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01.朝起きたら、隠れ処ごと博物館に売られてました。

 朝起きたら、隠れ処ごと博物館に売られてました。


 ええ。ええ。ここは誰がどう見ても博物館。その展示室の一角。


 一応、言葉は解る。わたしの思考言語だ。表意文字に見慣れないのも混じってるけど。


 まだ開館前だろう、とても静か。今ならこっそり脱け出せるかもしれない。寝ていた箱を出て、警備用のロープを跨ぐ。何となく振り返ると、展示品の説明書きが視界に入った。千年の予定を延長して、もっと長く眠っていたことを思い出す。




 ――『聖櫃騎士団』御神体包蔵之聖棺




 仰々しいにも程がある。


 何が御神体だ。何が聖なる棺だ。この期に及んで、わたしは神様扱いをやめてもらえない。


 宗教色を排した説明は、やや馬鹿にしてるふうだけど客観的で好感が持てる。でも何かむかつく。引っかかる。気に入らない。釈然としない。


 こんな書き方は、罰当たりな気がする。




 ――後の皇国を興す聖櫃騎士団は、迫害に苦しむあまり偶像を生み出した。

 ――社会の秩序を守るため、信仰に頼るしかなかったのである。

 ――受難のドーア帝国興亡期。当時の団長は権威主義的傾向を強め、

 ――御神体とその器を避難させるためだけに多大な犠牲を強いたという。

 ――同胞を危険に陥れる行為であり、最も愚かな指導者として名前を遺した。




「……最も、愚か………」


 面影を思い出しながら呟く。


 眠りに就く前、最後に出会った。


 真面目で素直な、優しいあの子のこと。

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