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50話 食料調達へ

 魔法以外を鍛えるために、修行の旅に出されたホムラは新たな師匠であるスズールと同じく弟子であるエミーシャと歩いていた。


「何気にエミーシャの誕生日の時に王都に行ったきり、ほとんどレーミング領を出たことがないんですよね」

 

 エルメティア先生の最終試験の時は飛んで遠くまで行ってはいたが、そこまで長い時間ではなかった。


「そうなのか。まあまだ10歳のちんちくりんだからなぁ〜。これからだこれから」


 頭をぐりぐりと撫でてくる師匠。ちんちくりんって。


「ふーん、私も似たようなもんだわ。お嬢様なんて堅苦しい生活から解放されて最高よ!」


 エミーシャは、お嬢様生活は好きではないようだ。大切にされて良いと思うのだけどな。




 そんな感じで他愛無い会話をしながらも歩いていると、師匠が山を指し示す。なかなかに深そうな山林だ。標高も高い。


「そんじゃ、数日ここで修行しながら生活するぞ!食料は自分で調達だ頑張れよ」


 いきなりのサバイバル宣告だ。これは貴族生活のホムラとエミーシャには厳しいスタートとなる。


「厳しすぎるわよ!」


「おー?その程度出来なくて強くなれると思うなよぉ。お嬢様には厳しかったか?」


「ぐ……、やってやるわよ!私にかかれば余裕よ!」


 これはダメそうな予感しかしないが、自分もサバイバルになるため気を引き締めなければならないなと思う。


「ちなみに街に買い出しに行くのはアリですか?」


「そんなことしたら修行にならねーだろー。禁止だ禁止」


「あんた馬鹿ね」


 エミーシャが馬鹿にした視線を向けて言ってくる。なんとなく聞いてみただけなのに。ちくしょう、後で覚えてやがれ。



 森の中でテントを設置する。何気に念願のキャンプだ。修行ということで気を抜くことが出来ないが。


「この森、魔物も出るからなー。まあ私がいるからアイツらビビって襲ってこないけどなー」


 ここらの魔物は随分と頭が良い様で、師匠の実力を感じとり姿を見せないらしい。逆に師匠が近くにいなければ襲ってくるかもしれない様だ。


「確かに、前にテントを張った所でも全く襲われなかったわ」


 自分より先に修行に入っていたエミーシャは、思い出す様に答える。師匠の実力は本物の様だ。父様も実力は折り紙付きと言っていたしな。実力は……


「よし、これから夕飯の食料調達だ。山には山菜や獣もいるから頑張って取ってこいよ」


「取れなかったらどうなるんですか?」


「そりゃあご飯なしだろう」


 ご飯抜きはなかなかにキツイ。これは全力で望まなければならないだろう。


「ホムラはきっとご飯なしね」


「エミーシャこそ、狩とか出来るんですか?」


 挑発してきたので、お返しすると拳が飛んできた。なんとか身体を反らして回避する。


「なあに取れなかったら土下座でもすれば分けてもらえるだろ」


 師匠……どういう発想をしているのだろうか。これからも突拍子もないことを言ってきそうで怖い。


「ホムラが地面に這いつくばって、ご飯をねだる姿が目に浮かぶわ」


 どんだけ実力がないと思われているのだろうか。こうなればこちらも本気を出さねばなるまい。






「ご飯ください……」


 夕飯時、ご飯を食べるホムラに土下座するエミーシャの姿があるのだった。


 あそこまで言って、ここまで潔く土下座するとはなかなかに面白いお嬢様だなとホムラは思うのだった。

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