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41話 受け入れ

「ご……5属性……」


 絶賛部屋の空気は、温度操作系統の魔法でも使ったのではないかと言わんばかりに冷え切っていた。原因は、ホムラが5色の炎を出したことだ。


「調子に乗りすぎました……忘れてください」


「いやいや待て!ホムラ、本当に使えるのか!」


「どう見ても5属性で間違いありません。今まで一例の確認出来なかった5属性持ち……4属性ですらいないのに!ホムラくん、貴方は一体」


 先生がここまで驚いているのは初めて見たかもしれない。いつになく真剣な顔つきだ。


「いや、神様のせいなんですって。みんなミルレイヌ神は凄いとか言ってますけどかなり雑な神ですからね!そんな神が適当やりやがったんですよ」


 スラスラスラと言葉が出てくる。そうだ、ミルレイヌ神が悪い。おやつしか頭にない駄神だ。


「ミルレイヌ神といえば、かなり思慮深いと聞きますが。いえ、ホムラくんの言葉を疑うわけではないのですが」


 先生としてもどう考えたら良いかわからないようだ。思慮深いってどこ情報だろうか?ガセを流すとは許し難い。




「うん、黙っとこう!みんな良いだろうか?」


 諦めた父様が出した決断は、ここだけの話ということにしておこうということだ。ホムラとしてもありがたい。


「そうね、帝国の魔法の名家?というのが何かしてくるかもしれないわね」


「はい、ことが知れればホムラくんを狙う者達がこの領に侵入してくるかもしれません!」


 母様の言葉にエルメティアが頷く。捕まりでもしたら、魔法使いを増やすための種馬だろうか?下手すると、人体実験とか……急にアダルトな方向に向き始めるがそんなのは絶対に嫌だ。


「ホムラ、大勢の人がいる所で紅属性以外の魔法を使わないことだ。お前は、1属性使いとして知られている。気をつけろよ?」


「はい、父様!余程のことがない限りは」


 命が関わるくらいの出来事でも起きなければやるわけにはいかないだろう。


「改めて、シスター達にも伝えた方が良いだろうな」


「あ、そうだ。僕ならシスターの呪眼というのも治せるかもしれません!」


 シスターは、ホムラが白属性を使えることは知っている。ならば、目を治すのも良いだろう。


「そうか、そこまでのことがやれるか!まあ、シスターであればバラすようなことはしないだろな。しかし、目が治ったとなると勘繰られるが」


 確かに、Sランクの白属性の使い手が治せなかったのだ。疑われるだろう。


「そこは、当分の間は目隠しを続けてもらうとかしましょう。それに、恩が有ればバラす確率も大きく下がります!」


 後半を強めに言う。父様達を説得するには良い方法だろう。


「やはり転生者だからでしょうか。考え方が、子供ではありませんね。前々から発想が豊かとは思ってましたが……」


 確かに、恩を売るなどの考えは自分の年齢くらいの子供はしないだろう。


「あー、やっぱり息子が転生者って複雑な気持ちですよね……」


 前世の記憶がある者が子供など、気持ち悪いと思われてもおかしくない。


「転生者って、前世で何かがあって死んでしまった人が多いって聞くんだけど、ホムラはどうだったの?ごめんなさい、言いづらければ別に良いの」


「僕は穂村蒼って名前だったんですけど、寝てる間に近くの家の火事に巻き込まれて焼け死んだらしいです……」


 我ながらどうしてこうなったかと何度も思った。ミルレイヌ神は馬鹿にしてくるし。


 話をしているとゆっくりと母様に抱きしめられる。


「辛かったわね……、大丈夫よ。ホムラは、私の大切な子供だもの。私の元に生まれてくれた宝物。だから、気まずく思ったりなんてしないわ」


 ミレイヌは、ホムラが産まれるまでずっと子供が出来なかった。ローリエが産まれた時に、ミレイヌも子供を産みたかったようだが、そこから3年ほど経ちようやく子供が出来たのだ。


 子供が出来にくいというのがあるようでかなり悩んだらしい。だから、ホムラが可愛くて仕方がないのだ。もちろん、妹のリーラも可愛がっている。


「僕は、父様と母様の子供に産まれられて幸せです!可愛い妹もいますしね。特に未練もありませんし、この人生を大事にしたいです」


「おう、俺も自慢の息子がいて嬉しいぞ?しかし、通りで歩けない頃からメイドにベタベタとしていたわけだ。昔から、自我があったんだな?」


 やべっ、まだ自我が芽生えてないフリをしてメイドの身体を触っていたのは父様にバレていたようだ。


「何のことやら……」


 そう答えながら、母様の胸に顔を埋めておく。やはり我が母親、とても落ち着く。




「さて、ではシスターに呪眼を治さないか聞いてみるか。頑張れよ、ホムラ!」


 シスターの呪眼を治す許可は出た。後は、自分の実力次第だ。エルメティアがシスターハーヴェリアを呼びに行っているのでそれを待っている所だ。


「はい、治してみせます!」


「しかし、未だに息子が5属性魔法使いとはなぁ……俺の遺伝子優秀すぎない?」


「母様が凄いんですよ」


「おいおい〜」


 ぐしゃぐしゃっと頭を撫でられる。


 とりあえず、ホムラが転生者であることは受け入れられた。一安心して、シスターの呪眼の治療に集中しようと思うのだった。

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