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23話 さっき会いましたね

 謎の女は、去っていた後も魔法を使っているところを見学し、ギルド見学から帰ってきた上級生と戦うという様なこともあった。


 そして、現在は宿に向かって帰っている。


「どうでした?上級生と戦って」


「そうですね、正直なところ物足りなかったですね」


 結果はホムラの圧勝だったのだ。ホムラが余裕で対処すればするほど、相手は冷静さを欠いていった。楽勝だったなという感想だ。


「温度操作系統もよく出来てましたね。まあ、私が教えているのでこれくらいはやって欲しい所ですが」


 相手は、水系統の使い手で紅属性のホムラにとっては相性は良くない相手だったが、上手く戦えた。


「わざわざ苦手な属性の相手を選びましたからね。負けることはないと思いましたが、良く頑張りました」


「ありがとうございます。あまり、対人戦をすることはないので良い経験でした」


 普段は、対人戦をするとしたら先生が相手となる。勝てるわけがない。毎度、ボコボコです。


「魔力測定も終わって、収穫も十分ですね。良い報告がローレイラ様にも出来ますよ」


「そうですね」


 と答えていると、気になるな建物が目に入った。



「あれって教会ですよね?」


「ええ、お祈りとかも出来ますよ。行ってみますか?」


 先生の言葉に、静かに頷く。なんとなく、行きたいと思ったのだ。よくはわからないが呼ばれている様な感覚?


 扉を開けて中に入ると、シスターらしき女性がいた。


「ようこそ」


「お祈りをさせて頂いても?」


 エルメティアが切り出す。


「ええ、もちろん」


 シスターの答えにホムラとエルメティアが奥に進む。そこには、立派な像が有った。とてつもなく凛々しい顔つきで剣を携える女性だ。


「先生、この像は神様ですか?」


「ええ、ミルレイヌ神です。この世界をいつも見守ってくださっている方だとか……」


 まさかの、あの神でした。自分にたいまつを渡しやがった奴ですよ。これがまぁ、随分と立派な像を作ってもらっちゃって。ちっとも似てませんね〜


 剣なんか携えてませんよ。持ってのは、お菓子にジュース。


 こいつに祈るのも癪だなと思いながら、文句を垂れておくことにする。


(はぁ、普通は対魔の杖とたいまつを間違えるわけないだろ。アホーーーーーーー)





「誰がアホだって言った?」


「うぉ!ミルレイヌ神じゃん」


 目の前には、ソファにゆったりと座りながらお菓子を食べている。相変わらずだ。


 ホムラは慌てて周囲を見渡すが、白い空間には、誰もいない。


「ここはどこですか?」


「私の部屋、熱心に祈りに来たかと思ったら悪口とは頂けない」


 あーあ、聴こえてしまっていた様だ。心の中で考えてもいけないようだ。


「とりあえず、ごめんなさい。でも、ミルレイヌ神が、間違えたのがいけないと思います!」


「神でも失敗はある。足を舐めさせてあげるから許して」


「嫌ですよ……」


 え?舐めないのって顔で見てこないでほしい。なんで、舐めると思うの?


「あ、そーだ。たいまつの返品、交換はやってないからね。そのまま頑張って」


 腕でばつ印を作りながらミルレイヌ神は答える。聞こうと思ってた答えがあっさりと出てきたものだ。


「ダメですか。でも、たいまつの性能も恐ろしく高い気がするんですけど。あれって、本当にたいまつですか?」


「あれは、たいまつ。神器たいまつ」


 カタコトで話してくる。


「性能良いので、まあ仕方ないですね。ちょっと格好つかないのがなんとも言えないですけど」


「大事なのは、実力だから。あ、そーだ。言わないといけないことがあった」


 おやおや、何やら話があるようだ。


「厄介ごとでないことを祈る」


「最近ね〜、私の姉である神がやらかしてさぁ。神界を追放されたのよ」


「へぇ〜、随分なことをやったんですね。それがどうしたんですか?」


 神でも追放されるのか。ならば、目の前にいるコイツを真っ先に追放して欲しいものだな。


「追放されて、それなりに力を奪われて君達の世界に落とされたんだけどね〜。結構強いから気をつけてって感じ。まあ、悪い奴じゃないんだけどね」


 関わり合いになりたくないのを地上に落としてくれたものだ。まあ、世界は広いから会うことも無いだろうけど。


「会うことはないんじゃないですかね。そんな強い人なら目立ちそうだし」


「あいつは、強い奴が好きだから。魔力濃度が高いホムラに興味を持つかもしれない。仲良くなれたらいいね!」


 気をつけてと言いながら仲良くなれたらって……どうしたらいいのかわからない。


「ちなみに、コイツがその落とされた奴」


 と言いながら写真を渡してくる。写真あるんだなと思いながら、顔を記憶しておこうと思うと……


 黒髪の妖艶な女性が写っていた。


「あ、もう良いです。顔覚えてますので」


 すぐに写真を返却した。さっき会ったばかりだわ。へんな人だと思ったけど、落とされた神だとは……


「まさか、もう会ってたとは?貞操、気をつけてね」


 気をつけるのそこかよ!


「というか、その人何をやらかしたんですか?余程重罪ですよね?」


「あー、女神へのセクハラ。それと、下半身露出。猥褻な行為だね」


「変態じゃねーか」


 面倒なのに目をつけられた、もう2度と会わないようにホムラは、こればかりはミルレイヌ神に祈るのだった。

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