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30 まさかの嫁

 一方その頃、ヒストリア王国。

 女性どうしで子供を作れることが明らかにされ、同性婚が法律で認められるようになって数ヶ月。

 同性愛の伝道師、ヒーラーガールズは多忙を極めていた。


 なぜか同性婚を希望する女性は、女性のうちかなりの割合を占めた。

 遺伝子情報から精子を作成する過程で、Y染色体かX染色体を選ぶことで、子供の性別を選べるようになっているのだが、これまたなぜか女の子を希望するカップルしか現れない。

 このことについては、セレスタミナが初の女性の王となったことと、セレスタミナが女性と結婚して娘を産んだという事実が大きいと考えられている。


 ヒーラーガールズはちぎれた四肢や失った内臓を取り戻せるほどの治療魔法を使える、最高の治療魔術師であったが、今ではすべての仕事が不妊治療となっている。

 あまりに不妊治療希望者が多いので、ヒーラーガールズの後継者三十人がメタゾールから派遣された。治療魔法を使えるのは、なにもアンネリーゼが当主となった年に生まれた初代ヒーラーガールズだけではないのだ。後継者たちは、医療活動も行っているが、不妊治療を伝授されて不妊治療も手伝っている。


 まだ法律が施行されてから出産を遂げた者はいないが、深刻な男性不足が予想されるようになった。

 ところが、男性不足についてはあまり問題視されていない。子孫を残すのに男性が必要ないとあれば、男性と女性の違いは、筋力があるかないかくらいである。

 しかし、光魔法の身体強化を鍛えた女性は男性と遜色ない力を出せるのである。実際に、初代ヒーラーガールズはフルプレートアーマーを着た兵士を投げ飛ばすほどの力がある。

 つまり、女性でも力仕事をできるようになりつつあることから、「男手(おとこで)」というのは必要なくなるのである。


 また、女性は生理期間でもポテンシャルをあまり落とすことなく活動できるようになる。

 一つはパンツと魔導ナプキンを普及させること。今までは、生理期間はふんどしのようなものに布を挟んでいただけだったため、漏れないように活動が制限されていた。それが、漏れる心配のない魔導ナプキンにより、自由に活動できるようになった。

 もう一つは、生理における体調不良の軽減。ヒーラーガールズはアンネリーゼからカイロプラクティックを伝授されており、それなりに技を使えるようになっている。アンネリーゼのお尻ばかり見ていたわけではないのだ。また、ヒーラーガールズに見てもらわなくても、光の精霊を育てれば、身体強化や自動HP回復により体調不良を軽減できる。


 歴史的に見れば、男性はたんに力で女性をねじ伏せることで優位に立っていたが、こうなっては男性は出産能力を持たないため、不要とされる可能性がある。そこで、セレスタミナは、アンネリーゼの助言により、性差別を禁止する法を施行した。

 アンネリーゼは前世で、女性が社会的に不利にならないように法律で性差別が禁止されていたことから、この法を提案したが、まさか男性と女性の適用が逆になるとは夢にも思っていなかった。


 まだ、初代ヒーラーガールズの不妊治療を経て出産を遂げた者はいないが、ヒーラーガールズは産科も営んでおり、お産の暁には乳児の魂百まで計画により、精霊を付ける予定である。ヒーラーガールズはすべての精霊を見ることができるため、精霊を付けられるのだ。



 平民どうしの婚姻は、今まで国や領に届ける必要がなかったが、タブレットやスマホを配るにあたって戸籍登録をするようになり、それに伴い平民の結婚も届け出が必要となった。

 一方で貴族でも、当主以外の扱いは平民と同じで、届ける必要はなかったが、これからは必要になる。不妊治療に訪れる貴族も多く見られた。


 これからは女性の貴族当主も現れると思われるが、今のところ当主教育を受けた令嬢がいないので、すぐに女性当主は現れそうにない。

 しかし、王都付近の領地には学校も設立されており、メタゾールから派遣された教師による指導と、タブレットとスマホのアンネリーゼアプリによる指導により、女性の教育は急速に進むと思われる。




 セレスタミナとカローナの娘、クラリスは生後六ヶ月となり、すくすくと育っている。


「まあ!クラリスがはいはいしていますわ!」


 アンネリーゼの光の魔力の半分とドリーの土の魔力の半分を持つ精霊、リーフのサポートもあるのだが、ダイアナと同様、身体的な能力には劣るようだ。だが、ダイアナのような転生者ではないので、周りのものに興味を示し、はいはいできるようになった。


「最近ね、クラリスのそばに、小さな女の子がうっすら見えるようになってきたのよ。まだ細かいところは分からないけど、カメラで見えるリーフの姿とたぶん一緒よ」

「セレスはもともと光の魔力がありましたものね。わたくしはいつになったら見えるのかしら…」

「そうねえ、カローナは八歳でアンネに拾われて始めて鍛え始めたから、まだまだかかりそうね」


 エッテンザム家の者は、光魔法の習得を禁じられていた。それを知らずにアンネリーゼが光の精霊を付けた。カローナも国を出たのだし、しきたりなどどうでもよいと思い、光魔法の習得や光の魔力の強化を続けた。

 それでもまだ光の精霊が見えるには至らない。魔力の向上は、魔力を鍛え始めた歳におよそ反比例して効率が決まるため、八歳で鍛え始めたというのは不利である。

 もっとも、ロイドステラ王国でもヒストリア王国でも大半の者には魔力を鍛える習慣がなかったため、全体で見れば八歳はかなり早いほうである。


「私には全然見えませんが、リーフがクラリスを見守ってくれているのですね」


 レグラはもともと身体強化の魔法を使っており、それなりに光の魔力があったが、アンネリーゼに出会い精霊を付けてもらったのが十六歳のときであったため、光の精霊が見えるまではかなりかかりそうである。



 そして、クラリスが生まれて一年が経った。


「クラリスが立ったわ!」

「まあ!エッテンザムの血を引くものとしては、随分と早いですわ」

「きっとエッテンザム家は光魔法を制限してはいけなかったのよ。力がないのを身体強化で補っているんだわ」

「そうですね…、わたくしは幼い頃から歩く練習や所作の練習には、多大な時間を割きましたから…」

「カローナはしきたりのせいで苦労しただろうから、私たちの子供にはつらい思いをさせないようにしましょうね」

「ええ!」


「ところで、今日はアンネが来る日よ!」

「はい!クラリスが立てるようになったことを自慢できますわ!」


「ごきげんよう!セレス、カローナ、クラリス、レグラ、リーフ」


「噂をすれば、ね」


 アンネリーゼは、いつもどおりみんなに授乳して、みんなをマッサージしていった。もちろん、リーフにも。

 リーフがアンネリーゼの娘だということは皆に知られていない。でもリーフはアンネリーゼが自分と似た光の魔力を持っていることから親だと分かるようだ。

 普通の人間よりも言葉を覚えるのが早く、アンネリーゼと話しているようだったが、その場にはリーフの姿や声を認識できる者はまだいなかった。





 私は十六歳になった。


「マイア様、王都付近と、ラメルテオン付近に土地を取得しようかと思います」

「えっ、どちらにも人の住めるような土地は余っていませんよ」

「それで構いません。住めるようにすればよいだけのことです」

「なるほど…。アンネお姉様なら可能ですね…」


 この国の土地の大半は、魔物のはびこる危険な森や山だ。魔物すら寄りつかない荒野が広がっていたのは、メタゾールの周りだけだ。だから、国としては人口密度がとても低いにもかかわらず、住めるような場所はほとんど残っていない。


「それでですね、王都付近ではこの辺りが狙い目ですね。ラメルテオンだとここしかないですかねえ」

「えっ…、その二つは強力な魔物がいるという噂で、ハンターすら誰も寄りつかない危険な地域ですよ」

「だからですよ。ハンターが日銭を稼ぐための場所を潰すことはできません」

「なるほど…、さすがアンネお姉様です…。しかし、なぜ…」


「今までは飛び地は不要だと思っていたのですが、マイア様の領地やラメルテオン領のサポートを密に行うために、近くに支部を設置したいのと、農地が欲しいのです」

「支部は分かりますが、そのようなところに農地ですか?」


「今、メタゾール産の美味しい食べ物や化粧品は、すべてメタゾールで生産されています。

 私は独り占めするつもりはないので、いずれは他の領地でも生産できるようにしたいですが、それができそうなのは、農地に余裕のあるプレドールとテルカスくらいのものです。

 そうなると、いつまで経っても、ロイドステラの南側でしかそれらを生産できません。遠くの地域は輸送コストのため、それらは平民では買えない商品になってしまいますし、日持ちしない食品は運ぶことすらできません。

 まあ、美味しい食べ物と化粧品がわかりやすいので、その二つを例に挙げてしまいましたが、本命はパンツと魔導ナプキンです。この国で女性の地位を向上させるには、パンツと魔導ナプキンが必要不可欠です。私は二歳の時からこれを訴え続けて、メタゾールの女性の労働力を高めてきました」


「アンネお姉様…、さすがです。二歳の時から生理に備えているとは…恐れ入ります…」


「ようするに、王都付近とラメルテオン付近でパンツや化粧品を普及させるために、農地が必要です。材料さえ生産できれば、あとはマイア様たちの領地とラメルテオン付近の領地に材料を下ろして、製造してもらおうと思います」


「なるほど…。私はそれらの人気商品を自分の領地で扱えずに手をこまねいていました」

「それはしかたがないです。マイア様の領地では土地も予算も制限されていますからね」

「はい…。ところで…、何ですか…、この、精巧な地図は…」

「これはですね…、ダイアナが作ったんです…」

「あの子の底は知れないですね…」


 今までの話で、この辺がほしいとか指さしていたのは、タブレットにインストールされた航空写真だ。衛星を打ち上げたりはしていないが、ダイアナが国中にドローンを飛ばして写真を撮り、SLAMという技術で地図にしたらしい…。

 SLAMというのは、お掃除ロボットが部屋を計画的に掃除するために、カメラで部屋のレイアウトを覚えるための技術らしい。それをロイドステラ王国全土でやったらしい。

 電波の届かない地域ではドローンを操作できないが、AIに任せて、海に出ない範囲で適当に写真を撮ってきたらしい。

 ロイドステラだけでなく、ヒストリアの地図もできている。

 いままでメタゾールから王都まで一五〇〇キロとか、ラメルテオンまで三五〇〇キロとかいってきたけど、これで正確な距離を出せるようになった。実際、有効数字二桁は合っていたのでよかった。


「まあそういうわけなので、王に謁見します。謁見の申し入れはしてあります」


「分かりました!アンネお姉様と二人きり!」

「はい、そうですよ」



 シルバーは恒星間ワープモードで時速五〇〇キロで走れるようになっている。だから王都まで三時間で到着した。

 三時間の間、マイア姫とお風呂で過ごした。


「面を上げよ」

「ははっ」


 マイザー・ロイドステラ王。七十四歳。

 そろそろマイア姫に王位を譲ってほしい。でも、この国には王位を譲るということは死を意味する。

 私がときどき施術しているので、いまだに健在だ。ボケてもいない。というかアルツハイマーならたぶん治した。

 でも最近なんか…。悪意センサーにも強い気持ちセンサーにも引っかからないのだけど、何かねっとりとした気持ちを抱いているようで、寒気がする…。


 私は用件を告げた。


「なるほど…、そのような土地には、誰も価値を見いだしておらぬが、そなたなら使いこなせるのであろうな」

「はい。付近の領地にも利益が出るようにします」

「わかった。そのような土地は国の領土とは言いつつも、管理できておらん。金をもらうわけには行かぬ。むしろ、魔物を駆逐してくれるのなら、金を出してもよいくらいじゃ」

「いいえ、王都付近の地価を基準に、一括で支払わせてください」

「しかしそれでは…、これほどの土地、いくらになるのやら…」

「この枠で囲った範囲は九八七平方キロメートルになりまして、大金貨にして…これくらいになります」

「それはまことか…。それよりも、この板は何じゃ?地図なのか?」


 タブレットで航空写真を見せた。円で囲った範囲の面積を算出してくれる。

 そして、面積に地価を掛けて、土地代を計算して表示して見せた。三桁×三桁だから、この国の最高峰である小学三年生相当の算数では厳しかったと思う。いやいや、王なんだから、私の納税した万単位の大金貨を扱ったりしているよね?


「はい。この国の地図です」

「この地図を売ってもらえぬか」

「紙でお渡しすることは可能ですが、土地を売っていただいた暁には、すぐに開発しますので、こことここの内容が変わってしまいますよ?」

「その…、今指で触ったら、王都の付近だけ大きくなったであろう。これは魔道具なのか?これと同じものを用意することはできぬのか?」

「えーっと、機能を限定して使うことは可能ですが、全機能を使うには、マイア様の領地のような規模の開発が必要です」

「ふむ…、これを使うのに、それほどの費用が…」


 私が納税している金額からすれば楽だろうけど、ぽんっと出せる金額ではないか。


「プレドールやラメルテオンには支援金を出して、後払いにしてもらっています。ほんとうはマイア様の領地にも支援金を出して、領地改革を加速してもらいたいのですが…」


 マイア姫が領地を取得して三年。プレドールは三年目から返済できるようになったけど、マイア姫の領地は資金援助できない都合で、開発速度がプレドールの三割なのだ。


「ふむ…」


 王は悩んでいる様子。


「そうですね、私の土地取得のお金をこの地図の機能開発に当ててはいかがでしょう。さらに、それをマイア様の領地にも割り当てていただければ、マイア様の領地の開発も一層進みます」


「うーむ、その開発をすると、この地図がどのように変わるというのだ?」


「それはですね…」


『説明しましょう。オフライン時とオンライン時の機能の差はこちら』


「おい、板からおぬしの声がするぞ。板におぬしの絵が描いてある。それも動きよる」


「あ、はい…。絵の中の私が説明差し上げます」


 なんだろう、この機能…。エージェント機能の一つなのかな…。それとも広告?


『まず、先ほど申し上げたように、地図が最新の状態に保たれます。

 それから、最もおすすめ差し上げるのは、ビデオチャットという機能です。ビデオチャットとは……』


 私が持って見せているタブレットを、王は食い入るように見ている。

 私が開発のメリットを説明するより、CGの私に説明させた方がスムーズに進みそうだ…。


 このCGの私…、ずっと教師の服を着ているけど、本物の私と同じで成長している…。シャツから覗く胸が以前に比べるとかなりはみ出ている…。

 それにスカートも短くなっているような…。成長しているのに服を合わせていないのかな…。

 だいたい、ゲームの服なんてどんなキャラが装備しても勝手に伸び縮みするものだろう。服のサイズを固定してキャラに合わせないほうが面倒だろうに!いつもこだわるところがおかしいよ!


『もし開発をお許しいただき、私を導入いただいたあかつきには、私が陛下の日々の業務をサポートいたします』

「それはまことか!よし、分かった!土地の購入、王都とマイアの領地の開発を許可するので、このタブレットという板をワシに売ってくれ」


『ご決断、感謝します』


 王はCGの私と握手を交わそうとしたのだろうか、CGの私の手に指で触れている。


『近日中に別のタブレットをお届けしますので、そのときにまたお会いしましょう』

「ああ、よろしく頼む!」


 王はCGの私の手を触っていた指を滑らせてしまった。そしてその指はCGの私の胸元に…行くかと思われたが…、バチッ!


「っつ…」


 静電気のような電撃が走り、王は指を離した。


『お触りはダメですよ』

「ああ、スマン…」


 たとえCGでも、私は胸を男に触らせたくない。そこは死守してくれるようだ…。


 王はとても残念そうだ。えっ、購入動機がCGの私なの?


 まあいいや。これで、マイア姫の領地と王都を開発できる。

 マイア姫の領地には、マイア姫の屋敷にしか近代設備を設置できていない。領全体に魔力線を張り巡らせるには予算が足りないし、タブレットとスマホの購入補助金なども出せないからだ。


 土地購入の話のあと、今回も、王に施術をして延命させてしまった。もうマイア姫に交代してほしいのだけど…。



 帰りの馬車にて、


「王はもうダメですね」


 マイア姫が話を切り出した。いきなりこれだ。


「えっ?まだボケていないと思いましたけど」

「たしかに頭はしっかりしていると思います。ボケはボケでも、色ボケです」

「えっ…」

「まず、タブレットのアンネお姉様をお触りしようとしました」

「あれは指が滑ったのでは…」

「アンネお姉様は、普段とても鋭いのに、こういうときだけ鈍いですね。あれは明らかに故意です。でも王族は顔には出しません」

「なるほど…」


「私は学校での成績を伸ばして、やっとお触り機能を解禁したのです。努力もしていない王にお触りさせてたまるもんですか!」

「はぁ」

「お触り機能を解禁したら、次に解禁される機能が示されたのですよ!私はもっと勉強して、次の機能も解禁します!」


 次の機能ってなんだろう…。脱いだりするのかな…。

 まあ、勉強の意欲向上になるなら一肌脱ごうじゃないか。CGだけど。

 CGの私は、私ではないのだけど精巧すぎるものだから、私が脱いだところをカメラで撮られているのとなんら変わらない。あまり恥ずかしいことを勝手にされると困るのだけど、ダイアナはその辺りは一線を越えないようにしてくれている…はず…。


「それはさておき、王は本物のアンネお姉様にもデレッとしていましたね。顔に出ないから分かりませんでしたか?」

「なるほど…、あのぬめっとした感覚は、そういう類いのものでしたか…」

「アンネお姉様、王は優秀ですが、一つだけ致命的な欠点があります。それはですね…」


 王の致命的な欠点…。それは好色であること。

 王位の継承は二代も三代も飛び越して行われることから、補欠としては子孫がいっぱいいるので、兄弟は必要ない。

 だから、王より下の代では、息子は基本的に一人、いても二人である。

 兄弟は、第一子が子孫を残したことを確認すると、自らは子孫を残さないように務めている。


 ところが、現在の王だけが、十人の王妃を抱え、五人の息子と五人の娘を残してしまったのである。

 その結果が、例えば第五王子…サレックスである。


 サレックスって、王が三十五歳のときの子供か…。この世界では遅いかもしれないけど、前世では普通だな…。

 それで、七十四歳になったのに、まだ元気なのか…。あ、私が施術したから元気になっちゃったのか…。



 王族だけが側室を持つことを許されている。側室の子も王の子孫なので、王族なのである。

 貴族には側室や第二夫人という制度はなく、配偶者は妾扱い、子は子孫とは見なされない。

 このあたり、法律がおかしいので、マイア姫が王になったら、改正してもらおう。


 っていうか、死ぬまで王が交代できないのが問題だ。前世の母国だって、天皇が高齢過ぎるから亡くなる前に皇太子に交代したものな。

 法改正できないわけじゃないんだ。もう死ぬ前にマイア姫に王位を譲れるように、法改正してもらおう。そうすれば、好きなだけ子作りできるよ。私は相手になってあげられないけど。

 何しろ、マイア姫が王になって同性婚を法で認められたら、私はマイア姫の王妃だろうからな。お嫁さんはみんな平等に扱いたいけど、表向きにはそうは行かないだろう。せめてみんな側室にしたい。

 王であるマイア姫じゃなくて王妃である私が側室をいっぱい抱えるのか…。カオス。



 私は王のお相手になれないし、私のお嫁さんももちろんあげられないから、私やお嫁さんたちを餌に王位を退かせるのは不可能。

 でも王が退位しても資産はそれなりにあるから、結婚したい人はいるだろう、たぶん。


 残念ながら、この国の貴族は、私のお嫁さんたちの実家を除けば、あとは欲深いボンクラばかりだ。ああ、ロコイアの家もたぶんダメだ。

 だからといって、女の子を当て馬にはできないな…。いき遅れたご令嬢とか未亡人がいないか調べてみよう。




 十日後、ダイアナとマイア姫とともに、王城にスマホやタブレットの納品、塔建設、発電所設置、アンテナの設置のため登城した。


『ごきげんよう、陛下。これから私が陛下の業務を補佐します』

「陛下では堅い。マイザーと呼ぶがよい」

『マイザー様とお呼びしていいですか』

「苦しゅうない」


 タブレットにマイザー王の魔紋を登録した。

 あれは私の姿をしているだけで、中身はダイアナのAI。私ではない。私ではないんだ…。

 領民の男性だってみんな持っている。


 そういえば、男性はいくら頑張ってもお触りさせてもらえないけど、デレる機能は男性にも解禁されるらしい。好感度じゃないけど学校の成績を上げて、女の子とお話するゲーム…。

 乙女ゲームのキャラに転生するというアニメを前世で見たのを思い出した。でも、乙女ゲーム…、じゃないな、この場合ギャルゲーか…。そのギャルゲーキャラに自分がなるとは思わなかった…。

 いやいや、私がギャルゲーのキャラになったんじゃなくて、ギャルゲーのキャラが私になったんだろう。あー、もう!なんで私を使うんだ!



 王の他に、王の指定したスタッフにもタブレットを配った。


 宰相さん(五十九歳)は引退したらしい。宰相さんのことを聞いた。第一王子らしい。ちゃんと結婚して子を残して、その血はマイア姫に受け継がれている。宰相さんの嫁は先に旅立ったらしい。だからというわけではないけど、宰相さんにもタブレットを配った。

 宰相さんの命の炎が消えるまでに、CGの私のデレが解禁されたかは誰も知らない。




「というわけで、王都付近に魔物のはびこる森を購入したので、住宅地、農地、放牧地などを整備しようと思います」

「アンネお姉様、あそこの魔物は強力です。ほんとうに大丈夫でしょうか」

「精鋭だけでいきたいところですが、マイア様も付いてくるのでしょう」

「もちろん!」


「私も行くわ!」

「私もー!」


 ヒルダとクレアの戦闘力は比較的高い方だ。だてに七年うちで鍛えていない。


「私も行くわよ~」

「暴れられるなら行く!」

『行かない』


 お母様の魔力は申し分ないのだけど、胸が大きすぎるドジっ子キャラになってしまったのでどうしよう…。

 リーナは必須だ。


「ダイアナは来なさい」

『えー』


 ダイアナも六歳になって、危なげなく歩けるようになった。ダイアナは砲台としては最強だから連れていきたい。


「もちろん聖女の守り手は外せません」


「当然よね」「任せとけ!」「特訓の成果見せる」「僕も体術を覚えたよ」「アンネお嬢様とデート!」


「あとは、ロザリーですね」

「足手まといにならないようにします…」


 もちろんドリーも連れていくよ!


『は~い』


「最近お嫁に来ていただいた八人は、この前の収穫祭で見るかぎり、まだ戦闘には早いと思います」


「次はお供できるように頑張ります!」「ふがいなくて申し訳ありませんわ…」「残念です…」「精進します~~」

「私も次は頑張ります!」「も、ももも、申し訳ありません…」「わたくしも勉強しなければですね」「うう、ごめんなさい…」


 私も胸を抱えっぱなしで、どんくささマックスだったけどね!


 あと、みんなには告げないけど、アリシアとワイヤとシルバーも連れていく。むしろ、この三人がいちばん頼りだ。

 というか、シルバーは連れていくんじゃなくて、連れていってもらう、だった。


 それと、ヒーラーガールズとメイド。


「ねえ、ポロン、今回の遠征に付いてきてもらえませんか。ダイアナを守ってほしいのです」

「私などでお役に立てるのでしょうか…」

「もちろんです。あなたは優秀ですから」

「分かりました」


 ポロンは今後ダイアナに付けてもいいな。ポロンはおとなしい子なので、メイドに頼りっきりのダイアナに付ければよかったのかなぁ。ジョブマッチングって難しい。



 今回はヒストリアを制圧したときのアイドル衣装、じゃなかった、ミニスカアーマー。

 でも、インナーアーマーは不評だったので、誰も着ていない。コルセット部分はちゃんと着ている。スカートは斜めカットのパレオのまま。

 いや、危険だからインナーアーマーも着てほしいのだけど、ダサいから私も着たくないので、大きなことを言えない…。

 まあ、ちょっとくらい傷ついても治せるって自信があるから、こんな余裕ぶっこいているんだけど、でも、いくら治せるからって痛いよ?


「お母様…、それは鎧ではありません…。水着です…」

「あら、あんまり変わらないでしょ!」

「いえ、かなり違います…」

『じゃあ、ミニスカアーマーをその形にしてあげよう』

「ありがとう!ダイアナちゃん!」


 結局、ミニスカアーマーの面積を減らして、ブラを十センチの正三角形に。パンツとパレオはそのまま。コルセットを着ていないことを除けば、みんなとあんま変わらない…。

 でも、ミニスカアーマーにも、ブラが脱げない細工をしたのだろうか…。それだけは心配でならない。


「それよりもアンネちゃん!なんでアンネちゃんの胸の方が大きいのよ!」

「えっ…、そうですか?」


 そうかも…。収穫祭のときに同じくらいだったけど、私は十六なのでまだ成長するということか…。さすがに、わざと揺れやすいようなブラはもういらないかも…。っていうか、収穫祭のときから、あんまりゆさゆさしているのが恥ずかしくなってきたし…。


「なんで私の胸は大きくならないの?」

「それはお母様はもう二十ろ…」


 ぺしんっ!お母様は私の頬をひっぱたいた。


「お、お母様は十七歳なので、そろそろ成長が止まる頃です…」

「もっと大きくして!」

「そう簡単に大きくなるものではないですし、お母様大きすぎるお胸を持て余しているではないですか…」


 最近、お母様は胸をあちこちにぶつけたり、足下が見えなくて転んだり、お皿が見えなくて料理をこぼしたりと、ドジっ娘ぶりに拍車がかかっていて可愛い。ではなくて大変そう。


「もう、アンネちゃんのバカぁ!」


 お母様は走り去った。ミニスカアーマーを削って作った三角ビキニは、脱げない細工がされているのかな…。


 うーん…。私は胸をこんなに大きくしたかったわけではないのだけど、みんな私の母乳ばっか多く飲むし、毎日二十人以上に授乳していて、お母様以上に乳腺が発達してしまった。

 それに、背丈もお母様より少し高くなったし、体格差もあるのだから勘弁してほしい…。


 お母様が胸の大きさをカローナに追い抜かれたときは、こんなことにならなかったのにな…。下手に似ている私だから比べてしまうのかな…。

 あああ、お母様は歳の近い姉ではなくて妹になってしまった!ドジで守ってあげたい妹!いいね!




 というわけでやってきました。王都から一〇〇キロくらい、マイア姫の領地からも一〇〇キロくらいにある、魔物の森。

 魔道馬車は、シルバーの恒星間ワープモードで格納した。


「アンネお姉様、ほんとうにこんなところに入るのですか…」


 マイア姫には四人のメイドと二人の女騎士が付いている。みんなちゃっかりマイア姫と一緒にメタゾールの学校に通っていたから、魔法や戦闘の能力がそれなりにある。

 メイドにはミニスカアーマーを着せている。騎士は元から持っていたフルプレートアーマーを着ている。メイドのことをうらやましそうに見ている。ミニスカプレートを作ってあげたらいいのだろうか。

 マイア姫とお付きの六人、合計七人でパーティを組んでもらった。パーティ名は…、マイア隊。



「不気味ね…」

「怖いよう…」

「ラメルテオンの森よりずっと不気味ですね…」

「がんばるわぁ」


 ヒルダとクレアにもそれぞれメイドが付いている。マイア姫よりも古くから学校に通っていたので、魔法をかなり使える。

 ロザリーにもメイドが付いている。今回の参加者の中ではこの二人の経験がいちばん浅い。

 それからお母様とエミリーがペア。エミリーもお母様と学校に行ったりして、少しは鍛えている。

 この八人のパーティ名はお嬢様隊。



「久々に魔物狩りね」

「腕が鳴るぜ!」

「フフフ…」

「体術も治療も任せてよ!」

「私、アンネお嬢様のパーティがいい…」


 もちろん聖女の守り手は五人で一つのパーティだ。ギルドには、私もメンバーの一員として登録してあるのだけどね…、私は全体把握だ。



『めんどい。更地にしてから呼んでほしい』

「ぐぉおおお」


 ダイアナ、テンション低い。中の人のことを知らなければ、ほんとうに可愛いのになぁ。

 コーリルとリメザとポロンはダイアナの護衛だ。ダイアナは攻撃力は高いが、回避能力や防御力はゼロなので。

 ゴールドドラゴンのワイヤもダイアナと一緒のパーティだ。ワイヤは二メートルの巨躯に育った。

 この五人のパーティ名は…、ダイアナ隊ってことで。



 ヒーラーガールズの五人は一パーティではあるけど、まとまらずに劣勢のパーティの加勢や治療をしてもらう。



 以上の五つのパーティは、だいたい同じレベルの人を集めた。あとは、遊撃隊。


「よーし遊ぶぞー!」


 リーナにはスピラが付いている。護衛というより、暴走したり迷子にならないように見張るためだ。



『私は危なくなったらみんなを守るわね~』


 ドリーは誰にも付いていない精霊なので、直接人間や生き物に干渉してはいけないらしい。いままでそういうことはさせたことがなかったから知らなかった。

 そういえば、最初もトレントをけしかけるだけで、自分では木を切りに来たやつを追い払えなかったんだな。ものを作ったりして行く手を阻んだりはできるらしい。



「くおおおん」

「ぶひいいいん」


 アリシアとシルバーにはヒーラーガールズのように、劣勢のパーティの補佐と治療に回ってもらう。二人とも、重要な戦力であり、優秀なヒーラーだ。



 そして、私も基本方針は同じ。全体を見て回り、誰も問題なさそうなら、敵を倒して回ろう。


 以上、私を含めて三十六人。


「それでは魔物の森を制圧しましょう!」

「「「「おーーー!」」」」




『この辺は農地にする予定』

「そうですね、木を抜いていきましょうか」

『影収納で持って帰るには多すぎる』

「少しずつ持って帰るとして、見晴らしを良くするために、今抜いておきましょう」


 私は太さ数十センチの木を掴んで、めきめきと抜いていった。


「あの親子、緊張感ないわね」

「アンネだもん」


「ヒルダ、そっちから魔物が来ますよ」


「えっ?」

「よーし!」

「えっ?どちらですか?」

「がんばっちゃうわぁ」


 お嬢様隊に向かって魔物が接近中。筋肉のきしみ音と悪意…、というか害意を感知。

 四足歩行…馬の音?


 現れたのは、馬の胸から下の部分と、人間の男の腰から上を備えた…、ケンタウロス?

 手と足合わせて六本だよ。さっそく哺乳類を逸脱したやつ来た…。ファンタジーだよ。神話級だよ。


「「「「アイスアロー!」」」」


 氷という概念は、うちの学校で学んだ者にしか知られていない。水魔法で氷の柱を作り出し、それを飛ばす魔法だ。

 ヒルダとクレアおよびそのメイドは、アイスアローを放った。


「「「「ウィンドカッター」」」」


 真空という概念は、うちの学校で学んだ者にしか知られていない。風魔法でかまいたちを起こし、敵を切りつける魔法だ。

 ロザリーとそのメイド、お母様とエミリーは、ウィンドカッターを放った。


 しかし、ケンタウロスは八つの魔法をすべて避けきった。皆、追従させるところまでイメージしたのに、ケンタウロスは避けた魔法が木や岩に当たるように誘導して、瞬く間にすべての魔法攻撃を無効化してしまった。

 やはり、人の頭が付いているから、知能が高いのか?


「速い!」

「なんて避け方!」

「賢い魔物ですね!」

「なんなの、もー!」


 ケンタウロスは魔法攻撃を避けると、ヒルダたちに向かっていった。しかも、ファイヤボールを準備しながらだ。

 それを遮ったのはシルバー!シルバーは、前足でケンタウロスを蹴り倒した。

 お嬢様隊には前衛がいないので、敵に近寄られたときはすぐに遊撃隊がフォローに回る作戦だ!


 ウソです…、そこまで考えてなかった…。というか、連れてこないと怒るだろうから、連れてきたのであって、本来はお嬢様隊とマイア隊は危ないから連れてきたくなかったんだよ。


 シルバーに構わずに魔法を打ち込むように、光魔法でお嬢様隊に指示。シルバーは寸前で避けてくれるイメージを送った。

 シルバーには、お嬢様隊が魔法を撃つから、私の合図で避けるように指示。


「私にも見えるわ!」

「私も見える!」

「打てばいいんですね」

「はーい」


 四人とそのメイドは、先ほどと同じ魔法を放った。

 ケンタウロスと対峙しているシルバーに魔法が到達する寸前に、私がシルバーに避けろと指示した。

 シルバーが上にジャンプすると、八つの魔法はケンタウロスに命中。かまいたちで脚を切られ、胴に氷の柱が刺さったケンタウロスは、絶命してはいないが、戦闘不能になった。



『ママ、こいつ馬刺しになるかな』

「食べるんだ…。やめようよ…、上半身は人肉だよ…」

『まあ、ここ来るのは初めてだし、放牧できそうなものは生け捕りね』

「うん」


 諜報員からは、この森の魔物の情報は得られていなかった。敵が強すぎて侵入できなかったのだ。

 お嬢様隊は魔法の手練れだけど、シルバーが守ってくれなければ、八人がかりで一頭のケンタウロスを倒せたかどうかわからない。




「次、聖女の守り手の方に魔物!」


「分かったわ!」「待ってました!」「腕が鳴る」「久しぶりの感覚だぁ」「アンネお嬢様…助けて…」


 現れたのは三メートルの巨大な犬…、首が三つの…。ケルベロスってやつ?

 さっきのはケンタウロスだった!あ、でもミノタウロスは無人島から連れてきたしなぁ。ここにもいるのかな。もしいるとしたら、ここはなんとか神話のテーマパークなんじゃない?


 三つの首のうち左の首が、イミグラに噛みつこうとしてきた。イミグラはケルベロスの口に剣を挟んで止めている。


 右の首の相手はゾーミアだ。ゾーミアは槍の柄で首を押し返した。

 さらに真ん中の首がゾーミアに襲いかかる。ゾーミアは右の首を押し返したばかりで体勢が整っていない。


 そこにレルーパがナイフで応戦。しかし、短いナイフでは大きな口を止めるのは難しく、口に縦に挟んだナイフが傾いて、今にも口が閉じて噛みつかれそうだ。


 そこで、マクサがレルーパを襲っている首に高い蹴りを入れた。マクサは光魔法が得意だったので、身体強化を会得して体術を使えるようになっている。


「行くわよ!ファイヤボール!酸素収集!」


 フリーのアマージが青い火の玉を放った。火の玉には周りから酸素が集まり、さらに炎は勢いを増した。異なる属性の魔法を二つ同時に使うのは高等テクニックだ。さすがアマージ。

 ラメルテオンで戦っていたときとは温度も大きさも違う。科学知識と精霊の力を得て、威力が格段に増した。

 ケルベロスは炎に包まれた。アマージは燃えるイメージを続けており、炎はさらに勢いを増している。

 のたうち回るケルベロスは、やがて息絶えた。


「ふう…、強いわね…」

「ああ、四人がかりで止めるのがやっとだった」

「私はナイフじゃきつかった…」

「体術で初めて魔物と戦うのは怖かったよ…」

「アンネお姉様!見ていてくださいましたか!」


「皆さんお疲れ様です。とても強くなりましたね!」


 ラメルテオンであったばかりのときみたいに、きゅるるんっとお嬢様ぶりっ子モードで感動してみた。すると、五人とも顔を赤らめて、そっぽを向いてしまった。私がこんなキャラではないって、もう知っているくせに。みんな可愛いな。


『イミグラ、ゾーミア、レルーパ。あげる』

「これは?アンネお嬢様の剣に似ているわね」


 ダイアナが用意したのは、イミグラ用のバスタードソードと、ゾーミア用のグレートソードと槍、レルーパ用のショートソードとナイフ。


『気をつけて。岩でも豆腐のように切れるから』


「えっ…。ホントだわ」

「剣も槍も軽いな。重さで叩き切るのには向かないか?」

『重さも力も不要。とにかく切れる』


 豆腐は収穫祭で出されたから、どんなものか把握されている。だからといって、そんな言い回しは聞き慣れないだろう。


「このナイフ、使いやすい。ショートソードも助かる。ありがとう、ダイアナお嬢様」

「「ありがとう、ダイアナお嬢様!」」


 アリシアのうろこで作った武器のようだ。私のレイピアと同じ雰囲気。でも私のと違ってちゃんと切れるようになっている。




「マイア様、九時の方向、来ます!」


「構えなさい!」

「「「「「「はっ!」」」」」」


 騎士二名が前へ。メイド二名がその後ろへ。そしてマイア姫。その横にメイド二名。


 現れたのはライオン?の胴に、人間の頭。スフィンクス、いや、マンティコアかな?これも何かの神話の生き物では…。シリーズが違ったような…。

 マンティコアの顔は人間の顔だけど、でかいな…。口が裂けている。


 マンティコアが騎士Aに襲いかかる。その大きな口で頭に噛みつこうとしている。

 騎士Aは剣で口を止めるも、力で負けて体勢を崩した。

 そこにもう一人の騎士Bがマンティコアを切りつけた。刃はマンティコアの肩に切れ目を入れたが、傷は浅い。


「ファイヤボール!」


 マイア姫が青い火の玉を放った。


「「ファイヤボール!」」


 中衛のメイドAとBも青い火の玉を放った。


「「酸素収集!」」


 後衛のメイドCとDはマイア姫とメイドAとBの放った火の玉に酸素が集まるようにした。すると、火の玉は勢いを増した。


 三つの火の玉は二人の騎士を避けて、横からマンティコアに命中。

 マンティコアは炎に包まれたが、なおも騎士Aに噛みつこうとしてくる。

 騎士Aはそれを再び剣で止めようとするが、炎に包まれているせいで、うまく剣で止められず、騎士Aは肩に噛みつかれてしまった。フルプレートアーマーがひしゃげた。なんという力だ。肩の骨は砕かれただろう。


「ぐわあ…」


 すかさず一人のヒーラーガールAが駆けつけ、治療魔法をかけた。

 さらにヒーラーガールBがマンティコアの頭に横からハイキック。マンティコアは飛ばされた。

 マンティコアは炎に包まれていることもあって、だいぶダメージを受けているようだが、なおも向かってくる。

 ヒーラーガールCとDが前に出て、両サイドから頭に向かって挟み込むようにハイキック。

 マンティコアは気を失い、そのまま燃え尽きた。


「大丈夫ですか」

「はい…、申し訳ございません」

「命あってのものです」


 マイア姫は騎士Aをねぎらった。


「あなたたちもありがとう」

「光栄です」


 マイア姫はヒーラーガールズにもお礼を言った。


『ちょっと鎧を脱いで』

「はい…」


 ダイアナが騎士Aに言った。

 ダイアナは、騎士Aの脱いだ鎧を火魔法で高温に熱して、土魔法で整形し直した。そして、水魔法で常温に戻した。


『はいこれ、人気のないインナーアーマー。これをプレートの下に着るといい。少しはマシになると思う』

「ありがとうございます!」


『あと、剣もあげる』

「おお!これは何でも切れる剣!」

「ありがとうございます!」


 イミグラのバスタードソードと同じもののようだ。




「ぐるぅぅぅ…」

『来る?黒焦げはダメだよ?』


 ワイヤは接近する魔物の気配を捉えた。


 姿を現したのは、巨大な蛇。直径が一メートルで全長が十メートルの蛇!ヨルムンガンド!やっぱり神話級じゃないか!いや、これはただのでかい蛇なのであって、私が無理矢理神話に結びつけようとしている感は否めない…。


 ちなみに、ここの魔物の情報は広まっておらず、私が見た目からそう呼んでいるだけだ。ミノタウロスだって、輸入した魔物だから、誰にも知られていなかったものであり、私が名前を付けた。

 だから、何らかの神話っぽい魔物が集まっているのは、たぶん偶然だ…。


 コーリルとリメザとポロンは、ダイアナを守る陣形。この三人は、ヒーラーガールズほどではないものの、身体強化に優れており、魔法攻撃だけでなく、近接戦もできる。


「ぐおおおおお!」


 ワイヤが電撃を放った。手加減しすぎたのか、ヨルムンガンドは少しひるんだが、接近速度を緩めない。


「二酸化炭素収集!」


 風魔法の得意なリメザは、周囲から二酸化炭素集めて、ヨルムンガンドの顔に纏わせた。

 人間は空気中の二酸化炭素濃度が七パーセントになると二酸化炭素中毒となり失神するという。エグい技だが魔物に通じるだろうか。

 残念。ヨルムンガンドは一瞬動きが鈍くなったが、すぐに元の速度に戻った。


「ファイヤボール!」


 火魔法の得意なコーリルは、青い巨大な火の玉を放った。しかし、ヨルムンガンドの寸前で炎が弱まった。弱まった炎はヨルムンガンドに当たってもびくともしなかった。

 リメザが二酸化炭素を集めたから酸素濃度が低下している。酸素が足りないので炎が弱まったのだ。先に酸素を集めるべきだった。この子ら、連携できていないなぁ。

 二人は交代勤務なので、学校で一緒になったことがないのだ。連携できないのはしかたがない。


「アースウォール!」


 土魔法の得意なポロンは、ヨルムンガンドの目の周りに堅い土の壁、というか囲いを作って閉じ込めた。

 ゴーン!ヨルムンガンドは壁に激突、轟音が鳴り響いた。

 ゴン!ゴン!ゴン…!その後も壁に体当たりを繰り返している。


『食べられるかな』


 ダイアナはいつ食いしん坊キャラになったのだ。といいたいところだけど、放牧して素材が産業として役に立つかという観点で話をしている。


「ダイアナ、戦闘に慣れるまでは、普通に倒してよ…」

『しかたがない』


 ダイアナは壁もろとも…レーザービームを放った。体当たりの音はしなくなった。


「何それ…」

『超電磁砲』

「へー…」


 ポロンが壁を崩すと、中には額に穴の開いたヨルムンガンドが息絶えていた。




「何か来る!今度はリーナがやる!」

「気をつけてね」


 姿を現したのは…、赤い炎の塊、いや、炎を纏った三メートルのトカゲ…。いや、翼のあるドラゴン!


「ねえ、アレってレッドドラゴンじゃない?」

「あれ欲しい!ずっと欲しかったやつ!」


 そういえば、ワイヤとアリシアの卵を手に入れたとき、ヒルダとクレアは自分のドレスカラーのドラゴンが欲しいと言っていた。

 クレアはピンクのドレスだったので、レッドドラゴンが欲しいとは言っていたけど、ずっと燃えているなんて飼えないよ…。


 リーナは突っ込んでいった。スピラもついて行っているけど、炎が怖くて怖じ気づいているようだ。


「ちょっと火傷するよ!」

「ねーねのばーか」


 ちょっと!リーナは最近反抗期だ。


 リーナはレッドドラゴンに…蹴りを放った。動きが速すぎて、レッドドラゴンは回避できない。腕で受けるのが精一杯のようだ

 でも炎を纏ったレッドドラゴンを蹴ったら熱いだろう…。


 しかし、リーナの脚が当たったレッドドラゴンの腕は…、凍り付いた!凍り付いた腕はそのまま砕け散った!


「がああああ!」


 そうだ、リーナの十八番は光魔法による身体強化ではない。水魔法だ!

 五歳頃から水遊びをしなくなったから忘れていた。側にいる光の精霊よりはるかに大きな水の精霊はだてじゃない。


 レッドドラゴンには、ホワイトドラゴンのような知能はないようだ。知能があるのはホワイトドラゴンだけか。

 ワイヤは幼い頃から育てているし、光の精霊も付けて脳の発達も促しているから、言葉を理解するけどね。


 レッドドラゴンは、口から赤い炎の魔法を吐き出した。リーナはそれをまともに受けた。

 しかしリーナは無傷。水の精霊が皮膚の表面温度を調整しているのだろうか。ミニスカアーマーもアリシアのうろこだから、ちょっとやそっとじゃ燃えない。


 リーナは高く飛び上がり、レッドドラゴンの頭を蹴りつけた。

 レッドドラゴンの頭は凍り付き、そのまま砕け散った。



「リーナお嬢様…すごい…」

「パネぇ…」

「あれがリーナお嬢様の実力…」

「身体強化の使い方がすごい…」

「水の魔力がとてつもないわ…」


 聖女の守り手五人は呆然。


「卵あるかな!」

「開いてほしいわ!」


 クレアとヒルダ…。ドラゴン解体のグロにもお構いなし。


 さっきから立て続けに魔物が現れて、死体の処理をしている暇がない。死体を開いてるときに魔物が襲ってきたら…、まあ周囲に気を配りながらやれば大丈夫か…。


 私はレッドドラゴンの筋肉をバキバキと剥がしていった。爬虫類でも構造が分かるようになってきたなぁ。

 っていうか、ドラゴンにも手と足と翼があるわけで、鳥やコウモリみたいに手が翼になっているわけではない。これも爬虫類から逸脱している。

 肉に沿って剥いでいき、あったあった。卵管が膨らんでいる。


「ありましたけど、毎回有精卵とは限りませんからね」

「やったー!この子はベニシアにする!」

「聞いていますか、クレア…」


 雌が生まれるの前提。無精卵かもしれないし、雄かもしれないし。


「アンネ!次はブルードラゴンよ!」

「だから探して見つかるようなものでは…」

「このあとラメルテオンに行くんでしょ!きっとそこよ!」

「そんなに都合よくは…」


 だいたい、ワイヤはダイアナの強い電気の魔力に惹かれて親と勘違いしている節があるのだけど、同じことをするには、クレアとヒルダにそれぞれ火と水の魔力が足りないと思う。

 ブルードラゴンを見つけたら、リーナ頼りかなぁ。

 それとも、私のマッサージだけで手懐けられるかなぁ…。




 まだ森に入ったばかりだから敵の数が少ない。でも一体がとても強い。

 奥に行くと強い魔物がいっぱい出るのだろうか。お嬢様隊とマイア隊を連れていっていいものかな…。


 さっそく四頭の魔物の気配だ。今度は空から…ライオンの胴に鷲の首…グリフィンだ!全長は二メートル。


「空から四頭来ます。それぞれパーティは迎撃準備」


「リーナはお嬢様隊のサポート」

「倒しちゃったらごめんねー」


「ヒーラーガールズはマイア様のサポート」

「「「「「はい!」」」」」


「アリシアとシルバーは聖女の守り手をサポート」

「ぐぉおお」

「ぶひいいん」


「ダイアナは待機」

『常に待機でおけ』



「じゃあ、落とすよー」


 リーナはドッジボールになって上空十メートルまで飛び上がった。そして、グリフィンの片翼を凍らせて貫通。グリフィンは残った翼では飛ぶことができず落下した。


 ズドーン!

 リーナの落としたグリフィンは、お嬢様隊からは少し遠い。


「そっちにやりますねー」


 スピラがグリフィンに蹴りを入れて、お嬢様隊の方に近づけた。


「「「「ファイヤボール!」」」」

「「「「酸素収集!」」」」


 飛んでくるグリフィンに、お嬢様隊の青い火の玉による集中砲撃。メイドは酸素収集でサポート!

 グリフィンはいっきにに燃え上がり、絶命した。




 一方、マイア隊とヒーラーガールズ。

 ヒーラーガールAとBとCの三人がグリフィンの高さまで飛び上がった。

 ヒーラーガールAはグリフィンの前足による攻撃を防御したが、墜落コースへ。

 ヒーラーガールBはグリフィンの頭に蹴りを入れた。ここでグリフィンは失神。

 ヒーラーガールCはグリフィンの上からかかと落としでグリフィンを墜落させた。


 グリフィンの墜落した位置はマイア隊から少し遠かった。墜落した位置には四人目と五人目が待機しており、グリフィンが落ちて来るなり、ヒーラーガールDとEはグリフィンに蹴りを入れて、マイア隊の方へ飛ばした。まるでピンボールだ。


 ヒーラーガールズの連携は素晴らしい。しかも、くるくる回ったりして、まるで踊っているように綺麗だ。

 ヒーラーガールズはアイドル養成科に通っている。アイドル養成科は成績優秀者しか入れない。

 なんとか雑技団のようなアクロバティックなダンスもやっているみたいだし、息が合っていないと成り立たないのだろう。


 最初に攻撃を引きつけて墜落するような役割でも文句を言わない。みんなで一つなのだ。


「「「「ファイヤボール!」」」」

「「「酸素収集!」」」


 飛ばされてきたグリフィンに対して、マイア姫と、メイド一人、騎士二人は青い火の玉を放った。騎士もマイア姫と一緒に学校に行っており、一通りの魔法を学んでいるのだ。

 もし王城に戻ったら引く手あまたなんじゃないかな。


 残りのメイド三人は、酸素収集でサポートだ。


 この子たちも連携がバッチリだ。


 グリフィンは炎に包まれ絶命した。




 一方で、聖女の守り手とアリシアとシルバー。


 アリシアは羽ばたき、グリフィンの高さまで舞い上がった。体格はどちらも二メートル。でも力や速さには圧倒的な差がある。

 アリシアは、グリフィンの後ろに回り込み、グリフィンの翼に触れて電撃を与え、翼の筋肉を麻痺させた。


 アリシアはアンネリーゼの技をかなり習得している。また、アンネリーゼの流血嫌いにも配慮してくれる。


 羽ばたけなくなったグリフィンは落下した。

 落下した地点にはシルバーが待機していた。シルバー後ろ足で蹴りを入れた。グリフィンは聖女の守り手の集まっている方へ飛ばされた。


 みんなこの流れだけど、連携としてはベストだと思う。飛行する魔物に対しては丁度いいだろう。


 飛んできたグリフィンに対して、イミグラが首に、ゾーミアが腹に剣を入れた。グリフィンは何の抵抗もなく、するっと後ろへ。

 そして、頭と上半身と下半身が泣き別れに…。

 アリシアの配慮、無意味に…。


「うはー、それすごいなぁ…。僕もナイフくらい練習しようかな…」




 その後、現れた魔物は、

 蛇の身体に女性の上半身がくっついたメデューサ?

 巨大な狼…フェンリル?


 あとは、今まで出てきたケンタウロス、ケルベロス、マンティコア、ヨルムンガンド、グリフィン。けっこうごちゃ混ぜに出てきた。レッドドラゴンはこれ以上現れなかった。


 ちなみに、私が前世で見たことのある空想の生き物の名を割り当てているだけで、実際にはドラゴン以外はどれもこの国では知られていない魔物なので、名前はない。


 三体まではお嬢様隊とマイア隊と聖女の守り手に割り振って対処。

 四体同時に現れたときはダイアナも出動。


 おっと、五体目だ。ケンタウロスだ。

 私はスカートからレイピアを取り出した。私はケンタウロスの背に飛び乗り、首に切っ先を触れさせる。

 剣を真正面に構えると、胸に当たって胸がぷるんぷるん揺れてしまう…。近接戦はツラくなってきた…。

 まあそれはさておき、私はケンタウロスを脳死させた。ケンタウロスは呼吸はしているが、意識をなくし倒れた。


 おっと、また来た。今度はメデューサだ。メデューサさん…、ブラを着せてあげたい…。パンツははけなそうだ。でもねんねしてね。


 おっと、次はマンティコアだ。人面シリーズは嫌だなぁ…。


 おっと、また来た。おっと…。おっと…。



「ふう…、終わったわ」

「だいぶ慣れてきたね」

「少し疲れました」

「お休みしたいわねー」


 お嬢様隊が一体倒したようだ。


「こっちも終わったわ…。って…」

「デジャブだな」

「息をしている魔物の山」

「これってアンネお嬢様?」

「アンネお嬢様素敵だわぁ!」


 聖女の守り手も一体倒したようだ。でも、私の方を見て、あんぐりしている。

 あれ…、私、何かおかしいかな…。あ、胸が振動したままで、なかなか止まらない…。恥ずかしい…。


「この辺りの魔物は駆逐したようですし、少し休憩しますか」


 みんな疲れていたようだ。シルバーの恒星間ワープモードを解除して、魔道馬車を外に出した。

 メイドたちに食事を準備してもらいつつ、私はみんなの背中を押してあげた。

 ほんとうはお風呂でゆっくりやってあげたいけど、三十五人もいるから日が暮れてしまう。だから三十秒コースで我慢してもらった。


 外にはシルバーとアリシアとワイヤを護衛として置いてある。

 シルバーが魔物の接近に気が付いたようだ。たいしたことない、ご主人の手を煩わせることもない、か。


 ちょっと魔道馬車から顔を出すと、シルバーが戦っていたのは、馬…、角の生えた馬!白いユニコーン!

 あ…、ちょっとまって…。シルバーはユニコーンを目の敵のようにぎったんぎったんにしてしまった…。こんなことをする子じゃなかったのに…。


 あ、今度は空から。って、シルバーは高く飛び上がり、空にいた魔物を蹴り落とした。なんだかすごく気が立っている。

 落ちてきた魔物は、またもや白い馬。って、空飛ぶ馬!翼の生えた馬!ペガサス!

 シルバーはまたもやペガサスをぎったんぎったんにしてしまった…。どうしたの…、シルバー…。



 シルバーは何かに導かれるように、駆けだしていった。


「ちょっとシルバー!」


 私はシルバー追いかけた。シルバー…、めちゃくちゃ速い…。時速五〇〇キロだもんね…。森の中だからそんなに速く走れないと思うけど、一〇〇キロくらい出てるんじゃ…。

 あれ…、それに追いつけている私って…、馬 (のように速い)娘…。


 シルバーの行き着いた先には泉があった。


「シルバー、ここに何かあるんですか?」


 シルバーは泉を見つめている。ここに主の求めるものがある。これで自分は主の求める姿になれる。

 何それ…。シルバーはシルバーのままでいいよ。私の大切な嫁だよ。


『あらぁ、こんなところにあったのね~』

「ドリー、来てくれたのですね。ドリーはこの場所のことを知っているのですか?」

『魔物がより強い魔物に進化できる場所よぉ』

「そんなものが…。だから、ここの魔物は強いんですね…」

『そうみたいね。シルバーちゃんはもっと強くなりたいのかしらぁ』

「えっ…、シルバーは魔物では…」

『シルバーちゃんは魔物よ~。何言ってるのよー』

「えっ…」

『魔力を得た動物のことを魔物というのよ』

「あ、そういうことなんですね」


『ここは、生き物が長い年月を掛けてすべき進化を、いっきにできちゃう場所よぉ。でも、相当魔力の高い者にしかできないけどね。でも人間はなぜかできないのよ。

 進化とは生き残るための適応だから、他の者に負けないように強くなるけど、たいていの場合同時に凶暴になってしまうのよ』


「えっ、シルバーが凶暴になってしまっては困ります」

『シルバーちゃんには、アンネちゃんが優しさを教えてあるでしょ。だからきっと大丈夫よ』

「そうですか…。ここの魔物の姿は、彼らの望んだ姿をしているのですかね」

『たぶんねー。人間の姿を借りて知恵を付けたのでしょう』

「なるほど…。それで、シルバーは…、あっ…」


 シルバーが光に包まれた。数十秒経って現れた姿は…、白い馬…。顔は美人のシルバーのまま…。

 えっ、色を変えただけ?

 いや…、角がある。さっき見たユニコーン!ユニコーンになりたかったの?

 あ、翼もある!ペガサス!って両方か!欲張りめ!

 これって、アリコーンってやつ?


「シルバー、もしかして栗毛なのにシルバーと名付けたことに不満がありましたか?」


 シルバーというのは前世の母国語の発音であって、この世界の「銀」という言葉ではない。この世界では意味のない文字の羅列だ。

 シルバーの心を覗いてみた。



 シルバーは、シルバーという名前にコンプレックス抱いていた。アンネリーゼはシルバーといえば、どちらかといえば白い馬というイメージがありながらも、馬といえばシルバーという安易な考えでシルバーの名前を付けてしまっていた。

 そのせいで、考えを伝える魔法でシルバーに語りかける際に、白い馬のイメージがわずかに漏れ伝わっていた。

 自分は栗毛であるにもかかわらず、アンネリーゼは白い馬であることを期待しているのではないかと思い、白い馬を見た途端に目の敵してしまった。

 魔物とあっては、倒さないわけにはいかない。シルバーはチャンスとばかりに、目に入った白い馬の魔物を攻撃したのであった。



「シルバー、あなたにそのように思わせてしまっていたなんて…。ごめんなさい」

「ぶひいいい」

「でも、シルバーは私のために、私の望む姿になってくれたんですね!」

「ぶひいいん!」

「ありがとう、シルバー!ねえ。その翼で飛べるんですか?」


 私はシルバーにまたがった。シルバーは馬車馬だけど、いつでも乗馬できるように鞍が付いている。しかも、翼は鞍を避けるように付いている。私が乗っても翼に干渉しない。


「すごい!シルバー!」


 アリシアももう少し大きくなれば乗れそうだけどね。

 シルバーは風魔法を駆使して、うまく飛んでいる。ドラゴンは生まれつき、翼に風を当てて飛ぶ魔法を知っているようだった。シルバーは走るときに追い風を使えるし、風で飛ぶ原理を理解して使っているのだろう。


 ところで、ユニコーンって処女しか乗せてくれないのでは…。私はダイアナを産んでしまった身。

 あ、でも私はまだ処女といえる!狭義には男と交わったことのない女のことだし、カローナは女だからセーフ!

 いや、そもそも、私の前世の空想話の設定まで、シルバーは再現していないだろう。私が変なことを考えなければ、変なことにはならないはずだ。



 楽しかった空中遊泳を終えて、着陸した。


「ありがとう、シルバー。とても気持ちよかったです」


 シルバーは光り出した。ええ?また進化するの?

 光の中から現れたのは、シルバーの毛の色…、白く長い髪をした成人女性が四つん這い…。顔はどことなくシルバーに似ている…。

 何も着ていない…。でも、頭には馬の耳、お尻には馬の尻尾…。馬娘…。

 馬娘が立ち上がると、背中に付けていた蔵は、ポテっと落ちた。


「ご主人様!」

「えっ…」


 馬娘は…シルバーなのだろうけど…、シルバーは私に抱きついてきた。


「ずっとこうしたかったんです…」

「そう…。寂しくさせてごめんなさい…。人間の姿になったからには一緒に暮らしましょうね」

「はい!」


「ところで…、馬車は引けるんですか…」

「はい、この通り!」


 シルバーは光りだし、アリコーンの姿に変わった。


「自由自在なのですね」

「ぶひいい」


『あらあらすごいわねえ。変身は光魔法なのかしらぁ。進化した姿を切り替えられるなんて初めて見たわぁ』


 シルバーはまた光って、人間の姿になった。


「あら、アリシア、ワイヤ、あなたたちも来たんですね」


 いつの間にかアリシアとワイヤがいた。何か焦りを感じる。


「くぉーん」

「ぐぉーん」

「まさかあなたたちも変身?」


 アリシアとワイヤが光り始めた。


 光の中から現れたのは、白い…アリシアの色の髪をした五歳くらいの女の子。

 それと、黄色い…ワイヤの色の髪をした五歳くらいの女の子…。こっちは爬虫類的な翼と尻尾が残っている…。


「お母さん!」


 白い髪の子…アリシアは私のことをそう呼んだ!


「おばあちゃん!」


 おばあちゃん…。レモンイエローの髪の子…ワイヤは、ダイアナの子だ…。だから私はおばあちゃんだ…。


 これが光魔法による変身なら、ワイヤの光魔法では完全に変身できなかったってことかな。

 というか、進化して別の姿になるのではなく、別の姿になる魔法を手に入れるのもありなの?


「なるほど!」


 シルバーは、何か思いついたようで、背中と頭が光り始めた。


「えっと…、翼は天使みたいでとても良いです。角は…。あと天使になるのなら、耳と尻尾もしまえませんか?」

「あ、はい…」


 再び頭が光と角はなくなった。でも耳と尻尾はしまえないようだ。


「すみません…、私が未熟で」

「いえ、それでも可愛いですよ」

「ありがとうございます…」


 馬娘でも天使でもなくて、ペガサス娘か…。カオス…。


「アリシアも翼と尻尾が出せたりするんですか?」

「うん!ほら!爪を出したり引っ込めたりもできるよ!」


 アリシアはすべての部位を部分的に、変身させられるようだ。


「ううー、私は無理」

「そのうちできるようになりますよ」


 ワイヤは尻尾と翼が出たまましまえないし、爪なども出し入れできないようだ。

 これは魔物専用の魔法なのかな。私も変身できないかな。あとで実験しよう。


「ところで三人とも…。人間の姿になったときに、服を着られるようにしておかないといけませんね…」


 三人とも全裸なのだ。アリシアとワイヤはぺったんこだけど、シルバーはスレンダーでお胸の大きい成人女性だ。


「シルクを渡しておきますので、影収納に入れておいてください。人間になったときに、服を縫えますか?」

「やってみます」

「はーい!」

「やってみる」


 三人はそれぞれ馬とドラゴンの姿になって、翼の影からシルクを取り出しつつ、人間に変身して、服を縫って自分にまとわせるというのを試してみた。


 シルバーは土魔法がうまいようで、まず、パンツとブラを装着!尻尾があるのでパンツがローライズ気味!そしていつも私が着ているような、それなりに装飾のあるワンピースを作り出した!うーん、尻尾が見えない…。残念。

 シルバーは何かを察したのか…、土魔法でスカートを短くしてくれた!尻尾がミニスカートの下から見えるようになった!

 私、そんなに残念そうな顔をしていたのか…。しかも、何を求めているのか分かったのか…。そんなに欲望が丸出しなのかな…。


 でも…、そうじゃないんだよなぁ…。尻尾はスカートの上から出ていてほしい。

 なおも、シルバーは私の不満そうにしている顔を察して、ワンピースの上と下を分けて、ミニスカートの上から尻尾が出るようにしてくれた!すると、ミニスカートがローライズ気味になって、上からお尻が顔を出した。しかも、私たちがいつも来ているミニスカートのように、プリーツまで入れてくれた。

 これはかなり良い…。素晴らしい…。

 って、なんで私の欲望が分かるのだ…。考えを伝える魔法を使わないようにしているのに、なぜ私の求めているものが伝わるのだろう…。


 おっと…、シルバーばかりに見とれていた…。アリシアが膨れている…。


 アリシアはシンプルな無地のワンピースを作るのが精一杯。だけど、なんでもないワンピースが可愛い。

 ワイヤはかろうじて服と呼べるようなワンピース。もっと頑張るべし。


「元の姿に戻るときは破ってもよいですが、できるだけ影収納に回収してくださいね。あとは三人ともゆっくり練習していきましょう」

「はい」「はーい」「うん」


「あとは、シルバーは馬に戻るときは、鞍を作れるようにしたいですねえ。革を持ち歩くのは面倒なので、シルクでいいかな」


 質量保存の法則とかどこに行ったのか。魔物形態のときはかなり大きいから、着ている服は破って再び縫い上げる前提になるだろう。


「みんなが心配していますから、戻りましょう」


 これはまた、すごい施設を手に入れた。ミノタウロスとかもうちょっと霜降りで美味しく進化してくれないかな。食べられやすくなりたい生き物なんていないか。




「アンネお姉様!いなくなったと思ったら、なんでいつも女を連れ込むんですか!」

「こ、この子たちは違うんです」

「何が違うのですか!」

「三人とも、お願い」


 三人は光ってドロン。ビリビリと服が破けて、地面の影に影収納を開いて、破けたシルクを収納。とっさの場合は回収できないだろうな。シルクの予備を持たせよう。


「えっ…馬の魔物と…、アリシアとワイヤ?」

「この馬はシルバーなんです」

「まあ…、美しい翼と角を手に入れたのですね…」

「だから、お嫁さんを増やしたわけではないのですよ」

「はぁ…。つまり、馬とドラゴンはもともと嫁だったと」

「あ、はい…、そうです…」


 お嫁さんと別居して寂しかったとき、シルバーとアリシアは私を慰めてくれた。


 三人は翼の裏に影収納を開いて服を縫い始めつつ、光って変身を開始。人の形ができはじめたら、自分に服をまとわせる。とても忙しい。

 とくにシルバーは、パンツを作って、ブラを作って、トップスを作って、スカートを作って、しかもフリルやプリーツがあったりして、尻尾を間から出したりして…。変身シーンが終わるのを待ってくれる敵じゃないと、やられてしまうかもしれない…。

 でもがんばらないと、裸にならないと変身できないタイプの変身魔法少女になってしまう。

 変身魔法少女をプロデュースするのは難しいなぁ。


「アンネは精霊でも魔物でもなんでもアリよね」

「うん。私、前からアンネがシルバーとアリシアを私たちと同じように可愛がっているのを知っているよ」

「今さら何も変わらないわね」

「うん」


 なんかひどいことを言われているような。

 そもそも、みんなはシルバーのことをぽっと出の新人みたいに思っているかも知れないけど、シルバーは私が二歳のときからの付き合いなんだぞ。そのときはまだ名前を付けてなかったけどさ。

 そう、シルバーは、お母様の次に私の嫁になった子なのだ。ヒルダたちよりも付き合い長いんだぞ!

 でもずっと一緒だった幼なじみが、眼鏡を外してお下げを解いたら、めちゃくちゃ可愛かった、みたいな…。いや、シルバーは前から可愛かったよ。ご令嬢顔負けのたてがみに凜々しい顔。今でもその面影を残している。


「さてアンネ、あなた昼食を取ってないでしょう。早く食べちゃいなさいよ」

「そうでした…」


『ワイヤ!変身魔物キャラになるとは!褒めて使わす!』

「ありがと、お母さん」


 ワイヤとダイアナ、同じくらいのサイズだ。




 私とシルバー、アリシアとワイヤは昼食を済ませ、馬車をしまって、再び魔物の駆逐へ。


 しかし、まだ森に入ったばかり。さっきの進化の泉は中央寄りだったけど、あそこまで魔物を駆逐しながら進むには何日かかかりそうだ。


 魔物はどんどん増えていった。基本的にお嬢様隊とリーナ・スピラ、マイア隊とヒーラーガールズ、聖女の守り手とシルバー・アリシアがそれぞれ一体の魔物を相手にして、それ以上はダイアナと私で対処。


「ダイアナ、敵が多くなってきたよ」

『じゃあドローンを出すか』

「戦闘用ドローンなんてあるんだ…」


 ダイアナの戦闘用ドローンは五機。内部で影収納につながっていて、中にダイアナの魔力で充電した大型のバッテリーから電力が供給されるらしい。だから、それぞれが強力な超電磁砲などを放てるらしい。

 複数の場所で影収納の扉を開くことは、それらをすべて包含する大きな扉を開くことと同じであり、大きな扉を維持したり移動したりするには魔力の消費が大きくなるので、ドローンはダイアナからあまり離れられない。

 ドローン自体はダイアナの意思ではなく、AIで動いており、ダイアナよりも反応速度がかなり速い。


 これで、ダイアナ一人で六人分の迎撃力を得られるようになり、魔物の駆逐は着々と進んでいった。

 おかげで、一日で進化の泉まで進めた。



「これが魔物を進化させる泉なのね…」

「こんなヤバいものは早く潰そうぜ」

「危険危険」

「この森の魔物が強いのはこれのせいかぁ」

「これが魔物を可愛い女の子に進化させる泉なんですね!」


 聖女の守り手では意見が割れた。まあ、アマージだけいつもおかしいことを言っているから今さらだ。でも、


「大丈夫ですよ。これからここには、アリシアのような善良な魔物しか近づかせません。そうすれば、アマージの言っているとおり、魔物を可愛い女の子に進化させられる泉になるのです!」


 今回はアマージの意見に賛成だ!


「さすがアンネね…」

「人間の女の子では飽き足らず、魔物からも女の子を集めるんだね」

「アンネお姉様…、呆れてものも言えません…」


 別に、女の子を集めるためだけに使うわけでは…。美味しい魔物も作りたいんだよ!


『ここは農地の予定だったけど、当主屋敷に変更』

「そうだね、レイアウト考え直さないとだ」



 その日のお風呂で…、アリシアは私の娘扱いだし、ワイヤは孫扱いなので、一緒にお風呂に入るのはいいとして…。シルバーはいちばん優秀な使用人だった…。でも、人型になったシルバーはお嫁さんとして扱いたい…。

 すると、コーリルやメリザの目からビームが出て、シルバーと私に攻撃してきた…。


 でもシルバーはただのお嫁さんではないのだ。

 シルバーの耳と尻尾、そして翼のもふもふ感がヤバい…。いつまでも揉んでられる…。馬の毛と羽毛で二倍美味しい!


「ちょっとぉ、いつまでシルバーをやっているのよ!」

「私も泉で耳と尻尾をはやしてこようかな」


『残念ながら、人間には使えないのよ~』


「そうかぁ…」


 ヒルダとクレアはドリーの言葉を聞いて残念そう。


「私もアンネお嬢様のペットになりたい…」


 アマージの欲望はいつも一つ飛び抜けている。


 シルバーばっかり揉んでいて寂しかったのは人間だけではない。


「お母さん…」

「お婆ちゃん…」


「ごめんなさい、アリシア、ワイヤ…。さあ、おいで!」


 アリシアは、ドラゴンの部位を何も出しておらず、完全に人間の状態。

 ワイヤの出しっぱなしになっている翼と尻尾は堅い。触ってて気持ちいいものではない。でもワイヤだって、尻尾と翼を無視すれば、ただの五歳の女の子なのであって、お肌はぷにぷにだ。

 いやいや、この子たちを気持ち良くさせるのが私の仕事であって、私が気持ち良くなるためにやっていることではない。

 いやいや、たまには私が気持ち良くなったっていいじゃん!


 でも、生まれる前から私を親だと慕ってくれているのに、お嫁さんばかり可愛がっていたらそりゃいじけちゃうよね…。

 進化の泉にも、何か危機感を感じたから駆けつけたのかもしれない。うーん、また修羅場だ。


 その夜は、シルバーとアリシアとワイヤにも授乳して、一緒に寝た。馬車のベッドは簡単に拡張できないから、ちょっとぎゅうぎゅうだ。でもぎゅうぎゅうなのはなかなか良い。



 翌日、私たちは森の残りの半分の魔物を駆逐した。

 進化の泉に魔物が近寄らないように、当主屋敷を建てた。

 他にも学校など主要な施設や、この際だから領民の家もほとんど建てた。ダイアナがドリーに設計図を見せるだけだから簡単だ。

 農地にする範囲の木を抜いた。魔物の放牧をする範囲の木を残した。

 道を整備した。

 電波塔を建てて発電設備や通信設備を設置した。魔力線なども張り巡らせた。



 そして、私たちはメタゾールに戻った。抜いた木は一部だけ持って帰った。絶命させた魔物と脳死させた魔物はすべて焼いた。

 今回は闇属性の魔石がけっこう手に入った。魔石目当てで育ててもいいかもしれない。

 それぞれの魔物は、一応絶滅させないように、一対だけ残して狭い範囲に放牧した。人面系はあんまり飼いたくないけど…。


 後日、メタゾールから職人や屋敷の使用人を募り、新しい領地に派遣した。育てるべき農作物を運んだ。


 また、放牧すべき魔物も運んだ。ミノタウロスやコカトリスお蚕様、それからスライムなどの畜産だ。生ものがやっと王都で売れるようになるし、パンツやナプキンの値段も下げられる。

 放牧といっても、出てこないように厳重に閉じ込めてあるけどね。



 二ヶ月で、第二メタゾール侯爵領が稼働し始めた。食料品はまだまだ卸せないけど、パンツとナプキンの材料をマイア姫の領地に卸して、作ってもらうんだ!


 これで、改革が加速するぞ!

■初代ヒーラーガールズ(十三歳~十四歳)

 今までヒーラーガールズと呼ばれていた子ら。アンネリーゼが当主になった年に生まれた。

 五人はメタゾールで活動し、五人はヒストリア王都で活動している。


■ヒーラーガールズの後継者(十歳~十一歳、十一歳~十二歳、十二歳~十三歳)

 初代ヒーラーガールズが不妊治療で忙しすぎるために、ヒストリア王国に三十人が派遣された。初代より一つ下の代と二つ下の代と三つ下の代。合わせて三十人。


■クラリス(六ヶ月~一歳)

 セレスタミナとカローナの娘。七五パーセントカローナ似。


■リーフ

 アンネリーゼとドリーの娘。光と土の両方の特性を持つ精霊。五歳のアンネリーゼの姿をしているのに、谷間ができるほど胸がある。服装はドリーと同じで、葉っぱブラ、葉っぱパンツ、葉っぱパレオ。裸足。


■セレスタミナ(十五歳~十六歳)、カローナ(十五歳~十六歳)

■レグラ・フェナージ(十九歳~二十歳)


■アンネリーゼ・メタゾール(十六歳)

 リンダよりわずかに身長が高くなった。わずかに胸が大きくなった。


■マイア・ロイドステラ(十四歳)


■マイザー・ロイドステラ王(七十四歳)


■ヒルダ(十六歳)、クレア(十六歳)、ロザリー(十六歳)


■リンダ(二十六歳)

 外見は(前世基準で)永遠の十七歳。


■メリリーナ(十歳)

 ツインテール。


■コーリル(十四歳)、リメザ(十四歳)

 アンネリーゼとダイアナの専属レディースメイド。交代勤務。

 ほとんどダイアナのお世話しかしない。

 コーリルは火魔法が得意で、リメザは風魔法が得意。


■ポロン(十四歳)

 セレスタミナとカローナの専属レディースメイドだったが、セレスタミナたちがヒストリア王国に帰ったときにレディースメイドを辞職して、ハウスメイドとして働いている。土魔法が得意。


■スピラ(十四歳)

 リーナの専属レディースメイド。光魔法、とくに身体強化が得意。


■エミリー(二十六歳)

 学校に通って、少しは魔法を鍛えた。


■ヒルダのメイド、シンクレアのメイド

 長年、ヒルダとシンクレアと学んできており、かなりの魔法使いとなっている。 


■ロザリーのメイド

 ヒルダとシンクレアのメイドに比べるとまだまだだが、ロザリーと学校で学び、それなりの魔法の使い手に。


■マイアのメイド

 四人。マイアと学校で学び、それなりの魔法の使い手となっている。


■マイアの護衛騎士

 女性騎士。二人。学校ではレザーアーマー着用だが、外出時はフルプレートアーマー。学校で剣を鍛えているのはもちろん、魔法も鍛えている。


■シルバー(十六歳)

 アンネリーゼが二歳の頃に王都に赴くときに馬車を引いてから十四年の付き合いがある馬。

 馬車を引く速度が時速一〇〇キロを超えたり、単騎で時速五〇〇キロで走れるようになったりと、ロイドステラ王国中を駆け回るのに欠かせない、重要な馬。最も優秀な使用人であった。

 馬であったのに、魔物を進化させる泉でユニコーンの角とペガサスの翼を持つ白いアリコーンに進化した。

 さらに、髪の白い成人女性に変身できるようになった。スレンダーでお胸がけっこうある。

 ただし、ヒト型のときでも、馬の耳と尻尾を隠すことができない。

 一方で、ペガサスの翼やユニコーンの角などは、ヒト型のときに自由に出し入れできる。翼は天使のようだということで、ヒト型のときでもデフォで出しっぱなしということにした。


■アリシア(五歳)

 全長二メートルのホワイトドラゴン。トカゲのようなフォルムに、コウモリのような翼を持つ。基本は二足歩行。

 魔物を進化させる泉で、五歳の女の子に変身できるようになった。

 ヒト型のときでも爪や尻尾、翼などを、自由に出し入れできる。


■ワイヤ(五歳)

 全長二メートルのゴールドドラゴン。トカゲのようなフォルムに、コウモリのような翼を持つ。基本は二足歩行。

 魔物を進化させる泉で、五歳の女の子に変身できるようになった。

 ただし、ヒト型のときでもドラゴンの翼と尻尾が出っぱなし。

 アリシアのように、翼と尻尾も含めて、様々な部位を自由に出し入れすることはできない。


◆進化の泉

 魔物を進化させる泉。第二メタゾール領の貴族当主の屋敷内にある。

 進化とは、生き残るために環境に適応することである。


◆第二メタゾール侯爵領

 アンネリーゼが、王都やマイア姫の領地の近くに取得した魔物の森を開拓して作った領地。

 農産物や魔物素材をマイア姫の領地に卸し、マイア姫の領地の産業を活発化するための領地。

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