール侯爵領、第一メタゾール侯爵領

 今後、第Xと付けずに、たんにメタゾール領というように表記した場合は、ロイドステラ王国の最南端に位置する、アンネリーゼの産まれた地を指す。

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