17 姫の野望
現在の王(六十九歳)の玄孫、マイア・ロイドステラ(九歳)は王の言葉を思い出していた。
本来なら王、マイザーは九年前、私が生まれたあたりに病で亡くなっているはずだった。そこで、王の孫…、私のおじいさまであるアタラックスが王位を継いでいるはずだった。
でも王はそれから九年間生き続けている。今でもまだぴんぴんしている。別に、王に死んでほしいと思っているわけではない。王は私たちや民を虐げたりはしない。良い王だと思う。
王が生き続けているおかげで、おじいさまはすでに王位を継ぐには少し遅いのではという噂が流れ始めた。おじいさまは三十九歳なのだ。今まで四十歳を超えて王位を継いだ例がないわけではないのだが。
そこで、王のひ孫、おじいさまの子、つまり私のお父様であるキプレスに白羽の矢が立った。お父様は二十四歳。丁度いい年齢だ。
でも、私がいうのはなんだけど、お父様は王に向いていない。頭は良いのかもしれないけど、気弱すぎる。
他の王族は有象無象だ。頭が悪かったり、誠実さに欠けていたり、気弱だったり。つまり、この国には後継者にピッタリな者がいないのだ。
いや、順当に行けば、少し高齢だがおじいさまが王位を継ぐだけだ。しかし、高齢を理由に反発が多いのも事実だ。
はぁ、なんで幼い姫である私がこの国の行く末を考えているのやら。
私は別に、王位なんて狙おうと思ったことはない。数百年前には女が王になったこともあるらしいが、今ではそのような風潮はない。貴族にも女当主などいない。…と思っていたら、いたのだ!
アンネリーゼ・メタゾール伯爵。私より二歳上。アンネリーゼは私が生まれたとき、つまり二歳のときに伯爵になったという。もともとは親から子爵位を継いだのだが、その場で功績を挙げて伯爵に陞爵したのだという。
二歳の子供に爵位を継ぐなんて意味が分からない。それよりも、二歳の子供が陞爵するほどの功績を挙げるというのも意味が分からない。
私が二歳のとき何をやっていただろうか。文字の勉強をさせられていたと思う。物心も付いていなくて、よく覚えていない。
私は途端にアンネリーゼに興味を持った。年齢一桁の貴族当主。しかも女だ。アンネリーゼはなぜ当主なのか。何をできるのか。
貴族の活動や功績は、王族であれば誰でも閲覧できることになっている。私はアンネリーゼのことを調べた。
この国で功績になり得ることは、武勲や戦績、剣の強さ、魔法使いとしての有能さ、領を発展させたことなどだ。貴族が爵位を与えられたり陞爵したときの功績は記録されている。
アンネリーゼの功績は、魔法使いとしての有能さだった。残念ながら、それ以上のことは記録されていない。
そこで私は噂を調べた。アンネリーゼは治療魔法使いだという。おかしな治療魔法を使うとの噂だ。
おかしな治療魔法…、もしや…、王の病を治した魔法?噂で得られた情報はここまでだ。
しかたがないので、私はメタゾール領のことを調べることにした。これも王族であれば誰でも閲覧できる。
この国では、各貴族領の税率を当主が自由に定められるが、一割は国に収めることになっている。多くの領では四割を領地への税率としている。
メタゾール領の税率は一割。格安だ。よく領地経営できているものだ。
アンネリーゼが当主になってから八年、メタゾール領からの税収は百倍になっていた。これだけでも陞爵していいのではないか。
内訳を見ると、アンネリーゼ自身と、メタゾール領唯一の商会が七割を占めている。
なるほど。私が今着ているドレス。これはメタゾール家の経営する仕立屋のものだ。奇抜で美しいデザインのドレスで利益を上げているのだ。まあ、ドレスがヒットして利益が上がるのはわかる。
一方で、残りの三割は領民からの税だ。領民からの税収が三十倍になったということだ。それは領民の収入が三十倍になったということだ。アンネリーゼ自身と商会以外に、特出して大きな税金を納めている者はいない。領民全員がまんべんなく収入を上げているのだ。
いったいどうやったら、領民全員の収入が三十倍になるのか。私はますますアンネリーゼに興味が湧いた。
アンネリーゼは私より二歳だけ上の少女。仲良くなるのに私ほど適した者はいない。
他の王族は、メタゾール領を田舎領と侮り、誰も見向きしない。これはチャンスだ。私は途端に王位への意欲が湧いた。
私が資料室でメタゾール領のことを調べていたとき、突然、王に声をかけられたのだ。
「メタゾール伯爵のことがそんなに気になるか?」
「は、はい。この者は二歳で子爵位を継ぎ、その場で伯爵に陞爵したとあります。お飾りの当主ではないのですか?」
「自ら会ってみるがよかろう。王族の中ではそちの年齢が最も近い」
「はい、そうしようと思っていたところでした」
「では、そうするがよい」
王は私を見定めるような目で見ていた。私が王位を欲したことを察したか。さすが王だ。王は人を見抜く力を持っていなければ務まらない。
私は八歳になったとき、アンネリーゼを茶会に誘った。ところがアンネリーゼは身ごもっており王都に来られないという。メタゾール領から王都までは一ヶ月。身重で馬車に揺られて来られる距離ではない。
アンネリーゼは十歳のはずだ。いささか早いが、あり得ない年齢ではない。
婚姻を結んだという届け出はないから、愛人の子ということになる。結婚していたら面倒なことになるところだった。
それでも、アンネリーゼは私に興味を持ってくれたようで、一年後に茶会の約束を取り付けた。しかも、養女と友人を連れてきたいという。すでに派閥を組んでいるのか。私も派閥に入れてもらえるだろうか。
記録によると、アンネリーゼは同い年の平民の娘を二人養女にしたという。
子孫がいなければ、養子を後継者にすることは認められている。だから、その二人は後継者として遺言書に記されているはずだ。同い年の後継者とはこれいかに。
この国では、王も貴族も、暗殺されたときに、子孫が好き勝手に騒ぎ立てて後継者を立てることができないように、後継者を記した遺言書を国に提出するようになっている。愛人との子は子孫とは見なされないので、養女を後継者にしておくことに問題はない。もちろん、愛人との子を養女に取り立てることもできる。ただし、養女は後継者としてはあくま補欠。血の繋がった子孫ができれば、そちらが優先される。
一年が経ち、アンネリーゼとの茶会のときがやってきた。
「私はマイア・ロイドステラです。本日はようこそおいでくださいました」
「アンネリーゼ・メタゾール伯爵です。お招きいただき、誠にありがとうございます」
現れたのは五人の少女。美形揃いの王族を見てきた私から見ても、この者たちは美しいと思う。何より、全員髪や肌が輝いていて、日頃の手入れを欠かしていないことがうかがえる。
アンネリーゼはどこの王族かと見まがうほどの美しさと気品を備える。神々しさすら感じられる。何がこの者の存在感を引き立てているのか理解できない。
セレスタミナはメタゾール家の第一養女とされた者。アンネリーゼよりも、そして我々王族よりも、整った顔をしている。さらに、輝く金髪。
金髪は王族が好んで取り入れている。この者は誰かに目を付けられてもおかしくはない。
カローナはメタゾール家の第二養女とされた者。銀髪というのは見たこともない。色素の薄い金髪というワケでもない。そしてこの妖艶な美貌。ほんとうに十一歳なのだろうか。
ヒルダ・プレドール子爵令嬢とシンクレア・テルカス男爵令嬢。彼女らはほんとうに子爵家と男爵家の者なのか。メタゾールの者達と同様に、綺麗な肌と輝く髪を持つ。
ヒルダとシンクレアが低位貴族と思えないのは、見た目だけではない。二人とも緊張はしているが、かなりの気品を備えている。高等な教育を受けたに違いない。
令嬢一人にこれほど手間をかけてしまうと、男爵家はもちろん、子爵家でも潰れるだろう。
彼女らは皆、メタゾール経営の仕立屋によるドレスを着ている。不思議な光沢を放つ生地でできており、肌触りが非常に良いのだ。
私も同じく、メタゾールのドレスを着ている。大金貨を百枚出して仕立てたのだ。到底子爵家や男爵家に出せる金額ではない。ヒルダとシンクレアはアンネリーゼに融通してもらったのだろう。
これは男爵家から伯爵家による低位貴族の派閥ではない。彼女らを侮る者は、彼女らに喰われるだろう。
信じられないことばかりで少し怖じ気づいている私がいる。だけど、それを顔に出してはならない。
しばらくして、皆、打ち解けてくれた。ヒルダとシンクレアの緊張もとけた。メタゾールの三人は最初から緊張した様子はなかったけど。
まだこちらの真意は伝えられてないけど、ご令嬢同士の集まりとしての体は整った。
そんなときだ。第五王子のサレックスがやってきたのだ。サレックスは王の唯一の失態といえる。なぜに孫と同じ年代で子をもうけてしまったのか。
王族というのは王の子孫であるため、王が退位するまではサレックスも王族なのである。王族自体に特別な権限はないが、いろいろと優遇されるのだ。
逆にいうと、私は王の第一子の第一子の第一子の子であるから、途中に挟まれている第二子などが王位に就いてしまうと、私だって追い出されるのだ。
第二子は後継者の予備であり、予備は次の代にもいるため、それほどたくさん作る必要はない。だが王だけが何人も子を作ってしまったのだ。
サレックスはアンネリーゼを妻だと言った。私はアンネリーゼを見て、そんなはずはないでしょうと問うた。
しかし、それがあだとなった。サレックスはアンネリーゼに会ったこともなく、当然顔も知らなかったのだ。それを私が知らせてしまった。失敗した…。
さしずめ、いちばんの美貌を持つセレスタミナか、いちばんの色気を持つカローナがアンネリーゼであればいいななどと思っていたのだろう。
それなのに蓋を開けてみれば、期待したアンネリーゼはどちらでもなく、三番手といえる者だった。明らかにがっかりした様子だ。
まったく、美貌だけでしか女を見ていないのか。アンネリーゼだって、私と比べると大変美しいというのに。
美貌を維持するのには金がかかる。美貌から財力を想定し、付き合う者を選ぶのはよい。だが、サレックスは明らかに、本能のままに彼女らを品定めした。あまつさえ、それを顔に出すなど最低の男だ。
この男には何の価値もない。王が退位すれば平民落ちするだけの存在。平民としての価値すらない。なのに、なぜアンネリーゼに選ばれると思っているのだろう。
「勘違いもたいがいにしてください!アンネリーゼ様は私と派閥を組むのです!私が王位に就くための手助けをしてくれるのです!」
しまった!怒りのあまり、本音を漏らしてしまった…。こうなったらいけるところまでいくしかない。
しかし、それがサレックスの怒りを買ってしまった。
サレックスは腰に帯びていた剣を抜き、振り上げた!
「きゃーーーっ」
これだから男は…。力にものを言わせ、考えようとしない。
いや、私も同じようなものだ。怒りにまかせた行動の結果がこれだ。
怖い。私はまだ死にたくない!助けて…。
と思ったら、バチンっという大きな音がして、
「うわっ…」
剣は私に振り下ろされることはなく、まっすぐ地面に落ち、カランっカラーンという音を鳴らした。
何が起こったのか分からない。私はまだ身体が震えている。周りの者も…。いや、怯えることなく、サレックスのことを怒りの眼差しで見つめている者が二人いる。アンネリーゼとセレスタミナだ。
今のは何?アンネリーゼの魔法?アンネリーゼは治療魔術師だという噂だから光魔法が得意なのだろうけど、今のは光魔法なのだろうか。
それともセレスタミナ?セレスタミナは腰に手を伸ばし、なにやら悔しがっている。剣を抜こうとしたのだろうか。セレスタミナは剣の使い手?
もちろん、王城で帯剣を許されるのは、王族と限られた兵士のみだ。
今助けてくれたのはアンネリーゼなのだろうか。
サレックスは汗を垂らしながら去っていった。
その後のお茶会はぎこちなく話しづらかったけど、私は勇気を出して沈黙を破った。
私はアンネリーゼの協力を取り付けた。若干呆れ気味だったけど…。
もちろん、財政的な支援を受けるつもりはない。それは私の力とは見なされない。私はアンネリーゼから国をよくするためのすべを学ぶのだ。そして、マイザー王に認めてもらうのだ。
今日はその第一歩。メタゾール領を見学させてもらうために、メタゾール領へ旅立つのだ。
私は自分の馬車で向かおうとしたら、メタゾールの王都邸から馬車を出してくれるという。私は王族なので、護衛もかなりの数を引き連れて行かなければならないのだけど、メイド四人と護衛十人までなら一緒に運んでくれるという。
王族の私をこんな粗末なものに乗せるのかなどと言うつもりは毛頭ないが、いったいどんな馬車でおもてなししてくれるのか。それほど大きな馬車を何台も持っているのか。さすがアンネリーゼ。その財力がうかがえる。
期待を膨らませてメタゾールの王都邸に赴いた。
メタゾールの王都邸の外観は普通だ。伯爵家に相当の建物だった。しかし、中に入ると、天井に飾られていたのは、キラキラと輝く無数の宝石。そうだ、あれはガラスという宝石だ。メタゾール領から輸出されており、アンネリーゼが当主になってから噂を聞くようになった。
若干もろいが、じゅうぶんに宝石としての役割を果たす。それどころか、宝石ではあり得ない、綺麗で整った形をしており、粒も大きい。
それが、天井に無数に飾られており、幻想的な空間を演出している。
「ようこそ、マイア様」
「お招き、ありがとうございます。あれは何なのです?」
「あれは我が領の特産、ガラス細工一つで、シャンデリアといいます」
「美しいかぎりですね!私の部屋にも欲しいくらいです」
「それではお近づきの印に、お部屋に飾れるほどの大きさのものをお譲りしましょう」
「そんな!よいのですか?」
「はい、帰りにお土産としてどうぞ」
「ありがとうございます!」
あああ、金銭的な支援を受けるつもりはなかったのに、ついつい見とれてしまい、もらうことになってしまった…。
アンネリーゼはニコニコと笑顔を崩さない。どういう意味だろう。何でもくれくれいう、ダメな王族と笑っているのだろうか。早くも失敗だ…。
「それではマイア様、皆様、こちらへどうぞ」
「はい」
案内された場所には、八人乗りの馬車が一台。メイドと護衛の分も用意してくれるのではなかったのか。
その馬車は車輪に黒いものを巻いてあり、車軸と車体の間に水袋のようなものを挟んである。
恐る恐る中を覗くと、そこには屋敷の一室が広がっていた。意味が分からない。私は馬車の中を覗いたはずだ。でも、そこは屋敷の一室だ。ティーテーブルと椅子の用意された茶室。
「こちらがリビングルームです。それから、廊下を出まして、こちらがマイア様の寝室、こちらがメイドさん四人のお部屋、それから、こちらが騎士の方々の部屋です。メイドさんと騎士の部屋は、いささか窮屈ですがご容赦ください」
「あ、はい…」
たしかに廊下は狭いし、メイド四人部屋と騎士十人部屋もかなり狭い。とくに騎士はフルプレートアーマーを着ているので、鎧を脱いで置く場所には困るかもしれない。
私の寝室として用意された部屋も、王族の部屋としてはちょっと…。いや、私は屋敷ではなくて、馬車の中を案内されていたはず…。いつの間に王都邸を案内されていたのやら…。記憶が飛んでいる…。
メイドも騎士も混乱しており、言われるがままに部屋に通された。
「メイドさんは全員お部屋でお付きになりますか?」
「はい、そうさせていただきます」
「騎士十人はリビング内に二人、廊下に二人くらいでいいですかね」
「はい」
「では、騎士の六人は、控え室へどうぞ」
「それではそろそろ昼食にしますね。コーリル、お願いね」
「はい、ご主人様!」
コーリルと呼ばれるメイドは、私と同じくらいの歳だろうか。でも、テキパキとつつがなく配膳を済ませた。
「メイドさんと騎士の分も用意してございますので、交代で召し上がっていただこうと思いますが、いいですか?」
「はい」
「何です?この黄色い料理は!」
「オムレツです。肉と玉葱を炒めて、玉子で包んだものです」
「炒める?玉子?香ばしい…。そしてまろやか…」
「お口に合いましたか?」
「ええ。このような美味しいものは初めていただきました」
「それは光栄です」
王宮でも出されないような美味しい昼食をいただいた。やはりアンネリーゼは侮れない。
「コーリル、お茶を入れてちょうだい」
「かしこまりました」
「この白いお茶は何です?」
「ミルクティです」
「ミルク?」
「牛の乳です」
「はぁ」
玉子とか牛とか、よく分からない単語が多い。
「甘い!」
「はい。果糖が入っておりますので」
「美味しいですわ!」
「ふふっ。お褒めいただきありがとうございます。お菓子もどうぞ」
「はい…。このお菓子は甘くてまろやかですね!このようなものは初めて食べました!」
「こちらは我が領だけで販売しておりますビスケットです」
「王都では販売してくれないのですか?」
「王都では材料が採れないもので」
「なるほど」
お茶もお菓子も、とても美味しい。メタゾールはなぜこれほどのものを用意できるというのか。
「なんだか美味しい昼食とお菓子ですっかり忘れていたのだけど、いつになったら出発なさるの?」
「もうとっくに出ていますよ。窓をご覧ください」
「へっ?」
言われたことを一瞬理解できず、間抜けな声を上げてしまった…。
窓は開きっぱなしになっているかと思ったら、なんとガラスがはめられていた。宝石にこのような使い方があるとは!
そして、そのガラスごしに見える外の景色は、ものすごい速さで流れていた。
えっと、私は馬車に案内されたと思ったら、いつの間にか王都邸の一室にいて…。美味しい昼食をいただき、美味しいお茶とお菓子をいただき…。あれ…。
「あの…、ここは馬車の中なのですか?」
「はい」
「広いし、揺れないし、屋敷の一室かと思っていました…」
「これは開発中の魔道馬車です。量産の目処が立っておりませんので、まだ一般には出回っていないものです」
「魔道馬車…、魔道具なのですか?」
「はい」
そんな魔道具があったなんて…。王家では便利な魔道具をすべて揃えているのではなかったのか…。メタゾールはこんな魔道具を作れるのか…。
「外は暗くなってきたようですね。今夜の宿はどうするのですか?」
「夕食を先になさいますか?それともお風呂を先になさいますか?」
「お風呂!」
「それではお風呂を準備してきますね」
「えっ?あっ…、はい…」
質問に質問で返されたのだけど、お風呂が先という意味で言ったのではなくて、お風呂があるのかと驚いてそう叫んでしまっただけなのだ…。まあ、お風呂が先でいい。
それにしても、お風呂だなんて…。私でも一ヶ月に一回入れるかどうか。それが、なぜ馬車の中にあるのか。
というか、私は宿をどうするのか問うたはず…。あれ?夕食もあるようだし、寝室もあった。宿は必要ないのか?それを踏まえての、質問返しだったのか?
「メイドさんもお付きになりますよね。何人来られますか?」
「それでは私が…」
「こちらでお召し物をお脱ぎください」
「はい」
「こちらへどうぞ」
「ほんとうにお風呂がある…」
湯煙のたつ、お風呂…。しかも、かなり大きい…。これほどのお湯を用意するのに、どれだけ薪を使うというのか。
「あの…、なんでアンネリーゼ様がお脱ぎになっているのですか?」
「えっ?私がおもてなしさせていただきますので」
「えっ?」
私に付いているメイドは、皆、伯爵家以上の令嬢だ。アンネリーゼが裸で私をおもてなししてくれると言っていることに対して、メイドは呆けているだけだ。
だけど、伯爵本人がメイドまがいの仕事をするとはどういうことなのか。
「お背中を流しますので、ここにお座りください」
「はぁ」
ああ、これはドレスと同じ生地の布。それで泡を立てられ、私の身体を優しくなでるように…、あっ…、ちょっと…。
「あああああああん…」
私とアンネリーゼはいつの間にか一緒に湯船に浸かっていた。
「お湯加減はいかがですか?」
「えっ?あー…、とても心地良いです…」
あれ…、なぜかアンネリーゼと目を合わせていると顔がほてる…。湯船につかっているから?
いやそれよりも、アンネリーゼって、なんて素敵な方なの…。凹凸のある魅力的な身体。大きな胸。綺麗な肌。輝く髪。私は二年後に同じ領域に達するだろうか。
あれ?いつの間にか私の肌も艶めいている。髪の毛もいつもより綺麗。これってお風呂の効果?
お風呂から上がると、夕食の準備ができていた。
「夕食は、クリームシチューです」
「香ばしいですね。昼やお茶でも思いましたが、まろやかな味わいのものが多いのですね」
「はい、それは牛の乳の味です」
「それはどこで採れるんですか?」
「うちの領で育てておりますので、明日かあさってに見学していただきましょうかね」
「よろしくお願いします」
ん?今、明日って言った?気のせいかな。
「それでは、マイア様はこちらの部屋でお休みください」
「ありがとうございます」
んー、ここはほんとうに馬車の中なのか。
窓の外を見ると、たしかに景色が流れている。ものすごい速さで。ここがメタゾールの王都邸で、この窓は幻を見せているだけと言われた方が、まだ分かる。
馬車としてはあり得ないほど広いし、全く揺れない。屋敷と何も変わらない。そもそも、外から見たときこれほど大きかっただろうか。
美味しい昼食をいただき、美味しいお茶とお菓子をいただき、そしてお風呂で…とても気持ち良くなり、そしてまた美味しい夕食をいただき…。
さらに、このベッド!ドレスと同じ生地!とても気持ちいい!
でも…、何か足りない…。何が足りないのか…。
私は枕を抱えて、部屋を出た。
「姫様、どうなさいましたか?」
部屋の前には私の護衛騎士が二人。
「あ…、アンネリーゼ様のお部屋は?」
「あちらですね」
「分かりました。ありがとう」
「えっ、行かれるのですか?」
「えっ?そうです」
「はぁ」
私はアンネリーゼの部屋の扉を開けた。
「うふっ、マイア様ったら」
「あ、あの…」
私はノックもせずに扉を開けたというのに、アンネリーゼは驚くことはなかった。何もかも見透かしているようなその目。魅惑的な目…。
私が来ることを知っていた?
「一緒に寝ましょうか?」
「はい!」
それは求めていた言葉だった。私はためらうことなくそれを受け入れた。私は言われるがままにアンネリーゼのベッドに入った。私が足りないと感じていたものが満たされてゆく…。
「ん、んー…」
「おはようございます、マイア様」
「あれ…」
その声は私のメイドじゃない。美しく透き通った声…。しかも、私のすぐ側から聞こえてきた…。
声の主は私と一緒にベッドに入っていた。
「はっ!アンネリーゼ様?」
「はい」
「私はいったい…」
「昨日は一緒に寝たじゃないですか」
「そ、そそそ、そうでした!なんて失礼なことを…」
「いえ、全然そんなことないですよ」
「それなら今晩も一緒に寝てくださいますか?」
「ええ、もちろん」
「良かったです!」
って、何が良かったのか!私は何を言っているのか!
「いえっ、そういうことではないんです!」
「何がですか?私と一緒に寝るのはいやでしたか?」
「そんなことはありません!今晩も一緒に寝てください!」
「はい」
アンネリーゼはニコッと微笑みながら返事をしてくれた。その笑顔が何よりも安心をくれた。
「おはようございます。マイア様、ご主人様!」
「おはよう、コーリル」
「おはよう」
私は、私と同年代のコーリルというメイドに挨拶をした。その後ろから、私付きのメイドが顔を赤らめながら入ってきた。どういうことだろう。
「おはようございます、姫様…、アンネリーゼ様…」
私とアンネリーゼはそれぞれのメイドに手伝ってもらい、着替えを済ませた。
「さあ、すでに到着していますので、馬車からでましょう」
「はい」
って、昨日は夜通し走り続けたのか。そのような体力のある馬がどこにいるというのか。
それに、どこに到着したというのか。
馬車から出ると、お茶会で一緒した四人の令嬢。
「「「「ようこそ、メタゾール領へおいでくださいました」」」」
そして、比較的若いメイドと執事が十数人ほど出迎えてくれた。
「「「「「「「「ようこそおいでくださいました」」」」」」」」
伯爵家にしては。なかなか質の高い使用人だ。跡取りにならない子爵家の息子、娘をこれほど集めてきたというのか?
ん?ここがメタゾール領?王都からメタゾール領へは一ヶ月の旅ではなかったのか。
とはいえ、近年、なぜか街道の事情が良くなり、三十日かかるところが二十五日になってると聞いている。おかげで、運送費が下がっているのだ。
まあそれはメタゾール方面だけの話であり、北・東・西でそのようなことはない。
つまり、メタゾール領へは実質二十五日ということだっはずなのだけど…。
「あの…、ここはほんとうにメタゾール領なのですか?二十五日ほどかかるものだと…」
「はい。もう少し南に行くと、この大陸の最南端ですよ」
「私は馬車で何日も眠っていたのでしょうか…」
「いえ、一緒にすごした一晩だけですよ」
「あれ…」
「やっぱりマイア姫様と一緒に寝たのね!」
「私たちというものがありながら!」
あっ…、アンネリーゼと一緒に寝たことが早くもバレてしまった…。
「知ってたわよ。アンネだもの。手を出さないはずがないわ」
「そうですわね。アンネですものね」
セレスタミナとカローナは何を言っているのか。手を出す?
「なんですかそれは、人聞きの悪い」
「だって実際そうなんでしょ」
「っていうか、やり過ぎじゃない?」
「そうねえ、アンネにべったりね…」
「手までおつなぎになってますわ…」
えっ?誰が誰と手をつないでるって?あれ…、なんで私はアンネリーゼの手を握っているの?
私は慌ててアンネリーゼの手を離した。それとともに訪れる喪失感…。
私…どうしたのかな…。胸が苦しい…。
「ご主人様、朝食はまだ召し上がってないですよね?」
「はい」
「では皆様、屋敷へどうぞ」
屋敷は建て替えたばかりなのだろうか。王都邸と同じで外観は質素。中にはやはり、ガラスの宝石をちりばめた照明器具、シャンデリアがあった。まあ、それを除けば、内装も質素だ。
建て替えたばかりだから清潔で良いと思う。まさか私のために綺麗に立て替えてくれたのか。アンネリーゼは私のことを思って…。
屋敷で朝食を取り、さっそく視察させてもらおうか。
「本日は領を視察なさいますか?それとも、お休みになられますか?」
「そうですね、長旅で……、長旅ではなかったし、疲れてもいませんね。むしろ、いつもより調子が良いですね」
昨日、お風呂に入ってから、肌の調子が良いし、髪の毛もつやつや。それに身体の元気が有り余っている。
馬車の旅ってこんなだったっけ…。とくに遠くに行くときは、何日もガタガタ揺られて、お尻は痛いし体中バキバキになるのが馬車の旅だったような…。
「それでは、今日はセレスたちと学校をご覧ください」
「えっ?アンネリーゼ様はご一緒してくださらないの?」
「申し訳ございません、私は仕事ができてしまいまして…」
「そう…、分かりました…」
何…この喪失感…。胸が苦しい。体調はいっきに絶不調に…。
「本日は私たちがご案内します」
「はい…」
私はセレスタミナやカローナに連れられて、学校という施設を案内された。
彼女らは学校で、大勢の平民と一緒になって、授業を受けているという。
授業は、貴族が受けるような礼儀作法から始まった。なぜ平民が貴族の礼儀作法を学んでいるのか。貴族の礼儀作法など、何の役に立つのか。
それは、将来貴族の使用人として仕える可能性や、商人として貴族を相手に商売する可能性を考慮してのものだという。
なるほど、屋敷の質の良い使用人は貴族の令息と令嬢ではなく、ここで鍛えられた平民だったのか!
続いて、信じられないほど高度な算術。少し授業を受けたかぎりでは、全く分からなかった。
それから、この世界の真理を解き明かすような理科という授業。これも全く分からなかった。
次は魔法だ。貴族が家庭教師を呼んで教えてもらうような魔法を、なぜ平民が教えてもらっているのか。
私は王族として多くの魔法を学んだけど、知らない魔法もたくさんあった。なぜ、ここでそのような魔法を教えているのか。
驚くことに、これらの授業はすべて無料で受けられるという。そのようなことをして何になるというのか。
知識を付けた領民は、より高価なものを速く作れるようになる。すると、領民一人あたりが収める税金が上がるというわけだ。税収が上がれば、領民を育てるコストも回収できるというワケだ。
なるほど、それが領民の税収が三十倍となった理由か。
しかし、知識や魔法を身につけた領民は、反乱を起こしたり、他領に逃げたりしないのだろうか。
一応、学校で授業を受けられるのは、三年以上住むことを約束したものだけだという。でも、三年を過ぎれば出ていってもよいことになっているし、拘束されているわけでもない。しかし、今のところ出ていった者はいないという。
最近ではこれが噂となり、他領からの移住希望者も出てきたという。一応、移住には審査を設けているが、審査に落ちる者は滅多にいないという。
領民が反乱したり逃げたりしないのは、アンネリーゼに恩義を感じているからなのだろうか。それとも、合計二割という安い税率のためだろうか。
それだけで、統率できるものなのだろうか。
アンネリーゼで思い出した…。今日一日、忘れていようと思っていたのに、またとても寂しさがこみ上げてきた…。
私はセレスタミナたちと学校から屋敷に戻った。屋敷に近づくにつれて私の足は速くなる。
「アンネリーゼ様ぁ…」
「どうされましたか」
屋敷でアンネリーゼを見つけるなり、思わず抱きついてしまった…。
「ちょっとぉアンネ、重傷じゃない」
「最後のほうは泣きそうな顔をしていたよ」
「タラシにもほどがあるわね」
「困ったものですわ」
「えっと…、今日はお相手できなくてすみません…」
「明日は私と一緒にいてくださいますか?」
「んー…、分かりました…」
今気が付いた。私はアンネリーゼのことを好きになってしまったんだ…。これが恋…。もう離れられない。
「あれ…アンネリーゼ様…、スカートが…脚が…」
「あああああ…、忘れていました…。これは娘のいたずらなんです…」
抱きついていて気がつくのが遅れた。
なんて短いスカートなの?そして、それはアンネリーゼの仕立屋で手に入る、ハイヒールという靴。
メタゾールの仕立屋でパンツというものを説明されたから、スカートの中にパンツをはいてるであろうことは分かるけど、その、見えそうで見えない、絶対的にぎりぎりな長さをキープしているスカートは、なんて破壊力なの?
そして、そのハイヒールで長く見える脚。脚!なんて美しい脚なの…。
昨日、お風呂で見た裸よりも断然素敵…。
あぁ~、もうダメ…。
「ん~…」
「気が付かれましたか?」
私の頭は柔らかな雲に支えられていた。否。こ、これは、アンネリーゼの脚!太もも!赤子のように柔らかな肌…。
「あわわわ…、ごめんなさい…」
私は慌てて起き上がった。大きなベッドに腰掛けているアンネリーゼ。私はそのアンネリーゼの太ももを枕にして眠っていたのか…。
「いいえ、急に鼻血を噴いて倒れてしまわれたのですよ。慣れない場所で疲れたのでしょう」
「あ、はい…。そうかもしれません…」
そうだ、私はアンネリーゼの短いスカートと、その下のズボンのような服の間からわずかに覗く肌色のももにやられたんだった…。
ベッドに腰掛けているアンネリーゼのスカートからは、アンネリーゼの考えたパンツという服が覗いている。ダメ…。また…。
「大丈夫ですか?」
「えっ?大丈夫です…」
「無理なさらないでください」
「ほんとうに大丈夫なので…」
「そうですか。夕食の準備ができているのですが、召し上がりますか?」
「はい。いただきます」
アンネリーゼは屋敷で、その服装が標準なの?あ、娘のいたずらって言っていたような。娘がいるんだった…。いや、娘がいてもいい!
夕食の席では新たに三人の女性の紹介にあずかった。
「リンダと申します。アンネリーゼの母です。娘がお世話になっております」
「お世話になっているのは私のほうです。滞在期間中、よろしくお願いします」
リンダはアンネリーゼをもっと大人にしたような魅力的な女性だ。とても若い。ほんとうに孫を持つお婆ちゃんなのだろうか。その、はち切れんばかり胸にどうしても目が行ってしまう。
「リーナです!よろしくお願いします!」
「はい、よろしくお願いします」
リーナはアンネリーゼの妹で五歳だという。あとで聞いたが本名はメリリーナであり、愛称で自己紹介してしまうなど、しつけがなっておらず、聡明なアンネリーゼの妹とはとても思えないが、アンネリーゼの面影があって愛らしいから許可する。
「この子はダイアナです。私の娘です」
「アンネリーゼ様の娘…」
アンネリーゼの貞操を奪ったのは、いったいどんな輩なのか。許すまじ。
ダイアナは銀髪。銀髪といえばカローナだ。今までに銀髪など見たことがない。ということは、相手はカローナの兄弟や親類か。
そもそも、セレスタミナとカローナが元平民だったなんて、絶対にウソだ。セレスタミナは私と同じ王族の匂いがするし、カローナも相当上位の貴族だ。立ち振る舞いだけですぐに分かる。
でも、セレスタミナがこの国の王族でないのはもちろん、カローナもこの国の貴族ではない。他国の間者?アンネリーゼほどの者が、見破れないとも思えない。分かっていて側に置いている?
夕食のあとはお待ちかね。お風呂の時間。馬車にお風呂があるのだから、屋敷にお風呂がないわけがない。
でも…、アンネリーゼと二人っきりで入らせてはもらえなかった…。アンネリーゼだけでなく、夕食を一緒した七人まで付いてきた…。
私に振り向いてほしい…。私だけを見てほしい…。それなのに、女がこんなにたくさん…。
あれ…、なんで私はアンネリーゼとのお風呂を楽しみにしていたんだっけ…。
「お背中を流しますね」
「えっ?アンネリーゼ様が?」
あれ?昨日もこのやりとりをした。そのあと…
「ああああん…」
すごい…。いったい私の背中に何をやっているの?ピリッときたり、熱くなったり、ぐいっときたり…。触られているところだけでなく、全身にじわじわと気持ちよさが広がっていく…。
「はぁはぁ…」
「それでは、マイア様は湯船にお浸かりください」
「はい…」
「アンネちゃん…。私にあれだけやってくれたことがあったかしら」
「アンネ…、なんでそんなに気合い入ってるのかしら…」
「やっぱりお姫様が可愛いから?」
「私だってお姫様だったんだけど」
「アンネに可愛い女の子を会わせてはいけませんわね」
「ねーね!私にもすごいのちょーだいっ!」
「ママぁ!」
意識がもうろうとして、皆、何を言っているのかよく分からない…。
「それでは今日は私の持てる力をすべて出し切りましょう」
「あはあーん…」
「ああーんん…」
「あああん…」
「あんんー…」
「あはんん…」
「あははははは!」
「ん~…」
だんだんと意識がハッキリしてきた。私の目の前でアンネリーゼに背中を触られて、もだえ喜んでいる少女たち。私もあれと同じだったということか…。
あの親指は何?魔法?何をどうすると、あんなに気持ちよくなるの?
ああ、昨日よりもお肌がすべすべでつやつや。髪の毛も輝いている。背中を流すって、身体を洗うってことのはず…。洗ったから私はピカピカなのかな…。
湯船でうつろな表情の少女たち。
「あの…、毎日こんな感じですか…」
「そうよ~。マイアちゃんもこれからはよろしくね~」
アンネリーゼの母親、リンダ…。記録によると、元商家の娘。
私のことをマイアちゃんだなんて…、この人、大物だな…。別に私は気にしないけどね。
そうか…。この者たちは皆、アンネリーゼの愛人か…。いや、家族は別だけど。
そうなると、もちろん、私は姫なのだから正室だ。
「うう、八人用だからギリギリですね」
リーナとダイアナは小さいから二人で一人にカウントしてもいいと思う。そうすると、八人で丁度いいはずなのに、リンダとアンネリーゼとカローナは、抱えている二つの球体が胴体二人分以上の厚みがある。そうなるとやはり八人用では足りないようで、ちょっとぎゅうぎゅうだ。
でも、いちばん最初に入った私から、最後に入ったアンネリーゼは遠すぎる。うつろな表情の女たちの間を無理矢理ぬって、アンネリーゼの隣へ行った。
「マイア様…、狭くて申し訳ございません」
「いえ、とても良いです…」
アンネリーゼ様の大きくて柔らかなお胸。ああ…、また鼻血出そう…。
「マイア様のお部屋はこちら…」
「えっ…」
誰もいない一人の部屋に案内された途端に涙がこみ上げてきた。
「…ではなく…」
私は、ぱぁっと咲いた花のような顔をしていると思う。おかしい。私は王族。感情を表に出して考えを悟らせたりはしないはず。
アンネリーゼが開けた別の部屋の扉の中から、
「マイアちゃんも早くいらっしゃいな」
「ふが…」
「ふがふが…」
リンダのおっぱいをくわえているセレスタミナとカローナ…。
「マイア様は最後よ」
「そうだね。お姫様だからって譲らないよ」
皆で何をやっているの?私もリンダの母乳をいただく前提なの?そうなのであれば…
「私はリンダ様のをいただかなくても結構です。私はアンネリーゼ様のをいただきますから」
「へっ…?」
アンネリーゼも娘を産んで間もないから、母乳を出せるはず!リンダのとてつもなく大きな胸も魅力的だけど、アンネリーゼの整った形の胸のほうが良い!
今までの知的なアンネリーゼからは想像もできない間抜けな声を聞いた。それもまた好き。ああ、アンネリーゼのすべてが好き!
「それは今まで考えたこともなかったわ…」
「じゃあ私もアンネのにする」
ふふふ…。アンネリーゼの果汁は私のもの。
「もちろん私が正室なのだから、いちばんにいただきます!あっ…」
しまった!つい本音が…。ええい、このまま勢いに任せちゃえ!
「あの…、皆さん、勝手に…、あああぁ…ん…」
目覚めると…、赤子のように柔らかい…アンネリーゼを抱きしめていた。
「おはようございます。マイア様」
「おはようございます。アンネリーゼ様…」
このままずっと抱きしめていたい。
「あの…、マイア様…」
「アンネリーゼ様…。アンネお姉様と呼んでもいいでしょうか…」
アンネお姉様…。自分で言っていて、なんて良い響きなの?
「えっ、それは別に構わないのですけど」
「アンネお姉様!好きです!」
「もう、直球ですねぇ」
私の告白にアンネお姉様はとくに驚いた様子はない。拒否もない。でも、はぐらかされた。
「今日はどうされますか?もともと滞在期間は未定だし、往復時間も二ヶ月確保してあったのが二日で済みますから、ごゆっくりされてもよいのですよ」
いきなり現実に戻さないでほしい。私はここに、領地運営のノウハウを伝授してもらうために来たんだった…。
というか、いまいち理解が追いついていなかったけど、やっぱり一日で着いたんだ…。そもそも、ちょっと狭い屋敷に滞在していて、馬車で移動しているという感覚がなかったし、移動中もアンネお姉様と楽しかったし…。
むしろ、アンネお姉様と二人きりなら一ヶ月かかってくれた方がよかったのに…。
メタゾールとの往復は二ヶ月というのが常識なので、少なくとも二ヶ月と数日はここにいられる。でも、そのあと、私は帰らなければならないんだ…。
「えっ?どうなさいました?」
あれ…、私は涙を流しているのか…。
「私…、帰りたくないです…」
「まだまだたっぷり時間はありますよ」
「そのあとも帰りたくないです…」
「うーん。そのときのことはそのとき考えることにして、今を楽しみましょう!」
「そうですね!」
アンネお姉様は、すぐに私を元気にしてくれた。
私はアンネお姉様を離して、身体を起こした。それとともに訪れる喪失感。でも、今日はアンネお姉様が案内してくれる。そう考えれば少しは心が楽になった。
見渡すと、大きなベッドの上には、いろんな方向に向いて、みだらな格好をした少女が寝ている。
朝食を済ませた。今日はアンネお姉様が町を案内してくれる。邪魔者はいない。
アンネお姉様のスカートは今日も短い。何度直しても、娘のダイアナがいたずらをして短くしてしまうという。ハイヒールとあわせて領民にも定着しつつあるらしい。
ダイアナって一歳のはず。それにいたずらってレベルじゃない。破いたようなあともないし、裾は綺麗に揃えてある。いったいどういうことやら。それに普通の靴にどういたずらをするとハイヒールになるのやら。
まあ、私としてはアンネお姉様の綺麗なお脚を拝めるので、ダイアナの仕事を褒めてつかわす。
今日は邪魔者はいないのだけど、面倒なことに私は王族なので、騎士を十人連れてなければならない。メイドも四人も連れてくるんじゃなかった。
騎士もメイドもそんなにたくさんぞろぞろと歩かれては、さすがに領民がおびえてしまうということで、騎士とメイドは平民の格好をして、お付きの者とはばれないように周囲に散らばってもらうことにした。
この領は平和なので、アンネお姉様も、いつも一人で出歩いていても、領民が狼藉を働いたりすることはないという。
でも、他領からの来訪者がそうとは限らない。そのときは、アンネお姉様が守ってくれるという。第五王子のサレックスに私が斬られそうになったとき助けてくれたのは、おそらくアンネお姉様だ。
移動は二人乗りで屋根のない小さな馬車。馬車の席にアンネお姉様と並んで座ってデート気分を満喫している。
まあ、その後ろに四人乗りの簡素な馬車でメイドが付いてきているし、辺りを見回すと見知った顔の騎士が平民の格好をして知らぬ顔をしていたりもする。
通りには店が並んでいる。
魚がある!そうだ、ここは大陸の最南端。魚が捕れるんだ。でも…、
「あの…、あの魚は生なのではないですか?それに、魚の下に宝石がじゃらじゃらと…」
「あれは宝石ではありません。氷です」
「氷?」
「水を冷たくしたものですよ」
「はぁ」
水から宝石が作れるなんて…。いや、宝石でないと言っているけど…。
「そうだ、マイア様、私の領の学校に留学しませんか?」
「留学?」
「昨日は視察ということで一日だけ体験で授業を受けていただきましたが、そうではなくて、勉強をするために何年もここに滞在するのです」
「それは良い考えですね!」
なんと、私がここにずっといられる理由を作ってくれるなんて、さすがアンネお姉様!さっきははぐらかされたけど、アンネお姉様も私のことを好きなんだ。
それにしても、この通りに並んでいる店の、野菜や魔道具などは、とても安い。税率が二割だからか。だから値段をつり上げなくても、十分な儲けがでるのか。
税率は貴族が自由に設定できる。多くの領では税率は五割。領の運営費は公共事業や屋敷の運営費。屋敷の運営費は、屋敷で働く者の給料や屋敷の備品。当然、給料には貴族当主の給料も含まれる。それに、備品と称して私物を購入したりもする。たいていの貴族は、そうやって私腹を肥やしている。
国も少しくらいなら目を瞑っている。だけど、税率を六割にして余分な一割をすべて贅沢に使っているような悪徳貴族もいる。
逆に、税率を四割にしているところは、自分の給料を低くして、使用人も減らして、さらに公共事業もうまくやりくりしているのだろう。
そんな中で、メタゾール領の税率は二割だ。税率のうち一割は国に納める税の割合。残りの一割がメタゾール領への税の割合。
たった一割で領地運営が成り立っているのは、アンネお姉様が独自にドレスやガラス細工を売って、私財を投入しているからか…。そんなやり方があるなんて…。
商会を運営して商売をしている貴族もいるけど、普通、その儲けは商会運営費を除けば、すべて会長である貴族当主のものだ。アンネお姉様はその儲けまで使って領地を運営しているなんて…。
「アンネお姉様は、なぜそれほどまでに領民に尽くすのですか?」
「何を仰っているのですか?貴族当主が領民のために働くのは義務でしょう」
「そ、そうですね…」
そうだっけ…。そんな法律あったかな…。領民が貴族のためにあるのでは…。
「貴族というのは、国のために功績を挙げた者に与えられる特権です。国のためというのは民のためということです。
まあ、一度の功績でずっと特権が続くのは問題だと思いますが、もっと問題なのは、その特権が子孫にも受け継がれることですね。子は何も功績を挙げていないのに特権が引き継がれてしまうから、子はなぜ自分が貴族になったのか分からないのです。
私はお父様から子爵位を受け継いでしまいました。私もお父様も、先祖が何の功績を挙げて貴族になったのか知らないのです。これは大問題です。こんな子爵位は返上してもいいくらいですね」
「そんな…、アンネお姉様は爵位を継承されたあと、功績を挙げて伯爵となったのでしょう。有能な魔法使いだから陞爵したとありました」
「そのように記録されているのですね。なるほど!私は魔法使いとして功績を挙げたのだから、魔法で民に尽くすべきですね!私が治療院で働くことの正当性がそんなところにあったなんて!」
「アンネお姉様は有能な治療魔術師という噂ですね。治療院を開いてらっしゃるのですね」
「そうなのですが、他の仕事が忙しくて、今では一週間につき一日しか開いてないんです…」
「まあ、それはもったいないですね」
「そうでしょう。魔法使いとして取り立てられたのに、なぜ領地運営などという事務仕事をやらされるのか…。私にとっては罰ゲームですよ…。どこの世界でも偉くなると事務系になるのは一緒ですね。
まあ、事務仕事はほとんどお父様にやらせていますけどね、それ以外にも商会の仕事などやらなければならないことがあるので、ろくに治療院を開けてないです…。まあ、商会は自業自得ですが…」
「治療院…、あの…、王の病気を治して延命させたのは、アンネお姉様ですよね?」
「そうですよ。まあ、陛下は病気ではなく老衰でしたけどね」
「えっ?病気ではなく老化を治す…若返るということですか?」
「そんな大それたものではないです。せいぜい十年、メンテし続けていれば二十年ってところですね」
「二十年も寿命が延びるなんて…。それで王は七十になろうかというのに元気なのですね」
「三年前に養子の手続きに登城したときも、王にばったり会って治療させられましたからね」
「そんなことが…。あの、私の寿命も延ばしていただけませんか?」
「今から寿命を心配なさるのですか?まあ、すでに昨日も一昨日も施術していますよ」
「えっ?いつの間に…」
「お風呂でお背中を流すときに一緒にやってしまいました」
「えっ…まさかあれが…。あの気持ちいい時間が…」
思い出しただけで…、もう一度やってもらいたくなった…。
「明日は丁度治療院を開く日なので、そちらの見学がてら、マイア様にも施術しましょう」
「はい!あ…、領民は皆、アンネお姉様の治療を受けられるのですか?」
「そうですよ。まあ、領民はたくさんいるので、あまり時間をかけられませんがね」
「なるほど…」
分かった気がする。領民が逃走や反乱を企てない理由。領民もあの快感を知っているというのか。あの快感には抗えない。あの快感を得られなくなるようなマネはしない。
アンネお姉様の領地運営手腕はたしかなものだと分かったけど、なぜ領民は裏切らないのか、その点だけが疑問だった。
それを私が国家運営に取り入れることはできるのか…。
「アンネお姉様!私にアンネお姉様の治療魔法を伝授してください!」
「えっ?んー、まあ、それならまず、やはりうちの学校に留学してください。知識も必要です」
「分かりました!」
「ねえアンネ、マイア姫様と玉子焼きを食べましょう」
「それが良いですわ」
「そうね、マイア姫様を歓迎しないとね」
「うんうん」
「わ、わかりました」
「玉子焼きとは?」
「まあ、今から作りますので、少し待っていてください」
玉子焼きとはどんな料理なのか。アンネお姉様の作ってくださるものなら何でも大歓迎。
なぜかみんなで厨房へ。えっ、アンネお姉様が作ってくださるの?
「できました」
それは、長細くて黄色い食べ物。
「こうやって食べるのよ。はい、カローナ」
「はい」
「えっ…」
セレスタミナ、手づかみではしたない…。と思ったのもつかの間。玉子焼きの一方をセレスタミナがくわえ、もう一方をカローナがくわえている。何その食べ方!
セレスタミナとカローナがくわえていた玉子焼きは、どんどん短くなっていき…、最後に二人の唇が触れあう…。
「さあ、分かったわね。マイア姫様もくわえて」
「反対側はアンネだよ」
「えっ!」
私もこれをやるの?反対側はアンネお姉様?
「アンネお姉様…、よろしくお願いします…」
「はい…」
私は玉子焼きを手で掴みくわえた。はしたないなんて考えはすぐに捨て去った。
甘い!美味しいわ!
そして、アンネお姉様は、私のくわえている玉子焼きを手で掴むと、もう一方を口に入れた…。
私はアンネお姉様の唇に近づきたい一心で、どんどん玉子焼きを短くしていった。
そして…、アンネお姉様の唇と私の唇が触れあう…。なんて柔らかな唇…。
さらに、すでにアンネお姉様の口の中に入っていた玉子焼きも吸い寄せて、いただいてしまった…。アンネお姉様の味…。今まで食べていた玉子焼きよりもずっと甘い…。
もっとください…。アンネお姉様の…。
どれだけ時間が経っただろう。永遠にこうしていたい。
「ねー…。いつまでやってるの。次は私よっ!」
「えー、私だってば」
セレスタミナとヒルダめ。私とアンネお姉様の大事な時間を…。
「マイア姫様…、次はわたくしと…」
「えっ?あっ、はい…」
全員と食べるの?私はアンネお姉様とだけ食べたいのだけど…。
カローナの妖艶な唇…。悪くない…。いえ!アンネお姉様の比べると天と地ほどの差がある!
その後、セレスタミナ、ヒルダ、クレアとも玉子焼きを食べたら、かなり満腹に…。私のおなかはアンネお姉様の玉子焼きだけで満たしたかったのに…。
その日の夜も、お風呂で気持ち良く…治療してもらった。明日はどれだけ気持ち良くしてもらえるのだろう。
今日はアンネお姉様の治療院で施術してもらえる日だ!じゃなかった、仕事を見せてもらう日だ!
美味しい料理の秘密を教えてもらう予定だったけど、そんなものはあとでよい!
治療のための専用のベッド。うつ伏せになって顔を下に向けても息ができるように、穴の開いた専用のベッド。
「あああん」
客がうつ伏せになり、アンネお姉様が客の背中を服ごしに触っている。いや、押しているのか。あの親指にどんな秘密があるというのか。
「×××!」
男の客の声は、なぜか聞こえない。でも、とても気持ちよさそうだ。
客は領民がほとんど。ときどき、噂を聞きつけたハンターが訪れる。屋敷の使用人も訪れるようだ。
一人につき、わずか五分だけ与えられる至福の時間。
あ、私はお風呂でどれだけの時間、治療してもらっているのだろう。昨日もやってもらったはずなのに、気持ち良すぎてどれだけの時間だったのか全く分からない。
「……患者一人一人に合った治療をすることが大切なんです。例えば、この方は農夫ですから、普段、こうやって前屈みになって作業をするでしょう。すると、重心が前になって、背中のこういうところの筋肉に負担がかかります。だから……」
アンネお姉様は自分の身体を指さして何やら説明してくれている。私よりも細いその腰はとても魅力的です…。
「…ア様?聞いています?」
「えっ、あっ、はい」
アンネお姉様の身体に見入ってしまい、説明を聞いていなかったなんて言えない…。
とくにその短いスカートは危険です…。ちょっと前屈みになるだけで、そのお美しいお尻が顔を出します…。パンツとその下のストッキングという服の間の肌色の領域があらわになると、私は治療技術を見せてもらうどころではなくなってしまいます…。
客の反対側に回って前屈みになっているときも危険です。今度は大きな二つのお胸様が私を誘惑します…。
前を向いても後ろを向いても双球が私の心を乱します…。もうダメ…。
「この方は本日生理のために治療を受けに来たんですよ。生理中の方の特別枠がありまして、他の方よりも優先して治療を受けられるのです。マイア様もすでに来てらっしゃいますよね。生理のときはお辛いでしょう。でも、これからは私が見ますから、症状を軽減できると思います。あれ、もしかしたらそろそろ来ますか。ちょっと精神的に不安定になっているような」
アンネお姉様が患者の女の身体を触っている。そんな女ではなくて、私を触ってほしい。イライラする。
アンネお姉様が何か説明してくれていた気がするけど、聞き逃してしまった…。
何人の客が訪れたのか。途中で昼食を挟んで、午前で四時間、午後で四時間。
アンネお姉様だってまだ十一歳の少女だというのに、こんなに長い時間働くなんて…。それなのに、嫌な顔一つせず、むしろいつもニコニコしていて楽しそう。
客も笑顔で帰っていく。気持ち良いだけではない。皆、アンネお姉様のことが好きなのだ。アンネお姉様のことを裏切るわけがない。
皆、アンネお姉様のことを聖女として崇めるわけだ…。アンネお姉様は、すべての領民のアンネお姉様なのだ。
でも、私はアンネお姉様を独り占めしたい。というか、何時間も気持ちよさそうにしている客の姿を見せられて、もう限界…。
「お待たせしました、マイア様」
「はい!」
「あの…、脱がなくてけっこうですよ」
「はっ、はいっ!」
客は服を着たままだった。私はお風呂でやってもらっている印象が強かったので、ついつい脱ごうとしてしまった…。
「こちらにうつ伏せになってください」
「はい…」
「それでは」
「あああああ~ん」
触られたところが熱くなり、ぴりっとした感覚が走り、そして、痛気持ち良く押される。基本はその繰り返し。
しばらくすると、その周りがじわじわと暖かくなってきて、徐々に気持ちよさが広がる。
しまいには全身に気持ちよさが広がり、まるで雲の上にいるよう。
お風呂のときと違って、腿やふくらはぎ、足の指先まで揉まれる。今まで足に布がきつく巻いていたのではないか。それをほどいたのではないかと思えるくらい、足に開放感が生まれる。
「あら、ここ、とくにこっていますね」
私の顔の左側にいるアンネお姉様が、私の右肩に手を伸ばして揉んでくださるようです。
右肩を揉むなら、ほんとうは私の身体の右側に回るべきだと思うのですが、これは手抜きなのですかね…。いえ、この角度でしか揉めないのでしょうね。
アンネお姉様の身体が私の顔に急接近です…。二つの大きな球体が私の顔を圧迫している…。圧死しそうです…。
いえ、さっき、指圧というのは圧迫して一度血を止めたところで指を離して解放すると、いっきに血が流れはじめて、血管が拡張されるとかなんとか言っていましたね。
つまり、私の顔は今、二つの球体によって圧迫されていて、解放されたときに血管が拡張されるということなのですね!
すごい技です!顔に血が貯まってきたのか、ほてりまくりです!心臓がばくばく言っています!
今日見ていた限りでは、この技を領民には使っていませんでした。この技の効果は高すぎます。王族である私のみが享受すべきです。
とても長くやってもらったと思うけど、至福の時間はなぜこうも早く過ぎてしまうのだ…。
「さあ、終わりましたよ」
この時間が終わってしまうのがとても悲しい。ずっとこうしていたい。
「お風呂でもまたやりましょう。五分コースですけどね」
「は、はい…」
私はその後も、アンネお姉様が一週間おきに店を開けるたびに見学させてもらったのだけど、店を閉めたあとのご褒美と、治療中のスカートから覗くお尻が気になって、治療の技を覚えるにまったく至らなかった…。
治療院での指導以外にも、アンネお姉様は学校の医学の授業で顔を出してくれる。人間の身体のことについて詳しく教えてくれる。
アンネお姉様は自分の身体を指さして身体の部位の説明をしてくれたり、実際に自分の身体を触ったりなでたりして治療法を教えてくれているようだけど、その仕草が素敵すぎて見入ってしまい、やっぱり授業に身が入らない…。
他の学生はちゃんと勉強できているのだろうか…。アンネお姉様は私だけを愛してくださればいいのに、こうやって領民全員に愛を振りまく、罪作りなお方…。
■マイア・ロイドステラ(幼少期~九歳)
女だてらに貴族当主を務めるアンネリーゼに興味を持ち、さらに王位にも興味を抱くようになった。
■マイアのメイド
四人も連れてこられた。そんなに仕事はない。
メタゾール領に来てからは、マイアと一緒に学校に通っている。
■マイアの護衛騎士
十人も連れてこられた。フルプレートアーマー着用。
実は二人だけ女性騎士がおり、胸にカップが付いていたりするが、馬車の中ではアンネリーゼに気がつかれなかった。
メタゾール領に来てからは、マイアと一緒に学校に通い、マイアを護衛している。学校のときは、アンネリーゼからレザーアーマーを借りている。
■メタゾール家の使用人
半分は元からメタゾール家に使えていた者。学校に通うようになり、それなりに質が上がってきた。
半分は幼少の頃から学校に通い、英才教育を施された者。
マイアに質が高いと認められる。
■マイザー・ロイドステラ(六十九歳)
マイアの祖父の祖父。
■アタラックス・ロイドステラ(三十九歳)
マイアの祖父。マイザーの孫。マイザーの第一子の第一子。
■キプレス・ロイドステラ(二十四歳)
マイアの父。マイザーのひ孫。マイザーの第一子の第一子の第一子。