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21話 魔力測定、転生者疑惑

「魔道具は、保健室にあります。あそこです」


 スズールと別れたホムラ達は当初の目的である魔力測定を行うための魔道具がある場所に向かっている。


 職員在中と書かれたボードが置いてある。元の世界の保健室っぽさが感じられた。


「失礼します」


 トントンと扉を叩いて、エルメティアが入室する。それにホムラも続いた。


「おや、エルメティア先生!ようこそおいでくださいました。そちらが、ホムラ様ですか。初めまして、ミジェルと申します。水魔法の回復系統を使っております」


 保健室の先生は、白髭を蓄えたおじいさんだった。なんというか、仙人っぽい。なかなか紳士的な話し方だ。


「初めまして、ホムラ・レーミングと申します!魔力測定に来ました」


 所作は、父様に教えてもらったのでそれなりに出来てるつもりだ。


「6歳と聞きましたが、まだ上の者を相手にしている気分ですな。エルメティア先生、魔道具は向こうに用意してありますので、使ってください」


「ありがとうございます。ホムラくん、こっちに」


 と言いながら手を引かれる。


 保健室の奥に行くと、そこには綺麗な小箱が置かれており、それを先生が開けると、中には綺麗な水晶が2つ入っていた。占いなんかで使いそうな球体だ。


「これを持つとですね……この様に色が変わります!金色の火が見えるでしょう?」


「はい、綺麗ですね!」


「そんな、綺麗だなんてぇ〜」


 なぜか照れる先生。



「基本的に、金が最高です。その下に、銀、銅、白とあります。一般人は、白が多いですね」


 流石は、先生だ。素晴らしい魔力をお持ちで。




「それでは、ホムラくんが持ってみてください。私の予想では金だと思いますが」


 と言いながら水晶を渡してくる。


 (流石に白はないよな。予想だけど、全然関係ない色が出て良く分からん流れにパターンになりそう)


 自分で、予想を行い水晶を受け取る。



 直後、水晶の中の炎が燃え上がる。そして、色は虹色だ!


「わお……」


 これは、どんな結果なのだろう。エルメティアの顔を見ると、興奮した面持ちだ。サッと顔を逸らす。


「ふふふ……、ええ、凄いです。凄い!最高濃度の魔力ですよ!私よりも濃さが上。素晴らしい結果です!ホムラくん」


 肩を揺さぶりながら言ってくる。転生者だから、魔力の濃度が高いのだろうか。


「良いこと……ですよね?」


「ええ、もちろんですよ!濃ゆい分、魔法の効果も上がります。量は、まだまだこれからですが、いずれは私を超えることは間違いないでしょうね!」


 自分がエルメティアを超える。本当にそうなるだろうか。相当の努力を積む必要はあるだろうが、彼女がそう言うなら頑張ってみたいと思う。


 あの頃は、凄いと持て囃されてたよ……と悲しく思い出すようにはなりたくない。


「ちなみに、ホムラくん程の濃ゆさの魔力を持っている人は、今現在確認されてないです。かつていた英雄級ですよ」


 サラッと言ってくれる。正直な所、厄介事の塊じゃねーか!と思わずにはいられなくなったホムラである。




「もしかして、ホムラくんって転生者じゃないですよね?」


 突然のエルメティアの言葉。


「そういえば、父様からも聞きました。転生者って凄い人達がいるって!それってどんな人達なんですか?」


 ギクっとなってしまいそうな場面ではあるが、予想は出来ていた。いつかは来るかもと思う質問だ。


 エルメティアのことは信頼しているが、どこに耳があるかはわからない。


「この世界かもしれないし、どこか別の世界かもしれない。そこで、死んだものが記憶を保ったまま生まれ変わった者を転生者と言っていますね」


「記憶を持ったまま!それは、凄いですね。でも、記憶があるだけじゃどうにもならないこともあるんじゃ?」


 あくまでも知らないフリをしておく。


「ええ、ですが彼らは口を揃えて言っていました。神に会ったと!そして、神器を貰ったと。そんな彼らは、とてつもない強さと才能で英雄とまで言われるようになったとか」


 正直、口を揃えて神に会った!とか言うなよと思う。転生者だと思われたくないホムラとしては、勘弁してほしい所だ。


「神様に会うなんて凄い!それに神器だなんて……」


 驚いた表情を浮かべてホムラが答える。


 俺の神器は、たいまつですよ。流石に恥ずかしくて見せられないわ〜


「ええ、きっと神様は慈悲深く思慮深い、崇高なお方だと思います」


 ただのオヤツが大好きな馬鹿ですよ。対魔の杖とたいまつを間違えた恨みは忘れないぜ。




「残念ながら、僕には前世の記憶なんてものはないですね。それがあったら英雄になれたかも!……もしも、僕が転生者だったら先生はどうしようと思ったんですか?」


「別に何かするつもりはありませんよ。ホムラくんは、私の大切な弟子ですからね!あまりの魔力の良さに、転生者なんじゃと思ってしまったんです」


 もしかすると、彼女にならいつか転生者だと明かしても良いのかもしれない。自分のことを大切にしてくれているのなら、いつか答えたいとも思う。


「さて、ホムラくん!運動場に見学に行きましょうか。魔法の練習を覗きましょう」


 と言いながら水晶をしまう先生。


 学生の魔法を使う所が見れると、ホムラは嬉しそうにするのだった。

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