01.「あのう……僕、どうしたら
「あのう……僕、どうしたらいいんでしょうか」
あいつと同じ顔で、その子は言い募った。
それを訊きたいのは、こっち。何せ状況が分からない。今は何年何月で家の外はどうなってるの?…とはいえ子供に八つ当たりするほど堕ちてはいない。
いや……ちょっと待って。この子、今「僕」って言った……?
「…おかしいですか?」
「君は女の子、だよね……?」
「はい……」
「うぅ。ダメではないけれども……」
「よくないことなんですね。分かりました、直します」
…素直に聞いてくれちゃったよ。従順すぎて怖いくらい。
「いや、あのね?わたしはアリっていうか、結構いいと思うけどなぁ……?」
「それなら、今までどおりにしますね」
嬉しそうに微笑んでくれたり。これヤバいよ……正直かなりヤバいよ。うん。
おお神よ。まったく少しも全然信じてないけど今だけは感謝します。
本題そっちのけで恍惚状態に陥ってると、意外に冷静な声がわたしを呼び戻した。
「…僕も、お伺いしたいことがあるんです」
酷く緊張してる。無理もない――どうせ碌に事情も知らされず、ここを管理するよう言いつけられたんだろう。お小遣いあげるから~とか何とか適当なコト言って。
大体、状況は察した。この子は、あいつの娘だ。
アレが家庭を持つなんて、到底信じ難いことなんだが。でもまあ……事実は認めよう。あいつわたしより美人だったし。クソっ。
とりあえず一回ぶん殴ろう。それで手を打ってやる。
「…質問に答える前にさ、あいつ呼んできてくれる?あなたのお母さん」
「は、はい」
不思議そうに小首を傾げながら出てゆく。知らない大人の言うこと聞いたらいけないんだけど、そんなところも可愛い……見た目は同じでも、やはり中身は別物だ。
待つこと数分。たおやかな笑みを浮かべた、品のある若奥様を連れて戻ってきた。もちろん、腐れ縁のあんちくしょうとは違う。
「あー……お祖母さんは?わたしの友達、っていうか腐れ縁の」
「失礼ながら……母はあなた様の、御友人ではないと存じます」
「何ですと?」
見る者を幸せな気持ちにする笑みを絶やさないまま、とんでもないことを仰る。
わたしがあいつの友達じゃなかったら、いや別にそうじゃなくても構わんのだけど……そしたら不法侵入者にしか見えないじゃないか。
つまり、この人は騙されているのだ。嫁にあることないこと吹き込みやがって。
申し遅れましたが、この素敵な奥様があいつの娘であるはずがない。それだけは確定いたしましたとも。ええ、ええ絶対に。
若奥様は娘様に微笑みかけると、後ろに下がった。再びあの子が傍に来て、わたしに緊張の面持ちを向ける。
そういえば質問に答える約束だった。軽く頷いて、いいよと声をかける。どんなネタが飛び出しても、今更驚くまい……
「じゃあ、訊きますね」
少女が胸元を押さえて大きく深呼吸する。
「…あなたは、神様なのでしょう?遠い御先祖様が、死ぬまで会いたがってた……」