03.「先生……って。あなた、まさか」
「先生……って。あなた、まさか」
「はい。あなた様の内弟子と巫女の末裔です。積もる話はございますが、それは後。今すぐここを出ましょう」
言うや仲間に指示を出すと、自分も先頭に立って血路を開く。かなり強い。侵入者をあっという間に押し返した。
「行ってください!」
わたしの護衛に二人ついてくれた。自分で作った隠れ処だから、構造を理解してたのも幸いだった。とにかく走って、外に辿り着く。
「申し訳ございませんが、まだ安心されるには早いかと」
「…んぁ?」
もう限界。これ以上走ったら心臓が破れる。
「大丈夫です。ここからは慎重に。団長も待たなくてはいけません」
「ああ、そう……」
まだ歩くのかよ……という本音はともあれ、そりゃそうだ。刑務所の入口でキャンプする脱獄囚がいるわけない。おや……神様の次は冤罪で投獄?なかなかファンキーもといファッキンな具合になってきたぞ?
深夜の強行軍を重ねて、やっと一息つく。
二時間くらい歩いたかも。念のため火は熾さない。止まった途端に肌寒くなる。林の中だから分かりにくいけど、夜明けはそう遠くないような気がする。
近くでがさりという音がして、そこから現れた人影が五つ。
騎士ちゃん達だ。よくこんな暗い中を……あらかじめ場所を決めておいたり、このあたりが自分の庭みたいなものとか。そういう工夫をしてたんだろう。
何人かいなくなってた。いや……まさか、ねえ?
「状況は」
「人の気配はありません。誰にも見つかっていないかと」
「よし。皆は交代で休め」
目立つから火は熾せないけど、何か暖を取る方法があるのかと思ったらマントだった。見た目も中世の騎士風だし、むしろ逆に戻ってる?あれから千年も経ったのに、チャッカマンから先へ進むどころか今にも火打石を取り出しかねない。
「へぶしっ!」
「…御不便をおかけしております。お察しのとおり、前に先生がお目覚めの頃とは別の理由で困窮しておりまして」
世界が壊れてから五十年足らず。いろんなものが足りないけれど、ようやく落ち着いてきたところだった。聞けば今はモノが豊富にあるけれど、旧世界の神を崇める者は弾圧されるらしい。文明の恩恵から弾かれてしまうのだ。つまり、それって。
「……わたしのせいじゃん」




