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桜の香りの謎編-6

 その夜、麗美香はすぐに眠らず、ベッドにごろ寝をしながらスマートフォンをいじっていた。


 凛花の事を調べていた。


 あの後、隼人は落ち込んでいたし、それに影響を受けて優は宿題を放棄。さっそく明日、凛花に会いに千葉に行くとまでいいはじめた。


 なぜか、豊や麗美香もそれに同行する事になってしまった。優はこの謎がいくら考えてもわからないと言い、頭が良い助手二人がいれば解ける!と騒ぎ始めた。


 優画自分が馬鹿である自覚があるのは喜ばしい事ではあるが、豊も乗り気で断れない雰囲気である。意外と豊は見かけに似合わずチャラい所があるようだ。


 豊には特別に給料も出すと言われ、麗美香は断れなくなってしまった。優と二人で行くのは色々と問題ではあるが、豊と三人で行くのなら大丈夫かもしれないと麗美香は考える。


 そんなわけで、麗美香は凛花について調べて見る事にした。


 麗美香はSNSはやっていないが、彼氏がいるようなリア充ならやっている可能性が高い。


 優のSNSのフォロワーを見ると、凛花のアカウントはあっけなく見つかった。隼人のSNSも見つかったが、こちらは読書専用のアカウントのようだ。本の感想が多く書かれていて、手がかりになりそうなものは見当たらない。


 ただ、SNS上でも凛花と恋人同士である事を公言し、仲が良さそうなやりとりをアップしていた。


「チッ! リア充実が!」


 思わず毒づいた呟きが溢れるが、こうして見ると問題のないカップルに見えるのだが。


 しかし、凛花の自撮りには変化があった。冬にはギャル系だったのに、春には急に陰キャになっていた。隼人に合わせたのだろうか?


 冬まではメイクが好きな事がよく発信されていたが、春になるとゲームや漫画の話題が多い。「名探偵クリスティ!」も最近読み始めたようで、かなりハマっているようだった。


 隼人は凛花の容姿があまり変わっていないと言うが、一応女の麗美香の目からすると、かなり変わったとようにみえる。別人とまでは行かないが、キャラは変わっている。


 この変化は何なのだろうか?


 陰キャからリア充になる事はあっても、リア充がわざわざ陰キャになる理由がさっぱりわからない。


 凛花のSNSの発言を全てチェックしてみたが、リア充で困った事は無さそうである。優のように誘拐やストーカーなどのトラブルがあれば、その理由も納得できるが、見たところ彼氏も出来てリア充ライフを楽しんでいるように見えなかった。


 翌日、豊が運転する車に乗り、千葉に向かった。県をまたぐとはいえ、千葉までは車で30分程度でつく予定だ。千葉といっても船橋という比較的東京よりで栄えている市だった。


 ちなみに車は別に高級車ではなく、見た目は普通の自家用車だった。高い車は使いにくいと豊が言っていたが、やっぱり金持ちが考える事はよくわからない。


 優は、車内でもなぜ凛花が隼人を避けたのか?とずっと推理をしていたが、「凛花が浮気している説」を主張していた。


 豊も優の推理に概ね同意していたが、麗美香はその説は違和感があった。まあ、どう説明していいかわからないような違和感なので、二人には説明しなかったが。


 そんな話をしつつ、千葉県船橋市につく。市の中で一番大きいショッピングモールのコーヒーチェーン店に入り、凛花を待つ。


 優はクリームやキャラメルたっぷりのコーヒーを頼み、実に美味しそうに飲んでいた。


 麗美香は、あんなカロリーの塊を飲んだら翌日絶対ニキビが出来るので、ブラックコーヒーを頼む。豊もブラックコーヒーだった。


「朝比奈さん、コーヒーフレッシュ入れるんですか?」


 豊は、コーヒーフレッシュを見てちょと顔を顰めている。


「あれは本物のミルクではなく、添加物と油の塊ですから、ニキビを気にするなら入れない方がいいですよ」

「そうなんですか? 知らなかったです〜」


 豊は元メイクアップアーティストだけあって、肌に悪い食べ物も詳しそうである。家庭科の教科書は、1日分に必要な栄養素の話題が多く、肌に悪い添加物の事など全く載っていない。世の中には教科書に載っていない知識もいっぱいあるようである。


「俺はニキビなんて滅多にできないけどな〜」


 マスクを外して美味しそうにカロリーの塊を食べている優を見ていると、やっぱり不平等だと思えてしまう。


 カフェの中は日曜日のせいか満席だったが、優の顔をチラ見している客も多い。イケメンな優は嫌でも目立っていた。


「あの一緒にいる芋臭いブス何?」

「妹かなんかじゃ無いの」


 麗美香への悪口もしっかり耳に届く。恥ずかしくて居た堪れなくなるが、優は悪口を言った客を睨みつけていた。


「俺、容姿の事いちいちコメントするヤツ大嫌い」


 ちょっと大きな声でそんなことまで言っている。


 これは悪口から守ってくれたのか?


 麗美香は、ちょっと嬉しくはなる。ただ、今までさんざん心の中で優について毒づいていたので素直に喜べず、咳払いをする。ブーメラン刺さった感じだ。


 こんな時、少女漫画のヒロインだったら恋に落ちるのかもしれないが、麗美香の場合はそんな気分にはなれないようだった。自業自得というか、むしろ優の言葉を聞いて反省すべきである。


「坊ちゃん、正義感を持つのはいいですが、あまりトラブルを起こしてはダメですよ」


 豊は優しい口調で優を嗜める。そのおかげか優の怒りも収まってきたようだ。


「優くん、お待たせ!」


 ちょうどそこへ凛花がやってきた。

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