15話 想定外の変態属性
ゴブリンを倒し終えたホムラ達は、森を出て昼食を食べた所だった。戦った後は、食欲はないかと思ったが、思いの外ガツガツと食べれるものだ。
「無事に終わったホッとしました。なんだか眠気が……」
お腹も膨れて、昼寝をするには丁度良い時間かもしれない。
「ふふふ、もしかして昨日は緊張して眠れなかったですか?」
「恥ずかしながら……」
頭を掻きながら答える。今になって、寝付けなかった反動がやって来たのだ。
「ではでは、私の膝にどうぞ!」
「おぉ……」
頑張った甲斐があったというものだ。もちろん、お借りします。早速エルメティアの膝に頭を乗せた。
「おやすみなさい……〜〜♪」
なんと言っているかはわからないが、子守唄の様なものだろうか。エルメティアが歌っている。
ホムラは、あっさりと眠りにつくのだった。
ホムラは目を覚ましたが、もう少しこのまま膝枕を堪能していたいという気持ちがあり寝たふりを続けようと思った。
すると耳元にエルメティアの声が入ってきた。
「ああ……ホムラくんの匂い。スゥーーーーーーーー、あぁぁ」
え?何が起きてるんだ?と思い目が開けられない。エルメティアはまだホムラが寝ていると思っていることだろう。
何やら頭の匂いを嗅がれているような気がする。
「おやおや、ホムラくんの涎が……ハンカチで拭いて。ポーチに入れて保存ですね。後で堪能しましょう」
洗わないのでしょうか?なんですか、堪能って……
「はぁ……はぁ……、いけませんね。寝ているとはいえ子供相手に。でもそれが唆る……」
再び髪の匂いを嗅いでくる。そして、先生の手が徐々に背中を撫でながら降りていくのを感じる。
手が徐々に背中を伝ってどこに向かっている気がする。まさかお尻ではないだろうか。あ、お尻ですね。
サワサワサワサワ
これは仮定ではあるが先生は変態なのかもしれない。急にどうしたんだと思うが……
先生の息遣いが荒い。どんな表情をしているか見たくなったものだ。そっと薄く目を開いて、先生の顔を見ている。
わーお、顔からエルフの耳まで赤くした先生が、小刻みに震えながらハァハァしている。これはもうアウトですな。
もしかすると、これまでハンカチをよく口元に押し当てていたのって……考えるのをやめた。
「ホムラくん、起きてるのですか!」
あまりの表情に、自分は目をしっかりと開いていたようだ。エルメティアが慌てた顔になる。これは、不味い。お互いに気まずくなってしまう。
こうなれば、自分がどうにかするだけよ。
「う、うん?あ、母様〜。僕、魔物を倒したんですよぉ。褒めてください」
思い切って寝ぼけたフリをして、エルメティアに抱きついていく。
「ホムラくん、寝ぼけてるんですか?ふふっ、よく頑張りました」
頭を撫でてくる先生。よし、意外といけた!これならば気まずくはならない。
まさか、先生が変態だったとは世紀の大発見かもしれない。これは墓場に持って行った方が良いだろう。
眼鏡をビシッとかけ、いつもわかりやすい授業をしてくれる先生。魔物と戦う時も、しっかり守ってくれていた先生。
ああ……知らないフリをしよう。
「あ、先生!ごめんなさい。寝ぼけて母様かと……」
「いえいえ、それにしてもホムラくんは甘えん坊さんだったんですね!」
いえいえ、先生は変態さんだったんですね!
ある程度甘えてから、寝ぼけたフリをやめて意識がはっきりとした状態になった様に見せる。若干自分が恥ずかしい感じになってしまったが収穫もあった。
寝ぼけたフリをして、先生の胸元で顔を擦りまくったのだ。天国でした。
これで結果オーライとしておこう。今後の動向には気をつけたいが……急に変な属性を持ちやがってと思う。
特に何も起こらず、ホムラとエルメティアは、お互いに内心ホッとするのだった。
倒したゴブリンは、先生が冒険者ギルドで売却してくれた。
ゴブリンアーチャーの魔石だけは、倒した記念ということで持ち帰ってきてくれたので、お小遣いと魔石ゲットだ。
魔物には、人間でいう心臓と似たものとして魔石がある。強力な魔物ともなれば純度の高い魔石を身体に含んでいるとのことだ。
魔石を壊されれば魔物は絶命するが、魔石は高値で売れるため基本的には頭など、別の急所を狙うことになる。余程危険な魔物で、被害が出そうな場合は、仕方がないが魔石を破壊するのを狙うのだろう。
父様や母様に魔石を見せると、大変喜んで部屋に飾られることになった。
ローリエ義兄様やレレ母様も褒めてくれた。
こうして、初の魔物との戦闘は無事に終わり、王都に向かう日がやってくるのだった。
ストックピンチ_(:3 」∠)_
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