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イケメン探偵〜桜のような王子様と模範解答のない謎〜  作者: 地野千塩


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芋臭女子の大変身編-9

 豊に施されて変身した麗美香は、優と二人で幸花の家に向かった。豊は、アプリのゲームがどうしてもやりたいと言い出し、屋敷に残る事になった。意外と子供っぽい所が垣間見れる大人だ。


「二人で出歩いても大丈夫かなぁ? 私があの家でバイトしている事がバレたりしない?」


 二人で歩きながら、麗美香は懸念事項を呟く。


「大丈夫だろ。今日の麗美香ちゃんは、いつもと全然違うよ!」

「そっかな」

「そうさ。一種の変装じゃん?」


 変装と思うとメイクをしている居心地の悪さが軽減されるような気がした。


「それにしても人の事をブスとかいうやつはムカつくね!」

「いや、坊ちゃんがそんな怒る事? 坊ちゃんはイケメンだし怒る所ではなくない?」


 素直に疑問に思う。なぜ優は、この事について怒るのか。下手したら当の本人の麗美香以上に怒っている。


「俺だってブスとかよく言われるし」

「そうなの? そんな感じしないけどな」

「いるんだよ。時々嫉妬している奴がね。幸花ももしかしたら俺にジェラシー感じたのかも?」

「まあ、整形した元ブスなんて天然イケメンなんて見たくもない存在でしょうね」

「だから神様からもらった身体をいじくって無理矢理整形なんてやってる奴にろくな奴はいないのさ。やってる事はヤクザの刺青と変わらない」

「でも、世間はブスに厳しいのよねぇ……」


 幸花も良い印象は全くないが、そうなってしまった心の動きは手に取るようにわかる。同情はしないが、気持ちはわかってしまう。


「何でも外見で判断して、人間って馬鹿だね。ミステリで読んだけど、詐欺師は必ず綺麗なスーツ着てるんだってよ」

「へえ、そんなんで騙されるんだ。やっぱり人間って馬鹿ねぇ」


 おバカな優であるが、ミステリで仕入れた豆知識はけっこう面白く会話が盛り上がったまま幸花の家に到着した。


 アパートの2階に登り、優がチャイムを押すとすぐに幸花が出てきた。とても嫌そうな顔を隠さず「ゲッ…」とまで言っている。


 ただ、麗美香の気づくと顔色を変えた。まるでこれから戦いに挑むようなプロレスラーのような顔を見せた。


「へぇ、メイクしたの?」


 顎をあげ、見下すような態度だ。挑戦的というか、マウントを取りたがっているにが麗美香は手にとるようにわかる。

 隠キャが誉められたり目立ったりすると、リア充連中がとる態度とそっくりである。


 ただ、今は麗美香はその時のようにイライラした気分にはなれなかった。豊に丁寧にメイクをして貰い、なんとなくこの格好は「バリア」のようなものの様だと気づいた。別に自信がついたわけではないが、こんな幸花にこんな態度を取られても不思議と傷つきはしなかった。これがメイクの効果なのかもしれないと麗美香は思った。


「まあ、玄関の前に入られても困るから中入ったら?」

「いいの?」


 優はニコニコ笑って言う。雰囲気が少し和らぐ。


 優は幸花に良い印象はないはずだが、笑顔を作っていた。内心腹に据えかねているかも知れないが、やっぱりイケメンはちょっと笑っただけでも場の雰囲気を変える力があるようである。


「いいわよ。入ったら?そっちの芋臭い子も」

「芋臭いとか言うなよ」

「うるさいわね」


 優にたしなめられても幸花はブスッとしたままである。最初、幸花にあった時は、愛想はかなり良かったが、こちらが本性なのだろう。


 こうして優と麗美香は幸花の家に入る。ワンルームアパートで、ものがゴチャゴタとしている。特に鏡台の近くはメイク用品がどっさり揃っている。服も多い。ただ、まだデパートの紙袋に入っている様なものも多く、扱いは雑そうだ。女らしい部屋ではあるので、優は居心地悪そうだ。ポムポムプリンというサンリオキャラクターの座椅子に優は座ったが、気まずそうだ。麗美香も同じ座椅子に座ったが、可愛らしいデザインにちょっと和んだわけだが。


「で、何しに来たの? 私のファンではないわよね?」


 幸花もペットボトルのお茶を丸ごと優や麗美香に渡すと、ふてぶてしく座る。


「ふうん。芋臭いけど、アイシャドウの塗り方は綺麗ね。っていうかだいぶ慣れてるじゃない? もしかしてプロにやって貰った?」


 幸花は、麗美香の顔をまじまじと見ると、ジャッジした。確かに当たってはいるが、不躾でいやらしい。まあ、突然押しかけた二人もその点については人の事は言えないが。


「でもアイプチしたら? 一重とかってぶっさ!」


 幸花は、手を叩いて大笑いしていた。


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