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イケメン探偵〜桜のような王子様と模範解答のない謎〜  作者: 地野千塩


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陰キャの矜持編-4

 その夜、麗美香はベッドの上でごろ寝しながらスマートフォンをいじっていた。本当は寝る前にこんな風にスマートフォンを見るのは、豊に肌に悪いと言われているが、やめることはできなかった。


 麗美香も日菜子のSNSを調べていた。優のSNSを辿っていたら、偶然日菜子のアカウントを見つけてしまった。

 裏アカウントのようで、本音もただ漏れだった。推しの声優・レンについて熱く語るのは良いのだが、古参のファンや同業者の声優について悪口も多い。自分がリア充である自覚も強いのか、陰キャへの悪口もたくさんあり、聡美について案の定悪口が書かれていた。麗美香についてもそうである。


 自分の悪口がインターネット上でに書かれていて、「いいね!」も30件もついている。日菜子はもちろんだが、この30件の「いいね!」も腹が立つ。イジメについて何も言わず傍観している人は、この「いいね!」の様に思えて仕方ない。インターネット上だといじめというのがより立体的に形が見えてしまう。


 麗美香は、ため息をついてスマートを手から離す。


 やっぱり優の言う通りである。見て見ぬふりをするのは、この「いいね!」と同じだ。もしかしたら何か騒ぎになったり、問題になるかもしれない。自分のこの行動はもしかしたら間違っているのかも知れないが、やっぱり見て見ぬふりはできそうになかった。


 翌日、放課後。


 この日はあんな嫌がらせがあった事など信じられないぐらい平和に授業が進んでいた。


 日菜子の姿をチラっと見るが、相変わらず気の強そうなルックスで、リア充連中と先生の悪口などを言ったり、合コンの予定などを生き生きと話している。


 意外な事に星川アリスはそんな集団か一歩引いて見ていた。英語のテキストまで開いて読んでいる。少なからず麗美香の影響も受けたようである。


 一方、聡美は表情が重い。陰キャは何をやっても無愛想で無表情に見えるものだが、一段と暗い雰囲気が漂っている。


 意外な事に日菜子が、あからさまに聡美に悪口を言ったりはしなかった。教室の中ではそんな素振りは全く見せていなかった。


 こうしてとうとう放課後のなった。聡美や麗美香は担任にプリント作りを押し付けられ、教室の端で延々とホッチキスで何部も二人でまとめていた。


 日菜子の姿は見えない。


 授業が終わると直ぐに消えてしまった。やっぱり下駄箱に嫌がらせをするのだろうか?優は無事捕まえられただろうか?


 そう思うといても立ってもいられない。


 麗美香は、鬼のようなスピードを出し、プリントを纏める作業を終わらせた。


「はは、麗美香、早過ぎだよ」


 聡美はそんな麗美香を見て笑っていたが、ちょうどそこにスマートフォンに優から連絡があった。


『日菜子を現行犯で捕まえて、旧校舎の空き部屋に拘束中♪』とある。しかもドクロのスタンプもまでつけている。


 まさか本当に縄で縛っている?


 旧校舎の方は人気がいないので、出来ない事はない。そこまでは望んではいない。ただ、おバカな優ならやりかねないとも思った。


「ヤバ!」


 麗美香は、旧校舎に向かって走った。


「ちょっと、麗美香。どうしたのよ?」


 何も知らない聡美が、麗美香の後をノロノロとついていった。

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