アカ隊員、『お人好しのキツネ』さんを発見する?
今日の『逆さ虹の森』の担当は、アカ隊員です。
今日もにこにこ元気で楽しそうに空から見回り中です。すると、『森を半分に分ける大きな川にかかった吊り橋』の近くで、なにやら難しい顔をしながら頭をひねっている『キツネ』を発見しました。
ちゅん、ちゅん、ちゅん
パタパタパタ
「……やあ、キツネさん。そんな所で難しい顔をしてどうしたんだい?」
アカは、いつものにこにこ笑顔で話しかけます。
「……え? 君は誰なの? どうして僕に話しかけてきたの?」
身軽そうな体のキツネさんは、突然話しかけてきたアカ隊員を特に警戒するでもなく普通に思った事を返します。
「ん? おっとそうだったね。またやっちゃった? あはは。自己紹介がまだだったね。こんにちは。初めまして。僕の名前は『アカ』。この森の先にある岩山で暮らしている『ちゅん鳥戦隊』の一員なんだ。よろしくね?」
キツネさんの様子も気にせずにアカ隊員はまた自己紹介するのを忘れていましたが、それでも少しだけ反省して? 平然とあいさつをしました。
「この先の岩山で暮らしてるちゅん鳥戦隊の一員のアカ君だね? 分かったよ。僕は『キツネさん』って呼ばれてるよ。よろしくね?」
あっさりとアカ隊員を受け入れました。このキツネさん。もしかしたらアカ隊員と同類なのかもしれません。今回は同類対決の予感がします?
「キツネさんだね。やっぱりそのままなんだ? 分かったよ。それで、そのキツネさんはこんな所でどうしたの? 難しい顔をしてたけど何かあったの?」
キツネさんの名前が『キツネ』ってそのままなのを少しだけ気にしながらも、やっぱり似た者同士? 話が早くて助かります。
「うん。僕ってそんな難しい顔なんてしてたかな? まあいいか? 実は、見ての通りこの『吊り橋』なんだけど、『今にも落ちそうなくらいボロボロになって』いるんだよ。下は『大きな川』だから落ちたら危ないし、でもこの橋がないと不便だから困っていたんだよ? どうしたらいいのかなってね」
すんなり話が進みます。グッジョブです! 2人とも?
(今回は『いい仕事してます。よくやった』という意味ですよ?)
「そうなんだ。それで困ってたから難しい顔して考えてたんだね。納得したよ」
理由を聞いて納得するアカ隊員。でも、自分の力ではどうしようもなさそうだとも思って納得するのでした。自分の身の丈を理解し、状況の判断が早いのもアカ隊員の良い所?
「そうか。納得してくれたんだね。ありがとう? それで、そんな僕が気になってアカ君は話しかけてきてくれたの?」
キツネさんも同じく色々と理解はしているようです。
「うん。そうだよ。キツネさんに話しかけたのは、この森を見回っている時にこの吊り橋の近くで難しい顔をしたキツネさんを発見したからだよ?
何か変化があれば飛びつけて確認する。それが僕達ちゅん鳥戦隊の任務だからね!」 バサッ!
ちょっと格好つけて右手を左斜め前に挙げてポーズを決めるアカ隊員。しつこいようですが、本人は心から格好いいと思っています。
「おお! へえ、そうなんだ。そんな任務もあるんだね? 僕にもできるかな? でも僕は飛べないからな。駆けつける事はできても、飛びつける事はできないな。うーん。残念だ?」
満足そうにポーズを決めるアカ隊員を見て、目を輝かせて感動してましたね? マジですか。それに、自分もちゅん鳥戦隊に参加したそうに話すキツネさん。いやいや。そこには何も触れずに話を進めましょうよ。それが大人の対応ですよ?
「ふふふ。残念ながら、そもそもちゅん鳥戦隊は、僕達ちゅん鳥によって構成された戦隊なんだ。『ご主人様』によって名付けられた由緒正しき戦隊なんだよ? 凄いでしょ。えっへん!
だから、キツネさんがちゅん鳥戦隊に参加するんじゃなくて、キツネさんはキツネさんで自分で新しい戦隊を作ればいいんだよ? ね、いいアイデアでしょ?」
あ。これはヤバいかも? 脱線し出すと止まらない? これも似た者同士ヤバいかも? そもそもちゅん鳥戦隊にそんな立派な由緒、いわれや歴史があるのかな? あるの? 知らないよ? これがちゅん鳥達の認識、受け止め方なのかもしれません。
「え? そうか! そうだよね! 僕がちゅん鳥じゃないからちゅん鳥戦隊に入隊できないのなら、僕は僕で作ればいいんだね? あはは! さすがアカ君。ありがとう! いい事聞いちゃった!」
はあ。やっぱりこうなりましたか。これはまだまだ止まりませんね? やれやれです。しばらく温かい目で見守ってやってください。
「ふふふ。そうだよ。さすがキツネさん。理解が早くて助かるよ? 仲間を集めて『キツネ戦隊』を作ればいいんだよ? 名前はみんなで話し合って決めるんだよ? ルールも作ってね。この森を隊員みんなで分担して警戒して、変化がないかを見回るのを任務にすればいいんだよ?」
「うんうんうん。いいねいいね。それ面白そうだ! 僕は空は飛べないけど、自慢の脚を使ってこの森を見回る事はできるからね。アカ君がやってくれたように、変化を見つけたら駆けつけて話を聞けばいいんだよね? それなら僕にもできそうだ。ふふふ」
「そうだよ。キツネさんならきっとできるよ! 僕達は、本来は空から様子を確認して、なにか変化を見つけたらすぐに仲間に知らせるのが任務なんだ。でも、この森ではなぜかみんなと言葉が通じるみたいだから話しかけてるんだよ? この森は不思議な森だよね?」
「へー。そうなんだ? 本来の任務は変化を知らせる事なんだね。ふふふ。僕もそんな戦隊にできるといいな。まだ僕1人だからね? 何人集まるかも分からないけど、面白そうだから僕1人でもやっていこうかなって思ってるよ。
でもここが不思議な森だなんて初めて聞いたよ? みんなとも普通に話してきたし。何でだろうね? それが普通だと思ってきてたから分かんないや? あはは」
「そうだよね。ずっとここで暮らしてきたのなら、これが当たり前、常識なんだよね? 『自分の常識は非常識』これは僕の大好きな『ご主人様』の言葉なんだ。だから、自分の常識だけで物事を簡単に判断しちゃいけないよって意味があるんだって。凄いでしょ? 僕の『ご主人様』って。ふふふ。
あっ! そうだ。そうだよ! 『ご主人様』なら、この『ボロボロになった吊り橋』を何とかしてくれるかもしれないよ!」
「えっ! え? え? そんな事ができるの? アカ君のご主人様はそんな事ができるの? こんなにボロボロになっちゃった吊り橋だよ? 大丈夫なの?」
「う、うん。多分? 多分だけど、ここまで連れてこられれば何とかしてくれそうな気もするんだけど、『ご主人様』は今とても忙しいんだ。
だからすぐに動いてくれるかどうか僕にも分からないんだ。ごめんよ? 期待を持たせるような事を言っちゃったよね? でもちゃんと話はしておくから、期待しないで期待して待っててね?」
「あはは! 『期待しないで期待して』っておかしいよ? アカ君面白いっ! あはは。そうだよね。本当はこの森で暮らしてる僕達でなんとかしないといけないのに、アカ君のご主人様にお願いするなんてね。それは期待しないで期待するしかないかもね? あはは」
「うん。キツネさんこそやるね! 逆に返して笑いにするとはね。それはグッジョブだよ!(今回は『よくやった』『よくできました』という意味ですよ?)。まあ、しばらくはこの橋はこのままにしておくしかないけど、キツネさんも気をつけてよね? 下の川に落ちちゃったら大変な事になりそうだからね?」
「うん。ありがとう。アカ君。そのご主人様が来てくれるまでは十分気をつけるようにするよ」
…………Zz あっ。いつの間にか話が戻っていましたね。いつの間に軌道修正をしたのでしょうか? やりますね。眠ってましたか? あらあら。私とした事が?
「なるべく早く連れてこられるように努力はするからね? ふふふ。それよりキツネさんや? 戦隊の『決めポーズ』をどうするかを考えておいた方がいいと思うよ? とても大事なモノだからね? 分かってると思うけど、忘れちゃダメだよ?」
あ。また戻ってしまいました? もうどっちが本題なんでしょうか。はあ。
「ふふふ。何を言っているんだい、アカ君? そんなの当然じゃないか。僕を誰だと思ってるの? ちゃんと考えてるよ? アカ君のポーズを見た時からね? ふふふ。でも、アカ君と一緒のポーズにしてもいいのなら同じにしたいけど、どうかな? ダメかな?」
コテン
アカ隊員は首を傾けて示します。何を今更と?
「何を言ってるのさ。キツネさん。キツネさんがそれでいいなら、僕が反対するわけないじゃないか? 当然でしょ。僕達はもう『お友達』以上の『戦隊仲間』だよ? ふふふ。それならポーズは一緒の方が格好いいよね? うん。間違いない!」
こうなったらもう、どうしようもありません。戦隊仲間はお友達以上の存在なんだね。キツネさんはめでたく『戦隊仲間』認定されました?
「ありがとう! アカ君、嬉しいよ! これで僕も本物の『戦隊』の一員になれたんだよね! よーし。さっそく今日から頑張るぞ! ふふふふふ」
「うん! おめでとう! これから一緒に頑張ろう!」
やっぱりキツネさんも同類でした。戦隊の決めポーズを決める事が本物の証になるんだね? 知りませんでした。でも本人達が同じように考えて納得してるなら、それでいいのかもしれません。
別に悪い事をしているわけではないですからね。森の平和のために頑張るって言っているのですから? とてもめでたい事らいしですよ? めでたいやつらです。
こうして、しばらくはキツネさん1人の仮名『キツネ戦隊』が誕生したのでした。
この森の各地を巡回し、なにか変化を見つければ駆けつける。森で暮らすみんなのために勝手に活動する。そんな優しいキツネ戦隊になるはずです?
もの凄く満足そうな顔をしながらアカ隊員はいつものように元気なあいさつをして、さっそうと飛び去っていくのでした。
「じゃあまたね、キツネ隊員!」 バサッ!
あっ。違いました。飛び去る前にポーズを決めました!
ちょっと格好つけて右手を左斜め前に挙げてポーズを決めるアカ隊員。本当にしつこいようですが、本人は心から格好いいと思っています。
「うん! じゃあまたね、アカ隊員!」 スクッ、ザンッ!
あっ。キツネさんもポーズを決めて返しました!
スクッと立ち上がり、ちょっと格好つけて右手を左斜め前に挙げてポーズを決めるキツネ隊員? 本人は心から格好いいと思っているみたいです。
立ち上がれたんだ。キツネ隊員。それがこれからの隊員同士のあいさつになるのかな? そんな気がしませんか?
パタパタパタパタ ダッダッダッ
アカ隊員はさっそうと飛び去り、キツネ隊員はさっそうと駆け出していきました。
向かい合ってポーズを決め合うお互いの目がキラッと光ったような気がしたのは気のせいでしょうか?
…………冷たい空気が流れた気がします…………
えっ? 羨ましい? じゃあそっちでは熱い空気が流れたの? うそ~ん。
その後、毎日取っ替え引っ替え現れるちゅん鳥戦隊によって、キツネ隊員の『お人好し』は少しずつ改善し、更に磨きをかけていくのでした。小さな事からこつこつと? 小さな小鳥のちゅん鳥戦隊だからこうなったのでしょうか?
そうです。それもあるかもしれませんが、キツネ隊員のそもそもの性格、『お人好し』な部分が強かったのでしょう。それが時には人のためになる『お人好し』なら何の問題もないと思いますが?
ただ、お人好し過ぎて『だまされる』事がないように注意して下さいね? そんな気持ちがアカ隊員にあったのかどうかは分かりませんが?
ちゅん鳥戦隊には頼れるご主人様がいるみたいですから心配はいらなと思いますけど、仮名キツネ戦隊はまだ1人しかいませんからね。ちゅん鳥戦隊の任務が1つ増えたのかもしれません。キツネ隊員を優しく見守るという新しい任務が。
ぱっと見、ちゅん鳥達の違いが分からずに、みんなアカ隊員だと思って接していたキツネ隊員。でも、決めポーズの微妙な違いから、それぞれの見分けがつくようになったみたいです。やれやれですね? 凄い観察眼です。
ちゅん鳥戦隊達もちゅん鳥戦隊達で、そんな事は気にせずに接していたのも凄いと思います。お互いに見かける度に決めポーズなんかしちゃったりして? やっぱり戦隊員同士のあいさつになっちゃったようですよ?
『戦隊仲間』ですからね? もう、どっちもどっちだったんです。そんなものです。細かい事は気にしない。『戦隊員』の当たり前、常識なのかもしれません?
今日もまた、ちゅん鳥戦隊はそれぞれにあった出来事を報告し合ってから安らかに眠るのでした。これも『ちゅん鳥戦隊のルール』の1つだからです。情報の共有は大切ですからね。
これにて任務完了です。おやすみなさい。
…………つづく
次回『アズキ隊員、暴れん坊のアライグマ君を発見する?』
お楽しみに!




