25話 高性能たいまつ
お久しぶりです!
お待たせしました(`・ω・´)
「よし!出よ、たいまつ!」
アイテムボックスから取り出したものは、神から貰った武器……武器?たいまつだ。
現在、ホムラは1人部屋にいる。セキュリティも万全であり、信頼のある者しか泊まることが出来ないこの宿では1人部屋を認めてもらえている。
武器屋でたいまつのスキルを調べて貰ったため早速試してみようと思ったのだ。そのため、1人部屋が都合が良かった。
「たしか、〈不壊〉〈伸縮自在〉〈魔法威力増幅〉〈自動帰還〉〈打撃強化〉……わからないのもあるんだったな」
わからないものは仕方がないので、今は使えるスキルだけに集中する。
「まずは、〈不壊〉。ふんぬっ!」
声を上げ、たいまつを折ろうと試みてみるが折れない。自分に力がないかもしれないが、びくともしない。
「うーん、仕方ない。次だな。よし、部屋の中だから気をつけながら……」
心の中で、注意しながら〈伸縮自在〉をイメージする。
「おお!」
直後、ビヨーン!とたいまつが伸びて、自分の身長をあっさりと超えていく。あまり伸ばすと宿に穴を開けそうなので控えめではある。限界は流石にあるのだろうか?
「さらに……」
意識をすることで、たいまつがぐにゃぐにゃっと自在に曲がる。まるでロープのようなありえないしなやかさだ。ムチとしても使えそうな気がする。
「後は……、〈打撃強化〉なんかは試しようがないからな。〈自動帰還〉か」
1メートルほど先にたいまつを転がしてみる。コロコロと転がり止まったため、
「よし、戻れ!」
直後ホムラの手には、たいまつがしっかりと握られていた。これは便利だ。戦闘中に武器を落としてもすぐに回収出来る。盗まれたとしても心配はないだろう。
たいまつの実験を終えて考えてみるが、なぜたいまつにここまでの性能を付与したのだろう?やはり神の考えることは人間にはわからない。
しかし、このたいまつは高性能!これだけは言えるだろう。
トントン……
考え込んでいると、扉が叩かれる音でハッとする。たいまつは、すぐにアイテムボックスにしまった。
「ホムラ〜、父様だぞ。開けてくれ」
「はーい」
覗き穴から、父の顔を確認して扉の鍵を開ける。わざわざ向こうから部屋にやって来るとは何か話があるのだろうか?後ろには、エルメティア先生も付いている。
「お邪魔します、ホムラくん」
「いえいえ、男ばかりのむさ苦しい部屋ですが」
「おいおい、ホムラ。私もお前も、サッパリしたモテる顔だろうに」
凄い自信だ。僕も、それくらいの自信を持ちたいものだが、父には敵わない。
「何かありましたか?わざわざ僕の部屋までやってきて」
「ああ、ホムラの魔力についてなんだが」
やはりエルメティアを超えるほどの魔力には問題があったのだろう。
「もしかして、僕の身が危ないとかですか?」
「ん?そうか、自分でそこまで考えていたか。流石だな」
まあ神様から聞いただけですけどね。厄介な変態元神に狙われているらしいのだ。二度と会いたくないが……
「ホムラくんの魔力については、現状では私とローレイラ様しか把握していないです。ですが、下手をすると感づく者も出てきますね」
「早速、不審者に会ったんだって?先生がいて良かったな」
「ええ、まさかいきなり狙われるなんてことになるとは……」
あれが実は元神様なんですよと言ってみたいものだが。そうすると、色々と説明しなければならない。それもそれで面倒だ。
「あの女……次に来た時は、生まれたことを後悔させてやりましょう。またお守りしますので。それに注意すべきは、帝国もですね」
「あー、魔法使いの扱いが酷いですものね……」
「干からびるまで精を搾られるかもな。あそこは酷い国だぞ?絶対に行くべきじゃないな」
父様が嫌そうな顔をして答える。行ったことがあるのだろう。一度は訪れてみたいと思っていたが、考え直した方が良いのかもしれない。
「特に帝国の魔法使いの名家。あそこは、自分の子供ですら子供と思わない程のイカれた奴らがいる場所です。ホムラくんのことが明るみになれば、当然動くでしょうね」
前に、先生に教えてもらったただひたすらに強い魔法使いを産むために、無理矢理に子供を産ませているというやつだ。
「何が名家だ。ただの腐れ外道じゃねーか!」
「ホムラ!言葉遣いが悪い。気持ちはわかるがな」
つい帝国の名家とやらにイラッとしてしまったようだ。自分がキレると言うことはほとんどないが、その時はつい口が悪くなってしまう。
「魔力も漏れてますよ?深呼吸してください」
先生にまで嗜められる。これは、反省だ。どんな時でも冷静でありたいと考えるが、そうそう上手くはいかない。
「ホムラは、心配しないで大丈夫だ。父さんが守ってやるからな」
「私もです。大切な弟子を渡してなるものですか!」
守ってくれる人がいる。ありがたいことだ。良い家族や先生に恵まれたものだと思う。
「僕も強くなります。むしろ僕がみんなを守れるくらいに強く!」
平穏な生活を邪魔されてなるものか。自分には、神器もある。先生を超える魔力もある。ならば、少しでも強くなろうと気合を入れるのだった。




