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35話 森での遭遇

「多分治そうと思えばやれるよな……」


 周囲に色とりどりの火の玉を浮かべながら呟く。思い出すのは今日、レーミング領にやってきた顔を目隠しで覆ったシスターだ。


「ファイア!」


 考え事をしながらこちらに向かってきたゴブリンを魔法で瞬殺する。まず、ホムラは彼女と面識があると言うわけではない。そのため助ける義理はないのだ。だが、力があり助けられる所にあるのなら助けたい気持ちもある。



「うーむ、今は良いや。それに、複数属性持ちだと言うことがバレる」


 浄化系統が使えると言うことは、ホムラは最低でも2属性使いとなる。先生に聞いた限り後天的にスキルを得られた話は稀だ。それも勇者の逸話レベルに近い。


 黙ってて貰う事もできるだろう。だが、情報とはどこからともなく漏れていくものだ。王国内で有ればいいが、帝国のスパイなんてのがいてもおかしくないだろう。そうなれば自分の安全はどうなるだろうか……



「考えても仕方がないか。気晴らしに森の奥に進むか!」


 たいまつはしっかりと持ち森の奥に進んでいく。



「今日は魔物があまり居ないな」


 ここまで遭遇する魔物の数が少なかった。特に子供でも苦戦しないリスくらいのサイズの魔物は見かけるがゴブリンなどには出会わない。


 少し変だと思いながらも歩みは止めない。縄張りでも移動したのだろうか?教会騎士の調査が終わればもしかすると何かわかるかもしれない。



「あれは、火?冒険者か?いや、この辺で野宿するくらいなら街に戻るはず」


 確かに、森の深い位置ではあるが野宿をするよりかは夜中であろうとも街に帰った方が安全だ。そのため、ここら辺に冒険者がいるとは思えない。


「たいまつ……」


 《伸縮自在》のスキルが付与されているたいまつを、高い木に伸ばしロープの様に絡める。そのままロープ状のたいまつの長さを縮め木の上に上がった。そこからは木を伝って火の方に向かう。



 そこには馬車が3台ほど置かれていた。そして、武装した男たちが数人ほど見受けられる。冒険者というよりは、荒くれ者のような感じがある。


「なんだ?」



「本当に大丈夫なのか?こんな場所で火なんか焚いてよ」


「ああ、この時間に冒険者たちもここには来ないからな。俺達は、安心して休めるってわけだ」


 そう言いながら飲み物を大胆にあおっている。見た感じは山賊だ。


「せっかく奴隷商人をぶっ殺して奪ったんだ。俺達も味見しちゃダメっすかね〜?」


 陽気な声を上げる男。その言葉にホムラは木の上で眉を寄せる。


「おいおい、こいつらは帝国で売るに決まってんだろ。傷物にしたら価値が下がるってもんだろ」


「そうすかぁ……ちぇ、あのガキとか良さそうなのになぁ」


 残念そうな男の声が聞こえた。



「どうするか……」


 この国にも奴隷はいる。犯罪を犯した者。借金を返せなかった者、色々だ。あの男達の話では、その奴隷の持ち主を殺し帝国に連れ去るつもりなのだろう。


 ここでホムラが戦えば、魔法で倒すことが出来るだろう。しかし、ホムラが戦えば父達にホムラがやったことがバレてしまう。それもそれで嫌だった。男達を倒して奴隷だけを放置するわけにもいかない。魔物に襲われればひとたまりもない。



「明日の朝には出発するぞ!さっさと休めよ」


 あまり時間は残されていない様だ。夜明けまで7、8時間といった所だろうか。奴隷達の顔は見ることが出来ないが、話的に女の子もいるのだろう。男共が何かやらかすかもしれない。


「僕のことがバレないように……、そしてこいつらを倒す方法……」


 作戦を考えるために、ホムラは街に戻っていくのだった。

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