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はじまり

 銃の撃鉄を叩く。

「イグニス」

 そう唱えるとマガジンが一つ赤く色付く。そして狙いを定める。一定の距離に入ったので引き金を引く。そのうえで愚者のアルカナタローが埋まっている剣を振う。すると燃え盛っていた狼に首を切り落として銃を持つ手をその狼群れのいるほうに翳す。

「《妖狐よ・五素を束ねて・切り開け》」

 ほんの刹那の間に唱えた呪文により狐の尻尾のようなものが5本それぞれ赤・青・茶・緑・黄の色に染まり群れをなぎ払う。すると全ての狼が光となって消える。それを見届けると剣と銃を鞘とホルスターに収める。

「今日はこれで終わりと」

 この世界に閉じ込められてから全く安眠出来た試しは無いが自分の拠点に戻る。ここは廃退した世界。そして人呼んで電子牢屋。中には数千人を閉じ込めている最悪の世界。



 後世に虚空戦場と呼ばれる生きるか死ぬかの世界だ。




 分かり易く言おう。これはデスゲームだ。






「如何したんですか?」

 俺こと片倉亮也は今日突然、自分が所属している部隊の出資者の一人に呼ばれた。

「いや特に仕事があるわけじゃないけど?」

 なら何故呼んだし。いやアイリ通して知っているけど。ちなみにアイリとはAIでとある事情から俺が保有して・・・正しくは保護しているだ。

「この前はご苦労だ。私情があるとはいえ例の組織は消してくれたのは国連も驚いていたよ」

「いえ完全に消したわけでは。それに武器庫は掴めませんでした」

 錬成武器があったが全てがそうとは限らないし。一応あの辺りに結界を敷いて来たので数年は安心出来る。

「充分だよ。それでしばし休暇を出す事になってね」

「・・・」

「如何したんだい?」

「いえ、此処に休暇の概念があった事が意外で」

 そんな表情に出ていたか?

「まあ確かに此処は色々と特殊だしほぼ休みみたいだけど。それでも裏の部隊に出せる予算なんて負債に隠すしかないから限界がある」

「別に給金目的でやったわけでもないですし。それにテンス以降毎月とんでもない額が振り込んでくるですけど」

 数年間休み無しで働いたので正当な対価と言われても正直大きすぎる額だし。というか何処からそんな額が出ているのかが不思議だ。

「分かっているけど異例は作れない。それにいろんな所に募金しているのだから良いんじゃない?」

「ですけどね・・・。この前錬成武器潰した際に大量に品物が完成しているのでやる事がないです」

「仕事早いね。じゃあゲームなんて如何だい?」

「ゲーム?」

 ゲームか。何というか

「まあ、本物を体験した上に箱庭系は現在進行でローグライクぐらいしかやる事が面白くないのだろう」

「概ね間違いないです」

 確かに。俺の場合は殺し合いを経験したからそういったのがあまりしない。まあ義妹は廃ゲーマーでFPSの世界大会で上位入賞するほど。ちなみにそれを完封して泣かれたのはいい思い出だ。

「そうだろう。でもこのゲームは違うと思うよ」

 そう言い差し出されたパッケージには

「VOID FANTASY ONLINE?」


 と大きく書かれており剣に杖や銃などの武器を手にして何かに立ち向かっていた絵が書いてあった。

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