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イケメン探偵〜桜のような王子様と模範解答のない謎〜  作者: 地野千塩


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芋臭女子の大変身編-7

 幸花に接触して微妙に嫌な気持ちを抱えながら一ノ瀬の屋敷に戻る。


 そろそろ昼ご飯の支度もしなればならないと考えながら、本邸の方の玄関から入ると、優と豊が出迎えてきた。二人ともニンマリとした顔である。何か事件についてわかったのかも知れない。


「朝比奈さん、幸花さんの秘密が分かりましたよ」


 特に豊がニコニコ笑っている。


「みんなで執事室行こう。豊さんのパソコンに面白いものがあるよ」


 優もちょっと性格が悪そうな笑顔を見せている。麗美香は、幸花の事はあとで報告する事にし、みんなでゾロゾロち執事室に向かった。


 執事室の豊のパソコンには、ブス時代の幸花と今の幸花の比較画像があがっていた。天と地ほどの差がえぐい。


 よくここまで化たものだと麗美香は関心するが、仮にもファンという子に「ブス」と罵れる神経を想像すると、むしろ綺麗になった画像の方が性格の悪さが滲み出ている気がした。


「この画像何? 豊さん」


 あまり良い気分になれないが、画像を見つめたまま麗美香は、豊にきく。画像をよく見ると、瞼は二重整形、エラは削っている、歯はセラミック、頬はヒアロサン注射などと細かい書き込みも見える。


「なんとビックリ! 幸花は整形だったんだよ」


 優はドヤ顔でその事実を披露するが、麗美香は特に驚かない。冷静さを保ったままの麗美香を見て、優は拍子抜けしている。


「坊ちゃんのお母様の主治医の美容整形外科に聞いたんです。確実に整形だってね」


 豊は呆れながら、他の画像も開いて見せる。美容整形外科が作ったと思われる画像だ。幸花がかけた整形代の金額が計算されていた。総額600万円。貧乏人の麗美香は気が遠くなりそうである。


 そういえば優の母・立花綾香は芸能人だった。美容師整形外科と懇意でも不自然では無いだろう。それにしても彼女も整形だったとは。芸能人で全く整形していない人は居ないのかも知れない。


「整形している女だぜ。きっと何か隠していてもおかしく無いね」


 優の意見はとんだ偏見ではあるが、実際会った幸花は怪しかったし、麗美香も何か事件に関わっていてもおかしく無いだろうと思う。


「それにしても芸能人でも無いのに整形だなんてさ。うちの親は事務所に言われて割り切ってやってるけど、そうでも無いのにやってるいるなんて自己肯定感めためたじゃん」


 優はとことん整形に否定的のようだった。


「確かに綺麗にはなりますけどね。これからずっと世間や他人の『美』の基準に合わせて生きていかなきゃいけないのは、生き地獄ですね。SNSで『いいね!』ばっかり求めるようになるでしょうね。『美』の基準なんて時代でも国でも個人の感覚でもだいぶ違うのに」


 豊は顔を顰め、むしろ幸花に同情的だった。そう思うとやっぱり麗も生き地獄に思えてならない。


「豊さんのいう通りだよ。人の評価なんて適当だし。それを基準に生きたら、キリないよね。整形依存症の理由ってそれじゃない?」


 優もしみじみと頷いている。普段はおバカな優であるが、その推理は当たっていると麗美香は思う。やっぱり優は単なるバカでは無いようである。be動詞がわからない優ではあるが、人間らしい心はきちんと持っているようだ。見直すわけではないが、見た目や学力だけで優を判断していた事に麗美香は恥ずかしくて堪らない。


「ところで幸花に接触したんでしょ? どうだった?」


 優は、その事を思い出して麗美香に聞いてくる。


 麗美香は、幸花のやり取りを全部二人に伝えた。思い出すとムカムカしてくるが、これからずっと他人の評価に依存して生きていかなければならないと思うと、あの女の言葉にいちいち傷つく事はとても馬鹿らしい事ではないかと思えてならない。


「え!? 幸花って麗美香ちゃんの事を『ブス』って言ったわけ?」

「そうよ。2回ぐらい言ったかしら」

「ムカつく女だ、コノヤロ!」


 なぜか優は当の本人の麗美香以上に怒り始めていた。麗美香はなぜ優がここまで怒っているのかわからなかったが、代わりに怒ってくれているのは悪い気分はしてこない。


「そうだ、麗美香ちゃん。豊さんにメイクやって貰いなよ」

「えぇ?」


 何故そうなる?


 メイクしたところで、何も意味がないと麗美香は思うのだが。


「ええ。私もムカつきますよ。朝比奈さん、メイクしましょう」


 なぜか豊も乗り気である。そういえば豊は元メイクアップアーティストと言っていた。


「ちょ、メイクなんて嫌ですよぉー」


 麗美香は必死で抵抗を試みたが、すっかり乗り気になっている優や豊に勝てず、なぜかこの屋敷にある二階の空き部屋に連れていかれた。

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